突如として襲撃をかけてきたアマゾネスの集団。
敵集団の中でも一際大きい赤い色の
遠くからは時折聞こえる戦闘音の最中、襲撃者が持つ大戦斧とアイズの代剣が幾度も激突する。
「ゲゲゲゲゲゲゲゲッ、魔法が使えないのにやるねぇ!」
「っ!?」
襲撃者の仲間よりかけられた魔法封印の
直後、襲撃者が持つ大戦斧がたった今までアイズがいた地面に叩き付けられた。石畳が割れ、砕け散り、陥没する中、その衝撃は遥か遠くにある他の建物すら揺らす。
単純な力はLv.6のアイズ以上。しかし、目の前の相手がLv.6になったとは聞いたことがない。
「フリュネ・ジャミール、どうして私達を襲うの?」
短い手足と顔と胴体がずんぐりと太っており、モンスターと見間違うような特徴的な体格とその声はイシュタルファミリアに所属するフリュネ・ジャミールであると直ぐに気づかせた。
「口が利けなくなるブサイクに教える必要はないね」
そう言うフリュネの全身を光の粒が沸き上がっており、アイズの目を引いた。
「何時も気に食わないんだよ、アンタは!」
――――――――――フリュネの こうげき!
――――――――――アイズは 攻撃を武器で はじいた!
(重い!?)
Lv.5の一撃とは思えない攻撃に代剣で弾いたアイズの手に痺れが残る。
「こんなブサイクのどこがアタイより美しくて、アタイより強いっていうんだ!」
――――――――――フリュネの こうげき!
続く攻撃を受ければ痺れが残った手では受け流せず、代剣が壊れかねないと考えたアイズは回避を選んだ。
――――――――――アイズは ひらりと みをかわした!
余裕を持った回避ではなく、後少しで体を傷つけそうなほどギリギリさに改めてフリュネの今の状態のおかしさに疑問を覚える。
(この人のLv.は5のはず…………ランクアップした?)
第一級冒険者がランクアップすれば、ギルドに報告した瞬間から瞬く間にオラリオ中に噂が広がる。
アイズは数日前からメレンに滞在しているので、届く情報が遅れていても不思議ではない。しかし、Lv.6に成り立てとしても、明らかにフリュネのステイタスは先にLv.6になっているはずのアイズを凌駕している。
考えられるのはアイズがLv.6にランクアップする前に昇格していることだが、第一級冒険者のランクアップは所属ファミリアの戦力向上に直結するので隠すのは余程の理由がなければしないだろう。第一、Lv.2に昇格したばかりのアイズを襲撃するような性格のフリュネならば先にランクアップしたのならば、今まで三度襲撃され、三度目には完敗しているのだから雪辱戦を挑みに来るはず。
他に考えられるとしたら、アイズも知らない自身のステイタスを上げる
「前はちょっと油断しただけさ。魔法が使えないお前なんて糞みたいなもんだ。今日こそぶっ潰してやるよ、剣姫!」
考え込んでいる暇を与えないとばかりにフリュネが猛攻を仕掛けてくる。
「アタイは強いィ! 硬いィ! そして何より美しいィィィッ!!」
――――――――――フリュネの こうげき!
――――――――――アイズは ひらりと みをかわした!
「それに引き換えお前は弱いィ! 脆いィ! 醜いィィィッ!!」
――――――――――フリュネの こうげき!
――――――――――アイズは すばやく みをかわした!
フリュネの激しい攻撃にアイズは反撃どころか、受け流すことすら出来ない。
熟練の剣士であるアイズだからこそ相手の攻撃を全て回避することは出来ているが、今はまだ攻めに転じる暇が全く無い。この状態が続く限りはジリ貧だが、そんな状況がいつまでも続くことなどあり得ない。
「ぬぅうおおおおおおおおおっ!!」
「ッ!!」
フリュネが全身を撓め、力を溜める姿にアイズは全力で後ろに跳んだ。
「メラミ」
――――――――――アルスは メラミを となえた!
――――――――――フリュネは すばやく みをかわした!
真っ直ぐアイズに向かって踏み込んだフリュネは斜め上から飛んできた自身の身長にも匹敵しそうな火の玉を横っ飛びして回避する。
火の玉は目標を失って、石畳に着弾して轟音と共に爆散した。
「何者だいっ!?」
余波の火の粉が舞い散る中で、直ぐにフリュネが視線を向けたのはアイズの背後にある建物の屋根の上にいるアルス・クラネル。
→ヒキガエルに名乗る名などない!
カエルが人語を話してる!?
被っている『プラチナヘッド』を一度外したアルスは素顔を晒して罵倒した。
「誰がヒキガ――」
「っ!」
「ほげっ!?」
――――――――――アイズの こうげき!
