包容力MAXのイギリス人が妹になったので一つ屋根の下で暮らします。   作:瓜生史郎

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50話 友達に別荘に誘われた

「クレアさんどうだった?」

 

 午前の授業が終わり、小原が俺の机に近づいてくる。

 

「まぁ何とか赤点ギリギリ回避ってところかな?」

「そっかあ。まぁ何とか安心だな」

「今回は日本に着て、まだ日も浅いから許されるけど、次のテストではもう許されん。だから次の期末は俺が教える事にした」

 

 クレアによると、テストが返却された日の放課後に担任から、今回の期末の成績はまだ転校して慣れてないから多めに見る。だから気にするなと言われたらしい。

 

 とりあえず一安心ではあるが、次もこの成績だと進級に響いてしまう。あまり人に教えるのは好きじゃないがクレアのためだ致し方無い。

 

「おー、それはクレアさんも心強いねー」

 

 何か物欲しそうに小原はそう言う。こいつの言いたいことは分かってるんだ。

 

「お前には教えんからな?」

「何で分かった?」

「顔でわかるんだよ」

「うえーん……」

 

 机に顔を伏せて小原は男とは思えない声で泣き声を上げる。それもわかってるからな?嘘泣きって。

 

 その後何かを思い出したのか「あ、そうだ」と言いながら小原は顔を上げる。

 

「ところでさ、明日から夏休みだろ?それで三瀬川の家の別荘に行くんだけど、一緒に来る?」

「え?2人のお泊りにお邪魔して良いのか?」

「いいんだよ、三瀬川が久野原達も誘えって言って来たんだよ」

「三瀬川が?」

 

 向こうから誘ってくるなんて珍しいな。せっかくの二人でのお泊りだってのに……。本当に邪魔して良いんだろうか?

 

「向こうも、お前の事もっと知りたいんだってさ」

「俺の事を……?」

「そうそう。後クレアさんもなー」

 

 なんで俺の事なんか……。別にこんな奴の事知っても得にはならないだろうに。

 

 三瀬川か……。そう言えばスーパーで会ったきり全然話したことなかったけ?

 

 別に仲良くなりたいとも思ってなかったからあれっきり一度も話していない。だからもうこれ以上増やすのも嫌だし、ここは断ろう。

 

「別に俺は……」

「何の話してるの?」

 

 そこにお弁当を持った優奈とクレアがやってくる。まずい。なんというグッドなタイミング……。

 

「植野さんに、クレアさん。夏休み三瀬川の別荘行くんだけど、2人も来る?久野原にも今誘ってて……」

「行きます」

「はい、行きます」

 

 まぁやっぱりそうなるわけですよね。最後まで言う前に間髪入れず、クレアと優奈は返答をする。

 

 早すぎる……。俺まだ行くか行かないか返事してないのに。で、この後は……。

 

「友太も来るよね?」

「友太君も来ますよね?」

 

 2人に言い寄られる。こうなったら断れなくなって、俺も行くと言うしかない訳で……。

 

「行くよ……」

「そうこなくっちゃ」

「わーい!」

「そうなるわな、久野原」

 

 憐れんだ目で小原は同情をしてくれているようだが、同情するなら止めてくれよ……。

 

 はぁ……。本当にこの2人は良いところに現れてくれる……。

 

「てことは5人になるなぁ……」

「今、奈津季にも連絡したけど、日程次第では行けるかもだって」

 

 え?中原も来るんですか?出来れば勘弁してほしいんですけど……。

 

「おー、じゃあ6人かー」

 

 小原は嬉しそうにスマホのメモ帳に入力していた。

 

「てかそんなに押しかけて良いのか?」

「相当でかい家らしいから、大丈夫だぞ」

「そりゃよかった」

 

 という事は屋敷みたいなところなのかな?すごいな、流石はご令嬢様と言ったところだろうか……。

 

