ダンまち×ドラクエ   作:スターゲイザー

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第61話 あ、死ぬ

 

 

 

 

 

 『漆黒のゴライアス』との戦いが圧倒的不利な消耗戦に移り始めた頃、リリルカ・アーデの目は勝機を求めて自らの『せいれいの杖』を見る。

 

「リリの『技能』に『暴走魔法陣』というものがあります。この『技能』の説明には、魔法が暴走しやすくなる魔法陣を作るとあります」

 

 不利を覆すと豪語しておいて、『暴走』という不穏なワードが出てきたことに、リリルカの護衛役として『漆黒のゴライアス』や他のモンスターを警戒しながら聞いていたダフネ・ラウロスは眉を顰める。

 

「暴走って、威力が高くなったとしても代わりに魔力暴発(イグニス・ファトゥス)が起こる危険があるとかそういうこと?」

「そういうことは起こらないと思います。恐らく、意図的に魔法のリミッターを外して真の力を引き出すという解釈で良いかと」

 

 良く分からない解釈だったが取り敢えず納得したダフネ。

 

「その『暴走魔法陣』を魔導師達に使うんだよね」

 

 一つの場所に纏まっていては『漆黒のゴライアス』に狙い撃ちにされるので、バラバラに散らばっている魔導士達にその『暴走魔法陣』は作れるのかと疑念はあった。

 

「あれだけ狙われては、砲撃を放てるかは未知数です。ここはたった一人に賭けるべきです。アルス様!」

 

 最前線で『漆黒のゴライアス』や他のモンスター達の相手をしていたアルスを呼び寄せる。

 

「はっ!」

 

――――――――――アルスは フリーズブレードを はなった!

――――――――――ダンスニードルたちを たおした!

 

 呼ばれたアルスは近くにいた『ダンスニードル』達を一掃して、一足飛びにリリルカの元へとやってきた。

 

「アルスじゃなくて、魔法の威力を上げるならリリルカ自身にその『暴走魔法陣』を使うべきじゃないの?」

「リリは『暴走魔法陣』の発動に集中するので、パーティー内でリリの次に攻撃魔法が強いアルス様に託します」

 

 こうしている今も広域殲滅力に優れたアルスを下げた影響で前線の消耗は加速度的に増している。

 

「この策には確実性がありません。確実性を高めはしますが下手な希望を作りたくはありません」

 

 ギュッ、と『せいれいの杖』を両手で強く握ったリリルカに自信の色は無かった。しかし、迷いはない。そう確信できる目をしていた。その覚悟を決めた目にダフネも決断をする。アルスもだ。

 

「悠長に喋っている時間はありません。早速行きます、アルス様!」

 

――――――――――リリルカは 暴走魔法陣を つくりだした!

 

 リリルカが『せいれいの杖』を地面に突き立てると、足元を中心とした数mに薄紫色の光を発する巨大な魔法陣が展開される。

 

「更に!」

 

 『せいれいの杖』から右手上げ、頭上数mにも足元に広がる魔法陣と同じ物を作り出し、二重の『暴走魔法陣』を展開して魔力を込める。

 

――――――――――リリルカは 暴走魔法陣を かさねがけして 超暴走魔法陣を つくりだした!

――――――――――アルスの 呪文ぼうそう率が 超アップした!

 

「――――ミナデイン」

 

 展開された『超暴走魔法陣』の中心で全身を照らされながら、自身最大威力の魔法『電撃魔法(ライデイン)』を使おうとしたアルスは習得していないはずの魔法名を口にした。すると、アルスの足元から金色に輝く魔法陣が伸びていき、リリルカが展開する『超暴走魔法陣』と繋がって広がっていく。

 『超暴走魔法陣(リリルカ)』と『ミナデイン(アルス)』の魔法陣が混じり合い、光の線が伸びてベル、ヴェルフと続き、カサンドラへと繋がった。しかし、カサンドラから伸びた線はダフネの前で止まってしまう。

 

「…………なんで、ファミリアの中でウチだけ――」

 

 アルスとリリルカから発せられた魔法陣は発展アビリティの魔導による魔法円とは違う。意味不明の物ではあるがファミリア内で自分にだけ展開されない魔法陣にダフネは言葉を失ってしまう。その様子にリリルカも何故なのかは分からなかったが、それでもここまできたら止まるわけにはいかない。

 

「ダフネちゃん、信じて」

 

 カサンドラが近づいても魔法陣はダフネには伸びない。

 

