包容力MAXのイギリス人が妹になったので一つ屋根の下で暮らします。   作:瓜生史郎

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40話 妹と幼馴染と遊びに行ったpart1

 中原のカフェでのバイトが終わった次の日、クレアと家を出た俺は優奈との待ち合わせ場所である駅へと向かう。

 

 「待ちに待ったこの日……。楽しみ過ぎて夜も眠れなかったよー」

 

 そう言いながらスキップをするように歩くクレアはピンク色のレース袖のニットに、黒いミニスカートという可愛らしい私服姿でとても気合が入っていた。

 

「それにしては全然眠そうに見えないけど」

「楽しみー」

 

 あ、無視した。こいつ絶対普通に眠れているよな?ばっちり目がさえているように見える。

 

 だけど、楽しみにしていたのは、嬉しそうな表情や仕草でわかる。見ているこちらもとてもいい気分だ。

 

「ところで、どこに行くか決まっているのか?」

「市内のイノンに行こうと決めてるよ」

 

 イノンか、行くのは10年ぶりくらいか……。服も近場でしか買ってなかったし買い物の近場で済ませていた。それに長期の休みの時もほとんど家に引きこもっていたし行く機会はなかったのだ。

 

 今市内のイノンはどうなってるんだろう?内装とか変わってたりするんだろうか?

 

「それよりもファンクラブとか言うやつがイノンにいないか心配だな」

「大丈夫だよ、時間とか場所のやり取りは全部LINEだから、絶対にわからないはずだよ」

「それなら大丈夫か」

 

 相当徹底しているようだ。アイツらにハッキングとかそんな技術がない限り大丈夫だろう。

 

 暫くして駅に着くと、白いフリルブラウスに、黒いスカートと言うとてもおしゃれな私服姿の優奈がスマホを触りながら立って待っているのが見えた。

 

「優奈さーん」

「あ、来た来たおーい」

 

 俺達に気づいた優奈は俺とクレアに手を振って場所をアピールする。

 

「間に合って良かったー。電車後10分で来るとこだった」

「まじかよ……」

 

 俺は慌てて券売機に向かい、財布からお金を出して切符を買い始める。

 

「そんな慌てなくても……」

 

 落ち着いた表情で、クレアは止めようとするが、俺は真顔で電光掲示板の次の電車の時刻を指差す。

 

「えっ……嘘……」

 

 クレアが驚くのも無理はない。そうここはまぁまぁそれなりの田舎。もし電車を乗り過ごせば次は30分以上後である。

 

「ごめんね……」

「良いんだよ。早く買って行こうぜ」

 

 申し訳なさそうな顔をして、クレアは慌てて切符を買い始めたのだった。

 

 

 

 

 

 無事電車に乗った俺達は4人掛けのボックスシート座席に向かい合うように座っていた。

 

 券売機でクレアが画面に表示された文字が漢字で、どれが目的の駅どれが目的の駅か分からないと言い出した時はどうなる事かと思ったが、何とか間に合って良かった。

 

「そういえば友太、奈津希と仲良くなれたんだって?」

「全然」

 

 俺はキッパリと言い切った。だってまた面と向かって嫌いって言われたし。

 

「だって奈津希、家まで友太の忘れ物を届けに来たんでしょ?」

「あー、そう言えば来たわ。あれ優奈が俺の家教えたのか?」

「そうだよ。アイツ忘れ物してやがるーって私に友太の家何処だって聞いてきたんだよ?」

 

 やはり教えたのは優奈だったか……。わざわざ忘れ物があるって嘘をついてまで来てご苦労なこった。

 

 ムカつくから優奈に言いふらしてやろーと。

 

「やっぱりそうだと思ってた。でも忘れ物は俺のじゃなかったよ、その代わり中原が自分で作った料理を余ったって言ってくれたわ」

「奈津希が優太の家に料理を?珍しい……」

 

