バイトって、一応サーヴァントなんですけど?!
俺より弱いクセに言うなよ、ほら、掃除手伝え
うわ~ん、キャスターに出会ったら一夫多妻去勢拳打たせるからなぁ!覚えておけよ!!
たかが星の中で生きてる存在に負けるかよ。
さて、戦力は俺だけの状況で店は守れるのか?
どうなる第二話
私も守ってよ!
「んふふふーふーふーふーふーふー、このーままーあるき続けてる〜」
「店長、仕入れ終わりましたよ〜」
「おぉ、良くやったね。はくのん、しっかし……マジで狂ってるな。確かに地下施設はあるけどよ、そこも跳んでたとは」
「私からしたらカフェの下に秘密基地がある方がおかしいけど?」
宗介はこの世界に跳ばされるにあたり、自身の基地である冷蔵庫が無事かを一番最初に確認した。
何故、冷蔵庫なのかは桐生戦兎の影響である。
通常の冷蔵庫として使えつつも、秘密基地の入口。そして、ビルドフォンや必要なロストフルボトルがある。
これらは宗介いや、オニキスが作った物だ。
ロストフルボトルを作るために多少の人命が消えたが、ソレを知るものは居ないだろう。
「しっかし、聖杯。願望器ね……パンドラボックスを復活させるには十分か?」
「パンドラボックス、世界を滅ぼせるとか言う」
「違うな、新世界を想像したんだぜ?まぁ、関係ねぇさ。いい加減、自分の遺伝子でパンドラパネルモドキを使わずに済むな」
パンドラパネルモドキとは、オニキスが自身の遺伝子から精製したパンドラパネルの出来損ないである。ネビュラガスの生成量も少なく、足りない。
いくらトランスチームシステムがあれども、ロストフルボトル製造は難しいのだ。
「新世界が創造されたらこの世界は」
「なくなる、魔術もない。魔術のあった記憶もない、まったく新しいお前達になる。聖杯戦争とかもなくなるぜ?お前も消えるしな」
「それは……」
「良いことだろ?殺し合いが無いんだ、最高じゃないか」
オニキスは本心からそう思っている。
魔術師がいない世界で、抑止力などという存在もない。英霊もない、普通の世界。
戦争があり、殺し合いがあり、大多数の凡人と少数の天才が未来を繋ぐ世界。
過去に戻ろうという無能達はおらず、ただ、藤丸立香が普通に暮らせる世界。
「俺はなぁ…人間が好きだ。愛している、無論、全部なんて博愛主義者じゃねぇ。だがな、藤丸立香、あの子の事は愛してるんだぜ?」
「貴方の愛、私は知っている。似たような」
「はん、知りたくねぇな」
オニキスと白野は掃除を終え、開店準備を始める。世界が変わろうと、オニキスにとっての日課なのだ。
時間は8時開店の20時閉店。
閑古鳥が鳴くとは言わないが、あまり客の来ない喫茶店。
しかし、フランス語で来店を知らせるベルの音 と共に透き通る声が優しく聞こえてくる。
『あのぉ…すみません、ここは』
『いらっしゃい、カフェnacitaへようこそ』
ブロンドの髪に碧眼、整った顔をした少女が入店してくる。
紫の服の上に所々、鎧を装備し、腰には剣。
そして、身の丈以上の巨大な槍を所持している。
『お客さん、ごめんね一旦その槍おいてくれない?ここ、危ない物厳禁なんだよ』
『あっ…すみません』
ぎょっとする白野、それはまるで来店した彼女を知っているかのような雰囲気だ。
「ルーラー?!」
『??』
白野が日本語で返すと少女は戸惑う様に動く。
宗介は英霊は聖杯からの知識で色々と覚えているのではないかと、白野に思うが仕方ない。
「岸波白野、令呪をもって命ずる。すべての言語学を習得せよ」
「?何が」
「あの、貴方はサーヴァントなのですか?」
「言葉が……」
岸波白野という存在は月の王だという。
だからか、イレギュラーなサーヴァントなのだろうか。それを知るすべは宗介には無い。
さらに言えば自身の暗躍を喋らないという令呪と今の言語学の令呪で既に2画も使っている。
残る1画は使えはしない。
「マスター、ありがとう」
「はぁ……それで、お嬢さんをルーラーって呼んだけど白野の知り合いか?」
「彼女はジャンヌ・ダルク、月の聖杯戦争でルーラーのクラスで召喚されたサーヴァントだよ」
白野の言葉に色々と感じる所があるが、とうのジャンヌ・ダルクがポカンとした顔をしている事で宗介は白野を見る。
「すみません、私は…サーヴァントになりたてで、召喚じたいが初めてなのです」
「あっ……ごめんなさい」
知り合いに会えたが相手は覚えていない、ジレンマを受けて何処か白野の顔は暗い。
