包容力MAXのイギリス人が妹になったので一つ屋根の下で暮らします。   作:瓜生史郎

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47話 妹の誕生日プレゼントを買いに行った

 俺が1年で一番嫌いな月は6月だ。GWが終わった後の5月病でしんどいし、長期の休みもない。おまけに雨も多く傘という荷物も増えるからだ。もう6月をなくして7月にいってくれないかと毎年思っている。

 

「GW楽しかったな……」

 

 グループLINEに送られてきていたGWのパーティーの写真を俺は見返していた。ハプニングもいろいろとあったが、本当に有意義な一日だった。

 

 あれ?俺はここである事に気が付く。

 

「俺、すごく楽しそうな顔してる」

 

 そう。あんなに、多くの友達と群れる事を嫌がっていた俺がとても楽しそうな顔をしていたのだ。

 

 いやでも、これはクレアや優奈や中原がいたからか……。多分他の奴らだとこんな顔はしないだろうな。

 

 それにしても、俺こんな顔するようになったんだ……。少し前の俺に見せたら、きっと驚くだろう。そうしみじみとしながら、スワイプしていると、小原と三瀬川の2ショット写真が現れた。

 

「あ……」

 

 一気にテンションが下がった。そういえば、GW終わった後、教室で淡々と小原から自慢話を聞かされたんだよな。

 

 惚気話ばっかで、30分くらいずっと話してたんだよなぁ……。俺のパーティの話はそっちのけで、今度三瀬川に会ったら、小原って奴、貴方の惚気話ばっかやってきてうっとおしいです。とチクっといてやろう。

 

 そんな事考えてたら、めっちゃ疲れてきた。外は雨降りそうだし……、嫌だなぁ……。

 

「しんどい……。6月なんて消えてしまえばいいのに」

「何言ってるの?」

 

 急なツッコミにびっくりして振り向くと、呆れた表情で優奈が立っていた。

 

「お前、いつの間に……?」

「さっきからいたけど。何? 6月が消えて欲しいって……?」

「だって6月が嫌いだから……」

「まぁ私も6月はジメジメするわ、おまけに蒸し暑いわで嫌いだけどさ……」

 

 優奈はそう言って、俺の机の前の席に座った。

 

「でも夏服になって、防御が薄くなるのは良いかも……」

「友太の変態」

 

 考えている事がバレてしまったようで、胸の当たりを腕でクロスさせて、優奈は隠すようにする。あんた結構夏服でも防御硬いでしょうに。

 

 そう言えばこの学校、夏服にしていいのは6月の下旬からなのだが、なんでそんな時期が決まっているのかがよくわからない。他の学校では生徒に一任するとかになってたりするのに。

 

 最近は5月の下旬当たりでも蒸し暑くなってきたのに、この学校の教師は頭のお堅い人らばかりのようで、他の生徒が再三夏服の時期を早めるように要望を出しても通った試しがない。

 

 しかも暑いからって、学ランを脱ごうとすると、怒られてしまうと言う始末だ。本当に理不尽すぎるよ、この学校。

 

 その後、一緒に帰る事となった俺達は学校から出て、途中まで同じ道のりを並んで歩いていた。

 

 外に出ると、教室にいた時よりもさらに蒸し暑さが襲って来ていた。隣を歩いている優奈「あっつー」と言いながら顔にハンディ扇風機を当てていた。

 

「そういえば、6月と言って何か思い出さない?」

「うーん」

 

 6月ってイベントなんかあったけ?別に何もなかった気がするんだけど。

 

「マジで言ってる?」

「うん」

「本当に……思い出せないの?」

「ごめんわかんない」

 

 俺がそう言った後、渾身のため息をつく優奈。え、そんなやばい事忘れてたっけ?と焦りの気持ちが出て来る。

 

「良かった。聞いといて」

「マジで俺なんか忘れてることあったか?」

「クレアさんの誕生日、明日って事覚えてない?」

「あ! そうだっけ?」

 

 初めて会った時に6月って言ってたけ?日付までは聞いていなかったなぁ……。

 

 6月になっても、クレアが何も言わないから全く気にもしていなかった。

 

「馬鹿……。妹なのに知らないなんて……」

「ごめん。でも、なんで優奈は知ってるんだよ?」

「LINEのフレンド欄のとこ、そこにもうすぐ誕生日って表示されるときあるでしょ?そこにクレアさんが表示されてて、誕生日の日付が書いてあったの」

「そんなとこあったけ?普段開かないから、知らないや」

「友太のフレンド、5人しかいないもんね」

「うるせ……ってなんで知ってるの!?」

 

 いやマジで怖いんだけど、まぁそりゃ小原、優奈、クレア、中原、父さんしかLINEする人はいないだろうと思うだろうけどさ……。

 

「ということで、誕生日プレゼント2人で選びに行くよ」

「わかった。とりあえず今から隣町のデパートに今から行くのか?」

 

 俺がそう言うと、優奈は急にふてくされた顔をする。

 

「まさか、このくそ蒸し暑くてジメジメした中、制服で行けって言うの?」

「あ……」

 

 流石にこの蒸し暑い中、こんな学ランやブレザーなんて着てはいけないか……。しかも駅と真逆の方向だし。

 

「とりあえず、1時間後ここに集合ね」

「おう、じゃあまた後で」

 

 「またね」と言った優奈は何時もの交差点を曲がって走って行ったのだった。俺も早く着替えて来るか……。

 

 

 

 

 

 家に帰ると、クレアの姿はいなかった。今日はバイトなのかな?まぁでも買いに行くと悟られずに済みそうだ。

 

 とりあえず、GWに買った服を着て家を出た俺は、何時もの交差点で待つことにする。

 

 そういえば、何十年も絡んでいるけど、優奈と出かけるのは今日が初めてだ。ほとんど近くで遊んだりしていた記憶しか残っていなかったのだ。

 

「おまたせー」

 

 スマホを触りながら待っていると、制服から私服に着替えた優奈がこちらへと走って近づいて来ていた。

 

「よしじゃあ、行くか」

 

 優奈が来て駅へ向かって歩き出そうとすると、「待ってよ」と言いながら優奈は俺の腕を掴んで制止する。

 

「私の今日の私服見て感想はないの……?」

 

 そう言いながら優奈は頬を膨らませていた。

 

 あ、よく見ると、今日の優奈の服はGWにクレアと3人でイノンへ行った時に俺が選んだ黒いジャンパースカートとブラウスじゃん、気付かなかった……。

 

「ごめん、気づかなかった」

「もう、せっかく友太の選んでくれた服を着てきたのに……。友太のニブチン……」

 

 泣きそうな顔をしながら、優奈は俺の腕をがっしりと掴んで訴えかけていた。

 

 本当に俺は肝心なところで、鈍い奴だなぁ。

 

「そ、その服、すごく似合ってる」

 

 正直こんなに優奈に似合ってるとは思わなかったので、俺は少しドキっとしてしまって、噛んでしまっていた。俺の選択は間違っていなかったようだ。

 

「よくできましたー。友太の私とクレアさんが選んだ服もすごく似合ってるよ」

 

 少し背伸びして俺の頭を撫でた後、優奈は嬉しそうに駅に向かって歩いて行った。

 

 今日はこの服着て良かったな……。

 

「ほら、友太ー。早く行かないと遅くなっちゃうよー」

「あぁ。わかってるよー」

 

 俺は優奈と一緒に駅へと向かったのだった。

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