ダンまち×ドラクエ   作:スターゲイザー

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第6話 アルスの こうげき!

 

 

 

 

 

 教会前の一騒動後、ベル達は装備を整えてダンジョンに向かった。

 途中で豊穣の女主人によって先日の醜態を謝罪して、サポーターを加えての即席のパーティーで反省を踏まえて、まずは3階層でベル・クラネルは自らの変化したステータスを試すことにした。

 

「やっ!」

 

――――――――――ベルの こうげき!

――――――――――まもののむれに ダメージ!

 

「イオ」

 

――――――――――アルスは イオを となえた!

――――――――――まもののむれに ダメージ!

――――――――――リリパットを たおした!

――――――――――ベビーパンサーを たおした!

――――――――――おばけきのこを たおした!

――――――――――きりかぶおばけを たおした!

――――――――――びっくりサタンを たおした!

 

「……っ!」

 

――――――――――リリルカは たたかいのゆくえを 見守っている

 

「やっ!」

 

――――――――――ベルの こうげき!

――――――――――キラーパンサーに ダメージ!

 

「はっ!」

 

――――――――――アルスの こうげき!

――――――――――キラーパンサーに ダメージ!

――――――――――キラーパンサーを たおした!

――――――――――まもののむれを やっつけた!

――――――――――アルスたちは 159ポイントの経験値を かくとく!

――――――――――まもののむれは 魔石を 落としていった!

――――――――――リリパットは 皮のぼうしを 落としていった!

――――――――――ベビーパンサーは けものの皮を 落としていった!

――――――――――おばけきのこは めざめの花を 落としていった!

――――――――――きりかぶおばけは きれいな枝を 落としていった!

――――――――――キラーパンサーは まじゅうの皮を 落としていった!

 

 直近のモンスター達を倒し、ダンジョンが直ぐにモンスターを産み出したり、見えない位置から迫ってきている様子もない。

 

「ふぅ、しっくりとする感覚はあったけど、やっぱりブーメランだと攻撃力が弱いなぁ」

 

 一息つきながらも完全には警戒を解かない。

 ブーメランは射程が広く、全体攻撃が出来るのは利点ではあるが単純な攻撃力で比較すると、アルス・クラネルの大剣どころかベルの持つ短剣にも及ばない。

 

「リリとしては、アルス様の魔法にベル様が驚いていないことが驚きです」

「ああ、初めて見た時は僕も驚いたけど人間って慣れるものだから」

「慣れるものなんでしょうか……?」

「嫌でもね」

 

 言いつつも、リリルカ・アーデはモンスター達が落としていった魔石やドロップアイテムを手際良く回収して、背負ったバックパックに次々と入れていく。

 モンスターへの警戒はアルス達が行っているとはいえ、その手際の良さは流石は本職(サポーター)だとベルは感心せずにはいられない。

 

「にしても、まだお二人は冒険者になって二週間なんですよね?」

「うん、正確には今日で16日目だったかな」

 

 魔石やドロップアイテムを回収し終え、バックパックを背負い直したリリルカがなんともいえない顔でベルを見る。

 

「数日は誤差の範囲ですが、少なくともそんな短期間でこの階層の殆どのモンスターを一掃できる魔法を、魔導士でない者が使えるなんてのは生まれた時からオラリオにいるリリでも聞いたことがないです」

「やっぱり?」

「ええ、しかも実質的な3階層の主であるキラーパンサーを、いとも簡単に倒す駆け出しも、です」

 

 行き掛けの駄賃とばかりに、1階層や2階層のモンスターを鎧袖一触とばかりに薙ぎ払うアルスの姿を見ているだけに、多くの冒険者を見てきたリリルカにはベル達がかなり特異に映っていた。

 

「キラーパンサーは単体のレベルとしては、中層にいてもおかしくありません」

「そうなの!?」

「攻撃力や防御力は上層相応ですけど、耐久力というか生命力がずば抜けているんです。経験の浅い冒険者が戦って倒し切れずにやられてしまったりすることが良くあります」

 

