外伝ソードオラトリアにちょっと横道。
落下しながらレフィーヤが今まで進んでいた地面を見上げれば、開いていた穴が塞がっていくのを見て落とし穴に嵌ってしまったのだと気づいた。
長大な縦穴。深さは10M以上、直径は7M程度。
穴全体はおぞましい薄紅色の肉壁で出来ており、足や手をかけられるような凹凸は無い。脈動する肉壁がうっすらと帯びる光沢に照らされた世界は、まるで生物の体内に迷い込んでしまったような喜色悪さを観察した二人に植え付けた。
Lv..3とLv.4の二人は高所からの落下といえど問題なく水飛沫を上げながら足から着地する。
――――――――――ベルに ダメージ!
――――――――――レフィーヤに ダメージ!
「「熱っ!?」」
再び二人の声が重なる。
着地した足元、膝下までの高さまであるのはただの水ではなく、音を立てて足の装具が溶けていく。溶けていく装具の隙間から流入した液体が頑丈な第二級冒険者である二人の肌を焼いていた。
「靴が……まさかこれは溶解液ですか!?」
覚えのある溶解液にレフィーヤが顔を青ざめている横でベルが落ちてきた穴上部を見上げる。
「レフィーヤさん、上……」
震えるベルの声にレフィーヤが顔を上げると、天井の蓋の傍に異形がいた。
人を遥かに超える体躯を持つ巨大な蜘蛛の体の上に人型の上半身をくっつけた怪物が上下逆さまの姿勢で呆然としているレフィーヤを見下ろしている。
「あの足元の蜘蛛は、もしかして『アラクラトロ』?」
「『アラクラトロ』って、19階層の階層主モンスターの?」
「ええ、遠征の行き帰りで遭遇しなかったのでどこかのファミリアが倒したものと思っていましたが……」
倒されたのではなく、18階層に移動していたから
「『アラクラトロ』にあんな人型の上半身ってついてましたっけ?」
「ついているわけないでしょ!」
――――――――――アラクラトロ・
――――――――――レフィーヤは ひらりと みをかわした!
――――――――――ベルは すばやく みをかわした!
『アラクラトロ』の上部にくっついている『
――――――――――アラクラトロ・
――――――――――しかし ベルは さらりと かわした!
――――――――――レフィーヤは 糸に からめとられた!
蔦の攻撃から間断なく、今度は巨大蜘蛛の『アラクラトロ』が口から糸を吐き、敏捷値が高いベルはギリギリで躱せたが蔦を回避したばかりのレフィーヤは追従できなかった。
「くっ!? 糸がネバネバして――」
――――――――――レフィーヤは 糸がからんで うごけない!
「レフィーヤさん!」
――――――――――ベルは かえん斬りを はなった!
即座に回り込み、左手で『ソードブレイカー』を抜き放ったベルがレフィーヤを拘束していた糸を焼き切る。
「助かりました。けど、熱いですよ!」
「いや、粘着性のある糸なら、ただ斬るよりも焼き切った方が良いかと思って」
「事前に一言ぐらい言って下さい。いきなり斬りかかられたら驚きます」
「御尤もです。すみませんでした」
「謝るぐらいなら壁を傷つけてみて下さい! 敵の反応が知りたいです!」
固まっていたら標的にされるので、直ぐにレフィーヤの傍から離れたベルはそのまま壁まで移動して『ソードブレイカー』を振り被る。
「やっ!」
――――――――――ベルの こうげき!
――――――――――ミス! アラクラトロ・
「っ……! 駄目です、レフィーヤさん! 厚過ぎて壁を傷つけても効果がありません!」
「あのモンスターにも反応なし。なら、やっぱり頭上にいる敵を倒すしか……!」
肉壁に斬撃の跡が刻まれたが、『アラクラトロ・
「やっ!」
――――――――――ベルは デュアルカッターを はなった!
