ティンカーベルの子   作:宵月颯

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バートラム旧宇宙港編


反抗・6

 

前回の移送中に行われたブリーフィング後。

 

ホーキンスとペイターの部隊はハーロフ通信基地。

 

ラスティと第四部隊にフェアリーはバートラム旧宇宙港。

 

それぞれの作戦地点へ到着した。

 

 

******

 

 

バートラム旧宇宙港。

 

アイビスの火以前は移民船や商業目的の輸送船を受け入れていた場所だった。

 

だが、半世紀前に起こったアイビスの火以降は放棄されたままである。

 

それを物語る様にスペースポートにはコンテナや燃料タンクが乱雑に放置された上に朽ち始めていた。

 

旧宇宙港の施設内も修復すれば使用出来る程度に施設は強固に建造されている様だ。

 

ラスティらはこの目的地から少し離れた場所で輸送ヘリを離脱し出撃。

 

その後、ラスティのスティールヘイズとフェアリーのティンカーベルが現地へ到着。

 

更に第四部隊のMT部隊が後方で待機していた。

 

 

『フェアリー、ミッション開始だ。』

『了解。』

『エアからは戦友達のサポートで交信が途絶えると連絡があった。』

『…』

『今回は彼女のサポートがない、フェアリー…状況判断には十分注意するんだ。』

『ヴェスパー4、了解、しました。』

 

 

エアは現在、同時刻に坑道での作戦を開始したレイヴンらのサポートに回っていた。

 

エンゲブレト坑道とそこに近い氷原での同時作戦。

 

彼らの起こした火種が封鎖機構の戦力を削ぐ。

 

それらに乗じての二方面同時急襲作戦である。

 

 

『各機、私達が旧宇宙港内の部隊を片付ける。各員は手薄となった強襲艦の掌握を行ってくれ。』

『了解。』

『フェアリー、此方のMT部隊に敵を近づけさせるな。』

『了解。』

 

 

バートラム旧宇宙港の敷地内へラスティとフェアリーが侵入。

 

敷地内で警戒を行っていた敵MT部隊に攻撃を仕掛ける。

 

 

『コード15、敵襲!』

『該当を確認…敵はアーキバスのヴェスパー部隊だと!?』

『例のACもいるようだ。』

『捕獲対象だ、絶対に捕らえろ!』

 

 

周囲の敵MT部隊のパイロット達もヴェスパー部隊の出現に気づき応戦して来た。

 

 

『やはり、フェアリーを狙って来たか…!』

『大丈夫、捕まらない。』

『私も君を奴らの手に渡さないさ。』

『うん。』

 

 

敵MT部隊に続いてHC型が出撃しフェアリーのACを捕獲しようと動き出した。

 

読み通り、封鎖機構とアルカナは繋がっている。

 

此方の動きが読まれているのであれば、アルカナのACも出てくるだろう。

 

 

『フェアリー、このまま行けば…アルカナのACも出てくる可能性がある。』

『うん。』

『作戦は進めるが、戦力を温存する様に戦ってくれ。』

『判った。』

 

 

敷地内の敵MT部隊並びにHC型を排除していると…

 

ハーロフ通信基地へ先に急襲を仕掛けたホーキンスらより連絡が入る。

 

 

『此方、ヴェスパー5のホーキンス…ハーロフ通信基地の施設を掌握した。』

『ヴェスパー8のペイターです、これより敵の通信網を攪乱します。』

 

 

あちらも何とか封鎖機構の部隊を退けられた様だ。

 

ラスティ達も通信に対して返答した。

 

 

『了解、此方も強襲艦の拿捕を続ける。』

『ヴェスパー5、ヴェスパー8、気を付けて。』

 

 

通信をいったん切ると…

 

旧宇宙港内のドッグを通り過ぎ、停泊しているスペースポートエリアを目指すラスティ達。

 

このまま何もない事を願うばかりだ。

 

 

~同時刻、ハーロフ通信基地では~

 

 

通信施設の掌握を成功させたホーキンスとペイターの部隊。

 

レイヴンらが起こした陽動作戦で守りが手薄だったのが決め手となったらしい。

 

