キルピト(完)   作:翔々

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エクソダス・前

 

 

 

 

 キルピト 最終話「エクソダス」

 

 

 

 

 

 

 

 ピーッ! ピーッ!

 

 

┌────────────────────────

 ん……『人間反応、オールクリア』?

 ひとりも残らなかったのか。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 伊藤も西園寺も、ここの悪魔達にやられるほど

 ヤワじゃない。にもかかわらず、揃って退場?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 無理心中を選ぶような関係でもない。

 なら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 サポート役が剣士相手によくやったもんだ。

 さぞかし凄絶な一幕だったろうさ。

 僕も見に行ってやればよかったかな?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 しかし、こうなるとつまらないな。

 せっかく主催者がピエロを労ってやろうってのに、

 ひとりも残らないんじゃ興醒めもいいところだ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 あとは残ってる悪魔達を狩り尽くして、この魔法陣に

 エネルギーを満たすだけか。暇潰しにはなるけど……

 

 

 

 

 ピーッ! ピーッ!!>

 

 

┌────────────────────────

 ああもう、人が気持ち良く喋ってる時に!

 ……なに? 空間内のマグネタイト、全喪失!?

 なにいってんの!?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ソナーは反応してるじゃないか!

 マグネタイトを絶たれた悪魔が残れるものか!

 サマナーは僕だけなんだぞ!?

 

 バグってるんじゃないのこいつ!?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 畜生! お爺様や周りの連中だけじゃなく

 機械まで僕をバカにするのかよ!

 ちょっとは役に立てよな、もう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

  異界化校舎 屋上入口

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……相っ変わらず、理解できないセンスの扉だ。

 悪魔の世界ならむしろピッタリなのか?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 別の悪魔達の縄張りがあったから、

 ヂートゥ達もここまで来れなかったんだけど。

 

 なにコレ? 異界化で変質したの?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 元々だよ。春に校長が代わって置かれたんだ。

 屋上は不良の溜まり場だったけど、こんなのを

 目にしたら誰も寄り付かなくなったよ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……人間のセンスって、色々と変だね。

 今時悪魔でもこんなデザインはしないよ?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 一緒にしないでくれ。俺は違うからな。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 さて、逃げてる間は入れなかったが

 何か変わったところはあるのかねぇ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 うん、やっぱりだ。

 その魔石がロック解除の道具だったみたい。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 こんな扉に小細工なんか仕掛けるなよ。

 開くならいいけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 わざわざ像を一対こしらえた上に、

 魔術式のロックをかけてたみたいだニャ。

 たった一度の開錠のためだけに。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 なんて無駄な演出だ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (……あれ? キル夫はさっき、

 

 「異界化前に校長が代わって置かれた」

 

 っていったよね?)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (これだけ凝ったギミック、一から作らないと不可能。

 『ハコニワ』を見据えた大掛かりな仕込みだ)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (仕掛けを作ったのは間桐慎二?

 違う、奴にこんな芸当は出来ない)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (ボク達は生き残るのに必死だった。『ハコニワ』も

 すべて間桐慎二が作ったものと思い込んでた。

 ……そうじゃないんだ)

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 (間桐慎二は敵か?

 『ハコニワ』を作ったのは誰か?

 間桐慎二でないとしたら、敵か?

 その場合の戦力は?

 ボク達の存在は知られている?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ん? ごめん、キル夫。

 ちょっと考え事して……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……すまん、悪かった。

 そこまでビックリするとは思わなくて。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 さすがにビックリしたよ。

 でもどうしたの、いきなり?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 難しい顔してたからさ。

 何か気づいたんだろうと思ってな。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 お前は俺よりよっぽど頭がいい。

 いま悩んでたのも、何かの答えに繋がってるんだろう。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 でも今は、目の前の事からやっていこうぜ。

 戦ってる時に悩んでたら、それこそ命取りになるだろ?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『ハコニワ』を出た後、元の世界での生活、悩みは

 山ほどあるけど、いまは間桐をぶちのめしてやろう。

 その後で俺も一緒に考えるからさ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……そうだね。

 まずは目の前の敵を倒さなきゃ元も子も無いか。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 にしても、キル夫に教えられるとはニャ~。

 悪魔の先輩としてショックかも。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 おいおい、脱出したら俺が案内役になるんだぞ?

 今の内に慣れてくれ───よし、

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 行こっか

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 行くぞ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ひっ! ま、まさか、ロックが開けられた!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 外側のロックは、僕が持ってるこいつでしか

 開けられないんじゃなかったの!?

 スペアがあるとか聞いてないぞ!

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 なんだよ、あのヒゲ野郎!

 調子の良い事いっといて嘘ばっかりじゃないか!

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ああ、もう! 落ち着けよ僕、予定が狂っただけだ。

 ミスに乱されるなんて僕らしくない。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 そうだ、慌てなくていい。僕の役目は生存者の排除。

 それでミッションクリアだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『カリキュラムの成果を見せる時が来たぞ、間桐君』

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『どういう意味さ? いつもの実習とは違うわけ?』

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『まったく違う。今回は実戦だからね。

 そして舞台は……君の学び舎だ』

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『うちの高校が舞台……悪魔が入り込みでもしたの?