「ちなみに、近くには海もあって、そこで泳げたりするぞ?」

「う、海って事は……」

「水着が……」

 

 優奈とクレアは心配そうな顔をするが、小原は「そんな事なら……」と言い誇らしそうな顔をする。

 

「あーその辺は大丈夫。別荘の中に水着がいろいろとあるみたいだから……」

「それならよかったです」

 

 優奈とクレアはほっと安心した表情を見せる。やっぱすげぇよ三瀬川。

 

「という事で、日程とか色々伝えたいことがあるので2人ともLINEくれると嬉しいなー」

「あー、それならあのグループに招待しますよ?」

 

 そう言ってクレアは小原のLINEを追加する。そうするとほどなくして……。

 

 『久野原フレンズにおはらそうじが入室しました』という通知が来る。

 

「へー、こんなグループあったんすねー。てか久野原あるなら何で教えてくれなかったんだよ?」

「ごめん、忘れてた」

 

 まぁ本当は面倒くさいことになることが分かっていたからだけど……。

 

「ここは友太と仲のいい人が集まる場所なのに、小原君を入れないのはひどくない?」

「そうです。ひどすぎます」

「じゃあ俺は、久野原には仲が良いと思われてないってこと?」

 

 2人は、憐れんだ目で小原を見つつ俺を睨む。

 

 その隣では小原は沈んだ顔つきで訴えかけてくる。これは面倒なことになった。やっぱり最初に入れておくべきだったな……。

 

「すいませんでした……」

 

 俺は全力で小原に謝った。

 

 

 

 優奈とクレアが楽しそうに、別荘で何をするか話していたが、小原と俺は2人から離れた場所にいた。

 

 どうやらまだ話すことがあるようだ。

 

「あの2人に聞かれるとまずいのか?」

「まぁ、ちょっとな……」

 

 神妙な面持ちな所を見ると相当な事ではありそうだが……。

 

「お前、前に植野さんのファンクラブの奴らを追い返したって言ってただろ?」

「あぁ、そうだな」

「どうやらアイツら、その一件があって、本気でお前を植野さんの前から排除しようと画策してるって他の奴らから噂で聞いてな」

「マジかよ」

 

 面倒なことになるというの予想はしていたが、ここまでとは……。

 

「ちょっと前から、植野さんのファンクラブのリーダーが惚れてしまったらしくてな……。最近は活動が過激になって来てるらしいんだよ」

 

 惚れてるなら、ちゃんと努力して振り向かせればいいのに。何故あんな過激なことするのか……。俺には理解に苦しむな。

 

「面倒だな……。で、俺はどうすればいいんだ?」

「まぁ、まだ噂の段階だから何とも言えんな。とりあえずもっと他の奴らにも聞いてみるわ」

 

 ファンクラブ……、やっぱり関わらない方が良かったかもなぁ。あの時普通に3人を連れて逃げていればこうならなかったかもしれない。

 

 まぁこれも結果論という訳か。今更どうこう言っても遅い……。

 

 あぁそうだ。今のうちにあのベレー帽の女の子の事を聞いてみるか。

 

「あ、そうだ」

「ん?どうした?」

「小原って、ベレー帽を被った女の子を知らないか?」

「ベレー帽を被った女の子?知らねーな……。そいつがどうかしたのか?」

 

 小原を首を傾げながら聞いてきた。小原でも知らない生徒がいるのか。

 

「最近会ったんだけど、俺はそいつの事を覚えてないのに、向こうは俺の事を覚えてるみたいんだよ。すごく親しい仲だったみたいだったらしいんだけど、名前を教えてくれないから、思い出せなくてな」

「なるほどな、そいつの事も他の奴らに聞いといてやるよ」

「助かる」

 

 こういう時に友達が多い小原は頼りになるんだよな。

 

「案外昔付き合ってた元カノだったりしてな……」

「多分ちげーよ」

 

 たまにある一言余計なところがなければ、もっと頼れるのになぁ……。

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