両手に握った『はがねのブーメラン』を左右から弧を描くように『アラクラトロ・
「そんな見え見えの攻撃では――」
「やっ!」
魔導師であるレフィーヤでも避けれるような遠回りの軌道。
レフィーヤの言葉の途中でベルは飛び上がり、遠回りの軌道を飛ぶ『はがねのブーメラン』を足場にして二度空中で軌道を変える。ベルがアラクラトロ・
――――――――――アラクラトロ・
『アラクラトロ・
――――――――――ベルは ヴァイパーファングを はなった!
――――――――――アラクラトロ・
人型部分に確かな傷を与えるも、ベルが望んだ毒効果は与えられなかった。
天井に逆さづりになっている『アラクラトロ・
――――――――――アラクラトロ・
――――――――――ベルに ダメージ!
「うっ!?」
落下途中のベルに向かって蔦が振るわれ、『ソードブレイカー』で受けるも弾き飛ばされて壁に叩きつけられ、あまりの衝撃に体がめり込んだ。
「ベルっ!? 誇り高き戦士よ、森の射手隊よ。押し寄せる略奪者を前に弓を――」
更にベルに攻撃を加えようとした『アラクラトロ・
――――――――――アラクラトロ・
他の極彩色のモンスターと同様に魔力に引かれた『アラクラトロ・
蔦ではなく『アラクラトロ』も使う範囲攻撃に、レフィーヤは詠唱を中断して回避行動に移るが彼女には範囲外に即座に移動できる足は無かった。
「きゃんっ!?」
――――――――――レフィーヤに ダメージ!
――――――――――レフィーヤの しゅび力が すこし さがった!
跳ねた溶解液が体にかかったダメージも合わさり、膝を折りたくなる衝動を抑えてレフィーヤは歯をグッと食い縛りながら耐える。
「ぐっ……『アラクラトロ』と寄生している極彩色がこうまで別で行動して来るなんて…………動けますか、ベル!」
「はい!」
壁から離脱したベルが返事をしたところで『アラクラトロ・
――――――――――アラクラトロ・
――――――――――ベルたちには きかなかった!
――――――――――アラクラトロ・
――――――――――ベルは すばやく みをかわした!
ベルの着地際を狙った蔦の一撃は、壁を蹴りつけて方向転換を行うことで躱し、時間差の二撃目からもステップだけで避け切った。
「いっそ憎らしいくらいに本当に足が速い。この速さなら敵の攻撃を避け続けられる。ベルが陽動して、隙を見つけて私が魔法を放てれば――」
『アアアァァァ――――――――――ッッッ!!!』
蔦を躱された『アラクラトロ・
――――――――――アラクラトロ・
「「ガッ!?」」
――――――――――ベルたちの からだがしびれて うごけなくなった!
(『怪音波』!? こんな桁外れっ――――立っていられない!)
手で耳を塞いでも鼓膜が破れんばかりの音の奔流に平衡感覚を掻き乱され、レフィーヤの膝がガクッと折れる。
「っ!? 逃げて!」
――――――――――アラクラトロ・
塞いだ耳ではベルの声は聞こえなかったが『アラクラトロ・
――――――――――レフィーヤは からだがしびれ うごけない!
「うっ!?」
――――――――――ベルに ダメージ!
――――――――――ベルは もうどくに おかされた!
動けないレフィーヤを庇ったベルが間に割り込んで蔦の攻撃を受け、『アラクラトロ』の特性である毒が体を侵す。
「ベル!」
『オォォォ―――』
――――――――――ベルは もうどくに おかされている!
――――――――――ベルに ダメージ!
『怪音波』で体が動かなかったのに無理に動いたのと、先の攻撃のダメージに毒も合わさってベルは溶解液に膝をついてしまった。
(ベルへの追撃はさせない! 守らなきゃ! 詠唱して、注意を私に……!)
今のベルは動ける状態ではない。駆け寄ることよりも『アラクラトロ・
「解き放つ一条の光、聖木の弓幹!」
『アァァ――――――――!!』
――――――――――アラクラトロ・
――――――――――しかし レフィーヤは さらりと かわした!
狙い通り詠唱を始めた途端、魔力に引かれた『アラクラトロ・
「汝、弓の名手なり! 狙撃せよ、妖精の射手――」
――――――――――アラクラトロ・
――――――――――レフィーヤは すばやく みをかわした!
