後書きに例の奴の使い道。
レイヴンらがシースパイダーに続きバルテウス二機の増援を受けて対応している頃。
RaDの拠点近くにある上層へのリフトへ来客達が訪れていた。
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引き続き、カーラの居る通信室。
上層へ向かう為のリフトにはレッドガン部隊が到着。
既に何機かはリフトへ乗り込みを始めていた。
「もしかして、ビジター達が言っていたレッドガン部隊はアンタらの事かい?」
『その通りだ!俺の名はG1ミシガン。シンダー・カーラ…リフトを上げてくれ!G13達の援護に向かいたい!』
「…他に手が無かった所だ、リフトを起動させるよ。」
流石に土足で領域に入り込まれるのは癪でもあったが、自身が認めたビジター達が苦戦を強いられていた。
なら、可能性のある戦力を上層へ向かわせるのが得策だろう。
カーラは上層の状況を説明しつつリフトの準備に入った。
「上層は閉鎖機構の監視レーザーと警備システムが網を張ってたが、ビジター達が粗方片付けてくれた。」
衛星レーザーも中継役を担う警備システムを破壊された事で確実な照射が行えない。
戦場となったカーゴランチャーの区画に援軍を送るのは今しかないと告げる。
『聞いたか!役立たず共っ!』
『勿論です!ミシガン総長!』
『リフトで上層に上がった者から順にカーゴランチャーへ向かい、G13達を援護しろ!』
それは少しでも早くレイヴン達に戦力を送る為に答えた彼の優しさ。
ミシガンはG6レッドを始めとするナンバーズを中心に部下達に命令を下した。
『あの訳の分からんアルカナと言う奴らの好きにさせるなっ!!』
荒々しくも統一の取れたレッドガン部隊の雄叫びが上層リフトに響き渡った。
「面白い連中だね…ビジター共の強運にも驚きを隠せないよ。」
カーラも通信室でレッドガン部隊のやり取りを聞きながらリフトを起動させた。
~カーゴランチャー区画~
レッドガン部隊が上層リフトで続々と上がっている頃…
レイヴン達は手負いとなったシースパイダーを先に倒す事に決めた。
レイヴンがシースパイダーを倒す間、バルテウス二機はイグアス達が相手を務める事となった。
『戦友、私達がバルテウス二機の動きを止める!』
『ソイツの首はテメェに譲ってやる!絶対に逃がすなよ!』
『もう、イグ兄ってば…何時もの事だけど素直じゃないな。』
『レイヴン、頑張って!』
五機のACで袋叩きにしていたシースパイダー。
手負いとは言え、油断は出来ない。
現在も飛行しながらコーラル由来のダメージゾーンを生み出して最後の悪あがきを行っていた。
『レイヴン、ラスティ達の行為を無駄にしないでください。』
各機共に最初のシースパイダーで弾薬を使い過ぎた。
カーラの話によれば、技研時代の物よりも強度が跳ね上がっていた。
弾薬を消費し過ぎたのもそれが理由。
バルテウス二機に対応する間にも各自の弾薬も底を尽くだろう。
そうなれば、飛行するバルテウスのミサイル弾幕を避けつつ近接武器を撃ち込むしか手段が無くなる。
『…』
レイヴンは早期決着を着けるべく、シースパイダーに取り付いた。
狙うは装甲が最も薄い…足の付け根部分である。
火花を散らしながらガトリング砲で撃ちまくりスタッガーを狙う。
そしてシースパイダーの動きが鈍った隙に最後のグレネードを至近距離で発射し離脱。
『敵機、システムダウン…ジェネレーターが爆発します!』
レイヴンの総攻撃からの離脱と同時にシースパイダーは爆発し四散した。
『各機!レイヴンによるシースパイダーの撃墜を確認………ですが、コーラルを動力に使うなんて。』
エアもシースパイダーの爆発と同時に溢れ出したコーラルを感知したのだろう。
シースパイダーのジェネレーターに内包されていたコーラルは自由になったのと同時に上空に漂うコーラルへと流れて行った。