 ギルドでも熟練冒険者がパーティーにいない時は退避を推奨しています、とリリルカに纏められてベルはちゃんとエイナの授業は受けようと心に決めた。

 

「でも、逃げたら追ってきたりはしないの?」

「基本的にキラーパンサーは子供のベビーパンサーと一緒に行動していますから、攻撃性はそこまで高くありません。下手に刺激さえ与えなければ大人しいものですよ」

 

 今までのベルの経験ではモンスターはこちらが逃げれば追ってくることも多く、キラーパンサーのように明らかに足が速そうなモンスター相手に逃げ切れるように思えなかったが、しっかりと理由があったらしい。

 

「良く知っているね、リリ」

 

 勉強不足を実感し、自分が出来ないこと知らないことを出来たり知っている人をベルは素直に称賛する。

 

「小さいころからサポーターをしていますから知識だけは一人前ですが、何をやっても鈍くさくて同じファミリアの方々にも愛想をつかれてしまったのです。そこで別ファミリアのパーティーに入れてもらおうと、ギルドに行ったらアルス様と出会ったのです」

 

 その話は最初に教会で会った時も聞いていた。

 

「それだけの知識があったら十分な助けになると思うけど」

「普通は駆け出しの冒険者は同じファミリアの熟練冒険者から手解きを受けますから、リリ程度の知識はある程度冒険者をしていたら自然と身についていくものなのです」

「やっぱり駆け出しだけで、パーティーを組むことなんてないもんね」

 

 設立したてのファミリアも好条件で他のファミリアの熟練冒険者を引き抜いたりして、駆け出しだけの冒険者で冒険を始めることはまずないとエイナから聞かされていた。いたとしても、主神の伝手で他のファミリアの冒険者パーティーと同行したりして、駆け出し冒険者だけでは長生きはしないと懇々と説明を受けたことがある。

 

「ファミリアに居場所が無くて、安い宿屋を転々としていて資金が心許ないのです。こんなに小さいですから腕っぷしもからっきしですが、ベル様たちに足りない知識面をお助けできると思いますので、今日一日と言わずにパーティーに入れて頂けると嬉しいです」

 

 アルスの力があるから大して苦戦していないが、生き死にに関わる知識を持つリリルカの存在は、以前から欲していたサポーターの役目も合わさってベルの目にはとても魅力的に映る。

 

「リリはソーマ・ファミリア、なんだよね?」

「はい、ですがソーマ様は他の神様達のことに未来永劫無関心なので、敵になるとかならないとか以前の問題です。そちらの神様がソーマ様を目の敵にしない限り、ファミリアの間で争いが勃発することはまずないと思います」

 

 訝しんでいるベルをファミリア間の問題になるのではと勘違いしたのか、先回りして問題になることはないと説明するリリ。

 

「ええっと、教会でも言ったと思うけど、僕達に他派閥のサポーターを継続的に雇うお金は」

「ダンジョンでの収入の何割かを分ける形でいいですよ? リリは3割も恵んでもらえると、飛び上がってしまうほど嬉しいです」

「えっ、それだけでいいの?」

「はいっ!」

 

 他ファミリアのサポーターを雇うとなると契約金とか事前金だとか、色々と考えていたベルは右手を上げるリリルカに断る理由を探す方が難しくなっていた。

 

(うーん、あまり金にがめつい感じはしないけど、先入観を持ちすぎかなぁ……)

 

 ソーマ・ファミリアはお金に執着しているのだと思い込んでいたが、リリからはそんな様子は窺えない。

 条件としては悪くないので前向きに捉えようと顔を上げると、さっきまでそこにいたはずのアルスの姿がない。

 

「あっ、アルスがいない!?」

「え? あ、あっちに下の階層に降りる階段が――」

「あいつ、人が喋っている間に勝手に行ったなっ! 神様から一人で行動するなって言われてるのに……………追うよ、リリ!!」

「は、はいっ!」

 

 双子の弟の行動原理をベルは良く知っている。暇になると突飛な行動を良く取ることがあるので、一人で下の階層に降りた可能性が高いと見たベルはリリを急かして階段を降りて行った。

 リリの速度に合わせて下の4階層に降りたベルは、既に戦闘に入っているアルスを見つけた。

 

――――――――――まもののむれが あらわれた!

