ダンまち×ドラクエ   作:スターゲイザー

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――――――――――アルスは レベル41に あがった!
――――――――――ヴェルフは レベル37に あがった!
――――――――――ヴェルフは レベル38に あがった!
――――――――――ヴェルフは レベル39に あがった!
――――――――――ヴェルフは ベホイムの呪文を覚えた!
――――――――――ダフネは レベル30に あがった!
――――――――――ダフネは 二刀の心得を覚えた!
――――――――――ダフネは ポワゾンキッスを覚えた!
――――――――――ダフネは タップダンスを覚えた!
――――――――――ダフネは かばうを覚えた!
――――――――――ダフネは 名乗りを覚えた!
――――――――――ダフネは レベル31に あがった!
――――――――――ダフネは レベル32に あがった!
――――――――――ダフネは タナトスハントを覚えた!
――――――――――ダフネは レベル33に あがった!
――――――――――カサンドラは レベル30に あがった!
――――――――――カサンドラは 風の旋律を覚えた!
――――――――――カサンドラは 大地の旋律を覚えた!




【アルス・クラネル Lv.5(レベル40→41) 称号:『白兎の剣士(ラビット・ソード)
 HP:337(+105)→346(+105) MP:154(+4)→158(+4) ちから:135(+22)→139(+22) みのまもり:56(+4)→58(+4) すばやさ:124→126 きようさ:76→78 こうげき魔力:129→133 かいふく魔力:131→139 みりょく:101→105
《魔法》
 【メラ】【メラミ】【メラゾーマ】【ギラ】【ベギラマ】【ベギラゴン】【イオ】【イオラ】【ホイミ 】【ベホイミ】【ベホイム】【ベホマ】【ラリホー】【ラリホーマ】【デイン】【ライデイン】【トヘロス】【ニフラム】【ルーラ】【アストロン】
《技能》
 【かえん斬り】【はやぶさ斬り】【つるぎのまい】【ぶんまわし】【フリーズブレード】【ミラクルソード】【渾身斬り】【全身全霊斬り】【ビッグバン】【覇王斬】
《スキル》
 【二刀の心得】【メタル斬り】【ドラゴン斬り】【聖竜の祝福(ドラゴンクエスト)
《次のレベルまで:39177》】
【そうび みぎて『ドラゴンキラー』 ひだりて『インフェルノソード+3』『プラチナトレイ』 あたま『プラチナヘッド』 からだ『やすらぎのローブ』『あつでのよろい』 アクセ1 『ようせいの首飾り』 
アクセ2『バトルチョーカー』 】

【ベル・クラネル Lv.4(レベル39) 称号:『白兎の脚(ラビット・フット)
 HP:333 MP:103 ちから:120 みのまもり:49 すばやさ:146 きようさ:140 こうげき魔力:127 かいふく魔力:0 みりょく:133
《魔法》
 【ジバリア】【ジバリカ】【ジバリーナ】【ザメハ】【インパス】【リレミト】
《技能》
 【グランドクルス】【スリープダガー】【ヴァイパーファング】【バンパイアエッジ】【アサシンアタック】【かえん斬り】【ミラクルソード】【デュアルカッター】【シャインスコール】【ぬすむ】【シャドーステップ】
《スキル》
            【二刀の心得】【スライムブロウ】【メタルウィング】【パワフルスロー】【ヒュプノスハント】【タナトスハント】【メタル斬り】【ドラゴン斬り】【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)
《次のレベルまで:18083》 】
【そうび みぎて『きせきのつるぎ』『よるのパピヨン』 ひだりて『サザンクロス』 あたま『しっぷうのバンダナ』 からだ『プリンスコート』『はやてのベスト』 アクセ1『バンデッドグローブ』 アクセ2『天使のサンダル』 】