身に着けた並行詠唱を使い、攻撃と防御は捨てて回避に専念して魔法の発動のみに全神経を集中させて避け続ける。
「――――穿てッ、必中の矢ぁ!」
後は魔法名を唱えるだけで発動できるというところで、レフィーヤの魔力の高まりが最高潮になったのを感じ取った『アラクラトロ・
『キシャアァァァァ!』
――――――――――アラクラトロ・
――――――――――アラクラトロ・
蔦で回避方向で誘導した上で、放った『アラクラトロ・
「っっ――!? しまっ!?」
自分の足では避けれないと直感してしまったレフィーヤは、迎撃か直接攻撃かの選択に一瞬迷ってしまった。
「――――おおおおおおおおおおおおおおおッ!」
「えっ!?」
――――――――――ベルたちは すばやく みをかわした!
そこへ一瞬で駆け付けたベルがレフィーヤの体を抱え上げて、『死グモのトゲ』の範囲から離脱する。
――――――――――ベルは もうどくに おかされている!
――――――――――ベルに ダメージ!
通り過ぎたばかりの背後に次々に着弾して舞い上がった溶解液に背中を焼かれながらもベルは足を止めない。
「レフィーヤさん、呪文を……! 僕じゃあ、アイツを倒せない!」
奇しくもレフィーヤをお姫様抱っこしながら駆けるベルは毒とダメージで顔色を青白くさせながら叫ぶ。
ほぼ二体いるのと変わらない攻撃速度を持つ『アラクラトロ・
もしもこの場にいるのが自分ではなくアルスならば、一撃必殺の技能や豊富な魔法で『アラクラトロ・
この状況を覆すには、レフィーヤの魔法しかないと賭ける。
「…………分かりました。このまま私の足になって下さい。私の命をあなたに預けます」
「任せて下さい。足には自信がありますから!」
「――――行きます」
引き攣った笑顔で請け負って見せたベルにレフィーヤも覚悟を決めた。
「解き放つ一条の光、聖木の弓幹。汝、弓の名手なり」
『キシャアァァァァ!』
「ふッ!」
――――――――――アラクラトロ・
――――――――――ベルたちは ひらりと みをかわした!
どれだけ揺れようがレフィーヤは魔法の発動のみに集中する。
この一射に全魔力を注ぎ込まれていると思うほどの極大の
「狙撃せよ、妖精の射手!」
攻撃と防御を捨てて回避に専念するベル、防御と回避を捨てて魔法だけに専念するレフィーヤ。敏捷と魔力という二人の長所を最大限に発揮する移動砲台に『アラクラトロ・
『アアアァァァ――――――――――ッッッ!!!』
「はああああああああああ!」
――――――――――アラクラトロ・
――――――――――ベルたちは すばやく みをかわした!
「穿て、必中の矢――」
溶解液の中に沈み込ませて足元を狙った蔦を飛んで躱したベルが『アラクラトロ・
ベルの腕の中でレフィーヤは両手に持つ『森のティアードロップ』を頭上に突き出す。
「――――アルクス・レイ!」
――――――――――レフィーヤは アルクス・レイを となえた!
放たれた単射魔法の山吹色の砲撃は、攻撃に集中し切っていた『アラクラトロ・
魔法耐性を有しているのか、ジリジリと『アルクス・レイ』にその体を焼かれながらも『アラクラトロ・
(受け止めた!? 関係ないっ、このまま押し切る!!)
『キシャアァァァァ!』
魔力が込められ、砲撃が更に太くなり『アラクラトロ・
「……!? 壁が迫って……! 縦穴ごと自壊させて、押し潰す気か!?」
レフィーヤの足場として彼女を支えていたベルが肉壁が隆起して迫ってくるのを見た。
「このっ、負けてやるっ、もんですかぁああああああああああああああ!」
魔法に集中していたレフィーヤはベルの叫びに、赤熱している頭で思考せず限界を超えた。限度を超える魔力に砲撃が膨れ上がって『アラクラトロ・
天井で足場となっていた『アラクラトロ』は敏感に致死の気配を感じ取って、砲撃の勢いに押されながらも体を無理矢理に動かした。
『――――――ォオオオオオオオオオオオ!?』
ブチブチとに植え込まれていた根を千切りながら『アラクラトロ』だけが離脱した直後、足場を失った『
『
――――――――――アラクラトロ・
――――――――――
「胴体部分を切り離した!?」
無理に『
「きゃあっ!?」
――――――――――ベルたちに ダメージ!
