包容力MAXのイギリス人が妹になったので一つ屋根の下で暮らします。   作:瓜生史郎

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27話 幼馴染の友達の店でバイトすることになった

「やっぱり、奈津希と同級生だったんだ」

「まぁ幼馴染の友達みたいな感じっすね……」

 

 机に置かれたチーズケーキを食べながら俺は答えると、ふーんと言いながら花瑠香は俺の顔全体を改めて見つめる。

 

 その隣では中原が不貞腐れた顔をして頬図絵を付いて窓の外を見ていた。さっきからこいつ全然俺に目を合わせようとしないんだよな。そんなに俺の事が嫌いなのか……。

 

 俺の顔を一通り見つめた花瑠香はニヤニヤと笑いながら中原の背中を何度もパンパンと音を立てながら叩く。

 

「ふーん。なつきー。いい感じの男じゃーん? 優奈ちゃん取られる前に……」

「ちょっとお姉ちゃん!! こいつとはそんなんじゃ……」

 

 中原は慌てながら花瑠香の背中を叩く手を押しのける。

 

 二人で押し問答をしているのを俺は気にせず、コーヒーを飲んでいると、花瑠香が俺の隣の席にやってくる。

 

「久野原。奈津希はこんな性格の女の子だけど、一生大切にしてくれる優しい娘だから……」

「は……はぁ……。そうですね」

 

 確かにこの前の優奈の一件の時も、傷つけてしまった俺に対してアイツの代わりに怒ってくれていたもんな。友達を宝物のように思っているんだろう中原は。

 

 てかいつの間に俺は中原と付き合うことになってるんだろう?隣でブチギレ寸前の中原がスクールバッグを持って花瑠香の頭を殴ろうとスタンバイしているし、もうやめてほしいな。

 

 チーズケーキ早く食べて帰ろ……。

 

 

 

「おいしかったです。ありがとうございました」

 

 チーズケーキを平らげた俺は花瑠香に一礼をして今度こそ帰る準備をする。窓を見るとそろそろ日も沈もうとしているので、遅くならない内にに帰らなくては。

 

「良かった。このチーズケーキうちの人気メニューで、これ目当てで遠方から買いに来る人も多いのよねー」

「手作りですか?」

「もちろん。私が1から作ってるよー。本当はお母さんが作って私となつきで接客するんだけど、お母さんが入院しちゃって、人手が足りなかったんだ。だから久野原が来てくれて嬉しいよ。ありがとうね」

 

 そんなことになっていたのか……。GW前に中原の家は大変な事になっていたんだなと憐れむ。

 

 まぁこのチーズケーキがどれだけ人気なのかはわからないが、素人の僕が食べても、この間クレアが買ってきたチーズケーキよりも遙かに超えるくらいおいしかった。おそらくGWには相当な数の人が来るんだろうなぁと予想される。そんな中で、母が入院してしまっては2人では裁き切れない。

 

 なんかこんな話を聞かされたら、ただ金欠で来た俺が恥ずかしく思えて来てしまうな……。

 

「いえいえ。GW頑張って乗り切りましょう」

 

 最初はあまりやる気がなかったが、花瑠香の話を聞いて断然やる気が出てきていた。

 

 ふと時計を見ると6時半を過ぎていた。こんなに時間たっていたのか。中原も機嫌悪そうに早く帰れオーラ出してるし……。そろそろ帰らないと。

 

「じゃあ今度こそ俺はこれで……」

「もう帰っちゃうのか? 私らと晩飯食っていきなよ」

「いや、妹が晩御飯作って待ってくれているんで」

「そうか。残念……」

 

 心底残念そうな顔をする花瑠香。勘弁してください。ここで晩御飯を食べて帰ると、クレアのご飯が食べられなくなってクレアの機嫌を損ねてしまいます。

 

「あんた妹いたんだ?」

「一応。義理だけどな」

 

 あまり関心がなさそうに「ふーん」と一言だけ言ってスマホをいじりだす中原。

 

 そうか優奈からは何も聞かされていないんだな。あの一件でクレアが妹だとバラされているものだと思っていたが……。

 

 あ、そうだチーズケーキをクレアに買っていくか……。

 

「すいません。妹にチーズケーキ買っていきたいんですけど……」

「あぁいいよ。これも私のおごりでいい」

「さっき一個もらったのに、申し訳ないです」

「気にするな。GW返上で来てくれたお礼だよ。用意してくるから待っててくれ」

 

 そう言って花瑠香は立ち上がり、厨房へまた入って行った。

 

