ティンカーベルの子   作:宵月颯

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反抗・1

前回の話し合いの結果。

 

ベイラムとアーキバスから切り捨てを受ける可能性を察したレッドガンとヴェスパー。

 

双方の部隊は切り捨てを受ける前に…

 

此方が切り捨てを受けても自立出来る様に水面下で準備を整える事となった。

 

それが先の同盟結束へと繋がった。

 

但し、企業に忠誠的な者や企業からの支払いで家族を養う者達も双方の部隊には数多く存在した。

 

今回は双方の部隊に今後切り捨てを受けて放逐される。

 

その前に自分達と共に行くか早々に離脱するかの二択を選べ…とを部下達に告げた。

 

だが、双方共に道は決めていたらしい。

 

レッドガン側の代表としてG6レッドは貧しい下層階級の出であり、まだ幼い妹を養っている。

 

 

『自分に何が遭っても生きていける様に…妹や家族には話は付けてあります。』

 

 

常に戦場に居る彼はもしもの為にと稼ぎの多くを家族に仕送りし信頼出来る知人に後を託していたらしい。

 

実際、同じ状況にある家族を持つ他の部下達も早々に決めていたとの事。

 

逆にヴェスパー側は例の再教育センターやファクトリーと言う曰く付きの施設を極秘裏に稼働させている。

 

企業本社に所属するファミリー層を覗いて、孤児に独り身や身元に足が付かない者が多い。

 

元々、大元が此方を切り捨てるのであれば忠誠など何もないらしくあっさりと下った。

 

 

『我々も第二隊長閣下達の元で最後までお供をさせて下さい。』

 

 

これは、ルビコン3へ訪れてからのスネイルのやり方が大きく変わったのも要因の一つらしい。

 

以前の彼であれば…大半がこのレースから抜けただろう。

 

単に使えないで切り捨てるのではなく、その当人の持つ力に着目し個性を伸ばせる配置換えなどを行っていた。

 

それが、知らずの内に彼への信頼関係を築いていたのだ。

 

抜ける筈だった戦力を欠く事もなく双方の部隊は反抗作戦を決行した。

 

 

******

 

 

引き続きヒアルマー観測所にて。

 

周囲の偵察へ出ていたMT部隊が帰還し情報を再統合した所…

 

新たに襲撃を掛けなければならない場所が増えた。

 

それがエンゲブレト坑道である。

 

現在、惑星封鎖機構がこの坑道内にある装置の修繕に入っている事が判明。

 

元々は中央氷原にあるウォッチポイントの一つであり、老朽化もあって廃棄された筈だった。

 

奴らが修繕しようとしているのは坑道内に設置されたセンシングデバイス。

 

惑星封鎖機構に陽動を掛けるならここを破壊する事を周囲が決めようとしたが…

 

それに待ったをかけたのがラークとフェアリーだった。

 

 

『ちょっと待って!』

『待って!』

 

 

ラークとフェアリーのハモった声で周囲も静止する。

 

二人の様子に何かを察したミシガンが話かけた。

 

 

『ラーク、どうしたんだ?』

『その坑道…何か様子が変だよ。』

『どういう事だ?』

 

 

スネイルもフェアリーに対して様子を聞いていた。

 

 

『フェアリー、何時もの言葉でいいので説明を。』

『坑道の下に、コーラルを、感じる。』

『確かに…元々はコーラルを採掘していた場所ですからね。』

『ここ、コーラルが、溢れそう。』

『溢れる?』

 

 

フェアリーの説明にラークが最もな言葉で簡潔に告げた。

 

 

『今にもコーラルが爆発しそうって事!』

 

 

コーラルが取れず枯れた筈の坑道でコーラルによる爆発が起こると二人は感じたらしい。

 

 

『何かを、動かした、だから、コーラルの、流れが、変わった。』

『多分、さっき言ってたセンシングデバイス?が原因かもしれない。』

 

 

惑星封鎖機構が停止していたセンシングデバイスを修復し起動させた。

 

老朽化していたが、何かの不備でコーラルの支脈に影響を与えたのだろう。

 

このままではエンゲブレト坑道でコーラルの大爆発が引き起こされる。

 

であれば、離脱する為の足がない双方の部隊に被害が被るだろう。

 

 

『部隊の壊滅を避ける為にも…先にエンゲブレト坑道のセンシングデバイスを破壊した方が良いだろう。』

 

 

ウォルターもラークとフェアリーのソナー能力を理解し提案をした。

 

 

『問題は坑道に誰が行くかだ。』

『ええ、反抗作戦の為にも双方の人員を今は割けません。』

 

 

レッドガンはヨルゲン燃料基地。

 

ヴェスパーは旧バートラム宇宙港。

 

惑星封鎖機構に対する二か所の同時奇襲を行う形で話を進めていた。

 

更にラークとフェアリーは惑星封鎖機構が所持する空中戦特化の機体の相手をしなければならない。

 

他のナンバーズも二か所の掌握に戦力が居る為、外せない状況だった。

 

 

『ならば、レイヴン…単独での任務になるが坑道へ行けるか?』

『…』

『問題はないそうだ、そちらはどうする?』

 

 

ウォルターは提案としてエンゲブレト坑道のセンシングデバイスの破壊をレイヴンが単独で行う案を告げた。

 

手がない以上、ミシガンとスネイルもウォルターの案に乗る形となった。

 

 

『G13、やってくれるな?』

『必要な物資は此方で用意しましょう、健闘を祈ります。』

『…』

 

 

こうしてレイヴンは準備を終えた後、輸送ヘリでエンゲブレト坑道へと向かう事となった。

 

 

=続=




次回、エンゲブレト坑道。
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