無人ACを撃墜後。
本隊との連絡が回復した。
どうやら他のナンバーはベイラム社のAC部隊レッドガンと交戦しているらしい。
彼らも我々と同じくこの艦を発見し調査に乗り出したのだろう。
現在も生体反応が確認されたブロックを仲間が死守しているらしい。
私は待機していた部下達と合流し目的のブロックへと急行した。
※※※※※※
レッドガンを退けた我々は他のナンバーと合流。
部下達に周囲の警戒を継続させ、目的のブロックへと潜入した。
どうやら研究を行う区画らしい。
周囲に無数の調整槽が存在するが、生き残りはいない。
半世紀における漂流が原因か中に収まっていたヒトだったものは生体反応を示していなかった。
その中で微弱ながら生体反応を示した調整槽が残っていた。
「あれが例の生体反応が残っているモノか。」
「ラスティ隊長、他の調整槽の生体反応の確認を終えました。」
「どうだった?」
「残念ですが、中央の調整槽以外は全滅です。」
「そうか…」
この艦で一体何が起こったのか?
理由を知っているかもしれない者が生き残っているだけ奇跡だろう。
「別のブロックを調査中の他の部隊からパッケージされたACを発見したそうです。」
「ACだと?」
「それも何処の企業のモノかは不明だとの事です。」
「謎のACと残された調整槽…一体、何の為に?」
経過報告後、我々は本隊からの指示で例の調整槽と謎のACを回収し帰投した。
航行艦に帰還後、ヴェスパー部隊のナンバー達が回収された調整槽の前に集合。
物珍しさもあるが、秘匿性の高いモノであるのは確かだ。
部下には任せられず数名の研究員が付き添う形で調整槽の開封が行われた。
パシュン!
あれは幻視だったのかもしれない。
調整槽の中にあったのは休眠状態にされた16〜17位の少女。
開封と同時に少女の背に妖精の羽根の様なモノが視えた。
それも一瞬の事。
そして、眠る少女を長々と見ている訳にはいかなかった。
調整槽で眠っていた彼女は何も纏っていない状態。
これには同じ女であるナンバーの一人が注意し棒立ち状態の研究員に指示をした。
「まさか女の子が眠っているとは…」
「総隊長、どうされますか?」
「本社の指示次第だが、恐らくあの子を抱えたままルビコン3へ入る事になるだろう。」
他のナンバーが動揺する中で総隊長は最もな答えを示した。
「お荷物を抱えるとは…」
ナンバー2であるスネイルが皮肉めいた表情で呟いた。
戦力になりそうなACは兎も角、子供同然の少女を1人抱える事になる。
ルビコン3での活動に支障来たす障害となるかは今後次第だろう。
「我々はルビコン3へ侵入後、拠点となる基地の制圧を行わなければならない。」
ルビコン3へ侵入後に行われる任務。
半世紀前のアイビスの火で落ちた我々の所属企業の施設をルビコン解放戦線が修復し現在も使用している。
それを奪還するのがルビコン3におけるヴェスパー部隊の初任務だ。
「あの妖精の娘の件はその後だ。」
隊長は静かに答えた。
何故、隊長にも視えたのだろう。
ACに最適化された我々ヴェスパー部隊の強化人間は総隊長を覗いて、その多くが第七世代から第十世代。
第一世代から第七世代までは使用されたコーラルの影響で時折幻聴と幻視が引き起こされる事例が上がっている。
逆に代替技術で製造された第八世代からはその事例は起こっていない。
だからこそナンバーズの第七世代には先程の幻視が当然見えている。
しかし、この場の全員にあの妖精の羽が見えていた…一体何が?
我々は妖精の少女との出会いを切っ掛けにコーラルの真相に深く関わる事となるとは思いもしなかった。
=続=