――――――――――フリュネに ダメージ!
直球の罵倒に一瞬で激昂したフリュネが自分から意識が薄れたと見たアイズの速攻に、フリュネの口から汚い声が漏れた。
「デイン」
「ほげっ!?」
――――――――――アルスは デインを となえた!
――――――――――フリュネに ダメージ!
アイズの攻撃によってこれまたフリュネの意識が自分から逸れたと見るや、アルスも『
フリュネが纏っている
「ひ、卑怯だよ、お前達。不意打ちだなんて……」
代剣で本来の攻撃力を発揮できないアイズの一撃と、アルスの
「戦っている時に余所見をする方が悪い。第一、先に襲ってきたのはそっち」
正論すぎる返しにフリュネは文句も言えず、口を噤むと『プラチナヘッド』を被り直したアルスがアイズの横へと降り立った。
「みんなは?」
→襲ってきたアマゾネス達の対処をしている
勝手に来たから向こうのことは知らん
数は多くても敵はLv.2ばかりなので、敵が足止めを目的としているなら引き離されたアイズの身を案じて最大戦力であるアルスが救援に送り出された。
アイズが苦戦するほど敵の戦闘力が高いと目算して、未だ二刀を抜かないアルスはフリュネの一挙手一投足から目を離さない。
「アタイ好みの可愛い顔をしてても剣姫の味方をするんなら敵だ。まとめてぶっつぶしてやるよ!」
ダメージが完全に抜けたフリュネが石畳を踏み砕きながら突進する。
「避けて!」
――――――――――フリュネは 突撃を しかけてきた!
――――――――――アイズとアルスは すばやく みをかわした!
アイズが叫ぶ前に飛び上がったアルスは先程までいた背後の建物の屋根の上に戻った。
「っ!」
「小賢しいんだよ!」
――――――――――アイズの こうげき!
――――――――――フリュネは 攻撃を武器で はじいた!
銀の剣と双頭の大戦斧が凄まじい戦舞を繰り広げる。
Lv.6同士の戦いに未だLv.5にも至らないアルスでは入っていけない。今の実力で下手に自ら割り入ろうとすれば碌な結果にならないと悟ったアルスが左手を天に掲げる。
「ライデ――」
「かっ!」
――――――――――アイシャの こうげき!
――――――――――アルスは 攻撃を武器で はじいた!
フリュネに向かって『
「これ以上、フリュネの邪魔はさせないよ、
鍔迫り合いになった最中、目の前のアマゾネスが自分を知っている様子だったことにアルスは目を丸くする。
→誰?
うっはー! 美人だヤッホー!
「顔を隠した襲撃者が名乗ると思ってるのかい!」
それもそうだ、と頷いているアルスは片手であるにも関わらず、アマゾネス――――アイシャ・ベルカは両手で力を込めているのにピクリとも押し切れない『大朴刀・ザーガ』に驚愕していた。
(なんて力だい、コイツは!? Lv.4になったのは私よりも後のはずだろ!)
噂になっている成長促進スキルで尋常ではない成長速度だとしても、アルスがLv.4になってから一ヶ月も経っていないはず。なのに片手と両手の違いがあるのに押し切れないことから、既にアルスは自身以上の力を有していると受け入れた。
「シャーレイ!」
先程、食人花を相手に強烈な魔法を使っているのを見ているのもあり、ただでさえ不利なのに魔法まで使われてはならないと仲間の名前を叫ぶ。
自身の有利を悟りながらも、この局面で恐らく仲間の名前を呼んだであろうアイシャを見てアルスは口を開く。
「ルーラ」
――――――――――アルスは ルーラを となえた!
アルスの足元に白い光の線が浮かび、瞬く間に魔法円を描かれる。
「シャーレイ、まだか!」
アポロンとの
シャーレイが急いで詠唱を唱え終わり、祭杖を向けた時には僅かに押し返してアイシャから離れたアルスの姿は消えていた。
「ど、どこに――」
アイシャもシャーレイもアルスの姿を完全に見失った。
周囲を見渡し、もしも自分がアルスの立場ならばどこに移動するかを考えて、アイシャはゾクリと背中に冷たいモノを走らせた。
「っ!?」
ハッ、と振り返ってシャーレイがいる建物の屋根の方を見れば、忽然と彼女の背後にアルスが現れた。
「後ろだ!」
「ラリホー」
――――――――――アルスは ラリホーを となえた!
――――――――――シャーレイを ねむらせた!