「信じるって、何をさ」

「戸惑うかもしれない。逃げたいと思っても、なにもおかしくない。それでも止まっちゃダメ。私達は雷に導かれて進み続けるしかないの」

「訳の分からないことを言わないで!」

 

 カサンドラが何を根拠として言葉を発しているのかを察してダフネは伸ばされた手を振り払う。

 

『黒が迫る。近づくことなかれ、戸惑うことなかれ、止まることなかれ、逃げることなかれ。心せよ、雷に導かれ、進み続ける他なし』

 

 悲劇の預言者(カサンドラ)がダンジョンに潜る前にダフネに語った『予知夢(法螺話)』。

 あまりに要領を得ない言葉の羅列。否定されるのは、神ですら理解不能の『スキル』『謳え悲劇世界の女王(ファイブ・ディメンション・トロイア)』によって定められた末路。

 

「あんな階層主に勝てるわけがない! 戦うことよりもこの階層から逃げることに全力を注いだ方が良い。アルス達の力なら、それが出来るはずよ!」

 

 ダフネには勝算のある勝負には思えなかった。攻勢に出るよりも18階層からの退避の方が望みが高い。

 

「――――仮に」

 

 勇気を出しても誰も信じてくれない。それどころか疑念の眼差しを持って否定されるが常だった。だからこそ、カサンドラは切り口を変えた。

 相手の反論を放つ意気を挫くやり口。悪戯などをした時に開き直ったようなアルスの言葉選びを思い出す。

 

「この階層から抜け出せたとしても、あのゴライアスから逃げられるの? モンスターが生まれない安全階層(セーフティポイント)に出現したんだよ。どんな異常事態(イレギュラー)だって起こりうるかもしれない」

「そ、それは……」

 

 今までにないカサンドラの理詰めの言葉が正しいからこそ、ダフネは二の句が告げない。

 

「聞いて、ダフネちゃん」

 

 空いていた距離を詰め、カサンドラがダフネの両肩を掴み、真正面から顔を突き合わせる。

 

「『予知夢(ゆめ)』を口にする私を信じなくていい。だけど、今も戦っている仲間(みんな)は信じて!」

 

 カサンドラから放たれた言葉にダフネは目を大きく見開く。

 戦っているベルに、ヴェルフに、魔法陣に集中しているアルスやリリルカを見つめる。

 彼らは、皆必死に戦っていた。『漆黒のゴライアス』や他のモンスターを相手に一歩も引くことなく勇敢に戦っているのだ。それを客観的に見た時、ダフネの背中の恩恵(ファルナ)の中でドクンと何かが脈動する。

 

「…………ウチはアンタの『夢』なんか信じない」

 

 ダフネがカサンドラの目を真っ直ぐに見据えて答える。

 

「ウチが信じるのは、仲間なんだから! アンタもその一人よ、カサンドラ!」

 

 その言葉が放たれた直後、カサンドラから伸びた魔法陣の線がダフネに繋がり、ダフネから次々に戦う他の者達へと繋がっていく。

 魔法陣の線は次々と繋がっていき、『漆黒のゴライアス』が猛り狂う中央地帯から離れた森の方にも伸びていった。

 

「くそっ、すげえ量のモンスターだ!」

 

 主戦場へ向かうモンスターの足止めを任された冒険者達は一向に終わりの見えない戦いに戦意を失いかけていた。もしも誰かが退避を口をし、行動に移れば一斉に先に逃げた者に習うほどに。

 

「倒しても倒しても湧いて出てきやがる。このままじゃあ、キリがねぇぞ!」

「逃げるしかねぇよ! 森の中ならまだ――」

 

 遂に持ち場を離れて逃げようとした冒険者の一人の装備の首後ろをモルド・ラトローが掴む。

 

「逃げるなぁ! テメェらぁあああッ!!」

 

 そのまま逃げるのを許さず、力尽くでモンスターの方へと投げた。

 投げられた冒険者もLv.2以上、驚きながらも持っていた武器を『タップデビル』に突き刺して着地する。

 

「はぁ!? 何言ってんだモルド!」

「あの階層主は俺達の手に負える相手じゃねぇ! 残ってどうするって言うんだ!」

「それでも戦うんだよ!」

 

 モルドの突然の行動に他の冒険者達が困惑する。しかし、彼の目にも今にも逃げたいという怯えがあった。

 

「俺達は英雄に慣れねぇ端役(モブ)だ。英雄になるアイツら(ヘスティアファミリア)と違って、俺達は誰にも見向きもされずに死んでいくんだろうさ。けどな、端役(モブ)には端役(モブ)なりの、ケチな誇り(プライド)ってものがあるんだよ!」

