ダンまち×ドラクエ   作:スターゲイザー

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――――――――――アルスは レベル40に あがった!
――――――――――アルスは ビッグバンを覚えた!

――――――――――ベルは レベル39に あがった!

――――――――――リリルカは レベル39に あがった!

――――――――――ヴェルフは レベル36に あがった!
――――――――――ヴェルフは マジックバリアの呪文を覚えた!

――――――――――ダフネは レベル29に あがった!
――――――――――ダフネは バギマの呪文を覚えた!

――――――――――カサンドラは レベル28に あがった!
――――――――――カサンドラは レベル29に あがった!
――――――――――カサンドラは バギマの呪文を覚えた!







第68話 はい、アレトゥサです

 

 

 

 

 

 ダンジョン攻略後、宵の口のオラリオの街中では露店が立ち並んでいた。子供達の楽しそうな声が辺りに響き、食べ物を提供する露店からは美味しそうな匂いが漂ってくる。

 

「わぁ、凄い!」

「そうか、ベルは神月祭は初めてか」

 

 祭りらしい雰囲気に瞳を輝かせるベル・クラネルの様子に、ヴェルフ・クロッゾが口元を緩める。

 

「神月祭?」

 

 聞き覚えの無い祭りの名にベルが首を傾げる。

 

「神様達が降臨する前から行われている祝祭の日のことだよ。月を神様に見立ててモンスターの魔の手から無事を祈る…………今となっては騒ぐ口実になってる行事だね」

「口実って、身も蓋もなくないですか」

「実際、神様が下界に降臨されてからは月を見立てる必要もないからな。まあ、オラリオらしいっちゃあらしい行事だろ」

 

 目元を隠す仮面を装着し、背中部分に三日月が描かれた頭巾を被る通行者を横目に見ながら歩くダフネ・ラウロスの説明に、ベルが苦笑し、気が荒い冒険者を多く擁するオラリオらしい祭りにヴェルフが笑う。

 納得したベルは隣を歩くヘスティアが黙ったままなのに気づいた。

 

「神様、どうかしましたか? 昨日はあれだけ楽しみにしてたのに」

 

 今日のダンジョン探索後にホームでステータスを更新してから出発したのだが、ヘスティアは更新直後からこの状態だった。

 露店で買ったイカ焼きは受け取ってくれたが心配するベルの視線の先で、ヘスティアは重々しく口を開く。

 

「…………ベル君、正直、今のボクは祭りを楽しめる状態じゃないんだ」

「イカ焼き食べといて?」

「それはともかく! 遂にアルス君がLv.5に成っちゃったんだ!」

 

 イカ焼きを食べていて口を開かないのではなく別の理由があるのだと、イカ焼きの串を握りしめたまま力説するヘスティアにツッコミを入れたベルは目を丸くする。

 

「遅かれ早かれでは?」

「それもそうなんだけど!」

 

 元々、ランクアップは間近だったのから時間の問題だったのではという真っ当なダフネのツッコミに、ヘスティアは悔し気に足を踏み鳴らしてイカ焼きの串を振り回す。

 一頻り地団太を踏んだところでヘスティアは息を落ち着ける。

 

「分かってはいたんだ。『瞬間移動魔法(ルーラ)』に『どうぐぶくろ』もあって、ベル君が『迷宮脱出魔法(リレミト)』まで使えるようになって加速度的にダンジョン探索が進むであろうことは」

 

 行きと帰りの道程がほぼゼロになり、物資の持ち運びに限界がなく、更には更には成長促進スキルまであるのだから他の神々が知れば「チートだ!」と非難の誹りは免れないだろう。

 

「メレンの一件もあることから覚悟はしていたんだ。でも、覚悟していても耐えられないことはきっとある」

 

 代償として騒動に巻き込まれやすいことはメレンでのロキファミリアに援護要請を求められた時から覚悟はしても、だからといってダメージがないというわけではない。ヘスティアは常に一杯一杯だった。

 尚、メレンでの騒動の一端に関わっていた詫びとしてニョルズからもレシピブックを貰っていたので、ロキからも貰った分も合わせてアルスはホクホクだった。

 

――――――――――アルスは レシピブック 『海神のヤリのレシピ』を 手に入れた!

