包容力MAXのイギリス人が妹になったので一つ屋根の下で暮らします。   作:瓜生史郎

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79話 実行委員長になっていた

 次の日、いつものように登校しロッカーを開けようとする。脳内には昨日の出来事がちらついていた。優奈はなんであんな事をしようとしたんだろう……?

 

 きっと暑さで頭がおかしくなったんだな。そう思う事にしよう。

 

 開き直った俺はロッカーを開けて、上履きを取り出した瞬間にまた白い封筒がひらりと床に落ちた。

 

「嘘だろ……」

 

 また嫌な予感がする。だが中身を確認せずにはいられなかった。

 

「は……?」

 

 信じられなかった。写真には体育倉庫で優奈が馬乗りのなってるところが映し出されていた。

 

 なんでこんな写真がここにあるんだ?中には誰もいなかったよな?まさか隠しカメラが……?動揺を抑えきれなかった。

 

「……なんなんだよ……」

「おはよう、友太ー」

 

 走ってくる優奈に驚きながらも、封筒をカバンに隠す。

 

「おはよう、優奈」

「今、何隠した?」

「べ、別に……」

 

 昨日と同じように「むーっ」と見つめる優奈に圧倒されながらも平然を保つ。

 

 流石に今の状態だと無理があるかなぁ……。

 

 

 

 

 優奈と別れた後、自分のクラスの近くに行くと少しざわついているのが見えた。

 

 近づくとそこにたのは……。

 

「あ、久野原くーん!」

 

 生徒会長の有栖だった。俺に向かって満面の笑みを浮かべながらこちらに向かって走ってくる。

 

「あの、有栖先輩?俺に何か用です?」

「えっと、実は久野原君にお願いがあってね……」

「お願い?」

 

 上目遣いでもじもじとしている様子は他の男の子から見れば告白される寸前のようだ。

 

 皆さん違うんです。俺を殺意マシマシな目で見ないでください。

 

「実は、実行委員長をやる予定だった生徒が家の事情で出来なくなってしまってね」

「はぁ」

「それでね、久野原君に体育祭実行委員長やってほしいなーって」

「えっ……」

 

 急な有栖からの提案に俺は困惑する。何で俺が委員長に抜擢されたんだ?

 

「何で俺なんかが……」

「久野原君、小学生の頃たくさん友達いてまとめるのが得意だったよね」

「昔の話ですよ……」

「そうかなぁ……?」

 

 有栖は自分の指をツンツンしながら著しく悲しそうな顔をする。

 

 あれ?というかなんで小学校の頃の事知ってるんだ?いや結構有名だったから、誰が知ってても不思議ではないんだけど……。

 

「なんか、久野原君何で知ってるの?って顔してる」

 

 何故かわくわくした様子でスキップしながら、俺に近づく。

 

 別にそうは思ってないけど、ここはそうだと言っておくか。

 

「まあ……」

「教えて欲しい?」

「そりゃもちろん……」

 

 わくわくした様子の有栖にそう返すと、くるんと1回転して俺から離れる。

 

「ひーみーつ」

「え……?」

 

 予想外の返答に俺は放心したように立ち尽くしていた。

 

 立ち尽くす俺の横を素通りすると、通り過ぎ様に耳打ちをする。

 

「とりあえず、実行委員長の件……。考えておいてね」

 

 それだけ言って、自分の教室へと走って行った。

 

 考えといてくれって……。ていうか有栖先輩ってあんな人だったんだ……。

 

「なぁなぁ……。何であんな生徒会長と仲良いんだよ……」

 

 色々と考えていると、小原がニヤついた顔をしながら肩に腕を乗せる。

 

 気付けば、周りは俺が有栖と仲良くしていたことによる嫉妬なのか、険悪なムードとなっていた。

 

「俺も良く分からん……」

 

 肩に載った腕をどけて、教室へと入る。

 

「お前も、気づいたら周りに女の子がたくさんだなぁ……」

「そうか?」

 

 ボケた返しをすると、小原はやれやれと言った感じでため息をついた。

 

 自分は彼女が居て、俺より友達が多い癖に……。

 

「それよりも、これ見てくれ」

「また入ってたのかよ……」

 

 白い封筒をカバンからチラッと見せると、小原は驚いた顔をする。

 

「どんだけ、お前そいつに嫌われてんだよ……」

「わからん……」

 

 とは言え、このまま放置していてもエスカレートするだけだ。

 

 こうなったら……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「引き受けてくれるの?」

 

 3年生の教室の階にやってきた俺は有栖を呼び出してもらって実行委員長をやる趣旨を伝えた。

 

 このまま、封筒で俺を脅す輩をけん制する事が目的だったからだ。

 

 優奈やクレア、周りに迷惑がかかってしまうかもしれないし。もうこれ以上好き勝手やらせるわけにはいかない。

 

「助かったー。ありがとうね久野原君ー」

 

 満面な笑みで抱き着く有栖。

 

「わわわー!!」

「ありがとー、ありがとー!!」

 

 やめてくれ、3年生の男子の皆様方にも嫉妬されてしまいます。

 

「じゃあ久野原君がやるって事で、資料に書いておくね」

「よろしくお願いします」

 

 それだけ言って、急いで有栖の前から立ち去った。

 

 このまま有栖の前にいるとマジで命が危ない……。早く教室へ戻ろう。

 

 小走りで、階段がある角を曲がった時だった。

 

「友太……」

「友太君……」

 

 階段を降りようとすると、不機嫌そうな顔をしたクレアと優奈が待ち構えていた。

 

「2人とも、どうしてここに……?」

 

 ていうか、なんで2人ともこんな不機嫌そうな顔してるんだ……?

 

「友太が3年生の階に行くのが見えたから」

 

 隣のクレアも同じくと言うように「うんうん」と頷いた。

 

「あぁ……。有栖先輩に……」

 

 有栖という単語を言った瞬間に、急に2人の冷たい視線が俺の体を貫いた。

 

 ていうか、なんでクレアまでもが……。俺は咳ばらいをして改めて言い直す。

 

「せ、生徒会長が実行委員長やらないかって言って来たから……。やりますって返事をしに来たんだよ……」

「ふーん……」

「生徒会長の所へ行って抱き着かれに来たんじゃなかったんだ良かったー」

「そうそうって……えぇ!!」

 

 まさか有栖に抱き着かれているところから見られていたとは……。

 

 これはまた面倒な事になりそうな予感……。

 

「何?その反応……。本当にありがとうのハグか怪しくなってきたかも」

「エッチな事考えてないよね……」

「別に何もないから!!」

 

 疑いの目を向ける2人に俺は必死に払拭しよう試みるも、まだ2人は機嫌が悪いままだった。

 

 まずいな、この間の事もあるし……。優奈をこのまま機嫌悪くしておくわけにはいかない。

 

「そ、そうだ。た、たまには3人で学食いかないか?」

「うん、行く、行く!優奈さんも行こ?」

「わかった」

 

 

 クレアの熱烈な誘いに優奈も笑顔で答える。

 

「友太は、私達を心配させたからたくさん奢ってもらわないと……」

「そうだねー、いっぱい買ってねー?友太君ー」

「うぐっ……」

 

 俺はどれだけ買わされるんだろうか?今から怖いなぁ……。

 

 でも、少しは優奈の機嫌直って良かったと思うべきなのだろうか……?

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