包容力MAXのイギリス人が妹になったので一つ屋根の下で暮らします。   作:瓜生史郎

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35話 妹に見せつけられた

 珍しく朝早く目覚めた俺は眠い目を擦りながらリビングへ向かった。

 

 すると、薄いピンク色のベビードールの上からいつものエプロンを付けたクレアが既にキッチンに立っていた。

 

「おはようー。友太君」

「おはよう、クレア」

「珍しく早いね」

「まぁたまにはな」

 

 俺は眠い目を擦りながら、クレアに挨拶を返し、椅子に座ると、クレアはあったかいコーヒーが入ったカップを机に置く。

 

 今日で3日目か。意外とバイトは楽しかったし、このまま俺も別の場所で長期のバイトに入ろうかな?と思いふけながら、クレアの立っているキッチンに目を向けた時だった。

 

「クレア……、いつの間に脱いだんだ?」

 

 寝ぼけているんだろうか?先ほど見たクレアはエプロンの下にはベビードールを着ていたはずだ。

 

 だがどうだろう?今彼女が向けている背中にはそのベビードールの薄いピンク色の生地はない。白く柔らかそうな肌とお尻だけが見えていた。

 

「お尻?!」

「友太君、いきなり叫んでどうしたの……?」

 

 俺の声にびっくりして、こちらを向いたクレアはちゃんとベビードールを着ていた。だが、下はパンツだけしか履いていない……。

 

 てかあれまさか、お尻が見えたって事は、今履いているのTバックなのでは?

 

「お前、そのパジャマ後ろどうなってるんだ……?」

「これ? いいでしょう? すごく涼しいんだ」

 

 エプロンを外して、ゆっくりと回転しながら、クレアは自分の着ているベビードールを見せつけてきた。

 

 背中には布がないと思っていたが、よく見るとちゃんと生地があり、薄いシースルーと呼ばれる生地でかなり際どいものとなっていた。これ、高校生が着るものじゃないと思うんだけど……。

 

「ほぼ、これ下着じゃん!」

 

 妹の着ているパジャマに文句を言いたくなかったが、流石に際どすぎるので文句を言わざるをえなかった。

 

「な、何言ってるの? これパジャマだよ? ベビードールって言う」

「嘘つけ!嘘を!ベビードールってワンピースみたいなパジャマだろ? お前のそれほぼ下着じゃねーか」

「えー、でもー男の子ってこういうのが好きなんじゃないのー? お母さんがこの前言ってた」

 

 こいつの母さんは娘にTバックを履かせたり、こんなにいやらしいパジャマを紹介したり、どんな教育をしているんだよ。

 

 兄が俺みたいな冷静な奴じゃなくて、変に欲情する悪い兄だったら朝から大変なことになっているところだったぞ……。

 

「とにかく、何か羽織ってくれ……。朝から目に毒だ」

「もう……エッチ……」

 

 そう囁きながら、足早に自分の部屋へと戻っていった。何で朝から妹のいやらしい姿を見なきゃいかんのだ……。

 

「ちなみにこういうの、後2着もってるよ」

 

 台所の入り口から顔だけを出して、そう一言呟いてまた消えてしまった。

 

 ダメだ妹に惑わされるな。平常心、平常心……。俺は自分の心を落ち着かせるためにコーヒーを飲んだ。

 

 

 

 

 

 ベビードールからピンクの可愛らしいフリフリのワンピースに着替えたクレア。ようやく普通にクレアを凝視できるんだと考えるれば安心できる。最初からこの服を着てくれていれば良かったものを……。

 

「今日もバイトなんだー」

 

 朝食を食べている俺の隣で、クレアはカバンの中に何やらポーチを入れたり小さなタンブラーを入れたりと出かける準備していた。

 

「今日の服可愛いでしょ?」

 

 そう言いながらクレアは鼻息を荒くしながら俺に近づいてきて、薄いピンク色のワンピースを見せつけて来る。

 

「似合ってる」

「ぶー。そう言うのじゃなくてー、もっと可愛いって言って」

 

 頬を膨らませたクレアが俺に迫ってくる。また始まってしまった……。こうなると長いんだよなぁクレアは……。

 

「可愛い」

「感情が籠ってないのー。友太君はもっと感情をこめて言わないと」

 

 後ろから抱き着いてくるクレア。うぅ……朝から胸を押し付けてこないでくれよ……。

 

「感情込めて、可愛いって言ってくれるまでこれやめないからねー」

 

 クレアめ、自分の大きくて柔らかい胸を的確に俺の背中に押し付けてきやがる……。

 

 しょうがない……。ここは本気を出すか。俺は少し咳払いをして喉を整える。

 

「クレア。その服すごく似合って可愛いよ」

 

 我ながら、自分が聞いたら吐き気をもようすくらいのイケボを出したつもりだが、ちなみに優奈に聞かせたときはこれで一撃だった。クレアにはどうだろうか?

 

「友太君……」

 

 まるで銃で胸を打ち抜かれたかのように、俺の声に仰天するクレア。

 

 そのまま「幸せ」と呟いて、倒れてしまった。

 

「お、おい大丈夫か?」

「う……うん……すごかった……」

「そりゃ、どうも」

 

 倒れたクレアにお礼を言いながら俺は起こそうとする。そんなにあの声が良いのかな?優奈にやった時もこんな感じだったんだよなぁ。

 

 そんなに良いのかな?この気色の悪い声。

 

「何やってるの? 友太?」

 

 突然この家にいない人間の声が聞こえてきたので咄嗟に聞こえた方向を向くと、私服姿の優奈が呆れた表情で立っていた。

 

「優奈? なんで俺の家に……?」

「クレアさんを迎えに来ただけだけど」

 

 優奈に気づいたクレアは「やっほー」と顔を赤くしてご満悦そうな顔をして優奈に手を振った。

 

 それを見た優奈はすかさず俺を睨みつける。

 

「クレアさんと朝から何してたの?」

「い、いや何もしてない……」

「それにしては、クレアさんの顔がすごく赤いけど……?」

 

 かなり的確にいつものクレアと違うところを言い当ててくる優奈。鋭い……ここは正直に言うしかないか……。

 

「この前優奈にやったイケボをクレアにもやったら効きすぎて、倒れちゃってな」

「あー、そう言う事ね……。てっきり朝から良からぬ事をしたのかと……」

「いや、朝からする訳ねーよ!!」

「どうだか。奈津希にセクハラしたくせに……」

「うっ」

 

 まだ根に持っているんだ……。女性の恨みは怖い。

 

 そんな事を思っていると、クレアはもうカバンを肩から下げていてもういつでも家から出られる状態となっていた。

 

「優奈さん、少し早いですけど行きましょうか」

「そうね。じゃあまたね。友太」

「あぁ、二人ともいってらっしゃい」

 

 俺は2人を見送った後、急いでクレアの作った朝食を食べて中原のお店へ行く準備をして家を出たのだった。

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