――――――――――オセアノススピアの レシピを 覚えた!

 

「はあ、あ、僕のイカ焼きも食べますか?」

「食べるぅううううう!」

 

 ベルがまだ一口も食べていないイカ焼きを手渡すと、今この場所がこの世の天国とばかりに至福の笑顔で食べ始めたヘスティアにヴェルフは苦笑を零す。

 

「ヘスティア様のメンタルケアはベルがいれば大丈夫だろう。それはそうとリリ助、今日はやけに静かだな」

 

 ヘスティアのことはベルに任せておいて大丈夫だろうと、次はダンジョン帰りから既に口を開かなくなっていたリリルカ・アーデに話を向ける。

 

「…………ヴェルフ様、リリは新発見の使い方について思考を巡らせているのです。お静かに願います」

 

 ヴェルフの指摘にリルカリは額に指を立てて思考に没頭しているようにポーズをとる。

 見方を変えれば気障ったらしい仕草に突っ込もうかとも思ったヴェルフも、リリルカが考えている新発見に思い当たる節があった。

 

「新発見って、あの精神力(MP)の自動回復か?」

 

 怪鳥の幽谷と評されているダンジョン24階層探索中、鳥型モンスターであるヘルコンドルの『怪物の宴(モンスター・パーティー)』に合った。

 精神力(MP)の消費が嵩み、回復を目的としてリリルカが習得したばかりの自身にだけ使えるMP自動回復効果を持つ『魔力の息吹』をアルスとの『治癒魔法(ベホイミ)』と同時に使用することで、『魔力の息吹』単体では少ない精神力(MP)回復量の底上げと他者に施せることに気づいた。

 

「確かに『女神の息吹(アレ)』は便利だけど、別に使い方なんて消耗した時に随時使えばいいんじゃない」

「僕もそう思うけど……」

「いいえ、そういうわけにはいきません。ダンジョン内ではどこで誰が見ているか分かりませんから」

 

 誰もが思い至る使い方を提案するダフネと同調するベルに、リリルカは回復ポーションを使わずに精神力(MP)自動回復の術を他所様に見られる可能性は看過できないと考えていた。

 

「だからって、カサンドラに『破邪魔法(マホカトール)』を使わせなくても良かったと思うけどね」

 

 『瞬間移動魔法(ルーラ)』と『迷宮脱出魔法(リレミト)』を使っておいて今更感がある。両方とも使う際には人目を気にしているが、これまたカサンドラ・イリオンが習得した『破邪魔法(マホカトール)』による結界内で行う必要は薄い。

 

「そっちの実験も兼ねていましたから。実際、『破邪魔法(マホカトール)』の範囲内にモンスターが入れないことが分かりました」

「効果時間は発動したカサンドラの精神力(MP)によって変動するけど、『破邪魔法(マホカトール)』の効果は確かに有用だ。あれさえあればダンジョンで寝泊まりする時も見張りが最低限で済む」

 

 『破邪魔法(マホカトール)』は破邪というだけあって、魔なる者を寄せ付けない結界を構築できる。

 効果範囲・時間は発動時のカサンドラの精神力(MP)によって変動するが、結界内にモンスターが入ろうとすると阻まれた結果を確認できたことは、指揮官であるダフネからすれば十分な成果であった。

 

「みんなは便利な魔法が使えていいよな。俺のは被りが多い上にイマイチ使いどころが限られる。特に攻撃魔法が無いのがイタい」

 

 ヘルコンドルの『怪物の宴(モンスター・パーティー)』では、遠距離攻撃手段を持たないヴェルフは盾役以外に出来ることが無かったことを気にしていた。

 

「でも、海では『足場構築魔法(トラマナ)』のお蔭で僕は助かったよ」

 

 メレンでの漁で外海に出た際、『ハートナイト』の攻撃によって船外に弾き飛ばされたベルを、ヴェルフが唱えた『足場構築魔法(トラマナ)』で海面に足場が出来たお蔭で戦闘を有利に運ぶことが出来た。