【リリルカ・アーデ Lv.4(レベル39) 称号:『小さな爆弾娘(リトル・ボマー)
 HP:220 MP:230 ちから:79 みのまもり:40 すばやさ:116 きようさ:113 こうげき魔力:199 かいふく魔力:0 みりょく:103 
《魔法》
 【シンダーエラ】【メラ】【メラミ】【ギラ】【ベギラマ】【ベギラゴン】【ヒャド】【ヒャダルコ】【イオ】【イオラ】【ルカニ】【ルカナン】【ボミエ】【ボミオス】【マヌーハ】【メタパニ】【マホトラ】【マジックバリア】【マホトーン】【マホカンタ】【バイキルト】【ヘナトス】
《技能》
 【魔封じの杖】【しゅくふくの杖】【暴走魔法陣】【魔結界】【ぶきみなひかり】【魔力の息吹】 
《スキル》
 【縁下力持(アーテル・アシスト)】【悪魔ばらい】【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)
《次のレベルまで:20002》 】
【そうび みぎて『らいていの杖』 あたま『しあわせのぼうし』 からだ『プリンセスローブ』 アクセ1『りせいのサンダル』 アクセ2『はくはいのゆびわ』 】

【ヴェルフ・クロッゾ Lv.4(レベル39) 称号:『不冷(イグニス)
 HP:392 MP:112 ちから:143 みのまもり:66 すばやさ:60 きようさ:58 こうげき魔力:0 かいふく魔力:133 みりょく:156
《魔法》
 【ウィル・オ・ウィスプ】【ホイミ】【ベホイミ】【ベホイム】【スカラ】【モシャス】【トラマナ】【マジックバリア】
《技能》
 【シールドアタック】【まもりのたて】【かぶと割り】【蒼天魔斬】【まじん斬り】【鉄甲斬】【無心こうげき】【すてみ】【はやぶさ斬り】
《発展アビリティ》
 【鍛冶:G】
《スキル》
 【魔剣血統】【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)
《次のレベルまで:19346》 】
【そうび みぎて『キングアックス』 ひだりて『ドラゴンシールド』 あたま『サタンヘルム』 からだ『やすらぎのローブ』『まほうのよろい』 アクセ1『ようせいの首飾り』 アクセ2 『英雄のブーツ』 】

【ダフネ・ラウロス Lv.3→4(レベル29→33) 称号:『月桂の遁走者(ラウルス・フーガ)
 HP:273→311 MP:85→96 ちから:99→113 みのまもり:43→50 すばやさ:82→92 きようさ:64→72 こうげき魔力:72→82 かいふく魔力:110→126 みりょく:119→133
《魔法》
 【ラウミュール】【ピオラ】【ピオリム】【ボミエ】【ボミオス】【ザメハ】【バイシオン】【リホイミ】【リベホイ】【バギ】【バギマ】
《技能》
 【火ふき芸】【ツッコミ】【らせん打ち】【スパークショット】【愛のムチ】【ポワゾンキッス】【タップダンス】【かばう】【名乗り】【しばり打ち】【スリープダガー】【タナトスハント】【ヴァイパーファング】【ヒュプノスハント】
《発展アビリティ》
 【耐異常:H→G】
《スキル》
【二刀の心得】【ヒュプノスハント】【鉛矢受難(エリオス・バスシオン)】【月桂輪廻(ラウルス・リース)】【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)
《次のレベルまで:3825》 】
【そうび みぎて『あくまのむち』 ひだりて『ポイズンスケイル』 あたま『知力のかぶと』 からだ『プリンスコート』『はやてのベスト』 アクセ1『おしゃれなベルト』 アクセ2 『ハンサムスカーフ』 】

【カサンドラ・イリオン Lv.3→4(レベル29→30) 称号:『悲観者(ミラビリス)
 HP:201→210 MP:145→151 ちから:65→67 みのまもり:34→35 すばやさ:66→68 きようさ:77→80 こうげき魔力:0 かいふく魔力:127→132 みりょく:83→86
《魔法》
 【ソールライト】【キュア・エフィアルティス】【ホイミ】【ベホイミ】【ベホイム】【スカラ】【スクルト】【キアリー】【キアリク】【マヌーサ】【ピオラ】【ピオリム】【バギ】【バギマ】【マホトーン】【マホカトール】【ディバインスペル】【アバカム】
《技能》
 【デビルンチャーム】【炎の旋律】【氷の旋律】【魔結界】【ぶきみなひかり】【水流のかまえ】
《発展アビリティ》
 【治療:H→G】
《スキル》
 【謳え悲劇世界の女王(ファイブ・ディメンション・トロイア)】【聖竜の祝福を受けし者の加護(ドラゴンクエスト)
《次のレベルまで:15555》 】
【そうび みぎて『アメイジングタクト』『デーモンスピア』 ひだりて『ホワイトシールド』 あたま『きんのサークレット』 からだ【シルクのビスチェ】『スパンコールドレス』 アクセ1『あみタイツト』 アクセ2『ガーターベルト』 】







