包容力MAXのイギリス人が妹になったので一つ屋根の下で暮らします。   作:瓜生史郎

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68話 妹の妹がやってきた part7

 3人でイノンに着き、まず向かったのはアパレルショップだった。

 

「うーん。どれにしようかなぁ」

 

 両手にピンクの服を持ち、目を輝かせながら、クレアは吟味していた。

 

「エレナも新しい服買ったら?」

「私は良い」

「なんか毎回同じような服ってどうかと思うけど」

「別に良いんですー」

 

 アパレルショップにいたエレナはとても退屈そうだ。

 

 姉とは違ってエレナはあまりファッションには興味がなさそうである。まぁ俺もその一人だけど。

 

 今着ている服もピンク色の鮮やかな服装のクレアと違って、黒い半袖のブラウスに、白いロングスカートという地味な服装だった。

 

 そんなふしだらなエレナに、痺れを切らしたのかクレアはエレナの腕をがっしりと掴む。

 

「ほら、とりあえずお姉ちゃんが選んだ服着て」

「ちょ、ちょっと、お、お姉ちゃん?あ~れ~」

 

 嫌がるエレナの抵抗も虚しく、試着室へ連行される。

 

 そして数分後、クレアは笑顔で試着室から出て来た。

 

「友太君、どう?」

 

 試着室のカーテンをばっと開けると、そこにはピンク色のフリフリのワンピースを着た、とても可愛らしい姿のエレナがいた。

 

「は、恥ずかしい……。私にこんなの似合わないよぉ」

 

 姉と同じような服を着せられたエレナは手で顔を覆いとても恥ずかしそうにしていた。

 

「どう?友太君?」

「似合ってる」

 

 やはり姉妹。黒い服装を着ているエレナがクレアと同じようなピンクの服を着ていてもとても似合っている。

 

 

「ううう……。私にはピンク色の服なんて似合わないよぉ……」

「友太君が似合ってるってさ。ね?友太君?」

「あ、あぁ……」

「うぅ……。からかわないでください……」

 

 少し戸惑った声で俺はそう返すと、エレナは顔を真っ赤にしてその場に座り込んでしまった。

 

「もうやだ。元着ていた黒い服が良いよぉ」

「じゃあこんな服とかは?」

 

 試着室に入って、もう一度カーテンを閉めると、いろいろと中でしっちゃかめっちゃかあって、またカーテンが開く。

 

「これはどう?友太君?」

 

 次にエレナが着ていたのは、黒を基調とした服にピンク色のアクセントが入ったフリル付きの服だった。

 

 これってもしかして、所謂地雷衣装って言うやつでは?

 

「なんかすごくフリフリしてて、落ち着かないんだけど……」

 

 後ろの鏡を見ながら、エレナはそわそわした様子でそう呟いた。

 

「黒いのが良いって言ったのにー」

「だって、フリフリなんて私には……」

「そうか?フリルも似合ってると思うけど」

 

 俺がそう言うと、エレナはまた顔を真っ赤にして座り込んでしまった。

 

「そういうところですよ?お兄さん……」

「え、どういうこと……?」

 

 クレアに聞いても、首を傾げるばっかだった。

 

「とりあえず、エレナにはもっと着てほしい服があるから……」

「え、え……わああああやめてええ。お姉ちゃんー!」

 

 それから何着も何着も服を着せられて気づけば着せ替え人形にされていた。

 

 クレアは服の事になると恐ろしい……。

 

 

 

 

 少し経って逃げるようにアパレルショップを出て近くにあったベンチへ座って待っていると、エレナがフラフラとしながらこちらに歩いてくる。

 

「はぁ……。疲れたぁ……」

 

  息も絶え絶えで元着ていた服装に戻ったエレナはかなり疲れているようだった。

 

「お疲れ」

「ど、どうも」

 

 隣へ座ったエレナに、持っていた缶ジュースを手渡す。

 