 

「ヴェルフ様の『変身魔法(モシャス)』は、リリの『シンダーエラ』の上位互換じゃないですか。パーティーの盾っていう絶対的な役割があるんですから無いものねだりですよ」

 

 リリルカが元々使えていた『シンダーエラ』はどんな姿にも変身できる魔法であるが、制約として体格まで変えることは出来ない。ヴェルフが習得した『変身魔法(モシャス)』にはそのような制限はない。

 

「そうそう、そこは役割分担。ヴェルフが守ってくれているからリリルカはバカスカと魔法を撃てるわけだしね」

「ダフネ様」

「おっと、こりゃあ失言だった。ゴメンゴメン」

 

 謝る仕草をするダフネにリリルカも特に気にする様子を見せない。本音と冗談を交えた言葉だと理解しているし、守られっぱなしではないと仲間に示しているつもりであるからだ。

 

「さあさあ、お立ち合い!」

 

 露店が並ぶ通りを歩きながら会話をしていると、聞き覚えのある声が耳に届き、一行は声のした方向に視線を向けた。

 

「遠き者は音に聞け、近き者は目にも見よ! そして腕に覚えがある冒険者ならば名乗りを上げよ!」

「この声は、ヘルメス?」

 

 人集りができている先には大きめの露店があり、一段上の舞台が作られたその上で数日前にオラリオを発ったはずのヘルメスが大声を張り上げていた。

 

「さあ、この槍を引き抜く英雄は誰だ!」

 

 ヘルメスは足元にあるクリスタルで固定された槍が指し示す。

 

「何をやってるんだ、ヘルメスは……」

 

 ヘスティアに気づいていないヘルメスは演技過多のまま続ける。

 

「これは選ばれ者にしか抜けない伝説の槍。手にした者には貞潔たる女神の祝福が約束されるだろう。更に抜いた者は豪華世界観光ツアーにご招待、既にギルドも許可済みだ!」

「伝説の槍ぃ?」

 

 伝説の剣ごっこならぬ伝説の槍ごっこを行っているヘルメスに、ネタが分かるヘスティアはげんなりとして呆れ顔になっていた。

 

「またヘルメス様が怪しげな催し物を」

「懲りない神様だね」

「ははは……」

 

 18階層での覗き煽動に参加したヴェルフはちょっと楽しげな顔に、騒動の後に自身の眷属であるアスフィ・アル・アンドロメダにボコボコにされていたのを見ているダフネの辛辣な一言に、否定は出来ないと思って苦笑するしかないベル。

 

「祭りの催し物なんだろ。面白そうじゃないか! 行ってみようぜ、みんな!」

「伝説の槍だって、あたしやってみたい!」

 

 流石に地上の衆目の前で変なことはしないだろうと考えたヘスティアの勧めに一行が了承しようとしたところで、直ぐ近くから聞き覚えのあるはしゃぐ声が聞こえた。

 

「馬っ鹿じゃないの、アンタ。どうせ嘘に決まってるでしょ」

「待って下さい、お二人とも! アイズさんなら絶対に伝説の槍を引き抜けるはずです!」

「あ」

 

 聞き覚えのある声が三人に続き、最後のアイズ・ヴァレンシュタインが驚いたようにベルを見る。

 

「せ、先日はどうもありがとうございました!」

 

 アイズの声に反応してベル達を見たレフィーヤ・ウィリディスが一行を認識すると急いで頭を下げた。

 先日のメレンの一件のことだと直ぐに思い至ったリリルカが前に出る。

 

「いえ、こちらこそ勝手に帰ってしまって申し訳ありませんでした。ヘスティア様がどうしても早く帰りたいと言って聞かなくて」

「あれ以上の厄介事は御免だったんだよ! 報酬分の働きはしたんだから後始末ぐらいはロキだって出来るだろ!」

 

 一番防衛力が高いヴェルフの後ろに隠れたヘスティアの言い分は間違ってはいないので従った一行だったが、泊まっていた宿屋の店主にロキファミリアへの伝言を頼みはしたがオラリオに戻った。

