「それで?俺がこの特異点って奴を破壊してやろうか?お前等〘カルデア〙からしたらあり得ない歴史何だろ?なら、ここに生きてる奴等もあり得ない歴史だ。つまり、ぶっ壊しても問題ない」
「悔しいけど、彼の言う通りだ。まさか、地球外生命体との会話がこんなに酷い物になるなんて」
「ロマニ・アーキマンだったか?おいおい、俺は優しい方だぜ?兄貴だったら、みんな死んでた。とっくにな。それにな、俺はお前らを生かして『やってんだ』ぜ?その気になれば俺が地球を破壊すれば終なんだ。藤丸ちゃんが居るから、お前等が助かってるの。……よーく理解しろよ」
通信越しでも理解できるだろう力関係。
地球のどんな存在もオニキスに敵わないのだ。
英霊もそうだろう、オニキスが本気を出せば一瞬でけりがつく。
どんな英霊でも、地球上で最強であろうとも星狩りの一族には敵わない。彼等を殺したいならそれこそ、最善最高の魔王か、ベストマッチな2人を連れてくる他無い。
「んじゃあ!藤丸ちゃん……なんだい、その顔」
「騙してたの?」
「少なくとも藤丸ちゃんは騙してない。藤丸ちゃんに見せたのは俺、石動宗介の本心さ。君が安全なら文句はない。この世界で、俺のビターココアとパンケーキを初めて食べてくれた子供さ。
一口食べるたびに涙を流して……今でも覚えてる。約束さ、藤丸ちゃん。俺は必ず君の世界を助ける、それに不本意だけど仮面ライダーが三人も居るんだぞ。勝てない敵はブラッド族ぐらいだ」
「ちっ…何が仮面ライダーだ」
「不本意だが、英霊と呼ばれる者達を俺達は倒せる」
「待てよ…そうだよなぁ。人を助けたい、自分がやらなきゃ誰がやる。やっぱりだ、そうだなぁ。似合いすぎてるよな」
「マスター……何?」
「知ってるか?仮面ライダーになるにはハザードレベルが3.0以上必要なんだ。正確にはこのビルドドライバーを使用するには、だけどな」
「待てよ、オニキスお前」
「藤丸ちゃん、世界を救うヒーローになる気は無いかい?
わかってるんだろ、自分は戦えない。力がない。じゃあ、誰が傷付く?簡単だ、君の後輩よ。君の後輩が先に傷つき倒れていく」
「藤丸、話にのるな!」
「力……欲しくないかい?」
猿渡一海がオニキスに拳を振るおうとするが、オニキスから伸びた一本の触手に貫かれる。
「うっ…うぁぁぁ……」
「ポテト!」
「安心しろ、ハザードレベルが6.0になってるだけだ。あぁ、やるか?お前のグリスじゃ俺は倒せねぇ。ほら!使えよ、ブリザードナックルをよ」
そう、オニキスは知っている。ライダー達はまさに善性が詰め込まれたような男だ。その中でもこの男、猿渡一海は仲間の為、自分の愛のために生きて死んでいった。
「……私に……私に力が手に入るの?」
「そうだ、もう化け物に怯えることはないだろう。仲間が傷ついていくのを黙ってみる必要もない。手を取りな!今、君なら変身できるはずだぜ?」
ソレはビルドドライバーとラビットフルボトルとタンクフルボトル。
「使い方はわかるよな」
「…」
『ラビット』『タンク』『ベストマッチ』
『Are you Ready?』
「決まってる」
赤と青の装甲に挟まれるように変身し、今此処に仮面ライダービルドが誕生した。
「運命の道は、私が決める」
「良いねぇ、良いねぇ!最高だ!おめでとう、仮面ライダービルド!」
「……仮面ライダー…ビルド」
「おめでとう!ハハッ…フハハハハハッ!この世界初の仮面ライダーの誕生だ!」
オニキスは手を叩きながら新たな仮面ライダーの誕生を祝福する。
「コレは……先輩、その姿は」
「おっと、俺は兄貴じゃないから言うが実験なら外でやるもんだ。頼むから店は壊すなよ」
手招きをしながらnacitaの外へと促す。一海は幻徳の肩を借りながら進む。
「さて、じゃあやる事は一つだ」
オニキスの手には端末がいつの間にかあり、ソレを操作し始める。
「昔、内海の奴が戦兎を鍛える時に使ってた奴だ」
「これは……スマッシュ」
現れたのはバーンスマッシュ、ソレに対して藤丸は仮面の下で嫌な顔をする。幻徳も見たくないのか、顔を背ける。