 

 逃げたい思いを抑えつけながら、向かってきた『メイジドラキー』に向かって戦斧を振るう。

 既にダメージを負っていた『メイジドラキー』が魔石と化して地面に落ちても頓着せず、次のモンスターへと斬りかかる。

 

「俺は逃げねぇ。絶対に逃げねぇぞ……」

 

 あちこちで聞こえるモンスターの怒号と悲鳴、仲間が戦闘不能になっていく音を耳に入れても、モルドは戦斧を振るう。その姿はモルド自身が口にしたケチな誇り(プライド)を守る為だとしても、周りにいる者達が感化されて逃げようとしていた者達も武器を構える

 

「アイツらが英雄になった暁には言ってやるんだ。俺達が戦ったお陰で、お前らは英雄に成れたんだって!」

『ぶほぉっ!?』

 

 想像以上にモルドの動機があまりにもくだらな過ぎて多くの冒険者が噴き出した。

 

「モルドこの野郎! 笑った所為で死にかけただろうが!」

「勿体ぶっておいて、言うことがセコいぞモルド!」

「はっ、確かにケチな誇り(プライド)だ」

 

 文句を言いながらもモンスター相手に切った張ったをする冒険者達の顔に先程までの暗い色はない。

 

「なんとでも言いやがれ!」

 

 憎まれ口を叩きながらもモルドは勇敢に戦い続ける。

 

「俺にノるか、逃げるか――――――お前ら自身で決めやがれ!」

 

 冒険者達はモルドの啖呵に雄叫びを上げた。

 

「そんなもん、決まってるだろうが!」

「ガキと小娘どもを置いて逃げるわけにはいかないもんな!」

「戦った分だけその小娘たちにサービスしてほしいぜ!」

「ボールスが逃げたら街に出入りを許してくれねぇからな!」

 

 戦い続ける理由に女子供だけ戦わせるわけにはいかないという真っ当な理由から、女や酒や金欲しさに、そして単純にカッコつけたいという欲望など、理由など何でもいいのだ。

 ただ繋がった。

 多くの主義主張がある中で、18階層に多くの者達が戦うことを選んだ。

 

「ちょっ、なんだコレは!?」

 

 アルスとリリルカから発せられ、ダフネが繋いだ魔法陣の線がモルドに繋がり、魔法陣が展開される。

 理解不能な現象にモルドが慌てている間に、魔法陣の線は次々とその場にいる冒険者達に広がっていく。諦めた者、恐怖で動けない者を除いて魔法陣は繋がった。

 

「良く分かんねぇが問題ないんなら気にしなくていいだろう!」

「物凄く気になるんだが!」

 

 移動してもしっかりと足元についてくるので空恐ろしさはあるが、多くの者にとって魔法陣が展開されても影響は殆ど無かった。まさか自身から魔法陣に微量な魔力が流れ出しているとも知らず。

 

「はっ!」

 

 アルスは集まった魔力を魔法陣から上空に打ち上げた。打ち上げられた魔力はリリルカが頭上数mに生み出した魔法陣を通過する時に大きくなり、階層の天井付近で大きく広がり、また別の内部と外殻に分かれた二重の魔法陣を作り出した。

 階層天井付近に出現した魔法陣の外殻が下がっていくと、中心に生まれた光が雷を纏い出す。

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオオ!』

 

 地上の『漆黒のゴライアス』もそのことに気が付き、直感的に光の中心がアルスと悟って周りを無視して走り出す。

 

「行かせるなぁっ!」

「今ッ!」

 

――――――――――ベルは かえん斬りを はなった!

――――――――――アスフィは 爆炸薬(バースト・オイル)を 投げた!

――――――――――漆黒のゴライアスに ダメージ!

 

 追いついたベルの炎を纏った三撃が左足に、アスフィ・アル・アンドロメダによる大容量の容器に入れられたとっておきに使う爆炸薬(バースト・オイル)が右顔面に炸裂したことによって、『漆黒のゴライアス』が蹈鞴を踏んで膝から崩れ落ちた。

 

『アアアアアアッッ!!』

 

――――――――――漆黒のゴライアスは じめんを なぐりつけた!

――――――――――全方位に おおきな しょうげきはが おしよせる!

――――――――――ベルとアスフィに ダメージ!