 

「ベル様から大丈夫だったと聞いていましたが、本当にお怪我などはされていませんでしたか?」

 

 リリルカはヴェルフと一緒にティオネの救援に向かい、フィンの援護をしたのだがリヴェリア・リヨス・アールヴの前で『足場構築魔法(トラマナ)』を使った所為で質問攻めに合ってしまい、早々に宿に戻ったのでレフィーヤとは会っていなかった。

 レフィーヤが無事だったことは、ガレスと一緒に救援に向かったベルから後で聞いていた。

 

「皆さんが助けてくれましたから。私は全く」

 

 言ったレフィーヤが怪我をしていたヒリュテ姉妹を見る。

 

「まあ、私達の傷もカサンドラに直ぐに治してもらったからね」

「凄いよね、あの子! 完全回復した上に毒まで治してもらっちゃったもん!」

 

 傷を治すのは自分の役割だと思っているカサンドラ・イリオンが居合わせていたので、早々に傷とティオナが負っていた毒も『解毒魔法(キアリー)』によって癒された。

 興奮した様子で話すティオナをチラリと見たアイズはベルへと顔を向ける。

 

「ギルドでアルスにお礼の品を渡しといたから受け取ってね?」

「え? 報酬はもうロキ様から貰ってますけど……」

 

 救援要請の代価として既にロキから『オリハルコン装備レシピ』を貰っていたので、メレンの一件で単独行動をした際のレポートが擬音だらけで居残りで書き直しをエイナ・チュールからさせられているアルス・クラネルにお礼の品を渡されたと言われても困惑してしまう。

 困った顔をしているベルにレフィーヤがふんすと強めの鼻息を漏らす。

 

「あれはロキファミリアとしてのもので、今回は私達個人としてのお礼です。元はと言えば私が捕まった所為ですし」

「それを言ったらカーリーファミリアの因縁のある私達の所為でもあるかね」

「なんにしても、色々と世話になったからありがとうって気持ちを形で伝えたかったんだ!」

 

――――――――――アルスは 『大獄剣』を 手に入れた!

――――――――――アルスは 『きせきのつるぎ』を 手に入れた!

――――――――――アルスは 『マジックチャクラム』を 手に入れた!

――――――――――アルスは 『わだつみの杖』を 手に入れた!

――――――――――アルスは 『雷神のやり』を 手に入れた!

――――――――――アルスは 『ふぶきのオノ』を 手に入れた!

――――――――――アルスは 『ポイズンスケイル』を 手に入れた!

――――――――――アルスは 『シルクのビスチェ』を 手に入れた!

 

「アルスが嬉々として受け取っている姿が目に浮かぶ……」

「その後ろでカサンドラが困惑している姿も目に浮かぶわ……」

 

 ベルとダフネの脳裏には、物品受け渡しの際のアルスの満面の笑みがありありと思い浮かんでいた。

 ロキファミリアからの面会とあってはレポートの書き直しが中断となってちょっと機嫌の悪いエイナと、一応誰かが付き添いで残った方が良いだろうと神考案のじゃんけんで選出されたカサンドラの姿までがセットで想像できていた。

 

「遠征終わりであまりお金が無くて、ロキが用意した『シルクのビスチェ』以外は幹部が昔使ってたお古の装備で悪いけど、きちんと整備はしてあるから十分に使い物になるはずよ」

「い、いいえ、私達が使っている物よりも上等な物を頂いておいて文句なんて滅相もない」

 

 中古だとしても、話に聞くだけでも上等な武具であることはヴェルフのキラキラとした目が物語っていたのでリリルカの腰は低い。

 

「あたしたちの問題で迷惑をかけたから喜んでくれるなら良かった。ねえ、みんなもあの伝説の槍を引き抜きに来たんでしょ! 一緒に行こうよ!」

 

 ティオナの提案を断る理由はなく、合流した一行はヘルメス主催の催し物へと向かって行く。 

 

「次の挑戦者は誰だ? おっと、ロキファミリアの綺麗所と新進気鋭のヘスティアファミリとはまだ豪華な面子が来たな。さあ、誰から参加する?」

「はいはーい! あたしがやる!」

 

