キルピト(完)   作:翔々

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才の目覚め・後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 逃げてばっかりか! ちったぁ攻撃しな!

 

 [伊藤誠の一文字斬り]

 ※斬撃ダメージ(小)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (わかっちゃいたが、強い! 攻撃の隙が掴めねぇ!)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (それでも、俺にできるのは噛みつきだけだ。

 技なんて知らないし、閃きもしなかった。

 隙を見つけねぇとジリ貧で負ける!)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (俺がずっと押してる。それはいい。

 こんだけ差がありゃ当然だ)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (けど、致命傷が入らねぇ。全身反則級の硬さだ。

 今のだって手応えがあったのに効いてないのか?

 世界の神経弾がありゃ楽できたのに!)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (悪魔化の手段を吐かしたかったが……ナシだ。

 こいつは長引くほど何してくるかわからない、

 レベル差以上に厄介なタイプだ)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (一撃だ。一撃で決めてやる。

 首と胴を真っ二つにするか、心臓にぶッ刺して殺す!

 

 ……死んでても恨むなよ、世界?

 俺に殺されないだけマシだと思え)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (構えが変わった! 技でも出すつもりか?

 だったら……)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (意地でも喉笛に食らいつく! それしかねぇ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 焦ったな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 [伊藤誠の稲妻突き]

 ※刺突属性+電撃(まれに感電)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 あ……れ?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 な、何……が…!?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 心臓をブチ抜いてやった。電撃のおまけ付きでな。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 もう一回死んでこい、悪魔。未練ったらしく

 蘇ってこないで、永久に地獄をさまよってな。

 お仲魔もすぐに送ってやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

  ? ? ?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ───二度目の邂逅だ。弱き者、人間よ。

 間桐慎二はおろか、あのような輩に負けるとはな。

 これでは『ハコニワ』脱出など到底叶わぬ願いぞ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 これ以上の醜態を晒すなら、余がその体を乗っ取る。

 間桐慎二の腹の底が知れたいまとなっては、

 すべて塵殺すれば足りるからな。

 

 ───何故そうせずにいるのか。

 人間よ、その脳髄で理解できるか?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 貴様が 共感 したからだ。

 主に捨てられ、醜くも果敢に生きた蟲族のありかたに

 貴様は哀れみも蔑みもなく魂からの理解を示した。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 王として、貴様の志には感謝している。

 その誠意に報い、貴様を屈服させる事、今はせぬ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 さぁ、再び戦いの座へ赴くがいい。

 余の、蟲族の、ピトーの期待に勝利をもって応えよ。

 

 それとも、武器も無しでは辛いか?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ひとつ、餞別をくれてやる。

 生きていれば余の習得したであろう戦技だ。

 ───五体にとくと刻み込むがいい。

 

 

 

 

 

 

 

 異界化校舎 3F 通路奥

 

 

┌────────────────────────

 ……うんっ

 

 

 

 

 

 [ネフェルピトー Lv.12 → Lv.14]

 

┌────────────────────────

 ボク、ちょっと強いかも♪

 

 

 

 

 

 [西園寺世界 Lv.17 → Lv.1]

 

┌────────────────────────

 い、たい、よぉ…! 力が、吸われて……!!

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (便利だニャー、さっき覚えた『デビルタッチ』

 相手が瀕死なら触れるだけで吸収できる。

 

 ……キル夫が覚えたりはしないよね?

 喰べなくなったら困るし、悪魔教育に悪いニャ)

 

 ※HP1桁相手のレベル吸収。ピトー専用

 

 

 

┌────────────────────────

 いたいいたいって、転んだ子供じゃあるまいし。

 腕がとれたわけでもないし、足だってまだ付いてる。

 肋骨が半分ダメになったくらいで降参する気?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 いたぶってぇ……! あんたなんか、誠が来たらすぐ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 <うぁぁぁぁぁぁっ!!