第78話 歓楽街で遊ぼう

 

 

 

 

 

 階層主(アンフィスバエナ)戦の翌日早朝にリリルカ・アーデの『瞬間移動魔法(ルーラ)』でオラリオに帰還したベル・クラネル、カサンドラ・イリオン、そして主神であるヘスティア。

 下界に降りるに従って肉体的には普通の人間と何ら変わらない神であるヘスティアが休息を取って目覚めた後に野暮用を済ませた日没後。改めて主神として自らがオラリオを空けていた間にファミリアに起こった報告を聞いていた。

 

「――――――――――それで階層主(アンフィスバエナ)を倒した後、君達はどうしたんだい?」

 

  階層主が下層から中層上部に階層遡上するという異常事態(イレギュラー)が過ぎる戦いを息が詰まる思いで聞いていたヘスティアは、語ってくれたダフネ・ラウロスとヴェルフ・クロッゾに先を促す。

 ヴェルフはそんな主神の問いに対し、今一度軽く息を吸い、口を開く。

 

「全員、アルスに『治癒魔法(ベホマ)』をかけてもらって全回復してもらいました。ただ……」

 

 アルス・クラネル自身はヴェルフが預かっていた『どうぐぶくろ』に入っていた『ポーション』系の回復道具で自らを癒してからヘスティア・タケミカヅチファミリアの面々に『治癒魔法(ベホマ)』をかけた。

 

「俺だけは足腰が立たなかったもので、大男(カシマ・桜花)に担いでもらったのが情けない」

 

 ヴェルフはアンフィス・バエナを倒す為、鍛え上げた『インフェルノソード+3』に全身全霊を掛けたことでアルスの『治癒魔法(ベホマ)』を受けてもヴェルフは立ち上がることが出来なかった。

 『治癒魔法(ベホマ)』では傷や体力を回復できても精神力といった面には効果がなく、ダンジョンからの帰還にはタケミカヅチファミリア団長であるカシマ・桜花に担いでもらう必要があった。気持ち的には同じファミリアであるアルスに頼みたいが、ダンジョンの異変があった直後に最大戦力であるアルスの手を塞ぐのは愚策でしかなかった。

 ベル達がいない中でのパーティーメンバーでは、アルスに次ぐ大きな戦力であったのに足手纏いにしかならなかったことを恥じていた。

 

「それだけ必死だったということだろう。ボクも見させてもらったけど、素人目に見てもあの『インフェルノソード+3(魔剣)』は凄いと感じたよ。あれほどの物ならヘファイストスもヴェルフ君を褒めるだろうさ」

 

 鞘から抜き放たれた黒い刀身に燃え盛る炎の形を模した剣はそこにあるだけでも熱を放散するしているかのようで、思い出すだけでも身震いするような『インフェルノソード+3(魔剣)』ならば如何なヘファイストスも認めざるをえないだろうと思っていた。

 一人でうんうんと頷いているヘスティアにダフネが苦笑を漏らす。

 

「ヘスティア様、ヴェルフはギルドへの報告をウチに押し付けて、さっさとヘファイストス様の所へ見せに行ってますよ」

「そうなのかい?」

「ええ、まあ……」

 

 役割上は仕方ないにしても最も忙しい中で仕事を押しつけられた形のダフネの冷たい目に気まずそうに頭を掻くヴェルフが答える。

 

「で、ヘファイストスはなんて?」

 