――――――――――ベルに ダメージ!
――――――――――ベルは もうどくに おかされている!
舞い上がった溶解液に体を焼かれながら、ベルとレフィーヤは何本か砲撃を避け切れずに失った脚で立ち上がった『アラクラトロ』と対峙する。
『キシャアァァァァ!』
『
「まだ動けますか、ベル?」
「あの『アラクラトロ』を倒すまでは、死んでも動き続けてみせますよ」
「縁起でもないことを言わないで下さい…………ですが、頼りにしています」
ベルに下ろしてもらいながら、レフィーヤは大きく深呼吸をして現状を把握する。
「頭上を抑えていた敵の優位性は無くなりました。新種は倒せたとしても、『アラクラトロ』はやる気です。通常ならば私達のLv.なら負ける相手ではありませんが」
「こっちもダメージを負っていて、僕は毒を受けている」
「長引くとこちらが不利になるばかりです。次の一撃で決着を付けましょう」
「ええ、僕が前衛で『アラクラトロ』の攻撃を引き付けます。特大の一発を――」
お願いします、とベルの言葉を遮るように天井から爆発音が鳴り響いた。
レフィーヤが頭上を見上げると、砲撃で開いた天井の穴が大きく抉れていた。『アラクラトロ』もまた爆発音に一瞬だけ気を取られた中で、ベルだけが次の一手を打った。
「ジバリカ!」
――――――――――ベルは ジバリカを となえた!
――――――――――アラクラトロの周りに ジバリカを しかけた!
「リル・ラファーガ」
刹那、『アラクラトロ』は何かを感じ取ったかのように脚を動かしてその場から動こうとした。
――――――――――ベルの ジバリカが 発動!
『アラクラトロ』の進行を遮るかのように巨大な岩が溶解液の底から突き上がり、体がぶつかってしまったことで回避のチャンスを失ってしまった。
――――――――――アイズは リル・ラファーガを はなった!
閃光の如く神速の勢いで頭上から天井の穴を通り、一直線に『アラクラトロ』の中心に銀の剣突が突き刺さる。
――――――――――かいしんの いちげき!
――――――――――アラクラトロに ダメージ!
――――――――――アラクラトロを たおした!
――――――――――アルスたちは 6000ポイントの経験値を かくとく!
『アラクラトロ』の魔石を貫いた風の螺旋矢の勢いは凄まじかった。
大蜘蛛の肉体を魔石ごと木端微塵に四散させるだけに留まらず、その衝撃波は溶解液ごとレフィーヤ達を残っていた天井のカケラを吹き飛ばして天空高くに巻き上げた。
「へ?」
レフィーヤは気が付いたら目の前に階層の天井にあるクリスタルがあって、口から恍けた声が出た。
『アラクラトロ』と相対していたはずが突然の変化についていけず、階層の天井近くまで巻き上げられたレフィーヤの体が重力に従って落下していく。そこへ『アラクラトロ』撃破後、一人穴の底に残る形になったアイズが急いで『
「大丈夫、レフィーヤ?」
「はひぃ」
憧れの人にお姫様抱っこをされたレフィーヤの言語野が壊れた。
二人がゆっくりと地上に降りている頃、穴を開ける為に『
「助けに来てくれたのは嬉しいけど、アルスも僕を受け止めるポーズぐらいは見せてくれない?」
→必要か?
男をお姫様抱っこする趣味はない!
「まさか。ただ、言ってみただけだよ。『上どくけし草』くれない? 毒を食らっちゃって」
――――――――――アルスは 上どくけし草を つかった!
――――――――――ベルの からだにまわっている どくがきえた!