「そうだよ、藤丸ちゃん。違うのはARで作られた偽物だってこと。倒しても人間が死んだりしない。なぁ幻徳、お前が殺した小倉香澄じゃない。ほら、戦いはスタートしてるよ、存分にぶちのめしなさい」
オニキスの言葉にアタランテは幻徳を見た。
「ソイツは旧世界で俺や、俺の兄貴と結託してファウストっていう、秘密結社の幹部に居てな。守るべき国民や、罪のない一般人、それに……同じ仮面ライダーの仲間の恋人すら手にかけた悪人さ」
「……否定はしない。いくらパンドラボックスの力で性格がおかしくなったとはいえ、俺の行った事は罪だ。だからこそ、俺は仮面ライダーとして、贖罪する。し続ける」
幻徳の言葉にオニキスは興味をなくしたのか、つまらなそうに返事をした。そして、今度は興味深く藤丸を見る。
「火が……」
防戦一方、むしろよくやれているとオニキスは感じている。
やはり、死線を越える経験をしたのは大きい。だからこそ、死線に正面から向かう力を、覚悟を目覚めさせるべきだと考える。
「藤丸ちゃん。ビルドの使い方、戦い方なら頭に入ってるだろ?その植え付けられた記憶と経験を信じて…君の持てる力を信じて、戦うんだ!」
「…うん、マスター!」
藤丸の中で知らない記憶が溢れ出す、自分の知らない石動宗介の姿。彼の犯してきた罪、彼の家族に対する深い愛情。
「私は……私はマスターに二度と人殺しはさせない!
『勝利の法則は決まった!』」
その動きを、その戦う姿勢を、オニキス、幻徳、一海は知っている。そうだ、オニキスは石動宗介は常にビルドの、桐生戦兎の良き兄貴分として最期『までは』共にいた。幻徳や一海よりも、万丈龍我よりも桐生戦兎の戦いを見てきたのだ。
「やぁ!」
バーンスマッシュがビルドのパンチを吹けて吹き飛んだ。
ビルドがビルドドライバーを回す、ソレを彼らは知っている。
『ボルテックフィニッシュ』
「……ふぅ」
「アハッ…アハハハハ!」
「オニキス」
「さぁ、新たな仮面ライダーの誕生だ!」
オニキスは笑う、新たなビルドの祝福を祝って。
オニキスは呵う、自分の筋書き通りに進む人間たちに。
オニキスは嗤う、自分を信じているこの少女に。
(あぁ!守ってやるよ……藤丸ちゃん)
「…それで、これからどうしますか?」
「んなの簡単だ、そこのアタランテだったか?獣女の元マスターとか言うジャンヌ・ダルクの前に向かって殺せば」
「そんなの」
「敵対者だ、分かり合えねぇさ」
「!」
ジャンヌ・ダルクの言葉を宗介は切り捨てる。
「だってそうだろぉ?たかが村娘のお前に何ができたんだ?そう、人殺しだ。わかってんだろ?人間は誰でも等しく人を殺せる。お前も殺戮者に違いない、聖人?違う……お前は殺された。だが、殺したからだ。相手には家族がいる、帰りを待つ家族が。ソレを……お前は殺したんだ」
宗介ではない、オニキスはジャンヌの周囲を歩きながら話す。
憎しみと絶望を煽るように、その心に深い傷を付けようと歩く。
「えぇ、しかし戦争です。戦わなければ生き残れない。戦わなければ守れない。私は神託を受けた、そして家族を守りたかった。だから、戦った。確かに、主による言葉がきっかけでしょう。しかし、彼等を殺したのは我がこの手。その罪を忘れる事は致しません」
「……つまんねぇな、お前」
オニキスは不満げな顔をした。
「ま〜、良いさ。一時的な仲間だ、よろしく頼むぜ?『聖女様』よ」
ジャンヌはオニキスに対して狼の悪魔の様に思えてならなかった。狼は群を成し、リーダーが守る。しかし、オニキスは支配だ。
「えぇ、マルコシアス」
「くくっ…聖女様からその名前が出るとはねぇ……良いじゃないか。だが、俺は石動宗介だ、マルコシアスなんて呼ぶなよ?次呼んだら……」
宗介は嘲笑う、それにジャンヌは恐れを抱いた。
「この時代、確かお前の家族は生きてるよな?」
「!」
「その時、スマッシュにしてやる。お前の家族を、お前の目の前でな」
「マスター!」
「おっと、藤丸ちゃんに怒られちゃう。兎に角だ、き・を・つ・け・ろ・よ♡」