 

   ノ   /   /     n     、  ヽヽ

 . (    L/      ノ ! 、_   i丶  )ノ

 .f′  ィ   /  ィ/⌒ヽ`} 〉 ノ{ (  、ヽ、

 ノ  (   /   . // rヘ  く( /n. 〉! 、  } }

   r‐'  i   /ノ   、ソ   }l_ノ.{ソ { |_ {  r'′

  /  /7 ノ、  {.{  ゝ--‐''  リ ヽ-' l  〕 ,.ノ

 7 ,r‐‐! /_ゝ ,ィ          ノ (_/

 ヽi  `' {::.::.レ':.、`丶、   `'''~''"/

      }:::.:::.::.::\ r'`丶-‐'´

 

 

┌────────────────────────

 口を開くなら、ディアの一つでも唱えたらいいのに。

 

 ※ひとりのHPを回復(小)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 5レベルも格下にサシで負けるとか、サポート役を

 差っ引いてもありえない。今までどう戦ってきたのさ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……聞かなくてもわかるか。

 旨い汁だけ啜ってきたんでしょ?

 痛い目を見ないよう、傷つかないように。

 

 普段からダメージに慣れていないせいで、

 肝心な時に動けなくなる典型例だ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 わからないなぁ、ボク達がやってるのは殺し合いだよ?

 何で強さを求めない? どうしてそんなに怠惰なのさ。

 負けたら殺される世界なのに。

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 あ……あたしはねぇ!

 あんた達みたいな、戦闘狂の人でなしとは違うのよ!

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 生きるために殺す……けど、女として生きたいの!

 オシャレして、男を捕まえて、チヤホヤされたい!

 願うぐらい人の勝手でしょ!? それさえダメなの!?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 なんでダメなのよ! みんなしてるじゃない!

 どうしてあたしだけ許されないの!? そんなの嫌!

 誰に何を言われたって、あたしは自由に生きてやる!

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ふぅん。あっそう。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 懐かしいなぁ。『ハコニワ』を脱出するって決めた時、

 女王がいってたっけ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 「自由と餓死は、いつだって背中合せにある」

 

 ボクは『ハコニワ』の中の摂理だと思ってたんだけど、

 外の世界でも同じなんだね。やっと理解できたや。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 オマエは愚かだ、西園寺世界。

 

 何の努力もしないまま、身の丈を越えた成果を求めて

 一歩も踏み出そうとしない。

 

 それは本当に自由なの? どこの神様が保障した?

 オマエの神様は、オマエにだけ甘い顔をする盲なの?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 うっさい! ウザイのよあんた!

 悪魔のくせに、わけわかんない事ばっか!

 

 あんたなんか、誠に殺されちゃえばいいんだ!

 キル夫なんてザコ、誠なら瞬殺してくれるんだから!

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……そう。ボク達の求めた自由を汚した上に、

 キル夫まで愚弄するのか、オマエは。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 本当なら生きたまま喰ってやるけど、そんな暇はない。

 放っておくほどの余裕もない……だから、

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ボクのかわりに食べてくれる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 う、うそでしょ? そんな、そんなのってぇ!?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 死んだ人間達のゾンビ化か。ひのふの……20体。

 全部お前達が作ったオブジェだろ? 欠損が酷いよ。

 悪魔だってもう少し上手くやるのにさ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 知ってる? ゾンビって抜け殻みたいなものだから、

 搾りかす同然なんだ。それでも栄養自体はある。

 屍体ひとつ残さずに喰べれば、小腹は満たせるよ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 お前がどうなろうと、もう欠片も興味はない。

 ボク達の邪魔をしなきゃ好きにしていいよ。

 

 異能者なんだから、Lv.1でも頑張れるよね?

 ふつうのしあわせがてにはいるといいね。

 

 ばいばい、さようなら。

 

 

 

 <タッタッタ……

 

 

┌────────────────────────

 ま、待ってよ! 待って!!

 置いてかないでぇ!!

 

 

 

 

 ウォォォ……アァ……!>

 

 

┌────────────────────────

 嫌! こんな死に方、嫌ぁ!

 殺して! お願いだから!

 今すぐ殺してよ! うわああっ!!

 

 

 

 

 <アァァァァ……!!

 

 

 

┌────────────────────────

 思ったより手間取っちゃったな。

 今からキル夫の助けになれるといいけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

  異界化校舎 3F 図書室

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 付け焼刃にしちゃ上出来だったぜ、キル夫。

 それでも経験が足りない。

 素質があろうと死ねばそれまでってわけさ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 さて、世界の方に行くか。勝ってたら殺せば良いし、

 負けてたら女悪魔を殺るだけ。シンプルで助かる話だ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……刀が抜けねぇ。死後硬直か?