アイシャの叫びにシャーレイが背後を振り返った瞬間、アルスから向けられた手から紫色の泡が生まれて弾けた。それだけで驚愕で見開かれたシャーレイの目から気迫が失せ、まるで操り人形の糸が切れたようにその場に倒れ込んだ。
傍にいたアルスが眠り込んだシャーレイを抱き留め、ソッと屋根の上に寝かせたところで近くに
「下がりな、お前達!」
舌打ちしながら建物の屋根を転々としながら飛んできたアイシャが詠唱を続け、空中から『大朴刀ザーガ』を振り被る。
「飢える我が刃はヒッポリュテー――――ヘル・カイオス!」
「はっ!」
――――――――――アイシャは ヘル・カイオスを はなった!
――――――――――しかし アルスは、全身全霊切りで うちはらった!
放たれた
避けるはずだと想定するほど自信を持っていた斬撃波が下からの斬り上げによって呆気なく打ち払われたことに瞠目し、飛び上がったアルスの行動に対処が遅れた。
「はっ」
「があっ!?」
――――――――――アルスの はやぶさのごとき 高速の 2回こうげき!
――――――――――アイシャに ダメージ!
二刀による三回攻撃を受けたアイシャは受け身も取れずに屋根に叩きつけられた。
「アイシャ様!?」
咄嗟に春姫はアイシャを追おうとしてレナに腕を掴まれる。
「春姫、こっち!」
「でも、アイシャ様が!?」
「アンタの存在が露見する方がマズいって――」
そのままレナは春姫を抱え、別の建物の屋根に着地したアルスが戻ってくる前に真反対にある建物に移ろうと飛び上がったが、着地しようと足元を見下ろしたところで先着がいることに気づいた。
「どいてどいてっ!?」
先着も今正に屋根の上に着地したところで、
「邪魔だ」
「ふぐぇっ!?」
――――――――――ベートの こうげき!
――――――――――かいしんの いちげき!
――――――――――レナに ダメージ!
空中で移動手段を持たないレナにどいてと言われてもベートが大人しく従うはずもなく、アマゾネスが敵と聞いていたので容赦なく拳を腹に叩き込んだ。
悲鳴を上げたレナが打たれた腹を起点に手足を投げ出したことで、抱えられていた春姫が放り出される。
「ひゃぁっ!?」
「ああん?」
ベートは神速の反応でレナを腹パンした手とは逆の手で放り出されかけた春姫の胸元を掴む。
「あぐっ」
春姫は胸元を掴まれた反動で頭が浮き上がり、覆っていたフードが剥がれた。
アマゾネスの褐色の肌と真反対の陽の下に出たことがないような白い肌と、金の長髪と同じ毛並みの長い耳が露わになる。
→
一拍遅れて、逃げるので取り敢えず後を追ってきたアルスが春姫の顔を見て呟く。
「ぁ――」
胸元を掴まれたことによる急激な重心移動による痛みや苦しみか、はたまた別の理由か。ベートに胸元を掴まれた春姫の体が震え、涙目になっているのを見て手を放して捨てようとしたベートの動きが止まった。
「春姫!」
二人から自分の存在が意識が逸れたのを隙とみて、アルスの攻撃によって顔を隠していたターバンが取れて口から血を流しながらすぐさま後を追っていたアイシャが横から春姫を掻っ攫った。
「あ、アイシャさ――」
「喋るんじゃない! お前達、退くよ!」
少女の言葉を遮ったアイシャの叫びに、ベートに打たれた腹部を片手で抑えながらアルスの『
――――――――――アイシャたちは にげだした!
去って行く者達の背に『ひかりのつるぎ』の切っ先を向けたアルスはベートが手を下ろし、その場から動かないことに目を細める。
→追わないのか?
トドメを刺しに行かないのか?
「俺の勝手だ。追いたきゃ自分で行け…………覚悟のねぇ奴が戦場に来るんじゃねぇよ」
最後にポツリと呟かれた言葉は小さすぎてアルスの下にまでは届かなかった。
別段アイシャ達に敵意もないアルスが武器を鞘に収めている間に、こちらの戦況の変化を感じ取ったのか、フリュネとアイズが距離を取ったところでベートが屋根から飛び降りる。
「ちっ、使えない奴らだね。これだからブサイクは」
ステイタスで上回り、アイズの魔法も封じているのに思ったより優勢になれなかったことに苛立っているフリュネの視線の先で、ベートがアイズの傍らに着地して腰に差していた『デスペレート』を抜いて投げ渡した。
「おい、アイズ。そのヒキガエルの相手は俺がする。お前は行け」
「でも」
Lv.6の自身と同等のフリュネの相手を請け負うと言ったベートに躊躇するアイズ。
一度フリュネを見たベートは鼻を鳴らす。
「その程度のカスにお前が手古摺るなんざ、魔法封じの
親指で空を指し示したベートの言に、分厚い雲の隙間から姿を現した月を見上げたアイズは納得したように小さくコクリと頷く。
なにかあればまだ屋根の上にはアルスがいて援護をしてくれるだろうし、今度は邪魔をするような者もいなさそう。確かに自分がここに残る理由はなさそうだとアイズが思ったところで、フリュネが心底苛立ったように軽く大戦斧を振って地面に大きな亀裂を刻む。
「行かせると思ってるのかい、剣姫? 凶狼もアタイの美しさにしっぽ振りたくなるのは分かるけどね。今はお呼びじゃないんだよ!」
「喋んな。今の俺は気が立ってんだ。ヒキガエルは蛙らしく鳴くか」
――――――――――ベートは 獣化を おこなった!