 

「はっ!」

 

――――――――――アルスの こうげき!

――――――――――ビッグハットに ダメージ!

――――――――――ビッグハットを たおした!

 

 アルスが攻撃している間にベルはクロスブーメランを背中の固定具に止め、剣帯に差していたブロンズナイフを抜き放つ。

 

「やっ!」

 

――――――――――ベルの こうげき!

――――――――――リップスに ダメージ!

――――――――――リップスを たおした!

 

「……っ!」

 

――――――――――リリルカは たたかいのゆくえを 見守っている

――――――――――おにびドングリは 逃げ出した!

――――――――――まもののむれを やっつけた!

――――――――――アルスたちは 24ポイントの経験値を かくとく!

――――――――――まもののむれは 魔石を 落としていった!

――――――――――ビッグハットは けものの皮を 落としていった!

――――――――――リップスは まんげつそうを 落としていった!

 

「――――こら、アルス! 勝手に行動したら駄目じゃないか!」

 

 戦闘終了を確認したベルは、リリルカよりも先に魔石やドロップアイテムを拾ってるアルスを説教する。

 

「――」

「一声かけたって? 相手が聞こえてなかったからって了承した内には入らないんだよ」

「――」

「いや、僕も単独行動した前科があるから強くは言えないけどさ」

「あの、ベル様」

「間違いはちゃんと反省して、次からはしないように改めないと成長できないってお爺ちゃんも――」

「ベル様!」

「うわっ!? な、なにリリ?」

 

 アルスに対して注意をしながらも、自分も改善していかないなと内心で考えていてリリルカの呼び声に反応するのに遅れた。近くからの大声に驚いて飛び上がって振り返る。

 

「次のモンスター達が来てます」

「え?」

 

――――――――――まもののむれが あらわれた!

 

「メソコボルトの群れとバブルスライム…………後者には注意して下さい。バブルスライムは全身毒まみれです!」

「スライム!?」

 

 現れた二体のモンスターの内、最弱モンスターであるスライムの同系統であるバブルスライムは主に相手を毒状態にする攻撃を得意とするので注意を促したリリルカだったが、なぜかベルは目を輝かせていた。

 

(これはスキルを試すチャンス!)

 

 ステータス表記がアルスと同じになってから生まれたスキルは、名称からしてスライムに対する特攻効果を持つ。

 ブロンズナイフを剣帯に戻し、再びクロスブーメランを手にする。

 

「アルスはメソコボルトを!」

 

 指示すると頷いたアルスはどうの大剣を持ってメソコボルトの群れに突っ込んだ。

 

「――――はっ!」

 

――――――――――アルスは、剣を ぶんまわした!

――――――――――メソコボルトたちに ダメージ!

――――――――――メソコボルトたちを たおした!

 

「僕も――――スライムブロウ!」

 

――――――――――ベルの こうげき!

――――――――――バブルスライムに ダメージ!

――――――――――バブルスライムを たおした!

――――――――――まもののむれを やっつけた!

――――――――――アルスたちは 65ポイントの経験値を かくとく!

――――――――――まもののむれは 魔石を 落としていった!

――――――――――メソコボルトAは ブルーアイを 落としていった!

――――――――――バブルスライムは スライムゼリーを 落としていった!