 高かったんだぞこれ。どうすっかな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……そうだ、消えてない。

 悪魔なら、死ねば肉体が消えるはず。

 

 ダメなのか? 心臓を刺したぐらいじゃ、

 コイツは死なないのか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 このっ、化け物が!

 だったら心臓ごと全身を壊死させてやる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 刀身はもう刺さってる!

 斬れなくても、電撃ならくれてやるよ!!

 

 [伊藤誠の稲妻斬り!]

 [キル夫は感電している!]

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 おぉぉぉぉっ!!!!

 

 [伊藤誠の稲妻斬り!]

 [伊藤誠の稲妻斬り!]

 [伊藤誠の稲妻斬り!]

 [伊藤誠の稲妻斬り!]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 死ね! 死にやがれ!!

 さっさと消えろってんだよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 電気マッサージか?

 おかげで目が覚めたぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 寝てる間に、合体した悪魔と話が出来た。

 きっちり礼をさせてもらうぞ、伊藤!

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 悪魔だって殺したら消えてなくなるんだ。

 人間なら呆気なく死んでそのまま腐る。

 

 どっちでもなく、蘇ってくるお前は、まるで……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 [ニューソクデ・キル夫 Lv.13 魔人]

 

┌────────────────────────

 魔人――――!!

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 "魔人"か。いいな、カッコよさそうだ。

 今度からそう名乗らせてもらう。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 その為には、とりあえず、

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (技が来る! 噛みつき以外にもあったのか!

 刀が折られた今、避けるしか……!)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 [キル夫のデスバウンド!]

 ※全体に斬撃ダメージ(中)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 があああああああぁっ!!

 う、腕が! 俺の、俺の腕がぁ!?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 これで剣も持てないな?

 お前も嬲り殺しにされる気分を味わっていけ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ~~~~~ッ!

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (どこだ。どこで俺は間違った?)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (楽な仕事だったじゃないか。

 お坊ちゃんと無能女の始末、ミッションと戦績の確保。

 あと一歩のところで、こんな番狂わせがあるか!)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (……俺は死ぬのか。自分が殺したバケモノに

 惨たらしく喰われる、そんな最後なのか。

 何も手に入れない、残せないまま! 畜生、畜生!!)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 伊藤。お前にいいたいことがある。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 俺はな、一つだけ感謝してるんだ。

 お前が俺を殺した、あの場所の事だ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 もしあそこで殺されなかったら、俺はピトー達と

 会えなかった。生きていても違う形になったはずだ。

 あそこで殺されたから、今があるんだ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……お前は憎い。恨みもある。

 けど、それだけは感謝してる。

 

 だからせめて、

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

  一 口 で 終 わ ら せ て や る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……ケッ。無念、だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

  <タタタタ……キッ!

 

 

 

┌────────────────────────

 キル夫、無事!? こっちは……

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 今行こうと思ってたんだ。ひとりで倒したのか?

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 さすがだな、ピトー。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……王?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ピトー? 大丈夫か?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……え? う、うん。

  怪我はしてないよ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 西園寺もレベルが高かったから心配だったんだよ。

 きっちり勝ったんだな。ありがとう。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 う、うん。どういたしまして。

 

 (どうしたんだろ? キル夫が王に見えるなんて)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 あ、キル夫。伊藤の分もレベルが上がってるね。

 

 

 

 

 

 [ニューソクデ・キル夫 Lv.16 魔人]

 

┌────────────────────────

 おう! ようやくピトーを越えられたな!

 

 

 

 

 

 [ネフェルピトー Lv.14 妖虫 名もなき蟲族]

 

┌────────────────────────

 ボクを目標にしてたの? とりあえず、おめでと。

 

 (……人間を食べるのに抵抗がなかった?

 子供の成長は早いっていうけど、凄いね)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 でも、Lv.16かぁ。

 王がLv.15だったから、ついに超えたんだね。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 このままいけば、ボクもそれに――─ぐっ!?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ピトー? どうした!?

 どこか痛むのか!?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 い、痛くはないよ、大丈夫。

 でも、なにか熱いのが、ボクの中で噴きあがってくる!

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 な、何、これ!? 変わる!

 ボクの力が変わっていく!

 怖い、こわいよ!