 

 しかし、崩れ落ちた動作を攻撃へと繋げて両腕を地面に叩きつけ、間近にいた二人を全方位衝撃波で弾き飛ばす。

 

「ベルさん!? アンドロメダ!?」

 

 両腕を地面に叩きつけた反動で体を無理矢理に起こした『漆黒のゴライアス』の疾走が再開される。

 

「今は遠き森の空。無窮の夜天に鏤む無限の星々。愚かな我が声に応じ、今一度星火の加護を。汝を見捨てし者に光の慈悲を」

 

 姿が見えなくなるほどの遠くに弾き飛ばされた仲間の心配を心の内に押し留め、『漆黒のゴライアス』に並走して攻撃を加えながらリュー・リオンは詠唱を始めた。

 

「戦闘と同時に詠唱を……!」

 

 攻撃力が足りないので攻勢には回らず、回避と囮に専念していて比較的アルス達の近くにいたヤマト・命だけがリューの『並行詠唱』に気づいた。

 

「掛けまくも畏きいかなるものも打ち破る我が武神よ、尊き天よりの導きよ。卑小のこの身に巍然たる御身の神力を」

 

 自分が辿り着くべき遥かな高みを目撃しながら、命もまた足を止めてではあるが詠唱を開始する。

 

「来れ、さすらう風、流浪の旅人。空を渡り荒野を駆け、何物よりも疾く走れ。星屑の光を宿し敵を討て――――ルミノス・ウィンド!」

 

――――――――――リューは ルミノス・ウィンドを となえた!

――――――――――漆黒のゴライアスに ダメージ!

 

 緑風を纏った無数の大光玉が『漆黒のゴライアス』が次々に被弾するも、その足は鈍ることなく光弾の弾幕を力尽くで突破する。

 

『オオオオオッ!!』

「がはっ!?」

 

――――――――――漆黒のゴライアスは 巨大なウデで はげしく なぎはらった!

――――――――――リューに ダメージ!

 

 薙ぎ払われたリューの行方を気に出来る余裕もなく、ただ一心に魔法の発動に意識を集中していた命の詠唱が完結する。

 

「救え浄化の光、破邪の刃。払え平定の太刀、征伐の霊剣。今ここに我が命において招来する。天より降り、地を統べよ。神武闘征――――フツミノタマ!」

 

――――――――――命は フツノミタマを となえた!

――――――――――漆黒のゴライアスに 重圧が おそいかかった!

 

 アルスの『覇王斬』と似たような光の大剣が『漆黒のゴライアス』の頭上に振り降り、その体を貫いて地の同心円を貫いたがダメージは無い。発動した『フツノミタマ』の効果は、同心円を中心とした重力の檻を生み出すこと。

 重力の檻はダメージを負っていた『漆黒のゴライアス』を膝を折らせ、足元の地面を陥没させる。

 

『グオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

 『漆黒のゴライアス』は雄叫びを上げ、一度は折れた膝を徐々に伸ばし、両手を前に伸ばして閉じられた檻を抉じ開けるように力を込める。

 

「ぐうぅぅぅぅぅ――っ!? 力負けしている……! 歯が立たない!?」

 

 Lv.5と想定される潜在能力(ポテンシャル)を持つ『漆黒のゴライアス』に、Lv.2の命の魔法では純粋な力足らず。

 

「うっ、ぐぅっ!? 破られます……」

 

 バンと破裂する音と共に重力の檻が開き破られ、『漆黒のゴライアス』は魔法の維持に全精力を傾けていた命目掛けて走り、腕を振り上げた。

 もしも『漆黒のゴライアス』の攻撃をまともに受ければ、命を保っていられるほどの『みのまもり』も装備もない。そのことを悟ったダフネが咄嗟に『漆黒のゴライアス』の腕との間に割り込んだ。

 

「なっ!?」

「うぐっ!?」

 

――――――――――ダフネは みをまもっている

――――――――――漆黒のゴライアスの こうげき!

――――――――――ダフネと命に ダメージ!

 

 防御姿勢を取ったダフネごと攻撃を受けた命が吹っ飛ぶ。地面を何度もバウンドして止まった命は微かに息をしていた。

 ダフネと命を殴りつけて戦闘不能にした『漆黒のゴライアス』の進行方向に、大楯『ドラゴンシールド』を構えたヴェルフ・クロッゾが回り込む。その背後には集中しているリリルカとアルスの姿。

 

――――――――――ヴェルフは みをまもっている

 

「俺が二人を守って見せる!」

 

 『たつじんのオノ』を捨て『ドラゴンシールド』で守護のみに力を注いだヴェルフに、走る勢いそのままに『漆黒のゴライアス』は大きく右腕を振り被る。

 

――――――――――漆黒のゴライアスは 巨拳の一撃を はなった!