「なら、改めて!私は…私は岸波白野」
「はい、白野さん!私はジャンヌ・ダルクです」
友人のように即座に振る舞う二人を宗介は無意味な目をしながら笑顔で言葉を綴る。
「良いことだよ!友人が出会うってのは!」
宗介いやオニキスに友情は無い、だからこそ理解できない。
「さて、ご友人にnacita名物ビターココアセット、お代は要らないよ~」
あくまでも笑顔で、しかしその真意を理解できる相手は何処にも居ない。
(ハザードレベル0.0。英霊はそもそも成れないか……使えねぇ)
実は宗介は白野の事もスマッシュにするつもりでいた。しかし、触れた瞬間ハザードレベルが0.0という無価値であった為、やめたのだ。
そして、英霊たるジャンヌ・ダルクのハザードレベルを調べたが、やはり変わらない。
英霊という魔力の塊にはハザードレベルが存在しないということなのだろうか。
「ありがとうございます、お二人に神のご加護があらんことを」
「神のご加護があらんことを」
「神のご加護があらんことを」
宗介と白野も同じく祈る、そしてジャンヌ・ダルクが出ていくと同時に宗介も動く。
「店番頼むぜ?白野」
「襲われたら?」
「お前を殺せるのは魔力のあるものだけだろ?てか、ここの店は問題ねぇよ。俺の科学力舐めてるか?」
「……わかりました、マスター。お土産よろしく」
「まっ……お前は俺のサーヴァントで、nacitaのバイトだ。守るぐらいはしてやるさ」
〘ウルフ〙
〘蒸血〙
〘ミストマッチ!〙
〘ウッウッウルフ!ウルフ!ファイアー!〙
CV玄田哲章
「…ったく、さて調べさせて貰おうか」
狼の戦士、レイセイヴァーはこうしてフランスの地に踏み入った。
______藤丸立香
「……マスター」
「先輩」
「うん、ごめんね。マシュ」
藤丸立香は失意の底にいた。
共に特異点を修復したオルガマリー・アニムスフィアはレフ・ライノールの手により、死亡した。
そして、自分の心の拠り所は冬木の特異点崩壊と共に失われた。
「マスター、居るかってマシュの嬢ちゃん。まだ、悩んでるのか?」
「クー・フーリンさん」
「クーさん」
藤丸の自室に入ってきたのは共に特異点Fを修復したキャスターのクー・フーリン。
カルデアの召喚英霊として力を貸してくれている存在だ。
「……マスター」
「ごめん、クーさん。マスター予備は」
「んじゃぁ藤丸、聖杯ってのはな願望器らしい。人里修復だっけか?終わるまでに何個か手に入るだろう、それさえ使えば取り戻せるんじゃないか?」
それは、サーヴァントと言えど言うべき事ではない。だが、クー・フーリンは敢えていう。
「取り戻せる?」
「きっとな、流石に彼奴らの許可が必要かもしれんが、何個も手に入れれば1個位良いだろう?」
グランドオーダー、冠位指定。
過去への旅、そこにいくまでに聖杯という存在を確保しなければならない。
「……クーさん、私。ロマンとダ・ヴィンチちゃんの所に行ってくる」
それは、一つの意志の現れだった。
ずっと塞ぎ込むだけの藤丸立香に火が灯った瞬間だ。
「……ロマン」
「ダ・ヴィンチちゃん、藤丸ちゃんの言い分は最もだ。願望器、そうだね、最低でも2つだよ。あれば、問題ない。言い訳は立つ」
「ロマン?」
「藤丸ちゃん、冬木の特異点は本来イレギュラーなんだよ。たしかに特異点かもしれないけど、外には何もない。なら、このカルデアのデータさえ無くなれば良いんだから」
それはカルデア所長代理であるロマンの精一杯の少女への感謝だった。
大人として、不甲斐ないと自分は理解している。
だからこそ、これしかできない。
「……ダ・ヴィンチちゃん、口外は」
「しないさ、私も大人だからね」
「二人共、ありがとう。私、頑張るから。皆を取り戻すために」
それは決意の炎、藤丸の精一杯の意志の力。
「明日には特異点が判明する、今日は寝るんだ」
「良ければ僕のアロマでも」
「ありがとう、二人とも」
泣きそうな顔の藤丸を二人は優しく見つめた。
二人は藤丸が部屋から居なくなり、向かい合う。
「…それで、本当なのかい?私達以外の転移魔術が」
「あぁ、ダ・ヴィンチちゃん。あの時、特異点崩壊と同時にまるでレイシフトのような反応が確認された。それが……」
「カフェnacita、魔術師ではないというが……」
「それに……レイセイヴァーという存在。わからないことが多すぎる」
二人は思案する!それが……正しいことだと気付かぬままに。