 ヘスティアは大変だったであろうダフネの苦労を内心で慮りながらも、ヘファイストスがインフェルノソードをどう評価したのかの興味が勝って問いかける。

 

「まぁまぁ、と」

 

 問われたヴェルフは照れくさげに鼻の下を擦りながら答える。

 

「あれで!?」

「はい、俺の全身全霊を賭した甲斐がありました」

 

 まるで最上級の評価を得たかのように胸を張るヴェルフにヘスティアは眉間に皺を寄せる。

 

「…………もしかして、ボクは何か聞き間違えたのかな?」

「いいえ、聞き間違えていませんよ。鍛冶に関わる者にしか分からないナニかがあるんじゃないかと」

「取り敢えず、ヴェルフ君が満足しているのならいいか」

 

 鍛冶神であるヘファイストスは『インフェルノソード』をどう評価するのかとダフネも気になったので既に同じ問答をしており、自身の理解の及ばない領域に思考を巡らせても無駄であろうとヘスティアも結論づけることにした。

 

「満足なんてとんでもない!」

「ひあっ!?」

 

 バン、とヴェルフが両手でテーブルを強く叩いた音にヘスティアの肩が跳ねる。

 手加減しているとはいえ、第二級冒険者の力で叩いてテーブルに傷がついていないかとアルスが屈んで裏側から覗き込んでいる間も、立ち上がっていたヴェルフは拳を強く握る。

 

「俺は、まだ至高に至る為の第一歩を踏み出したに過ぎません。ヘファイストス様が言ったように、もっと精進しないと……!」

 

 一人で浸っているヴェルフも力加減は出来ていたようで、テーブルに傷がないことを確認してアルスが席に戻る。

 

「とまあ、こんな感じなんでヴェルフは至って元気です」

「その言い方だと君は違うのかい、ダフネ君?」

「階層主を倒した後が大変でした。13階層に上がったところでロキファミリアに会って誤魔化すのが大変で」

 

 アルスがLv.4であることは知れ渡っていて、14階層以降だとしても『怪物の宴(モンスター・パーティー)』に合ったとしても左程苦戦する理由は無い。重い溜息を洩らすダフネの言葉の中に聞き逃せないファミリア名があり、ヘスティアは目を剝いた。

 

「ロキのところが、なんで13階層に?」

「どうも日中からモンスターが活発化していたとかで、ギルドの要請で備えていたとのことです。実際、本来ならば13階層には現れないミノタウロスも出現したらしくて、ギルドで聞いた話だと結構ヤバかったと」

 

 前日にはギルドから警戒令が出ていたが、アルス達はその前から泊まり込みでダンジョンに籠っていて、知名度が高過ぎてレベリングをタケミカヅチファミリアに行っていることが知られると面倒事の種になると、人目を避けて正規ルートには近づかなかったので情報を得ることが出来なかった。

 全てを知ったのはロキファミリアからと、地上に戻ってからアドバイザーであるエイナ・チュールに下層の階層主が中層に現れたことを報告した時に詳細を聞いた時だった。またかと、伝えたらエイナは頭を抱えていたが。

 

「地上で天空に光る巨大な矢が出現したって聞きましたけど、アルテミス様の件ですよね?」

「ああ、君達もアルテミスに何が起こったのか聞いてくれ」

 

 そしてヘスティアは語った。

 十日間の旅路での触れ合いを、辿り着いたエルソスの遺跡でアルテミスが古代のモンスターである『アンタレス』に喰われていたことを。

 『神の力(アルカナム)』を手に入れたことで下界を滅ぼす力を得てしまった『アンタレス』を倒すには取り込まれているアルテミスを殺さなければならず、それが出来るのは『オリオンの矢』に選ばれたベルだった。

 ベルは『オリオンの矢』を使わずに『アンタレス』を倒そうとするも果たせなかった。

 攻撃から庇った残滓のアルテミスが消滅して、ヘスティアの説得もあって苦渋の決断の末に『オリオンの矢』で本体のアルテミスの心臓を貫き、『アンタレス』を倒した。

 

「――――――――――そうですか、アルテミス様が……」

 

