包容力MAXのイギリス人が妹になったので一つ屋根の下で暮らします。   作:瓜生史郎

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37話 幼馴染の友達がヤンキーに絡まれた

 家に帰ってからも俺はやつれた顔をしてリビングの机に突っ伏していた。

 

 なんで俺中原怒らせちゃったんだろう?悪いのは勝手に見せつけてきた向こうなのにな……。もう口聞いてくれなさそうだなぁ。

 

「何かあったの?」

 

 心配そうに俺の傍に近づき聞いてくるクレア。

 

 よほど俺がいつもと違って、落ち込んでいたからだろう。

 

「いや別に……いろいろとな……」

 

 曖昧な返事をしてしまう俺。流石に中原のパンツを見てしまってビンタされたとは言いづらく……。どう言おうかなと考えていると、突然クレアは慌てたように顔に手を当てる。

 

「赤くなってる……どうしたの?」

 

 丁度中原にビンタされた頬を手で優しくさするクレア。水で冷やしてもう大丈夫だろうと思っていたが、まだ赤くなっていたらしい……。

 

 こいつこういう時は鋭いんだよなぁ。

 

「えっとその……」

「正直に話して? 今日中原さんと何があったの?」

 

 まるで悪いことをしたお母さんが子供を問い詰めるように聞いてくるクレアに観念した俺は、今日あった事を正直に全て話した。

 

 すると、だんだんとクレアの顔が曇って行き、気づけばピクピクと体を震わせながら顔を下に向けていた。

 

「友太君……?」

 

 まずい、流石のクレアも不慮の事故とは言え中原のパンツを見てしまった俺に腹を立ててしまったのか?と覚悟を決めているとクレアは俺の頭を優しく撫で始める。

 

「友太君。えらいよ中原さんとそこまで仲良くなったんだね?」

「ま……まぁ……」

 

 別に仲良くなった覚えはないが俺はクレアの話へ合わせるためにうんうんと頷く。

 

「私……友太君がこんなにも変わってくれて嬉しい……」

 

 特段代わってもいませんが……と内心申し訳なさそうに頭を抱えていた。

 

 そんな風に考えていると、クレアは急に真面目な顔になって俺の肩を両手で優しく掴んだ。

 

「でも、流石に女の子がパンツを見られていい気分だと思う?」

「嫌な気分だと思います」

「だよね? だから明日中原さんにちゃんと面と向かって話し合って謝ろうね?」

「わかった」

 

 優しく俺に言い聞かせるクレアだが、かなりの説得力があって、いつの間にか俺は丸め込まれてしまっていた。

 

 でもアイツは今、口も聞いてもくれないし、目も合わせてくれない。どうやって仲直りしようかなぁ……。

 

「ところでさ……」

「何だよ」

 

 急に小声で話すクレア。なんだろう?なぜかいやな予感がする。

 

「中原さんって何色履いてたの?」

「は?」

 

 突飛推しもない質問に唖然とする俺。突然なんて質問してくるんだこの妹様は……。

 

 答える事は簡単だが、ニヤニヤとするクレアに不信感を抱きかねない。これは絶対に罠だ。

 

「何でそんな事聞いてくるんだよ」

「日本の女の子ってどんな色が好きなのかなーって」

「優奈に聞けばいいだろ?」

「だって教えてくれないんだもん。だから実際に見た友太君に教えて欲しいの」

 

 そういえば優奈かなりガード硬かったけ?夏服とかも普通は結構透けたりするものだが、アイツは一切透けていない。それくらい徹底しているのだ。

 

 でもなんか仲良くなって女の子には教えてそうなイメージがあったけど、教えてないという事は相当なガードの硬さだな。

 

「ねー友太君ーおねがーい」

「いやだ」

「ねぇったらー」

 

 いやいや無理だって、絶対明らかに罠だろこれ、騙されんぞ?