『残りはバルテウス二機だが…油断は出来ない!』
『ああ、前よりも装甲の強度が上がってやがる!』
『…イグ兄、このバルテウスからもコーラルを感じるよ!』
『うん、さっきの、シースパイダーと、同じ!』
今回、ウォッチポイントで倒したバルテウスよりも強化された状態のものが増援として送られたのだろう。
当然ながら弾薬は底をついた。
残っているのは近接武器のみ。
『くそっ!弾切れか…!』
『済まない、此方もだ!』
『どうする?僕は突撃するしかないよ!』
『私も、左腕の武装、上手く、使わないと!』
バルテウス二機が展開しているパルスシールドも強度が上がっているだろう。
で、あれば生半可な攻撃は通用しない。
万事休すかと思われたその時だった…
『全機!あのデカブツ共に一斉掃射!G13達を援護しろっ!!』
聞き覚えのある怒号が戦場に響いたのだ。
同時にバルテウス二機にACとMT部隊の一斉掃射が撃ち込まれていく。
『ったく、遅せぇぞ!』
『親父!皆っ!』
常に行動を共にしていたイグアスとラークが声を上げた。
『貴方は…!?』
『ミシガン、総長。』
G1ミシガンがACライガーテイルと共にレッドガン部隊を率いて到着したのである。
『G5達も無事の様だな!』
『こんな事でくたばるかよ!』
『G5!碌でもない減らず口が叩けるならまだ死なんな!』
『親父っ!!』
『GB、戦場ではコールサインか総長と呼べと何度言ったら分かるっ!?』
『ミシガン総長、そちらの援軍に感謝します。』
『あ、ありがとう、ございます。』
『礼は後だ!今は奴らを撃墜する事に専念しろ!』
最もな意見を告げるミシガン。
戦いはまだ終わっていない。
積もる話は倒すべき敵を退けてからである。
『イグアス!奴らのシールドをぶっ壊すのは俺達がやる!』
『先輩とラークは接近戦を!』
G4ヴォルタとG6レッドのACからの通信がイグアスとラークに向けられた。
『邪魔な弾幕はこっちで散らすぜ!』
G7ハークラーやMT部隊はバルテウス二機から発射される弾幕の妨害に呈していた。
『レイヴン、レッドガン部隊が到着しバルテウス二機を追い詰めています。』
『…』
『ええ、決着を着けましょう!』
レイヴンらもレッドガン部隊の到着と援護によって戦況が変わった事をエアから伝えられた。
レイヴンは仕上げに取り掛かる為に自機のACのブースターを拭かせた。
~バルテウス二機の沈黙後~
先の連戦によってカーゴランチャーのコンテナがいくつか破損し使い物にならないのもあるが、中央氷原に向かう分には量があるので問題はなかった。
『敵の反応は無くなったようだね…改めて起動させるよ。』
カーラは改めてカーゴランチャーの施設を起動させ、無事だったコンテナを人数分用意し始めた。
『お前達、先行調査の件…ご苦労だった。』
『…』
ミシガンの発言にレイヴンは電子端末で問題ない事と援軍の礼と告げた。
『総長、俺らとの合流はまだ先じゃなかったのか?』
『そうそう、何で間に合ったの?』
イグアスとラークがミシガンから聞かされた合流予定よりも早い到着である事を質問した。
『別ルートから大陸横断を始めたヴェスパー部隊がアルカナの襲撃を受けた。』
『第二隊長達が…』
『皆は、無事、ですか!?』
『安心しろ!例の総隊長が中心となって退けた…俺達が合流を早めたのもそれが理由だ。』
『よ、良かった。』
ミシガンの説明に驚くラスティとフェアリー。
襲撃を受けたが無事に退けた事を説明された。
『詳しい話は中央氷原に向かったヴェスパー部隊と合流してからだ。』
ミシガンの話の後にコンテナの用意が終わった事が通信で送られてきた。
『面白いものが見れたよビジター共…こっちの準備は終わったよ。』
ちなみに先行調査へ向かったレイヴンらが先に使用する流れとなった。
『…さて、本来の目的に戻ろうか。』
