包容力MAXのイギリス人が妹になったので一つ屋根の下で暮らします。   作:瓜生史郎

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34話 スーパーで知らない女の子に話しかけられた

「お疲れ様でしたー」

 

 バイトが終わり喫茶店を出た俺は家へ帰宅するべく歩き始める。

 

 そういえば今日もクレアはアルバイトだったな。何かスーパーで買っていくかと思い立ち、陽が沈もうとしている空を見上げなら、歩き始めると突然スマホの通知音が鳴る。

 

「うわ……小原だ」

 

 画面に表示された名前を見て一気にテンションが下がった。どうせ三瀬川との写真を送って来たのだろうと安易に予想できる。

 

 正直トーク画面開くのをやめようと思ったが、実は大事な話かもしれないというパターンもあるのでトーク画面を開く。

 

『三瀬川と楽しんでまーす!』

 

 というメッセージと共に三瀬川と楽しそうな笑顔の表情をした2ショット写真が送られてきていた。

 

「見なきゃ良かった……」

 

 何も送らずに俺はトーク画面を閉じると見たことに対する後悔の念が押し寄せて来ていた。

 

 返信をすると絶対小原は調子に乗って、立て続けに写真を送ってくるに違いない。こういう時は無視をするのが一番の最善策なのだ。

 

 スーパーでなんか買って帰ろうと……。

 

 

 

 

 家の近くにあるスーパーへやってきた俺は何を買っていこうか迷っていた。

 

 とりあえず昨日時点で切れかかっていた調味料や、冷蔵庫に超蔵している飲み物等を買っていくのは確定しているがそれ以外は全く思いつかない……。

 

 するとお総菜コーナーを通りかかると、有名店の唐揚げフェア開催中と大々的に書かれたポップが飾られていた。人気店ということもあってか、残り1つだった。なんかこの店いつも何かしらのフェアをやってるような気がする。

 

 唐揚げか、最近食べていなかったような……。俺はフェアという言葉と匂いにつられて唐揚げが入ったパックを手に取って籠に入れようとする。いや待てよ……?クレアは絶対疲れて帰って来ても料理を作りそうだな……。となるとこれを買っていくとまたあの時みたいに機嫌悪くなりそうだなぁ……。

 

 となるとなんか食材を買っていくか……。本当は食べたいけどここは我慢だ。俺は唐揚げの入ったパックを棚に戻し、総菜コーナーを離れようとした時だった。

 

「あの、これもらっていいんですか?」

 

 突然の呼びかけに振り向くと、先ほど棚に戻した唐揚げの入ったパックを持ち、俺の学校と同じ制服でおさげのツインテールような髪型をした愛愛しい雰囲気の女の子が立っていた。

 

「別にいいよ」

「でも、最後の一個……」

「気にしないで、俺はいらないから。あんたが買っていいよ」

「そうですか……。ではお言葉に甘えて」

 

 そう言っておかずを籠に入れて去って行こうとすると、立ち止まって速足で近づいてくる。

 

「あの……久野原君だよね?」

「そ、そうだけど……」

「久しぶりー、小学校以来だね。もう会えないかと思っていたよー」

 

 万年の笑みで顔を近づけて来ていたが、俺にはこの娘が誰なのか全くわかっていなかった。

 

「えと……誰だっけ?」

「これ被ったらわかるかな?」

 

 取り出してきたのは黒いベレー帽だった。それを頭に被って「どうかな?」と言っていい迫ってきていたが、それでも俺は誰だか分からなかった。

 

「ごめん……本当にわかんないや」

「そっか、そうだよね……。もう何十年も会ってないし、しょうがないよね」

 

 先ほど違って沈んだ顔つきでそう言っている彼女を見ていると、おそらく向こうは昔俺と相当仲良かったのだろうと思われる。

 

 もしそうなら名前を名乗ってくれれば思い出せるのだが、何故だかこの娘は名前を名乗ろうとしないのだ。そちらが名乗らないならこちらから聞いてみることにする。

 

「えっと、何て名前だっけ……?」

「ううん、気にしないで。また会おうね……」

 

 そのままおさげの女の子は名前も名乗らないまま去って行ってしまった。

 

 マジで誰だったんだろう……?まぁいいや気にしないでおこう。

 

 

 

 

 少量の野菜と切れかかっていた調味料、それとお菓子を買ってスーパーから出る。甘いものを食べたくなったからとはいえ金欠なのに何やってるんだろう?俺は。

 

 罪悪感に苛まれながら歩いていると、スマホの通知音が鳴る。また小原じゃないよなーと思いながらスマホの画面を見ると優奈とクレアがいるグループからだった。

 

『友太おつー』

『友太君~お疲れ様~』

 

 それぞれスタンプと共にメッセージが送られてきていた。あれ?まだバイトの時間じゃなかったけ?と思いながら返信を返す。

 

『もう終わったのか?』

『まだ。今休憩中』

『そういえば友太君ー? GWはいつ開いてるの?』

『3日後だな。丁度そこでバイトが終了する』

 

 メッセージを送ったとほぼ同時に歓喜のスタンプが送られてきていた。

 

 絶対これは優奈から事前に聞かされていただろう……。どうせ中原からアイツは4日働く事になったからみたいなやりとりをしたいてたのだろう。

 

『丁度私達二人も3日後にバイトが休みなの、そこで一緒に出掛けてパーティーをしよ?』

『わかった。そうする』

『じゃあ決まりねー』

『楽しみー♡』

 

 2人の歓喜に満ちたメッセージを見て俺はスマホを閉じようとすると、今度は優奈から個人でメッセージが送られてくる。

 

『ねぇ、私に言っておかないといけない事があるんじゃない?』

 

 文面から見るに相当な怒りが込められているような雰囲気がした。え?何々?俺何かしたっけ……?

 

 俺は何も分からないまま困惑していると、今度はスタンプでぽきぽきと指を鳴らしている動物が送られてきていた。相当ご立腹のようだ。

 

『ふーん。しらばっくれるんだー? 私知ってるよ? なつきを盗撮して押し倒したって』

『!?』

 

 顔から血の気が引いて行くのを感じた。アイツ……。チクりやがったのか……。不慮の事故だったとはいえこれはまずいぞ……。

 

 あの野郎……。と怒りを込めて拳を握りしめていると、さらに畳みかけるようにメッセージが送られてくる。

 

『しかも……、パンツまで見られたって』

『それは知らない』

 

 俺は速攻でキーボードを叩いてメッセージを返した。そんな事をした覚えが全くないんだが……?アイツ話盛りやがったな……。

 

『じゃあ押し倒したのは認めるんだ……。へーふーん……』

『すいませんでした。僕が全部悪いんです……。貴方の友達にセクハラしたの謝りますから……』

『私じゃなくて、奈津希にちゃんと謝ってね?』

『はい……』

 

 くそぉ……。俺が全部悪いとはいえ優奈にチクられるとは……。しかも話を盛られて。頭の中にはニヤニヤと笑う中原の顔が浮かび上がっていた。謝りたくねぇ……。

 

 スマホの画面にはクレアから『友太君のエッチ』というメッセージの通知が表示されたが、もう返す気力は残っていなかった。

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