「ベホマ」
――――――――――アルスは ベホマを となえた!
――――――――――ベルの キズが かいふくした!
「ありがとう。助かるよ」
きちんと回復までしてくれたアルスに礼を言ってからベルはその場にゴロンと寝転んだ。
「つっかれたぁ――!」
精神疲労までは回復魔法でも癒せないので、降りてくるレフィーヤとアイズを見上げながら後はアルスに任せてベルは寝ることにした。
レフィーヤがアルスから回復魔法を受けている頃、水晶に隠れて移動してその場から急速に離れている二人組がいた。
「まさか、『アラクラトロ・
十分に距離を取ったところで二人組の内の一人が呟きを漏らした。
第一級冒険者であろうとも、流石に気配も声も感じ取れない距離を取れた安心感から漏れた言葉だった。
「相手はあのロキファミリアの剣姫だ。『アラクラトロ』に『
「あの場所を知られるのはマズい。
地面から上がった砲撃、直後に上空に上がった剣姫の姿を遠くから目にした二人は即座に退避を選んだが、
「足止めにしかならんだろう。このまま我らの存在に気づかれる前に撤退する。なに、仮に『扉』を見つけても『鍵』が無ければ開かん」
もう一人の提案は寧ろ悪手であると判断して、その理由を告げながらこの階層から離れようとしたところで、彼ら以外の第三者が茂みを踏む音に足が止まる。
「――――――――――不穏な騒ぎに駆けつけてみれば、予想外の者達を見つけてしまった。その装束、それに自決用の装備…………闇派閥の生き残りか」
ベルに泣かされた後、様子を見に野営地に戻ったところ彼らが戻ってきていないと確認して探し回っていたリュー・リオンは冷然とした声を発しながら二人組を見据える。
「邪神に与する者達は必ず滅ぼす」
携えた一刀の小太刀が振り鳴らされ、二人組の末路は碌なものにはならなかった。
東端の騒ぎなど知ったことではないリヴィラの街にある数少ない酒場で一人の冒険者が管を巻いていた。
「くそがっ、面白くねぇ!」
額や頬に傷を持ち、見るからにいかついゴロツキの風貌のモルド・ラトローは飲み干した杯をダンジョン製の木材で作られたテーブルに叩きつける。
「けっ、ヘスティアファミリアの奴ら、あっさりと
「モルド、飲み過ぎだぞ」
仲間であるガイル・インディアが諫める言葉に、モルドは火に油を注がれたようにキッと目つきを鋭くする。
「飲まなきゃやってられねぇんだよ! 舐められた態度を取られて我慢できるかってんだ!」
「面白くなくたって、アイツらはあのロキファミリアともつるんでるんだ。俺達じゃあ、どうしようもないって」
長いことオラリオで冒険者をやっていれば強い派閥との関りが強みになる。
これまた仲間のスコット・オールズが言うように、気にしても仕方ないということは頭では分かっていても感情が受け入れられなかった。
「俺だって分かってらぁ! チッ、絶好の機会さえあれば焼きを入れてやるものを……」
結局、こうやって不満をぶちまけることでストレスを発散させているとモルドの性格を理解していたガイルとスコットは肩を竦め合う。
処置なしとぶつぶつと一人で、せめて一人だけでも誘き出せればと訪れるはずもない絶好の機会のシチュエーションを思索しているモルドに近づく気配に気づいた。
「その機会、与えてやろうか?」
「なっ、神ヘルメス!?」
オラリオでも胡散臭さでは随一と噂されているヘルメスの登場に、ダンジョンでは目にしたことのない神に思索に耽っていたモルドも驚愕も露わにする。
そんなモルドに歩み寄ったヘルメスは、努めて感情を消して背後に付き従っていたアスフィ・アル・アンドロメダからとある物を受け取る。
「
テーブルに置かれた三つの漆黒の兜に目を奪われている三人に向かって話すヘルメスの口は三日月に歪んでいた。
ドラクエ11とソードオラトリアのモンスターを合体させるという暴挙。その名は『アラクラトロ・
詳細は作中にて。