 

「お願い……友太君……」

 

 うるうると誘惑するようなクレアの目に俺はついに感服してしまう。

 

 畜生。やっぱり俺はこういうのに弱いなぁ……。

 

「紫だったよ……中原は」

「へー紫ー。ありがとうね友太君」

 

 あれ?特段何にもなかった?結構今俺何か起きると思って身構えてたんだけど……?

 

「教えてくれてありがとう友太君。私お風呂入ってくるね」

「あ、はい」

 

 俺はクレアの後姿を見て、ほっと一息ついた。また優奈に怒られるかと思った……。

 

 まぁでも本当に何にもなくて良かった……。

 

 

 

 

 

 

 

  最終日、何時ものようにカフェにやってきた俺は、床をモップで磨ている中原に「おはよう」と挨拶をするが、やっぱり目も合わせてくれない。

 

 なんだよ……。まだ怒ってるのかよ。理不尽すぎやしないか?元はと言えば中原から見せつけて来たのに……。なんか謝るのも馬鹿馬鹿しくなってきた。俺は中原の横を通って急いで更衣室に向かった。

 

「今日で終わりだな」

「そうですね。お世話になりました」

 

 そう言いながらこちらへ近づいて来ていたのは花瑠香だった。よく見ると少し顔がニヤついているの気のせいだろうか?

 

「奈津希とまだ仲直りできてないんかー?」

「ふーん。私が代わりに聞いてあげても良いんだけどな」

 

 やはりやっぱり気のせいじゃなかった。ニヤニヤとした顔で「どうする?どうする?」と聞いてくる花瑠香の顔は妹のニヤついたときの顔と瓜二つだった。ムカつくが中原と繋いでもらうには今は花瑠香に頼むしかない。

 

「じゃあお願いします」

「いやそこは、自分で頑張りますって言えよ……」

 

 そう言って呆れた表情をして、店の方へと歩いて行ってしまった。

 

 じゃあ言うなよって言えるような立場でもなく、花瑠香の後姿を俺はただひたすらに見つめる事しかできなかった。

 

 

 

 

 

 気付けば早いものでお昼過ぎ。俺は何時ものようにレジ打ちで大量のお客さんをさばいていた。もうこの作業もいつの間に慣れて来ていてお手の物となっていた。

 

 するとそこに勢いよく店のドアを開けて、ヤンキーのような姿をした男3人組が入ってくる。

 

「おいごらぁ!!」

「何か御用でしょうか? それとお店の中でお静かにお願いします」

 

 威嚇するように睨みつけるヤンキーに、中原は冷静に対処する。

 

 確かアイツ複数の人の前に立つのが苦手じゃなかったけ?大丈夫なのか?と俺は不安げに中原を見つめる。

 

「何か御用じゃねえ!! さっきお前のとこでチーズケーキ買ったらよぉ、カビ生えてたんだけどどうしてくれんだ?」

「カビ?」

 

 持っているチーズケーキを見ようとすると、すかさずヤンキーはケーキを隠してさらに威嚇する。

 

「どう落とし前付けてくれるんやー? おおん?」

「あ、えっと……」

 

 まずい中原小刻みに震えはじめてるな……。ヤンキーだけじゃない。カビと言われて店の中にいる客の視線を一気に集めてしまっているせいだ。

 

「おいおいどうした?」

「あ……くっ……」

 

 なんだよあれ……女の子をよってたかっていじめて、ひどすぎるだろ……。中原の事を貶めたいのか?わざと大声で店内にいるお客さん全員に聞こえるように言ってやがる。

 

 中原が大勢の人に囲まれると固まってしまう事を知っているかのようだ。

 

「なぁ……何とか言ったらどうなんだ? あぁん?」

「……ッ……」

 

 ダメだ。もう中原は完全にキャパオーバーでフリーズしてしまっている。周りにいる男たちはなんで動こうしない?

 

 女の子が困っているんだぞ?くそ……。あまりもうこんなことはやりたくなかったが、やむを得ない。俺はレジカウンターから飛び出してヤンキーの前に立ちはだかった。

 

「横から失礼します。何かうちの商品に不備がございましたか?」

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