 二大派閥の片方であるロキファミリアと新興派閥として注目を集めているヘスティアファミリアという目立つ存在の一行なので、抜けなかった参加者に残念と言いながら次を探したヘルメスが気づき、ティオナが真っ先に反応して壇上に上がる。

 

「まずは『大切断(アマゾン)』ティオナ・ヒリュテが来た!」

 

 やる気満々で槍を握って引っ張るティオナだったが、Lv.6の力でやってもビクともしない。

 

「うーん、ダメだこりゃ」

「次は私がやるわ。伝説の槍、本物なら団長にプレゼントして褒めてもらうんだから!」

 

 ティオナと交代して壇上に上がったティオネが思い人であるフィン・ディムナが槍を使うので、話通りの伝説の槍なら喜んでくれるはずだと発奮する。

 

「続いては『怒蛇(ヨルムガンド)』ティオネ・ヒリュテ!」

 

 手抜きなしの本気で槍を引き抜こうとするが、ティオナの時と同じくビクリともしない。

 

「ちっ、本当に抜けるのこれ?」

「抜けるよ、きっと。さあ次は誰だ?」

 

 疑い深い目で壇上から降りたティオネから視線を切ったヘルメスが次の参加者を求める。

 ロキファミリア組が先に二人行ったので、自身の獲物は剣なので特に槍が欲しいとは思わないアイズがヘスティアファミリア側に顔を向ける。

 

「みんなは行かないの?」

「普通に考えたら、Lv.6に抜けないなら俺達じゃあ無理だろ」

「アルスがいたら関係なく、喜び勇んで参加しそうだけどね」

 

 ヴェルフの最もなツッコミにベルが深く頷く。

 ヘスティアファミリア側が誰も行かなさそうなので、これはアイズの番だとレフィーヤの目が輝いた。

 

「次はアイズさんが行ってみましょう!」

「分かった」

 

 誰も行かないなら自分が行ってみようと、今抜こうとして失敗した参加者と入れ替わりに壇上に上がる。

 

「おっと、これは――――『剣姫』アイズ・ヴァレンシュタインの登場だ!」

「ん」

 

 ヘルメスに迎え入れられたアイズが伝説と称されれている槍を持って力を籠めるも、他の皆と同じようにビクともしない。

 

「駄目、抜けない」

「そんなぁ、アイズさんでも抜けないなんて」

「よし、ベル君! これはチャンスだ! ロキファミリアを見返してやれ!」

 

 諦めたアイズが手を離し、Lv.6の三人でダメなら誰も無理だろ言う雰囲気の中で、喉元過ぎれば熱さを忘れたヘスティアがベルを推薦する。

 

「え、僕?」

 

 まさか自分が推挙されるとは夢にも思っていなかったベルが自分を指差して驚く。

 

「ま、いいんじゃないか。催し物を楽しんで来い」

「そうです。後で合流するアルス様とカサンドラ様に良い土産話になるでしょう」

「特にアルスは残念がるだろうね」

「そういうことなら」

 

 主にアルスが残念がるだろうという点に重きを置いたベルが壇上に上がっていく。

 

「さあ、次の挑戦者は…………お、次は君かい、ベル君」

「はい、よろしくお願いします」

「真面目だな、君は。さあ、『白兎の脚(ラビット・フット)』の挑戦だ!」

 

 頭を下げるベルにヘルメスが苦笑しながら促すと、先程の三人が抜けなかったのを見ていた参加者達から野次が飛ぶ。

 

「よぅし――」

 

 ベルもロキファミリアの三人が抜けなかったのだら無理だろうと思っていたので特に気負いもなく槍を掴む。

 

『見つけた』

「え?」

 

 手に力を籠めようと瞬間、脳裏に声が聞こえた直後に槍に神聖文字が浮かび、穂先を固定していたクリスタルが砕け散った。

 槍を固定していたクリスタルが砕けたことで、力を込めたベルはそのままひっくり返ってしまう。

 

「うわっ!?」

 