――――――――――ヴェルフは 攻撃を盾で はじいた!

――――――――――ヴェルフに ダメージ!

 

 疾走の勢いをも攻撃に活かした一撃は『ドラゴンシールド』を構えても尚、ヴェルフの体の髄にまで衝撃とダメージを与え、足元に二本の轍を刻む。

 

「ぬぅっ!? ここは、死んでも通さねぇぞ!」

 

 威勢は良くても今のダメージで膝が揺れていた。腕を引く動作に合わせて『漆黒のゴライアス』が大きく息を吸い込んで『破滅の咆哮』を放たんとしていると理解していても、体の髄に浸透しているダメージで集中が散って『ウィル・オ・ウィスプ』が使えない。

 命と行動を共にしていたカシマ・桜花はヴェルフの様子を見て取って背後に周り、その背を支える。

 

「――――堪えろ、鍛冶師! 踏ん張って見せろぉおおおお!」

「誰に言ってやがるぅうううう!!」

 

――――――――――漆黒のゴライアスは 破滅の咆哮を はなった!

――――――――――ヴェルフと桜花は 攻撃を盾で はじいた!

――――――――――ヴェルフと桜花に ダメージ!

 

 ヴェルフごと桜花が崩れ落ちるが、攻撃に耐えきった。背後の二人には衝撃波のそよ風すら届いていない。

 やがて限界まで高まった魔力は限界を超えて暴走する。辛うじて維持できる制御の限界に到達したことを察したリリルカが叫んだ。

 

「皆さん、下がって下さい!」

 

 完成した階層天井付近の魔法陣が眩い光を放ち、魔力が高まっていくと地面の魔法陣もそれに呼応して輝きを増す。

 

「ミナデイン!」

 

 本来、『電撃魔法(ミナデイン)』は『電撃魔法(ギガデイン)』を習得していて初めて使える魔法。『電撃魔法(ライデイン)』までしか習得していないアルスでは制御が出来ない。

 

――――――――――アルスは ミナデインを となえた!

――――――――――アルスの ミナデインが ぼうそうした!

 

 階層天井付近の魔法陣から雷光が放たれる。

 端的にレベルが足りず、発動は出来たが制御出来ず標的を定められず、『電撃魔法(ミナデイン)』は魔法陣の真下に向かって落ちてくる。咄嗟にアルスは『ゾンビキラー+3』を投げ、そこに『電撃魔法(ミナデイン)』が落ちた。

 

「退避退避ぃいいいいいいいいいいいい!!」

 

 『漆黒のゴライアス』が放った『狂乱の怒号』の全方位衝撃波で弾き飛ばされたはずのベルが血塗れで叫びながら疾走する。

 アルスが大きく飛び上がり、雷光を発し続ける『ゾンビキラー+3』を掴んだところで、動けないでいるヴェルフ・桜花・リリルカを担ぎ上げて走り抜けていく。

 

「はっ!」

 

 ベルの行動を見届けたアルスは、連続で放った攻撃と蓄積したダメージで機敏に足が動かない『漆黒のゴライアス』に向かって、雷光を発し続ける『ゾンビキラー+3』を投げた。

 

――――――――――アルスは 偽・ギガバーストを はなった!

 

 迫る『ゾンビキラー+3』を払い除けようと『漆黒のゴライアス』が腕を振るい、両者が接触した瞬間、大爆発が起こった。

 

――――――――――漆黒のゴライアスに ダメージ!

 

 大爆発は『漆黒のゴライアス』を一瞬で凄まじい轟音と閃光で呑み込み、体内にある魔石を塵も残さずに消滅させても止まらない。『漆黒のゴライアス』がいた周囲十数メートルを灰燼すら残さず消滅させた。

 後に残った物は何もない。

 

――――――――――漆黒のゴライアスを たおした!

――――――――――アルスたちは 13273ポイントの経験値を かくとく!

 

 『ゾンビキラー+3』ごと消え去った『漆黒のゴライアス』の消滅を感じ取ったのか、それまで猛り狂っていたモンスターが次々に踵を返していく。

 

「モンスターが逃げていく……」

「やりやがった! やりやがったぞ、アイツら!!」

 

 森の中で今にも『よろいのきし』に殴り殺されかけていたモルドの前から逃げていくのを見て命を拾ったと実感していた頃、抱えていたヴェルフ達三人を下ろしたベルがクレーターの底に着地したアルスに駆け寄る。

 

「アルス!」

 

→よっ、生きてるか?