カーラは指定したコンテナの位置までレイヴンらを案内する。
『さっさと乗り込みな、コンテナの操作はこっちでやる。』
レイヴンらがコンテナに乗り込んでいる間にカーラはレイヴンに話しかけた。
『そう言えば、ビジター…』
カーラはレイヴンに伝える。
レイヴンがハンドラーに飼われている事。
それによって運がない事と同情するしかない事。
『…ああ、それからもう一つ。』
こいつはあくまで物資輸送の為の代物だ。
有人で撃ち出すのはアンタらが初めてだろうね。
と、カーラが笑いながら話した。
『『えっ?』』
これにはラークとフェアリーも驚きを隠せなかった。
『不運なアンタらの幸運を祈るよ。』
時既に遅し。
レイヴンらのコンテナは別の固定パーツに接続された後、カタパルトから射出され中央氷原に向けて撃ち出された。
途中で固定パーツと切り離され、それぞれ搭乗したコンテナの軌道修正の為のブースターが点火された。
『…皆さん?』
エアが語り掛けた。
『あのコーラル被曝で視えているのですね。』
このルビコンを対流するコーラルの達の声が…
『ウォルターの見立てとラークとフェアリーの予測は当たっています。』
中央氷原に到着後、エアは告げる。
『この捨てられた極地にコーラルが…』
豪雪と嵐が吹き荒れる中、レイヴンらのコンテナの隔壁が開けられた。
『ラーク…』
『うん、あのコーラルの声が酷く聞こえる。』
フェアリーとラークは中央氷原に辿り着くと例のコーラルの声を聴いた。
『嫌な声が、聞こえる。』
『僕らは邪魔な存在…消すって。』
ベイラムとアーキバスの休戦協定が結ばれた時のと同じ状況が続いている。
『レイヴン、フェアリーとラークの話している事は本当です。』
『…』
『本当にあの子達は何者なのでしょうか?』
フェアリーとラークの力。
それらが明かされるのはもう少し先の事。
=続=
<その後のノーザーク>
カーラがカーゴランチャーのコンテナを遠隔操作で準備中の事。
『つまり、こいつが報奨金付の賞金首だってのか?』
『そうだよ。』
ラーク達がカーラを通してRaDの拠点で預かって貰っていたノーザーク。
ちなみに破壊したACは修理して使える様にしてあるが、逃走防止にブロックが掛けられている。
今はACのコアブロックに縛られた状態で乗せられていた。
『む~!!』
『賞金の引き取りはこっちの件が片付いてからだな。』
『まあ、しょうがないよね。』
保護者であるミシガンもラークの説明を聞いた後、問題が片付いてから引き渡しの手続きをする話でまとまった。
『でもさ、此奴酷いんだよ?』
『何をやったんだ?』
『僕とフェアリーの事を襲ってさ!武装をはぎ取ろうとするし!おまけに借金まで押し付けようとしたんだよ!』
『うん、お金を、自分で、返さない人。』
『で、僕らでボコボコに倒した後にアイツの頭にスパナをぶん投げて玉を蹴り上げといた!』
玉と言う単語に反応する一部のMT部隊の男性隊員。
ヴォルタとハークラーに関してはヒデェと言いつつ笑いを堪えている。
『まあいい、此奴はこっちで預かって置く…奴の賞金は当分後回しだ。』
『うん、親父ヨロシクね。』
ラークとフェアリーはコンテナの準備が整ったので先に向かった。
『全員聞いたな?』
ミシガンのいつもよりもドスの効いた声が響いた。
その場の全員もある事を理解し反応する。
ノーザークに処刑宣告が下ったと…
『ノーザークと言ったな?』
『む!?』
『貴様は我がレッドガンの隊員に喧嘩を売った…覚悟は出来ているな?』
ミシガンの某世紀末を彷彿させる怒りの表情にノーザークは恐怖する。
そしてミシガンはG6レッドに命令を下す。
『レッド!』
『はっ!』
『今日からこいつを雑用件隊員として入隊させる…地獄を見せてやれ!』
『はっ!了解しましたっ!』
『むー!!!?!!?!?!?』
ノーザーク、本日よりレッドガンに強制入隊が決定。