 

 戻ってきたクロスブーメランを掴み、一撃でバブルスライムを倒せたことにベルは感動していた。

 

「おぉ、流石はスライム特攻スキル。ブーメランなのに一撃で倒せた」

 

 新しい技能の使い勝手にベルが一人満足していると、魔石とドロップアイテムを回収し終えたリリルカが近づいてきたので口を噤む。

 

「お疲れ様です、ベル様、アルス様」

「リリもありがとう。お蔭で助かってるよ」

 

 魔石とドロップアイテムを拾う手間と、バックパックに物が少ないので動きやすいので『すばやさ』が持ち味のベルとしてはとても助かっていた。

 

「いいえ、リリにはこれぐらいしか出来ませんから」

 

 卑下が過ぎるのではないかと伝えようかとも思ったが、他ファミリア所属のリリルカにベルがそこまで口を出していいものかと悩む。

 

「そろそろ地上に戻りませんか? 魔石とドロップアイテムも十分に溜まりましたし」

「…………そうだね。そうしようか」

 

 冒険者は冒険してはならない。帰り道の戦闘も考慮しないといけないので、安全マージンを取るのならば余裕がある内に帰還することにした。

 4階層から1階層まで、来た道を辿って遭遇(エンカウント)するモンスター達を倒しながら地上を目指す。

 

「リリ、今日は神様が帰ってくるのが遅いらしいから、僕達は豊穣の女主人で食事を取るつもりだけど一緒にどう?」

 

 親交を深めるには、もっと互いに接する時間が必要だと考えて提案する。

 

「すみません、今日は用事があって…………でもでも、また誘っていただけますか?」

「うん、その時はよろしく」

 

 予定があるなら仕方ないと諦め、ふとヘスティアが遅くなると言っていた時のことを思い出す。

 

「神様が言っていた、友人の開くパーティーって神様関係のやつなのかな」

「恐らく『神の宴』と呼ばれる、神達が集まる会合のようなものに参加されるのだと思いますよ」

「へぇ、そんなのがあるんだ」

「『神の宴』は不定期開催ですが、三か月に一度開催される『神会(デナトゥス)』などもありますね」

「あ、それは知ってる。ランクアップした冒険者に二つ名が付けられるんだよね」

 

 僕がランクアップしたらどんな二つ名が付けられるんだろうとベルが想像を膨らませている間に、『始まりの道』と呼ばれる1階層の大通路を進み終えていた。

 ここからは安全地帯なので張り詰めていた緊張を解いた瞬間だった。

 

「道を開けてくれい!」

 

 後ろから響いた大声に驚きながら言われた通りに壁際に移動すると、底面に車輪が付けられた巨大なカーゴの周りを固めた複数の冒険者と共に通り過ぎていく。

 

(いっ!?)

 

丁度、ベル達の前を通る際にカーゴが一人でに動いた。

 

「あれってモンスターだよね?」

「ええ、あのエンブレムはガネーシャ・ファミリアのものなので、怪物祭(モンスターフィリア)の為に捕獲したんだと思います」

怪物祭(モンスターフィリア)?」

 

 聞き覚えのない単語にベルが首を捻る。

 

「ギルドが企画して、ガネーシャ・ファミリアが観客の前で闘技場を一日中使ってモンスターを調教する祭典です。闘技場に繋がる東のメインストリートが混雑するぐらい盛り上がるんですよ」

「へぇ、そうなんだ。あ、じゃあ、リリも僕達と一緒に怪物祭(モンスターフィリア)に一緒に行かない?」

「…………一度、ファミリアでの予定を確認してみます。返事はそれからでもいいですか?」

「うん、待ってる」

 

 リリルカから怪物祭(モンスターフィリア)に同行すると返事があったのは翌日のことだった。

 

 

 

 

 







【ベル・クラネル Lv.1(レベル3→6)
 HP:34→48
 MP;10→21
 ちから:13→20
 みのまもり:8→11
 すばやさ:15→28
 きようさ:15→23
 こうげき魔力:11→20
 かいふく魔力:0→0
 みりょく:4→22
《魔法》
《技能》
 【スリープダガー】  ・敵1体に攻撃、たまに眠らせる
 【かえん斬り】     ・武器に炎を纏わせることが出来る
《スキル》

 【スライムブロウ】  ・スライム種に対して投擲武器効果強化
 【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)】  ・■■■■■■■■■■■■■■■
《次のレベルまで:258》 】


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