突然変異緋色のゲヘナ学園生徒   作:エヴォルヴ

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以下、これのイベントPV的なやつ。

「「「「「Yostar」」」」」

「ゲヘナ学園恒例のお祭りです」

「美味しいがたくさん集まる食事祭り。今回はどんなお店が出てるのかしら?」

「あ、アル様、あれ美味しそうですよ」

「くふふっ、目移りしちゃうね!」

「本当に大きくなったね、このイベントも」

「ブルーアーカイブ、イベント開催中」



便利屋68とお祭り騒ぎ~一日目~

 アビドスの面々と先生に出会った便利屋68は、串カツを片手に祭りを回っていた。

 

「“凄い規模だね”」

 

「ゲヘナ学園自治区で一番広い広場を借りてますからね」

 

 最初こそ小さなコテージを借りる程度だったのが、いつの間にか大規模なイベントに。ここまでの規模になるまでにヒドリはそこまで努力したわけではない。面白そうと集まってきた者達が、客を手にするチャンスだと集まってきた料理人がここまで大きくしたのだ。

 

「僕としては砂祭りも行ってみたいんですよね。開催できますか?」

 

「まだ難しいですけど……きっと実現してみせます」

 

「はい。先輩との約束もありますから!」

 

「うんうん、おじさんも頑張らないとね。……ところで、どうして砂祭りなんて知ってるの? 開催したの、もうずっと前だよ?」

 

「ちょっと前に調べたんですよ」

 

 感情を喰らうことで餓えを凌ぐことができるヒドリは、祭りという祭りに目を付けていた時期がある。結局、食事の方が効率的だと気付いて興味を失ったが。

 

 それでも、アビドスの砂祭りは覚えているのだ。珍しい出土品の数々は、ヒドリにとっても興味を引くものばかりだったからである。

 

「屋台も出るんですよね? アビドスと言えば……スイカなんかがイメージしやすいです」

 

「よく知ってるわね、アビドスのスイカなんて」

 

「中々市場に出回らない高級品ですよ? あと、ザクロとか」

 

 農家がいなくなったことも関係しているのだろうが、アビドスで採れた果物や野菜は高級品として出回っている。そんな話を聞いたアビドスのメンバーは、借金返済のために奔走していた頃、確かに果物や野菜について聞いてきたお店があったこと思い出す。

 

「ヒドリ君、詳しいですね」

 

「うん。ヒドリは食べ物とか、そういうのに関心が強いから。私達が知らない名物とかも出てきたりするし」

 

「しかも全部当たりなんだよねー!」

 

 へぇ、とアビドスのメンバーが驚く。先生はアロナに調べてもらった時、確かにヒドリの目撃情報は飲食店が多かったと思い返した。そして、その店の評価が軒並み高いことも。

 ヒドリの嗅覚は見事なものである。先生は、今度お世話になっている生徒達の労いも兼ねて、美味しいお店を紹介してもらおうと決意する。

 

「あ、そういえば……便利屋68の皆さん、この前はありがとうございました」

 

「お陰でアビドスの借金問題はどうにかなりそうです! ……まぁ、それでも三億もあるんですけどね」

 

「「「「「三億!」」」」」

 

 ヒドリが入ってから便利屋68が稼いだ金額の二倍以上の金額だ。これを学生だけで返していくとなれば、長い時間がかかるだろう。

 

「でも、土地を取り返したお陰で、アビドスに人が少しずつ戻ってきてるし、何とかなるわよ」

 

「ん、柴の大将も協力してくれるって言ってくれた」

 

「特に、アビドスから出ていっても、お野菜を送ったりしてくれていた農家さんが戻ってきてくれてるんですよ~。土地の権利書が返ってきたって喜んでました!」

 

 つまり、幻と言われてきたスイカやザクロなどが高級市場だけではなく、普通市場にも出回るようになってくる。これは間違いなく新聞の一面に載せられるような情報だろう。

 

「楽しみにしてます」

 

「うん。そのうち、お手伝いも頼むかもね。その時はよろしくねー」

 

「もちろんよ。便利屋68一同、いつでも待っているわ」

 

「とりあえず、明後日までのお祭り、楽しんで」

 

 アビドスも便利屋68も笑顔で会話をする中、先生はヒドリに気になっていたことを問いかけた。

 

「“ヒドリの靴、どうなってるの?”」

 

「これですか? ジャンクパーツをブラックマーケットとか、廃棄場とかで集めて作りました」

 