  なんで最初に来るのがベルなんだよ

 

「生きてるけど、右手右手!」

 

 言われたアルスは自分の右手を見た。

 見事に真っ黒だった。というか、雷光を発していた『ゾンビキラー+3』を掴んだ所為で右手が肩まで『シルバーメイル』と『やすらぎのローブ』が一瞬で燃え尽きて炭化していた。

 

「ベホマ」

 

――――――――――アルスは ベホマを となえた!

――――――――――しかし、MPが 足りず 不発!

 

 自分で『治癒魔法(ベホマ)』で治そうとするも『電撃魔法(ミナデイン)』と『偽・ギガバースト』の代償でMPが0になっていて発動しない。それどころか、レベルが足りずに両方を発動した代償とでもいうべきか、急速にHPまで減少していく。

 

→あ、倒れる

  あ、死ぬ

 

 立っていられないと実感してそう告げた直後、アルスは意識を失って倒れた。 

 

「あ、アルスゥゥゥッ!?」

「リリ助も意識が無いぞっ!!」

「カサンドラ! みんなに速く魔法を!」

 

 割と死屍累々な面々にカサンドラが大活躍したのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最初にベルとモルド達が争った一本水晶の近くで戦いの決着を見届けたヘルメスは歓喜に体を震わせていた。

 

「ああ、嗚呼! 見たぞ! このヘルメスがしかと見たぞ! 大神(ゼウス)の置き土産を!」

 

 酔い痴れるように笑い、瞳を爛々と輝かせて叫ぶ。

 

「ベルは素質が無く、素質があるアルスでも大成してもLv.3が精々だと! 馬鹿を言うな、大神(ゼウス)! 喜べ、貴方は見誤った!」

 

 今も地上のどこかにいる大神(ゼウス)に向け、彼が放った言葉が裏切られたことを言祝ぐ。

 

「二人は既にLv.4となった紛れもない本物…………流石はあの才禍の怪物(アルフィア)の甥というだけはある! 貴方(ゼウス)貴女(ヘラ)のファミリアが残した『最後の英雄(ラスト・ヒーロー)』に最も近い者達だ!」

 

 神時代で積み上げられた最高の成果の残滓。期待などされなかった者達が盤面上で突如として大きく化け、有力な駒へと成長を続けている。

 

「動く、時代が動くぞ! このオラリオの地で、時代を揺るがす何かが起きつつある!」

 

 1000年の間で一度もなかった急激な変化にヘルメスは予感が止まらない。

 

「猛者オッタル! 勇者フィン! そして剣姫アイズ! これだけの英雄の器が揃いながら、何も起きないわけがない!」

 

 全知零能たる神の直感。

 

「俺は見守るぞ! 歴史に名を刻むだろう大事を! 英雄達の行く末を! その生と死を! 親愛なる彼らが紡ぐ『眷属の物語(ファミリア・ミィス)』を!」

 

 顔を抑え、これから訪れるであろう見たことのない未来にヘルメスは笑う。

 

「フフ…………最高の見世物! 最高の娯楽! 最高の暇潰しにして、最高の興奮だ! あぁ、この地に降りてきて本当に良かった! ははっ! はっははは――――っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――ダフネは ピオラの呪文を覚えた!

――――――――――ダフネは ボミエの呪文を覚えた!

――――――――――ダフネは ピオリムの呪文を覚えた!

――――――――――ダフネは ザメハの呪文を覚えた!

――――――――――ダフネは バイシオンの呪文を覚えた!

――――――――――ダフネは リホイミの呪文を覚えた!

――――――――――ダフネは、火ふき芸を覚えた!

――――――――――ダフネは、ツッコミを覚えた!

――――――――――ダフネは、らせん打ちを覚えた!

――――――――――ダフネは、スパークショットを覚えた!

――――――――――ダフネは、スリープダガーを覚えた!

――――――――――ダフネは、愛のムチを覚えた!

――――――――――ダフネは ボミオスの呪文を覚えた!

――――――――――ダフネは バギの呪文を覚えた!

――――――――――ダフネは、レベル21に あがった!

 

――――――――――カサンドラは ホイミの呪文を覚えた!

――――――――――カサンドラは キアリーの呪文を覚えた!

――――――――――カサンドラは スカラの呪文を覚えた!

――――――――――カサンドラは マヌーサの呪文を覚えた!

――――――――――カサンドラは けもの突きを覚えた!

――――――――――カサンドラは ピオラの呪文を覚えた!