「あんた意外と妹に優しいんだね」

「まぁ、可愛い妹だからな」

「うわぁ。あんたブラコン?」

「ちげーよ!!」

「覚えちゃったー。優奈に今度チクっちゃおうーと」

 

 口に手を当ててニヤニヤと体育の時間に初めて会った時のような顔を見せる中原……。いつ見てもムカつく顔だ。

 

「お好きにどうぞ」

「何? 久野原の妹そんなに可愛いのか? 写真みたいな……」

 

 ケーキボックスを持った花瑠香が興味津々に、俺の肩をもう一方の手で揉むように触ってくる。

 

「それは勘弁してください……」

「そうか残念……」

 

 そう言いながら残念そうな表情をして、ケーキボックスを俺に手渡してきた。

 

「ど、どうも……。ではまた」

 

 俺はケーキボックスを片手に店を後にする。花瑠香はずっと小さく手を振ってくれていたが、中原は興味なさげにずっとスマホをいじっていた。GW中原とやっていけるのかなぁ?

 

 外に出るともう空は暗くなり始めていた。まさか中原のお店だったとは……予想外だった……。優奈め……俺と中原が仲悪い事は知ってただろうに……。今度会った時問い詰めてやる。

 

 とりあえず今から帰るとクレアにLINEするか……。とスマホを取り出したと同時に通知音が鳴る。

 

『植野優奈が貴方をクノハラ・フレンズに招待しました』

 

「なにこれ……」

 

 通知センターに表示された文字を見て俺は困惑していた。メンバーを見ると、優奈とクレアだけだった。グループLINEはあんまり好かないけど、メンバーがこいつらだったらいいか……。

 

 俺は承認ボタンを押してグループに入る。

 

『友太君、いらっしゃーい』

『友太、やっときた』

 

 俺が入ったと同時に二人から、トークが送られてくる。

 

『なにこれ』

『私と優奈さんと友太君が仲良くするグループだよ。もちろん友太君が仲良くなった友達も入れて良いよ♡』

 

 いつの間にかクレアも優奈と名前呼びになってる。これは2人とも相当仲良くなってるな……。あの時取っ組み合いの喧嘩をしたのが嘘のようだ。

 

『まぁ。多分お前ら以外にはもう増えないかな?』

『そう? 最近仲が良い奈津希をいれてあげてもいいのよ?』

『それだけは勘弁して……』

 

 優奈からぶーと不貞腐れているスタンプが送られて来たところで、あ、そうだ優奈に言う事があったんだとキーボードを叩く。

 

『優奈、お前俺が中原と仲が悪いのわかっててあの店紹介しただろ?』

『バレた?』

 

 そのトークと一緒にてへぺろというポーズをしている動物のスタンプが送られてきた。

 

『勘弁してくれよぉ……』

『奈津希すごく良い娘だから大丈夫だよ?』

 

 そうは言われても、あんな風に面と向かって嫌いと言われたり、睨まれたりすると本当にいい娘なのかな?と思ってしまう。

 

『ちなみに奈津希に友太と仲良くしてねって言ったのは私』

『お前かよ、なんでそんなこと……』

『だって、私の知ってる人同士が仲が悪いのっていやでしょ?』

 

 やられた……。まさかあの時優奈に言ったセリフをここで返されるとは……。

 

 そうだよな、優奈の知ってる人同士が仲悪いのは嫌だよなぁ。でも中原、本当に俺苦手なんだよな……あいつと仲良くなれる気がしねえよ。まぁ、ああなったのは全部俺のせいなんだけど……。

 

 『そうだな。ありがとう』

 

 と送信すると優奈から、サムズアップしたスタンプが送られてきた。

 

 てか、別に中原と仲良くしなくてもいいんじゃないか?もうぶっちゃけ3人も友達ができたんだし……。向こうも嫌いって言ってるし、それでいい気がする。

 

 「さて本当に暗くなってきたし帰らないとな」

 

 今度こそ帰路に付こうとスマホを仕舞おうとすると、また通知音が鳴る。

 

『いつ帰ってくるの?』

 

 メッセージと共に寂しそうな顔をしているクレアの自撮りも送られてきていた。新妻かというツッコミはさておき、俺はもらったケーキケースの箱を開けて、チーズケーキの写真を撮って『もう帰るよ』のメッセージと共に写真を送信する。

 

『チーズケーキ!! 食べたい!! 食べたい!!♡♡ 早く帰って来てね♡♡』

 

 興奮しながら打ってるのがわかるようなメッセージを返信してくるクレア。これはチーズケーキをもらっておいて正解だったようだ。

 

 スマホをポケットにしまうと、俺は自分の家に向かって歩いて帰って行ったのだった。

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