 ヒドリの靴兼武器であるそれ────【PHENIX-TYPE-Ⅶ】は、銃が使えないヒドリが自作したからなのか、はたまたヒドリの身体能力に耐えきれないのか……もしくはパイルバンカーの衝撃やヒートブレードの熱に耐えられないのか、よく壊れてしまう。現在の靴は7代目。そろそろ8代目になるだろう。

 

「“カッコいいよね、それ”」

 

「そうですか?」

 

「“うん。ロボットアニメに出てきそうだ。……エンジニア部の皆が好きそうだな”」

 

「エンジニア部?」

 

 ミレニアムサイエンススクールの部活だが、ヒドリはミレニアム方面に足を運んだことがない。ミレニアムの自治区では常に視線を感じるためだ。

 

「“ヒドリの靴も改良してくれるかもね”」

 

「遠慮しておきます」

 

 妙な機能を付けられても嫌ですし、と直感で拒否したヒドリ。確かにBluetooth機能とか、タバスコとか付けそうだと先生が思ってしまうのは日頃の行いの成果か。

 

「“気が向いたら声をかけてよ。紹介するからさ”」

 

「分かりました。その時は連絡します。……あ、ハルカさん、揚げ餃子見つけましたよ」

 

 山海経高級中学校自治区にある中華料理店、その揚げ餃子を牡丹肉で作るというチャレンジ。そもそも猪を扱う店が少ないため、どの店もチャレンジ中なのだが。

 

 揚げたての揚げ餃子十一人分、合計金額は2000円ちょっと。やはり手頃な値段だ。

 

 カリカリに揚げられた衣と、溢れる肉汁と野菜の甘味。醤油メインの味付けの奥に潜むゴマ油の香りも素晴らしい逸品で、串カツやヒレカツも美味だったが、こちらはこちらで美味。口直しに購入した微糖レモネードとマッチしている。

 

「“あー……ハイボールとかが欲しくなるなぁ……”」

 

「あら、先生はお酒を飲んでたのね?」

 

「“嗜む程度だけどね”」

 

 そう言った直後だった。

 

「────────ん?」

 

 ヒドリの顔面目掛けて銃弾が撃ち込まれてくるのは。なお、神秘がそこまで込められていない一撃のため、ヒドリは回避せずに鋭い牙を使って噛み砕いた。

 

「……ぺっ」

 

「“銃弾を歯で止めた!?”」

 

「神秘が込められた対物ライフルじゃないなら、別にどうとでもなりますよ」

 

 やはりこの生徒只者ではない。そんな考えをアビドスと先生がしていると、銃弾を撃ち込んできた下手人が現れる。

 

「赤時ヒドリ……! いや、便利屋68!!」

 

「? どなたですか? 社長、知ってます?」

 

「え? さぁ……記憶にないわね。ハルカ、何か知ってる?」

 

「い、いえ……私も……ムツキさんはどうですか……?」

 

「んー……分かんないなー? カヨコちゃんは?」

 

「記憶にない。……誰だろ。ヒドリ、知らない?」

 

「“ループしてない?”」

 

 現れたのは、銃を構えた男達。ロボットの体の者が多い彼らは、ヒドリに対して────いや、便利屋68に対して強い憎悪を向けていた。なお、便利屋68の全員が首をかしげている。

 

「あの人達は確か……」

 

「あ、ブラックマーケットにいたカイザーの……!」

 

 便利屋68がうんうん頭を悩ませている間に、アビドスの面々が連中の正体を割り出した。

 

「ようやく……ようやく見つけたぞてめぇら……! てめぇらのせいで! 俺達は無一文になっちまった! どうしてくれるんだ、ああ!?」

 

「やっぱり記憶にありません。誰ですかね」

 

 ヒドリ達は覚えていないが、彼らはカイザーと癒着していた行商人であった。ブラックマーケットの裏オークションを仕切っていたが、史上最強のペロキチこと阿慈谷ヒフミの依頼を受けた便利屋68が裏オークションを襲撃。徹底的に叩き潰したのだ。ちなみに、その後ヒフミは非売品となった幻のペロロ様グッズを適正価格で手に入れている。

 

 しかし、連中は懲りずにまた稼ごうとした。そんな頃合いに覆面水着団による銀行襲撃やカイザーPMC撃沈が起こり、さらにカイザー系列の汚職や癒着が判明。蜥蜴の尻尾切りをされてしまった。お陰様で無一文。因果応報というやつである。

 

「まぁ、とりあえず……何のご用で?」

 

「決まってんだろ! てめぇらから慰謝料ふんだくるついでに、この祭りもぶち壊────あべしっ!?」

 