 流石に頭を壇上にぶつけるといった無様は晒さなかったが、渾身の力を込めていたことも合って受け身も取れずに槍を持ったまま倒れ込んだベルを見たヘルメスは被っていた帽子のツバを掴んで目元を隠す。

 

(そうか、運命は君を選ぶのか)

 

 ロキファミリアのLv.6の三人でも抜けなかった槍をベルが抜いたことにヘスティアは有頂天になって喜ぶ。

 

「いやったぁー、ベル君!」

 

 壇上に上がったヘスティアが上半身を起き上がらせていたベルに飛びついた。

 アイズ達やヴェルフ達も遅れてベルの下へとやってくる。

 

「ベル、凄い」

「凄い凄いよ、アルゴノゥト君!」

「まさか本当に抜くとはな。伝説の槍、後で見分させてもらおう」

「う~ん、そこはかとなく厄介事の予感がします」

「ウチも同じ予感がしてる」

 

 違うファミリアの眷属が純粋に称賛し、仲間の眷属から出てくるのが個人的欲求や経験則から来る未来予測であることに、ちょっとしょっぱい気持ちになったベルだった。

 

「どうだ、ボクのベル君は凄いんだ! ヴァレン何某も目じゃないぞ!」

 

 鼻息も荒く自慢気なヘスティアの扱いに困ったベルの下に何時もの胡散臭い笑みを浮かべたヘルメスが寄ってくる。

 

「おめでとう、ベル君」

「ありがとうございます。僕も良く分からなくて」

 

 未だにヘスティアに抱き着かれて身動きが取れないベルも、Lv.6の三人が抜けなかったのにどうして自分に抜けたのが不思議だったので素直に応える。

 ヘルメスはベルの首にしがみついているヘスティアを見ながらも口を開く。

 

「それじゃあ、今回の旅のスポンサーであるアルテミスのお出ましといこう」

「アルテミスだって?」

 

 ヘスティアがヘルメスから出た既知の名に反応する。

 

「神様の知っている方ですか?」

 

 首元で動いたヘスティアに反応して体勢を直したベルが槍を抱えたまま首を傾げる。

 

「天界で交流していた神友だよ。ボクのマブダチさ!」

 

 ヘスティアが言った直後、神威を纏った者が近づいて来るのをみんなが感じ取り、壇上とは反対側を見た。

 そこにいたのは藍色の髪の女神。

 

「あっ、アルテミス!? 本当にアルテミスじゃないか!」

 

 ようやくベルの首元から離れたヘスティアが立ち上がり、壇上から降りて向かってくるアルテミスと感動の再会のハグをせんと走る。アルテミスもまた笑みを浮かべて走り、二人の距離が徐々に縮まり――。

 

「へ?」

 

 彼我の距離はゼロになり、マイナスになって閉じたヘスティアの腕の中には何の感触もない。アルテミスに抱きつこうとして空振りしたヘスティアが勢い余って地面に転がる。

 当のアルテミスはヘスティアの真横を通り過ぎて壇上に駆け上がって行った。

 

「見つけた! 私のオリオン!」

 

 この槍、どうしようとばかりに所在なさげに立っていたベルはアルテミスに抱き着かれて目を白黒とされる。

 

「オリ?」

「オン?」

 

 明らかにベルに向けたアルテミスの呼び方にティオネとティオナが不思議そうに同じ方向に首を傾げる。ダフネがベルが持つ槍とアルテミスを見比べ、厄介事のカモがネギを背負ってやってきたのを目の当たりにしたような顔をしていた。

 

「あ、あの、僕はオリオンじゃなくてベル・クラネル――」

「アレトゥサと同じことを言うのだな。あなたはオリオンだ」

 

 ベルが名乗ろうとするも、アルテミスはベルの胴体に腕を回して離そうとせず、ニコニコと笑いながら断言した。 

 

「アレトゥサ?」

「誰?」

 

 また人名らしきものが出てきたが該当する人物が思い描けず、レフィーヤとアイズが目をパチクリとさせる。

 一度ベルから離れたアルテミスが周囲に集まっている面子を見渡す。その目は誰かを探しているようで、やがて一点で止まった。

 