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 おい、しっかりしろ!

 どうしたらいい!? 保健室の薬でも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 こうやって……手を、握っててほしい。

 お願い、キル夫。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 あ、ああ、わかった。

 全然痛くないぞ、大丈夫だ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 かっ、はっ……!

 くぅっ……!

 

 [ネフェルピトーの様子がおかしい……]

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 

 [ネフェルピトーは変異しようとしている!]

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (変わる。変わることでボクはもっと強くなる。

 それはいい事だ)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (でも、蟲族のボクはどこにいっちゃうの?

 もしボクが消えてしまったら、蟲族は本当に滅ぶ)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (強くなりたい。でも、蟲族である事を捨てたくない!

 どちらかだけなんて、ボクには選べない!!)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (わからない。誰か、誰か教えてほしい。

 ボクはどっちをとったらいい?

 どうして答えが出せない?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……ピトー、大丈夫か。辛そうだぞ?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 はっ、はっ……

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 俺には気の紛れる話なんてできないけど。

 辛かったら、聞き流してくれていい。

 ひとりごとだから。笑ったっていいぞ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……俺の手を引っ張ってくれたのは、

 お前だけだ。お前が初めてなんだ、ピトー。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 死んでからの話じゃない。俺は、人間の頃から

 ずっとひとりで、真っ暗な道を歩いてきたんだよ。

 親も、友達も、まわりには誰もいなかったから。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ピトーのおかげでわかったんだ。

 誰かが一緒にいてくれるのが、どんなに楽しいか。

 見捨てないでくれるのが、どれだけ嬉しいか。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……だから、頼む。

 これからも、俺と一緒に歩いていってくれ。

 俺にできる事なら、なんだってするから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ありがとう、キル夫。

 その言葉で、ボクは答えが出せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 うわっ!

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ボクはネフェルピトー、名もなき蟲の血を遺すもの。

 コンゴトモヨロシク

 

 [ネフェルピトーが変異した!]

 [妖虫 → 魔獣 ネコマタ]

 [Lv.14 → Lv.18]

 [ザンマ、マリンカリン習得!]

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (よかった、蟲族の血はちゃんと残ってる。

 変異元の因子は変わらないみたいだね)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ピトー、もう平気なのか?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 大丈夫! 前より調子がいいぐらい

 身体が軽いんだ!

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 いまボクが経験したのは"変異"。

 条件を満たせば、より強い個体に生まれ変わる現象だ。

 蟲族でもボクが初めてじゃないかな?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 無事ならいいんだ……っていうか、

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 また抜かれた。  [Lv.16]

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 頑張って強くなってね?  [Lv.18]

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 なんだかなぁ。苦労してやっと追い抜いたのに、

 また背中が遠くなった気分だ。

 胸を張れるのはいつになるんだか。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 心配いらないよ、キル夫。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ボク達は同じ道を歩くんでしょ?

 すぐに肩を並べるようになる。

 先にいった方が手を握れば、離れる事は無いよ。

 安心して来るといい。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 あー、ああ。うん。そうだな。

                   <ゴトッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 なんだ、これ? やけにキラキラしてるな。

 鉱物っぽいのに重くもない。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 何かの魔法がかかってるよ。火とか水じゃない。

 小道具……どこかの鍵になってるみたい。

 伊藤達が持ってたのかな?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 キーアイテムってやつか?

 まるでゲームだな。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 そろそろ行くか。この階を一周してから

 屋上にあがってみよう。扉が開いてるかもしれない。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ゾンビになった人間がウヨウヨいるよ。

 食べてもあんまり力にならないから、さっさと倒そう。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……人間がゾンビになった悲しさより、まず先に

 「喰わなくてもいいんだ」って安心するあたり、

 本当に変わったなって実感するよ、俺。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (いろいろあったが、伊藤も西園寺も脱落。

 悪魔になった俺を除けば、もう人間はいないだろう)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (後はこの馬鹿げたショーを開いた間桐慎二を

 ぶちのめして、元の世界に帰るだけだ)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (首を洗って待っていろ。何もできずに殺された

 連中の恨みも込めて、残さず喰らいつくしてやる。

 俺の分、ピトー達の分もだ。

 

 楽に死ねると思うなよ、間桐慎二)

 

             [キルピト 第二話 終わり]

 

 

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