 ダフネも顛末だけは先に聞いていたのでショックは大きくはなかったが、それでも神とは不変であるという固定観念があったからか数秒沈思する。

 その間に重く長い息を吐いたヴェルフがこの場にはいないベルと同行していたリリルカとカサンドラの方を見る。

 

「辛いよな、ベルは。二人は大丈夫なのか?」

「私は、冒険者をしていれば失うこともあると知ってますから……」

 

 どれだけ事前に準備をし、潜っている間に気をつけようともダンジョンで命は保証されない。予期しないアクシデントや人為的なミスから負傷を負って命を落としてしまう冒険者は決して珍しくない。

 カサンドラの冒険者歴は決して短くはない。治癒師として治療の甲斐すらなく亡くなった場に立ち会ったケースもあるカサンドラは、言い方は悪いが死には慣れているので割り切れてしまう。それは幼少の頃よりサポーターをしているリリルカも同様ではある。

 

「…………リリは自分の力の無さを痛感しています。持ち得る全てを賭したというのに、何一つ結果を出せませんでした」

 

 リリルカはもう冒険者に搾取されるだけのサポーターではない。頼りになる仲間とパーティーの中にあっても最大級の火力を有する魔道士である。しかし、『アンタレス』を前にしてリリルカは殆ど何も出来なかった。

 

「無理はないよ、リリルカ君。ヘルメスも例えあの場にいたのがヴァレン何某であっても、アルテミスを取り込んだ『アンタレス』には勝てないと言っていたんだ。君が気負う必要はないんだ」

「そう、なのかもしれません。ですが、リリのどこかに自分は強くなったのだと慢心があったのは事実です。もう同じ轍は踏みません」

 

 初心と向上心を忘れたつもりはなかったが、得られた力からくる万能感と最大火力として頼りにされていたことで驕りがあったのかもしれないとリリルカは思っていた。

 ヘスティアの慰めを振り払い、心機一転の気持ちで拳を強く握るリリルカの様子を見て、それほど引き摺ってなさそうだと安心したヴェルフはこの場にいない弟分を思う。

 

「後はベル、か」

「アルス君、ベル君を立ち直らせる何か良い方法はないかな?」

 

→ダンジョンに潜ろう

  歓楽街で遊ぼう

 

「アルスさんはアルスさんですね」

「そう簡単に済むのなら、こんなにも悩んでいませんよ」

 

 ヘスティアの問いに一切迷わずに答えた内容があまりにも迷宮中毒者(ダンジョンジャンキー)過ぎて、逆に安心してしまったカサンドラと違ってリリルカは頭を抑えたそうな仕草で溜息を漏らす。

 

「ヴェルフ、同じ男として何かない?」

 

 アルスの意見も普段の日常を積み重ねるという意味では悪い物ではない。とはいえ、即効性があるかといえば疑問ではあるのでダフネはベルと同性であるヴェルフの意見も求めた。

 聞かれたヴェルフは、これは真面目に答えなければと腕を組んで考えるも大した物を出せなかった。

 

「俺なら鍛冶をすれば大体のことは気にならないけどな。ベルに何か気を紛らわせるような趣味や好きなことをさせるのがいいんじゃないか?」

「ある意味でアルス君と同じ答えだけど、都合良く劇的になんて軽い物じゃないからね」

 

 ヴェルフの意見は尤もである。

 見た目からは分からなくともベルの心の傷は大きい。心の整理は付けられても、まだ刻まれた傷はジクジクと痛むだろう。現に今も夜に散歩しに行くと出かけていったベルの目は月に吸い寄せられていて、どこか危うげな雰囲気があった――――――――――心配されている当のベルは市壁の上でアイズ・ヴァレンシュタインと話をして、これから(ジャガ丸くんを買いに行く)の約束をしていることなど彼らには知る由もなかったが。

 

「ベル様の好きなことというと、英雄譚とかでしょうか」

 

 出た意見の中からリリルカが口にすると、ダフネが難色を示した。

 

「英雄譚って、今のベルには酷じゃない?」

「でも、他にベルって趣味らしい趣味ってないだろ」

 