「はぁ……。私にはあんな可愛い衣装似合わないですって……」

「超絶激カワ美少女だからもっと良い服着た方が良いんじゃないのか?」

「別に私は可愛い服を着なくても、超絶激カワ美少女なんですー」

 

 頬を膨らませて、超絶激カワ美少女と強調しているが、実際そうなんだよな。

 

 口に出しては言わないがスタイルも良いし、クレアと同じくらい可愛いし。ただ性格が残念という事だけか。

 

「てかお姉ちゃん、まだ服を見てますね……」

「そうだな」

「こっそり抜けて、ゲーセンでも行きませんかー?あ、いたぁ」

 

 いたずらっぽくニヤつくエレナに俺は軽くチョップを入れる。

 

「クレアを置いて行けるわけないだろ?」

「アニマートへ行った時は放置したくせに何言ってるんですか?」

「それは……」

 

 どうしようか、困っているとエレナ「早く行きましょうよ」と手を引っ張る。

 

 

「ちょっ……。お前……」

 

 ゲーセンの方へとエレナは引っ張っていたが、突然ピタリと引っ張るのをやめた。

 

「ど、どうした?」

 

 エレナの見つめる方向を見ると、クレアが30~40代くらいの男の人に話しかけられているのが見えた。

 

 誰だろう……?楽しそうに話しているところを見ると知り合いなのかな?なんか手も握ってるし。

 

 とても仲睦まじい姿を見ていると、エレナが急にクレアの元へと走り始める。

 

「すいません!今お取込み中なんです!」

 

 戸惑う男性を他所に、エレナはクレアを俺がいる方へ連れ帰ってきた。

 

「ど、どうしたの?」

「お姉ちゃん、昔ああいう事があったのに、安易に男性に話しかけちゃダメだよ……?」

 

 クレアを連れ帰ってきたエレナは先ほどのお調子者な雰囲気と違い、真面目な雰囲気で語り掛ける。

 

「大丈夫だって……。だってお知……」

「大丈夫じゃない!!お姉ちゃんはもっと人を選ぶべきだよ……。どんな人でも親切にしちゃダメって昔習ったでしょ?」

 

 ダメだ。興奮していてクレアの話を聞こうとしていない。

 

 まずはエレナを落ち着かせないと。

 

「なぁ?何があったのか分からないけど……落ち着けよ」

「お兄さんには関係ありません。これは私達姉妹の話です」

「関係ないわけないだろ?俺はお前らの兄なんだぞ?俺にだって知る権利はある!」

「ありません!」

 

 流石に関係ないと言われ、カチンと来てしまった俺は大きな声を出してエレナと口喧嘩のような状態になってしまった。

 

「ちょっと、2人とも……。店の中だよ?」

 

 必死にクレアが止めよとするが、そこにお店の店員さんが慌てて駆け付けて来た。

 

「すいません、店内での喧嘩はやめてください」

「すいませんでした……」

 

 俺達3人は頭を下げて、アパレルショップを逃げるように後にした。

 

 それからイノンの裏側にやって来た俺達3人だったが、エレナはまだ腹の虫が収まらないのかクレアに言い聞かせていた。

 

「やっぱり、お姉ちゃんを1人にできない。あの頃から変わったと思って安心してたけど何にも変わってない……」

「ごめんね……」

「お母さんに電話して、もうイギリスに帰ろ?」

「はぁ?」

 

 急な決定をしたエレナに俺は驚いて、声を荒げてしまう。

 

「とりあえず、何があったか知らないが、急な決定をするな。それにクレアには俺が付いてるだから安心しろ」

 

 俺の言葉にエレナは納得していない様子だった。

 

「友太君の言う通りだよ?もう今日は帰ろ?」

「わ、わかった……」

 

 まだ納得していない様子だったが、流石に姉の言葉には逆らえないのかエレナは首を縦に振った。

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