 言い切る前にヒドリのドロップキックが炸裂。パイルバンカーやヒートブレードを使わないだけ温情だ。

 

「じゃあ、ぶっ潰しますね」

 

「ふ、不意討ちなんて卑き────ぶべらっ!?」

 

「「「タコスッ!!?」」」

 

 空から降ってきた影に潰され、完全に沈黙する裏商人達。その影の正体を見た瞬間、常に笑みを浮かべているヒドリの表情がスンッと真顔に変わる。それだけで、便利屋68の面々は誰が現れたのかを察した。

 

「あら、何か踏んでしまいましたわ」

 

「この方もお祭りを楽しんでいたのでしょうか?」

 

「でも銃持ってるよ? ……あ、もしかして銃の形の食べ物とか!?」

 

「いや、普通に不審者だと思うんだけど」

 

 上空から現れたのは、縛りつけていたはずの美食研究会(ほぼテロリスト)。そのリーダー黒舘ハルナの脇には縄で縛られたフウカの姿が。

 

「ヒドリ君、ごめん……捕まっちゃった……!」

 

「何してるんですかフウカさん」

 

「美食研究会にご飯を届けたら、縄抜けしてて……! しかも爆発物まで……!」

 

「あら、私達、爆発物は使っていませんわよ? 突然爆発しましたの」

 

 美食研究会の言い分に嘘はない。この祭りを滅茶苦茶にしてやろうとした連中は、現在完全に伸びている裏商人達だけではない。便利屋68は良くも悪くも活躍し過ぎたのだ。裏の住人達が無視できないくらいに。

 

 ────さて、爆発を起こした連中はどうなったのだろう。思い出してほしい。黒舘ハルナ、赤司ジュンコ、獅子堂イズミ、鰐渕アカリ……合計四名で構成された美食研究会が、どこに縛られていたのかを。

 

「……あはは……許しません……」

 

 そう、阿慈谷ヒフミ────人呼んで史上最強のペロキチの渾身の力作、二ヶ月と半月かけて作り上げた食事をするペロロ様、グルメペロロ様像があった場所に縛られていたことを。

 

「あ、ヒフミ先輩。こんにちは。揚げ餃子食べます?」

 

「それは後でいただきますが、その前に! この人達を牢屋に放り込むのが先です!!」

 

「牢屋に放り込むだけですか?」

 

「ペロロ様の素晴らしさを教え込みます!!」

 

「さすがヒフミ先輩です」

 

 キレている。自称普通の女子高生阿慈谷ヒフミの周囲────正確にはペロロ様型リュックを中心に空気が歪んでいるようにすら見える。さすがペロキチ。さすがペロキチ凄まじい。もはやゲヘナよりゲヘナしているのではなかろうか。その気迫はキヴォトス最大の神秘を持つホシノすら汗を垂らすほどであった。

 

「というか命知らずよね、この人達」

 

「“それはどうして?”」

 

「だってこのお祭り────」

 

『キヒヒヒ────キハハハハハハハハハハ!! ぶっ殺す!!』

 

 聞き覚えのある叫び声が響き、凄まじい銃撃音が響く。

 

『せっかくのお祭りを潰すとは……許せません!!』

 

『お祭りくらい楽しませろ!!』

 

 あちらこちらで怒声と銃撃の音が響き渡る。

 

「キヴォトス各地から生徒も来てるのよ?」

 

 銃撃の音と野太い悲鳴は聞こえるが、露店の悲鳴は聞こえてこない。奇しくも実力者が揃っていたため、店への被害をほぼゼロに抑えながら戦うことなど有象無象相手なら容易いのだ。あと数分もすれば完全に鎮圧されて、祭りが再開されるだろう。

 

「あ、そうだ。一番売上が伸びてるのは……おお、さっきのヒレカツ店。生徒だと……メンチカツですか。社長の気になってたところ、一番人気だそうですよ」

 

「二番人気は?」

 

「レモネード店です。口直しに特化させてきましたね」

 

 生徒はお金を取ることができないが、代わりの引き換え券を集めることで、後程ゲヘナ学園自治区で使える食事券に変換できることになっている。五枚集めて500円分食事券一枚と交換が可能だ。

 

「“ちょっと待って。もしかして、このお祭りの主催者って……”」

 

「僕ですよ。言ってませんでしたか?」

 

 驚きを隠せない先生とアビドス高等学校廃校対策委員会の面々。美食研究会はいつの間にか失踪していた。

 

 

 

 




アロナちゃんねるで食事に関しての話題が出た後にこのイベントがやって来ます。

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