 英雄譚では危機に陥った姫を助ける英雄という構図が良くある。

 アルテミスと守ると約束をして守れなかったベルに物語とはいえ、傷を穿り返しかねないことを勧めるのは気が咎める。かといって、英雄譚読書以外には仕事かアルスほどではないが迷宮中毒者(ダンジョンジャンキー)な気があるベルの気が紛れるようなことをヴェルフは知らなかった。

 

「そうなると気晴らしという意味ではアルスさんの案が一番良いということになるんじゃ……」

 

 ああだこうだと考えて意見を出し合った結果が最初に意見を聞かれて答えたアルスの案に戻っているとカサンドラが控えめに言った。

 ヘスティアは自分は碌に案も出せなかったのに双子の弟であるアルスが大して悩みもせずに出した案が良さそうなことに敗北感を覚えつつも、現状では最善手なら仕方がないと認める。

 

「変に気を遣うよりも普段通りでいる方がベル君にもいいのかもしれないね。ダンジョンには明日から行くのかい?」

「その予定です。それで命の件ですが……」

「ああ、タケとは話がついている」

 

 今日一日は完全休養日として各々が自由に『竈火の館(ホーム)』で過ごした中で、ヘスティアはオラリオに帰還して一休みしてから護衛として暇を持て余していたアルスを伴ってタケミカヅチファミリアのホームを訪問していた。

 訪問の理由は勿論、ヘスティアがいない間に纏まっていたヤマト・命のファミリア移籍について。

 

事情が事情(デビルモード)だしね。ボク個神としては受けても構わないと思ってるよ。タケとは神友だし、命君のことも知っている。1年後に再改宗してタケの所に戻る際の諸々の危険(リスク)も承知の上でということだからボクが断る理由は無いよ」

 

 ヘスティアファミリアは基本的に新規入団を断っており、移籍も断る方針ではある。例外として、再改宗する際にヘスティアファミリアで得た強さが消失(リセット)される等の危険(リスク)を承知の上で、神同士の同意さえあれば移籍はOKという話にもなっていた。

 タケミカヅチとは神界時代から知っているし、命が得てしまった『デビルモード』が広く知られてしまったらタケミカヅチファミリアが存亡の危機に遭う可能性もあってはヘスティアも受け入れに否やは無かった。尚、副次効果で破壊されるヘスティアの胃のダメージは考えないこととする。

 

「なにより今更、一人二人増えたところで変わらない。ファミリアの人員が増えるのは良いことだよ、きっと」

「そんなに遠い目をしながら言わなくても」

 

 命の移籍の件は滞りなく進んだが、ある種の諦めが滲み出ているヘスティアの口元が引き攣っているのを見て、強がっている姿にリリルカが呆れる。

 リリルカ(眷属)に呆れられたヘスティアは拗ねたように唇を尖らせてから、頭の後ろで手を組んで椅子の背もたれに身を預けて両足を投げ出す。

 

「だって、ボクってファミリアの主神だよね? 数日空けただけで新しい団員(ヤマト・命)はいるわ、家政婦(アンナ・クレーズ)までいるわ。ボクの立場ってどうなのって思うじゃないか」

 

 新しい団員候補や『竈火の館(ホーム)』で家事などを行う家政婦まで主神であるのに自身の預かり知らぬところで話が動いてことに寂寥感を感じざるをえない。

 

「色々と事後承諾ですみません」

「君達を責めるつもりはないんだ、実際に助かってるし。ただ、こう何時も事態はボクの手の届かないところで進むんだなと思い知らされただけだから」

 

 止むに止まれぬ事情があるとはいえ、ヘスティアの了承なしで二人のことを受け入れてしまったのも事実。

 頭を下げて謝罪するダフネに言ったヘスティアはそもそも事態が自分の思い描く通りに進んだ試しがないこととを思い出して、溜息と共に胸の内に蟠った不満を吐き出した。

 

 

 

 

 

 





オラリオ残留組の十日間の総獲得経験値は73356

アルテミス同行組は殆どモンスターを倒せておらず、獲得経験値は10000としました
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