 それを殲滅するとか? お披露目にしては華が無いね』

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『それも違う。何しろ事件を起こすのは君だからだよ、

 デビルサマナー・間桐慎二君』

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『はぁ!? どうして僕が!?』

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『私達のプロジェクトの最終試験だよ。

 君の受けてきた訓練が実戦でどこまで活かされるのか。

 適合検査の最優秀者がどれだけ資質を伸ばすのか。

 このミッションで組織の方向性が決まるといっていい』

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『君の働き一つで世界中のプロジェクトが一気に動く。

 国内外の研究機関も注目しているんだ。

 

 ……ただし、死人も出る。君の呼び出す悪魔によって』

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『!』

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『君の講義を担当してきたのは私だからね。

 当然、君の素養・性質・倫理観すべてを把握している。

 君は真っ当だ。殺人鬼やシリアルキラーではない』

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『そんな君だからこそ、今回のミッションの重要性を

 理解してくれると私は確信する。何故だと思う?』

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『君は"開拓者"だからだ。

 カビ臭い魔術の家を捨て、新時代を切り開くサマナー。

 これこそが君の受ける、正当な評価なのだよ』

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『そんな君の姿に、後世の人々は何を思うかな?

 羨望? 嫉妬? 対抗心?

 ───違うね。そんな俗物めいた感情など有り得ない』

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『 可 能 性 だ よ 』

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『自分もあの人のように。そう胸を焦がす。

 ……もちろん、現実にはなれっこない。

 天才を超えた偉人に近づけるはずもない。

 だからこそ彼らは抱くのだ。可能性という甘い果実を』

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『その実を抱かせるのは間桐慎二、君に他ならない。

 ……いいかい、君は彼らを導くパイオニアとなるんだ。

 指導者が自らの手を汚す事を、後の歴史が罪とするか?

 屍山血河も飲み干してやるのが支配者の宿命だろう』

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『……僕が、支配者。無能達の上に立つ王に?』

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 『くくっ……さぁ、答えを出そう。

 無名のサマナーとして埋没するか、歴史に名を刻むか。

 ……君はどちらを選ぶかね?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ――そうだ、僕はもう後戻りできない。

 あいつがヘマをしようが、どんな悪魔が残ってようが、

 僕の仕事に変わりはない。任務を遂行するだけだ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 いいだろう、やってやろうじゃないか!

 地の利はこっちにあるんだ、すべて叩き潰してやる!

 

 

 

 

 

 

 

 <ピピピッ!

 

 

 [ニューソクデ・キル夫 Lv.16 魔人]

 [ネフェルピトー Lv.18 魔獣 ネコマタ]

 

 

 

 

 [間桐慎二 Lv.23 デビルサマナー]

 

┌────────────────────────

 よくここまで来れたね。

 僕の予想を越えてくるなんて大したもんだ、が……

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 君達はどこから入り込んだんだい? ネコマタを躾けた

 覚えはないし、隣の君はまるでミュータントだな。

 レア物ならコレクションにしてあげよう。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 相変わらずの勘違いっぷりだな、間桐。

 不良にカツアゲされてたとは思えない姿だ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 カツッ……おい、何をいってるのさ!

 ポッと出の悪魔がやけに人間臭い嘘を吐くね?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 都合よく無かった事にするなよ、間桐。

 お前に飽きた連中が俺に向かってきたから

 去年は散々だったんだ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 その口調……ニューソクデか!?

 ハハッ、本物の悪魔になったってわけ?

 君が最後まで残るなんてどんな喜劇だよ!

 相も変わらずバケモノじみた顔してさ!

 どうせなら、もっとイカレた姿になればいいのに!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 そっちのネコマタが睨んでるけど、君達は何なのさ。

 まさかデビルサマナーになったなんて言うなよ?

 君ごときが名乗れるほど軽い称号じゃないんでね。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 名もなき蟲族の生き残り。かつてお前がこの世界に

 切り捨てた使い魔の末裔と、その協力者だ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 使い魔……ああ、いたねそんなの。

 お爺様のくれた餓鬼以下のゴミ蟲が、ふぅん……

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 いやいや、大したものじゃないか。

 ミミズみたいについばまれてた連中がここまで

 這いあがってくるなんて、奇跡もいいところだ。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 で、その末裔が何の用?

 「強くなったから仕えさせてくださいませ、ご主人様」

 なんて殊勝な考えなら、プログラムに入れてもいいよ。

 こき使ってやるから有り難く思うんだね。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ……こんなに腹が立ったのは生まれて初めてだ。

 西園寺なんて比べものにならない。

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 消えていった王達と蟲族の誇りにかけて。

 ボクとキル夫のプライドを無遠慮に踏みにじった

 代償を支払ってもらう。ただで死ねると思うなよ。

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ぷっ……くくっ、心を踏みにじられた?

 最っ高に面白いセリフだね。漫画でも見たの?

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 本っ当に笑わせてくれるよ!

 何を云うかと思えばさぁ、寝言は寝てからいえよな!

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 人間の時から爪はじきにされていたチンピラと、

 悪魔ですらない羽虫にかける義理なんてどこにある!

 出来損ない同士の素敵なカップリングじゃないか!

 お前達の血でもって祝福してやるよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 さあ、最後の演目だ! ここまで生き延びた君達には、

 この魔法陣の最後の供物となってもらう!

 みんな来るのを待ってたんだ、歓迎してもらいな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┌────────────────────────

 ノートPC……あれが悪魔召喚プログラムか!

 

 

 

 

┌────────────────────────

 あいつの仲魔達が出てくる!

 いくよ、キル夫!

 

 

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