「あそこにいるぞ」

 

→いや、アルスです

  はい、アレトゥサです

 

 アルテミスが指差した先には、ギルドを発ってヘスティア達に合流しようと向かって来ていたアルスとカサンドラの姿があった。

 

「ななななななななな、なんじゃそりゃああああああああああああああああ!!」

 

 アルテミスがベルをオリオンと呼んだり、アルスをアレトゥサと呼んだりする意味不明な状況に混乱したヘスティアの叫びがオラリオの轟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 







【アルス・クラネル Lv.4→5(レベル39→40) 称号:『白兎の剣士(ラビット・ソード)
 HP:328(+105)→337(+105) MP:150(+4)→154(+4) ちから:131(+22)→135(+22) みのまもり:55(+4)→56(+4) すばやさ:122→124 きようさ:73→76 こうげき魔力:124→129 かいふく魔力:126→131 みりょく:97→101
《魔法》
 【メラ】【メラミ】【メラゾーマ】【ギラ】【ベギラマ】【ベギラゴン】【イオ】【イオラ】【ホイミ 】【ベホイミ】【ベホイム】【ベホマ】【ラリホー】【ラリホーマ】【デイン】【ライデイン】【トヘロス】【ニフラム】【ルーラ】【アストロン】
《技能》
 【かえん斬り】【はやぶさ斬り】【つるぎのまい】【ぶんまわし】【フリーズブレード】【ミラクルソード】【渾身斬り】【全身全霊斬り】【ビッグバン】【覇王斬】
《スキル》
 【二刀の心得】【メタル斬り】【ドラゴン斬り】【聖竜の祝福(ドラゴンクエスト)
《次のレベルまで:37482》】
【そうび みぎて『ひかりのつるぎ』 ひだりて『プラチナソード』『プラチナトレイ』 あたま『プラチナヘッド』 からだ『やすらぎのローブ』『あつでのよろい』 アクセ1 『ようせいの首飾り』 
アクセ2『バトルチョーカー』 】



【ベル・クラネル Lv.4(レベル38→39) 称号:『白兎の脚(ラビット・フット)
 HP:327→333 MP:100→103 ちから:117→120 みのまもり:47→49 すばやさ:143→146 きようさ:135→140 こうげき魔力:124→127 かいふく魔力:0 みりょく:131→133
《魔法》
 【ジバリア】【ジバリカ】【ジバリーナ】【ザメハ】【インパス】
《技能》
 【スリープダガー】【ヴァイパーファング】【バンパイアエッジ】【アサシンアタック】【かえん斬り】【ミラクルソード】【デュアルカッター】【シャインスコール】【ぬすむ】【シャドーステップ】
《スキル》
            【二刀の心得】【スライムブロウ】【メタルウィング】【パワフルスロー】【ヒュプノスハント】【タナトスハント】【メタル斬り】【ドラゴン斬り】【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)
《次のレベルまで:28083》 】
【そうび みぎて『きせきのつるぎ』『王家のナイフ』 ひだりて『マジックチャクラム』 あたま『大盗賊のターバン』 からだ『プリンスコート』 アクセ1『ぬすっとのグローブ』 アクセ2『天使のサンダル』 】



【リリルカ・アーデ Lv.4(レベル38→39) 称号:『小さな爆弾娘(リトル・ボマー)
 HP:214→220 MP:223→230 ちから:77→79 みのまもり:39→40 すばやさ:113→116 きようさ:111→113 こうげき魔力:195→199 かいふく魔力:0 みりょく:101→103 
《魔法》
 【シンダーエラ】【メラ】【メラミ】【ギラ】【ベギラマ】【ベギラゴン】【ヒャド】【ヒャダルコ】【イオ】【イオラ】【ルカニ】【ルカナン】【ボミエ】【ボミオス】【マヌーハ】【メタパニ】【マホトラ】【マジックバリア】【マホトーン】【マホカンタ】【バイキルト】【ヘナトス】
《技能》
 【魔封じの杖】【しゅくふくの杖】【暴走魔法陣】【魔結界】【ぶきみなひかり】【魔力の息吹】 
《スキル》
 【縁下力持(アーテル・アシスト)】【悪魔ばらい】【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)
《次のレベルまで:30002》 】
【そうび みぎて『わだつみの杖』 あたま『しあわせのぼうし』 からだ『プリンセスローブ』 アクセ1『りせいのサンダル』 アクセ2『破封のネックレス』 