――――――――――カサンドラは バギの呪文を覚えた!

――――――――――カサンドラは 黄泉送りを覚えた!

――――――――――カサンドラは マホトーンの呪文を覚えた!

――――――――――カサンドラは ベホイミの呪文を覚えた!

――――――――――カサンドラは ピオリムの呪文を覚えた!

――――――――――カサンドラは マホカトールの呪文を覚えた!

――――――――――カサンドラは ディバインスペルの呪文を覚えた!

――――――――――カサンドラは キアリクの呪文を覚えた!

――――――――――カサンドラは、レベル21に あがった!

 

 

 

【ダフネ・ラウロス Lv.3(レベル20→21) 称号:『月桂の遁走者(ラウルス・フーガ)

 HP:179 MP:64 ちから:67 みのまもり:29 すばやさ:61 きようさ:47 こうげき魔力:53 かいふく魔力:80 みりょく:86

《魔法》

 【ラウミュール】【ピオラ】【ピオリム】【ボミエ】【ボミオス】【ザメハ】【バイシオン】【リホイミ】【バギ】

《技能》

 【火ふき芸】【ツッコミ】【らせん打ち】【スパークショット】【愛のムチ】【スリープダガー】

《発展アビリティ》

 【耐異常:I→H】

《スキル》

鉛矢受難(エリオス・バスシオン)】【月桂輪廻(ラウルス・リース)】【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)

《次のレベルまで:6596》 】

【そうび みぎて『女王のムチ』 ひだりて『ソードブレイカー』 あたま『プラチナヘッド』 からだ『プリンスコート』 アクセ1『おしゃれなベルト』 アクセ2 『ハンサムスカーフ』 】

 

【カサンドラ・イリオン Lv.3(レベル20→21) 称号:『悲観者(ミラビリス)

 HP:128 MP:99 ちから:43 みのまもり:21 すばやさ:49 きようさ:55 こうげき魔力:0 かいふく魔力:92 みりょく:60

《魔法》

 【ソールライト】【キュア・エフィアルティス】【ホイミ】【ベホイミ】【スカラ】【キアリー】【キアリク】【マヌーサ】【ピオラ】【ピオリム】【バギ】【マホトーン】【マホカトール】【ディバインスペル】

《技能》

 【けもの突き】【黄泉送り】

《発展アビリティ》

 【治療:I→H】

《スキル》

 【謳え悲劇世界の女王(ファイブ・ディメンション・トロイア)】【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)

《次のレベルまで:6910》 】

【そうび みぎて『神聖のクリスタルロッド』 あたま『ぎんのかみかざり』 からだ『プリンセスローブ』 アクセ1『あみタイつ』 アクセ2『しんごんのじゅず』 】

 

 




はい、ミナデインもギガバーストも本来ならギガデインが使えないので使えませんが特殊な状況ということで。

ダフネ・ラウロス=シルビア
カサンドラ・イリオン=セーニャ というステータスになっております。
以下、それ以外のメンバーの更新です。




――――――――――アルスは レベル36に あがった!
――――――――――アルスは ラリホーマの呪文を覚えた!
――――――――――アルスは ベギラゴンの呪文を覚えた!
――――――――――アルスは メラゾーマの呪文を覚えた!

――――――――――ベルは レベル36に あがった!
――――――――――ベルは アサシンアタックを覚えた!
――――――――――ベルは シャインスコールを覚えた!
――――――――――ベルは シャドーステップを覚えた!

――――――――――リリルカは レベル36に あがった!
――――――――――リリルカは ヘナトスの呪文を覚えた!
――――――――――リリルカは 魔力の息吹を覚えた!

――――――――――ヴェルフは レベル32に あがった!
――――――――――ヴェルフは モシャスの呪文を覚えた!
――――――――――ヴェルフは うけながしのかまえを覚えた!
――――――――――ヴェルフは まじん斬りを覚えた!
――――――――――ヴェルフは 鉄甲斬を覚えた!
――――――――――ヴェルフは すてみを覚えた!
――――――――――ヴェルフは はやぶさ斬りを覚えた!



