ティンカーベルの子   作:宵月颯

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バートラム旧宇宙港編


反抗・5

前回、ヨルゲン燃料基地の掌握に成功したレッドガン部隊。

 

この作戦開始と同時期にヴェスパー部隊も旧宇宙港への強襲を行った。

 

今回は彼らのブリーフィングから始まる。

 

 

******

 

 

輸送ヘリに搭載された各機体にスネイルからの指示が告げられた。

 

以前の様な見下した態度は無く、淡々と話す彼も丸くなった様である。

 

 

『これより、作戦内容を伝達します。』

 

 

今回は惑星封鎖機構の二拠点に対して同時刻、秘密裏に急襲作戦を実行します。

 

一つ目は敵隊間通信を中継するハーロフ通信基地。

 

二つ目は強襲艦隊の母港として接収されたバートラム旧宇宙港。

 

 

『通信基地はヴェスパー5とヴェスパー8が担当。』

 

 

封鎖機構の通信網を混乱に陥れ、精鋭部隊による増援を不可能にする。

 

 

『バートラム旧宇宙港はヴェスパー4とヴェスパー10が担当。』

 

 

通信網の混乱に乗じて宇宙港に停泊する強襲艦の破壊若しくは強襲艦の拿捕。

 

 

『ヒアルマー観測所に残っている各部隊の防衛にヴェスパー1と私にヴェスパー9が担当します。』

 

 

レッドガン部隊やレイヴンの作戦が失敗した場合、此方側や彼らの負傷兵に物資不足で戦う戦力がない人員を守るのも大事な役目である。

 

これに関して不服だったのがヴェスパー1のフロイトであるが…

 

 

『貴方が現時点で一番の金喰い虫です、以前の様に潤沢に武装の使い捨ても修理も出来ません。』

『折角の戦いに出られない。』

『その心配はないでしょう、封鎖機構もここを狙ってくる可能性はありますので十分に戦えますよ?』

 

 

スネイルのフロイトに対する圧が倍増しつつあった。

 

フェアリーと言う癒しと自らのアプローチの変化を行った為だろう。

 

更に話の通じない相手にはそれ以上の負荷を与えればいいと悟ってしまったのである。

 

 

『ヒアルマー観測所を不可抗力で撤退する際の足止めは全て貴方にお願いしますので…遠慮なく戦いなさい。』

 

 

スネイル曰く補給無しで素手になるまで戦い続けてOKの意味である。

 

 

『それは無理が…』

『貴方は命令を無視してでも戦いたいのでしょう?』

『いやその…』

『止めませんので思う存分に戦いなさい。勿論、此方からの補給は一切しませんので。』

 

 

戦闘馬鹿発言を披露したフロイトもスネイルの様変わりに顔を青褪めさせていた。

 

 

『何か…キャラ変わってないか?』

『同じ土俵に立つのを止めただけですよ。』

 

 

笑っていない笑顔で話すスネイルは何処か清々しかった。

 

最もブラックホール級の腹黒さが増大したのは言うまでもない。

 

 

『スネイル、隊長が、元気、出て、良かったです。』

 

 

ある意味で何も解っていないフェアリーの発言に周囲は胸に言葉を収めた。

 

 

『…(フェアリー君、こう言うのは元気といいませんよ。』

『…(総隊長殿、理不尽とは言いません…貴方の日頃の行いが原因ですので。』

『…(フェアリーちゃんの天然発言でスネイルちゃんの顔が赤いのは黙って置きましょう。』

『…(第二隊長のストレスが減ってくれたおかげで此方としてもやりやすいな。』

 

 

ルビコン入りする前では考えられない光景であるのは間違いない。

 

 

『ヴェスパー10、貴方の労いの言葉は受け取ります。』

 

 

「この小動物は…」とフェアリーの頭を撫でたいスネイルだったが、ぐっと堪えて何時もの状態で話しかけた。

 

 

『…ですが、作戦開始前ですので気を引き締めて行きなさい。』

『りょ、了解です。』

 

 

公私混同は出来ないスネイルの発言にフェアリーは何時もの区切り敬語で答えた。

 

 

『第二隊長、ハーロフの通信施設を狙うのはいいが…これは一時的にしかならないのでは?』

『ええ、その為のヴェスパー5と8ですよ。』

 

 

何か策があるらしくスネイルは続ける。

 

 

『通信基地の掌握後に偽の情報で敵の情報網を混乱させるにはヴェスパー8の協力が不可欠です。』

 

 

何かを察したホーキンスがその意味を答えた。

 

 

『成程、彼の声帯変換と広報力を使うのだね?』

『その通りです、ヴェスパー5。』

『それなら通信基地の作戦は私とペイター君が適任だろう。』

『第五隊長殿…』

『ペイター君、この任務は重要だよ…私達も頑張らないと?』

『はっ!最善を尽くします。』

『二人は通信基地の掌握後、敵情報網の混乱を頼みます。』

『了解。』

『了解です。』

 

 

通信基地の掌握するホーキンスらの話の後、ラスティもフェアリーに答えた。

 

 

『なら、フェアリー…私達も頑張らないとね?』

『はい、ヴェスパー4。』

 

 

陽動作戦が続いている。

 

レイヴンが点火した導火線…

 

それを無駄にしない為にも強襲艦の強奪は不可欠である。

 

 

『そちらの二人はバートラム旧宇宙港へ到着後、停泊中の強襲艦を無力化するか拿捕してください。』

『強襲艦の拿捕にはMT部隊の協力が必要だな。』

『うん、皆で、封鎖機構の、船を奪う。』

 

 

フェアリーは皆と言うが、ラスティ以外は任務地が別々なので戦闘後に会う事になるだろう。

 

何時何処でいなくなるか分からない状況。

 

 

『絶対、作戦、成功させる。』

 

 

フェアリーは出来る事はしようと心に決めた。

 

それが仲間を守る事に繋がると信じているから…

 

 

=続=

 




引き続きバートラム旧宇宙港編。



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