【ヴェルフ・クロッゾ Lv.4(レベル35→36) 称号:『不冷(イグニス)
 HP:360→368 MP:101→103 ちから:129→132 みのまもり:58→61 すばやさ:51→53 きようさ:54→55 こうげき魔力:0 かいふく魔力:116→121 みりょく:140→144
《魔法》
 【ウィル・オ・ウィスプ】【ホイミ】【ベホイミ】【スカラ】【モシャス】【トラマナ】【マジックバリア】
《技能》
 【シールドアタック】【まもりのたて】【かぶと割り】【蒼天魔斬】【まじん斬り】【鉄甲斬】【無心こうげき】【すてみ】【はやぶさ斬り】
《発展アビリティ》
 【鍛冶:G】
《スキル》
 【魔剣血統】【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)
《次のレベルまで:10856》 】
【そうび みぎて『ふぶきのオノ』 ひだりて『ドラゴンシールド』 あたま『プラチナヘッド』 からだ『やすらぎのローブ』『シルバーメイル』 アクセ1『ようせいの首飾り』 アクセ2 『英雄のブーツ』 】



【ダフネ・ラウロス Lv.3(レベル28→29) 称号:『月桂の遁走者(ラウルス・フーガ)
 HP:262→273 MP:83→85 ちから:95→99 みのまもり:41→43 すばやさ:79→82 きようさ:62→64 こうげき魔力:70→72 かいふく魔力:107→110 みりょく:115→119
《魔法》
 【ラウミュール】【ピオラ】【ピオリム】【ボミエ】【ボミオス】【ザメハ】【バイシオン】【リホイミ】【リベホイ】【バギ】【バギマ】
《技能》
 【火ふき芸】【ツッコミ】【らせん打ち】【スパークショット】【愛のムチ】【しばり打ち】【スリープダガー】【ヴァイパーファング】
《発展アビリティ》
 【耐異常:H】
《スキル》
【ヒュプノスハント】【鉛矢受難(エリオス・バスシオン)】【月桂輪廻(ラウルス・リース)】【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)
《次のレベルまで:4993》 】
【そうび みぎて『ドラゴンテイル』 ひだりて『ポイズンスケイル』 あたま『プラチナヘッド』 からだ『プリンスコート』 アクセ1『おしゃれなベルト』 アクセ2 『ハンサムスカーフ』 】



【カサンドラ・イリオン Lv.3(レベル27→29) 称号:『悲観者(ミラビリス)
 HP:183→201 MP:133→145 ちから:60→65 みのまもり:31→34 すばやさ:62→66 きようさ:72→77 こうげき魔力:0 かいふく魔力:119→127 みりょく:77→83
《魔法》
 【ソールライト】【キュア・エフィアルティス】【ホイミ】【ベホイミ】【ベホイム】【スカラ】【スクルト】【キアリー】【キアリク】【マヌーサ】【ピオラ】【ピオリム】【バギ】【バギマ】【マホトーン】【マホカトール】【ディバインスペル】【アバカム】
《技能》
 【デビルンチャーム】【炎の旋律】【氷の旋律】【魔結界】【ぶきみなひかり】【水流のかまえ】
《発展アビリティ》
 【治療:H】
《スキル》
 【謳え悲劇世界の女王(ファイブ・ディメンション・トロイア)】【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)
《次のレベルまで:9260》 】
【そうび みぎて『アメイジングタクト』『雷神のやり』 ひだりて『プラチナトレイ』 あたま『ぎんのかみかざり』 からだ【シルクのビスチェ】『プリンセスローブ』 アクセ1『あみタイツト』 アクセ2『ガーターベルト』 】



メレン編から次はアルテミス編(映画オリオンの矢)開始です。
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