【アルス・クラネル Lv.4(レベル35→36) 称号:『白兎の剣士(ラビット・ソード)
 HP:292(+105)→301(+105) MP:133→137 ちから:115(+22)→119(+22) みのまもり:49→50 すばやさ:111→114 きようさ:65→67 こうげき魔力:108→112 かいふく魔力:109→113 みりょく:82→85
《魔法》
 【メラ】【メラミ】【メラゾーマ】【ギラ】【ベギラマ】【ベギラゴン】【イオ】【イオラ】【ホイミ 】【ベホイミ】【ベホイム】【ベホマ】【ラリホー】【ラリホーマ】【デイン】【ライデイン】【トヘロス】【ニフラム】【ルーラ】【アストロン】
《技能》
 【かえん斬り】【はやぶさ斬り】【つるぎのまい】【ぶんまわし】【フリーズブレード】【ミラクルソード】【渾身斬り】【全身全霊斬り】【覇王斬】
《スキル》
 【二刀の心得】【メタル斬り】【ドラゴン斬り】【聖竜の祝福(ドラゴンクエスト)
《次のレベルまで:13928》】
【そうび みぎて『退魔の太刀』 ひだりて『ライトシールド』 あたま『プラチナヘッド』 からだ『やすらぎのローブ』『ゾンビメイル』 アクセ1 『ようせいの首飾り』 
アクセ2『バトルチョーカー』 】

【ベル・クラネル Lv.4(レベル35→36) 称号:『白兎の脚(ラビット・フット)
 HP:305→314 MP:92→94 ちから:106→110 みのまもり:43→44 すばやさ:134→137 きようさ:121→125 こうげき魔力:115→118 かいふく魔力:0 みりょく:124→127
《魔法》
 【ジバリア】【ジバリカ】【ジバリーナ】【ザメハ】【インパス】【リレミト】
《技能》
 【スリープダガー】【ヴァイパーファング】【バンパイアエッジ】【アサシンアタック】【かえん斬り】【ミラクルソード】【デュアルカッター】【シャインスコール】【ぬすむ】【シャドーステップ】
《スキル》
            【二刀の心得】【スライムブロウ】【メタルウィング】【パワフルスロー】【ヒュプノスハント】【タナトスハント】【メタル斬り】【ドラゴン斬り】【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)
《次のレベルまで:17113》 】
【そうび みぎて『はやぶさの剣+3』『ソードブレイカー』 ひだりて『はがねのブーメラン』 あたま『大盗賊のターバン』 からだ『プリンスコート』 アクセ1『ぬすっとのグローブ』 アクセ2『はやてのリング+1』 】

【リリルカ・アーデ Lv.4(レベル35→36) 称号:『小さな爆弾娘(リトル・ボマー)
 HP:194→201 MP:202→209 ちから:70→72 みのまもり:35→36 すばやさ:104→107 きようさ:102→105 こうげき魔力:184→188 かいふく魔力:0 みりょく:95→97 
《魔法》
 【シンダーエラ】【メラ】【メラミ】【ギラ】【ベギラマ】【ヒャド】【ヒャダルコ】【イオ】【イオラ】【ルカニ】【ルカナン】【ボミエ】【ボミオス】【マヌーハ】【メタパニ】【マホトラ】【マジックバリア】【マホトーン】【マホカンタ】【バイキルト】【ヘナトス】
《技能》
 【魔封じの杖】【しゅくふくの杖】【暴走魔法陣】【魔結界】【ぶきみなひかり】【魔力の息吹】 
《スキル》
 【縁下力持(アーテル・アシスト)】【悪魔ばらい】【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)
《次のレベルまで:23810》 】
【そうび みぎて『せいれいの杖』 あたま『マジカルハット』 からだ『プリンセスローブ』 アクセ1『まじょのてぶくろ+3』 アクセ2『破封のネックレス』 】

【ヴェルフ・クロッゾ Lv.3→4(レベル31→32) 称号:『不冷(イグニス)
 HP:328→336 MP:89→92 ちから:115→118 みのまもり:50→52 すばやさ:41→42 きようさ:50→51 こうげき魔力:0 かいふく魔力:99→103 みりょく:124→128
《魔法》
 【ウィル・オ・ウィスプ】【ホイミ】【ベホイミ】【スカラ】【モシャス】
《技能》
 【シールドアタック】【まもりのたて】【かぶと割り】【蒼天魔斬】【まじん斬り】【鉄甲斬】【無心こうげき】【すてみ】【はやぶさ斬り】
《発展アビリティ》
 【鍛冶:H→G】
《スキル》
 【魔剣血統】【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)
《次のレベルまで:-358》 】
【そうび みぎて『たつじんのオノ』 ひだりて『ドラゴンシールド』 あたま『プラチナヘッド』 からだ『やすらぎのローブ』『シルバーメイル』 アクセ1『ようせいの首飾り』 アクセ2 『命のゆびわ』 】


ヴェルフのモシャスは本作独自です。
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