 よっぽど珍しかったのか、驚いた表情をする優奈。これでおそらく後で優奈は中原に「えー?奈津希、友太に余った料理あげたんだって?」とか「忘れ物は嘘で本当は料理を届けたかったんじゃないのー?」と言ってからかわれるのが目に浮かぶぜ。

 

 だが、今の話を聞いて心底機嫌を悪くする方が1人いた。

 

「へー、キッチンにきれいに洗ったタッパーがあると思ってたら、中原さんのおすそ分けしてくれた料理だったんだ……。私も食べたかったな」

 

 そうクレアだ。実はよっぽど腹が減っていた俺はクレアが帰ってくる前に中原が作った料理を平らげてしまったのだ。

 

 満腹になって正気になった俺は、クレアに見つかるまいとバレないようにタッパーを洗って、隠していたのだがどうやらバレていたようである。

 

「もしかして一人で全部食べたの?」

「ごめん……」

 

 罪を認めた瞬間に、2人は何かを目論んでいるような目で俺の方を見ながら、コソコソと何やら話し始めた。

 

 やばい、何かする気だ。この2人は……。

 

「ひどいよ……。優太君……私いっつも頑張って作ってるのに……」

 

 急に目に涙を浮かべて訴えかけるクレア。くっ……こいつ俺が女の子の涙に弱い事を知った上で……。

 

「あーあー。泣かせちゃったー」

 

 優奈はクレアを庇うよに抱きしめて、呆れた表情で俺を見つめる。

 

 これはもう素直に謝って、クレアの機嫌を良くするしかなさそうだ。こんな事しなくても俺は普通に謝るつもりだったのに、なんでこいつらは俺の心をえぐるような事をするんだ?

 

「ごめん、クレア……。今度からは残すようにするから」

「絶対だからね。でも今日はお詫びとして私の欲しい物なんでも買ってもらおうかなー?」

 

 やっぱり最初からこれが目的だったか……。短期バイトの収入で俺の財布が膨らんでいるとわかっていてだ。

 

 覚悟を決めるしかないか……。

 

「で、何をご所望で?」

「うーん、服が欲しいなぁー」

「わかった」

 

 ふぅ……。服なら何とかなりそうだ。これでアクセサリーとか言われたら俺の財布が散在してしまうところだったが。

 

「で、奈津希と私の料理どっちが美味しかった?」

「うぐッ……」

 

 今度は優奈から仕掛けてきた。だけど選択肢にクレアが入っていないだけ少しは良心があるようだ。

 

 隣では堪えきれずにクレアがくすくすと笑っていた。こいつやっぱ嘘泣きしてたのかよ。

 

「えっと、ど」

「あ、どっちもはなしだからね」

 

 先手を打たれてしまった。こういう時ってどう言えば良いんだろうか??

 

「困ってる、困ってるー」

 

 お互い顔を合わせて、してやったりと言った表情をする優奈とクレア。こいつら前よりもっと仲良くなってないか?

 

 顔を見合わせてる二人を見て俺はため息をついて「あのなー」と言いながら切り出す。

 

「流石に困るだろうよ。だって選べるわけないし」

「どういうこと?」

「だって2人とも料理がうまいし、どっちもすごく美味しいし……。なんかどっちかって選べないんだよな」

 

 まだ中原の料理は筑前煮しか食べたことはないが、恐らく中原も優奈と同じくらいの腕前なんだと思う。それに優奈も安定とした料理の腕前だし正直どっちが美味しいかなんて選べない。

 

 本当の所を言うと、どっちが良いかなんて選ぶのも俺があまり好きじゃないというのもあるが。

 

 我ながらすごく言い返しができたなと、ドヤ顔で2人を見ると、優奈が少し顔を赤くしてはにかんだ表情をしていた。

 

「馬鹿」

「え? なんで顔を赤くしてるの?」

 

 突然顔を赤くしている優奈に俺は変な事言ったのかな?と焦って問い掛ける。

 

「ニブチン」

「いやだからなんでだよ」

 

 クレアからも呆れられて、ますますなぜ優奈が照れたのかわからなくなってしまった。

 

 普通の事を言ったと思ったんだけどなぁ……。

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