――――――――――ちから みのまもり すばやさ かいしん率が あがった!
――――――――――きようさ みりょく みかわし率が さがった!
「な、なんだい、こりゃ……ま、まさか……」
月の明かりに照らされたベートの体が蠢動する。
薄く開かれた口の中で目に見えて鋭くなる犬歯、逆立つ灰の毛並みが背後から差し込む月の光で生まれた地面のベートの影が獣染みた形になっていく。
「黙って潰れてろ!」
「がっあああぁぁぁ……!?」
――――――――――ベートの こうげき!
――――――――――フリュネに ダメージ!
咄嗟に振るった大戦斧がベートが恐ろしい速度で接近し振り上げられた金属靴によって呆気なく砕かれ、下ろされることなく再度振るわれたもう一撃がフリュネを強かに蹴り飛ばした。
「ふ、ふざけんじゃないよぉ!? こんなの剣姫より……!?」
「ぐぎゃああああああああああああああああっ!?」
――――――――――ベートの こうげき!
――――――――――フリュネに ダメージ!
――――――――――フリュネを たおした!
――――――――――アルスは 25840ポイントの経験値を かくとく!
ジリジリと後退していたフリュネは再度放たれた金属靴の一撃に蹴り飛ばされ、進路上にあった全ての障害物を破壊して遥か後方、港の区画も越えてロログ湖まで吹き飛んだ。
盛大な水飛沫が上がり、天高く打ち上がる光景にアルスが口を開く。
→たまやー!
かぎやー!
「何を言ってやがる……」
――――――――――アルスは レベル39に あがった!
――――――――――ダフネは レベル28に あがった!
――――――――――ダフネは リベホイミの呪文を覚えた!
【アルス・クラネル Lv.4(レベル38→39) 称号:『
HP:319(+105)←328(+105) MP:146(+4)→150(+4) ちから:127(+22)→131(+22) みのまもり:53(+4)→55(+4) すばやさ:120→122 きようさ:71←73 こうげき魔力:120←124 かいふく魔力:122←126 みりょく:93→97
《魔法》
【メラ】【メラミ】【ギラ】【ベギラマ】【イオ】【イオラ】【ホイミ 】【ベホイミ】【ベホイム】【ベホマ】【ラリホー】【ラリホーマ】【デイン】【ライデイン】【トヘロス】【ニフラム】【ルーラ】【アストロン】
《技能》
【かえん斬り】【はやぶさ斬り】【つるぎのまい】【ぶんまわし】【フリーズブレード】【ミラクルソード】【渾身斬り】【全身全霊斬り】【覇王斬】
《スキル》
【二刀の心得】【メタル斬り】【ドラゴン斬り】【
《次のレベルまで:19058》】
【そうび みぎて『ひかりのつるぎ』 ひだりて『プラチナソード』『プラチナトレイ』 あたま『プラチナヘッド』 からだ『やすらぎのローブ』『あつでのよろい』 アクセ1 『ようせいの首飾り』
アクセ2『バトルチョーカー』 】
【ダフネ・ラウロス Lv.3(レベル27→28) 称号:『
HP:251→262 MP:80→83 ちから:91→95 みのまもり:40→41 すばやさ:76→79 きようさ:60→62 こうげき魔力:67→70 かいふく魔力:103→107 みりょく:111←115
《魔法》
【ラウミュール】【ピオラ】【ピオリム】【ボミエ】【ボミオス】【ザメハ】【バイシオン】【リホイミ】【リベホイ】【バギ】
《技能》
【火ふき芸】【ツッコミ】【らせん打ち】【スパークショット】【愛のムチ】【しばり打ち】【スリープダガー】【ヴァイパーファング】
《発展アビリティ》
【耐異常:H】
《スキル》
【ヒュプノスハント】【
《次のレベルまで:10853》 】
【そうび みぎて『ドラゴンテイル』 ひだりて『王家のナイフ』 あたま『プラチナヘッド』 からだ『プリンスコート』 アクセ1『おしゃれなベルト』 アクセ2 『ハンサムスカーフ』 】
アイシャはリーズレットの8800の半分、4400を採用
レナ・タリーとシャーレイはデスコピオンの1440を採用
フリュネはキラゴルドの20000を採用
メレン編終了です。