被害は最小限に抑えられた一行は通信基地の敵通信網を攪乱する為に封鎖機構の通信への盗聴を始めた。

 

 

『コード15、エンゲブレト坑道にてコーラルの爆発…』

『バートラム旧宇宙港にヴェスパー部隊が現れ交戦、応援を…』

『監視エリアでレッドガン部隊と思わしきACと交戦、これは!?』

 

 

通信から流れるのは陽動作戦が成功したらしい疲弊する封鎖機構の隊員らの会話。

 

 

『では、ペイター君…遠慮なくやっちゃってください。』

『はい、第五隊長殿。』

 

 

ペイターは敵の通信網にアクセスし偽の情報を流し込んだ。

 

ある場所へは偽の救難認証、ある場所へは見当違いの場所への派遣、ある場所へは別のルートの指示。

 

ペイターの声色を変えて話す様子は何処か楽しそうな雰囲気を見せていた。

 

 

『第五隊長殿、敵の命令指揮系統を混乱させました。』

『ご苦労様。』

『これで暫くは持つでしょう。』

 

 

ペイターは中央氷原内の封鎖機構の通信網を混乱。

 

更に適切な援軍が遅れない様に偽の命令を下した後に通信を遮断した。

 

やる事がエグイが、これで足止めにはなるだろう。

 

 

『…』

『ペイター君、どうしたんだい?』

『第二隊長殿は何故、第四隊長とヴェスパー10を…』

『スネイルにも考えがあったんだろうね。』

 

 

通信施設内の稼働や監視を部下に任せた後、ペイターはホーキンスと話し始めた。

 

 

『理解はしていますが…あの第四隊長殿にはスパイ容疑が掛けられています。』

『シュナイダー社からの引き抜き…恐らくは解放戦線だろうね。』

『ええ…』

 

 

シュナイダー社の人事部が解放戦線の人物と繋がっている事を知ったヴェスパー部隊。

 

ラスティがシュナイダー社からの引き抜きでヴェスパー部隊入りをしたのに対して…

 

早過ぎる彼の昇進に不信に思ったスネイルはオキーフに調査を依頼していた。

 

結果、彼は産業スパイである事が発覚。

 

解放戦線経由でエルガノ社へ企業情報を流していたのだ。

 

今の所、ヴェスパー部隊はアーキバス社からの切り捨てを受ける可能性を知った以上。

 

余計な詮索はしない事に決定した。

 

もしもアーキバス社の元で今も行動していたのであれば、彼を再教育センター送りにしていた。

 

 

『でもね、彼は私達を裏切らない。』

『何故です?』

『ヴェスパー部隊が考えを変えた事とフェアリー君がいるからだよ。』

『フェアリーが…?』

『彼女は私達を家族と慕ってくれている。特にラスティ君に懐いているが…フェアリーは私達の元を去る事は出来ないだろう。』

『あの子は…優しすぎますからね。』

 

 

ホーキンスはそれらしい返答をペイターに告げた。

 

 

『更にスネイルはレッドガン部隊と連名で解放戦線との話し合いの場を設ける予定だ。』

『彼らが同じテーブルで話し合うでしょうか?』

『今までの事を考えれば無理があるだろう…だが、共通の敵が現れた以上はそうも言ってられない。』

『…』

『それなりの決定打があれば…彼らも席に就くしかないだろうね。』

『例のアルカナでしょうか?』

『べリウス地方に待機しているオキーフ達からの連絡が途絶えたとなると…そう推測した方が良い。』

『第三隊長達が無事だといいのですが…』

『…出来る事ならね。』

 

 

 

作戦開始前に告げられた情報。

 

今回の作戦に支障が出ない様にべリウス地方の件はフェアリーに対して伏せられていた。

 

 

『ペイター君、此方の仕事は終わったし……ラスティ君達の救援に向かおうか?』

『はっ、了解しました。』

 

 

 

=続=




次回、引き続きバートラム旧宇宙港編。

反抗編終了後に番外編挟んで前回のアンケートのアルカナによる無差別殲滅を入れます。

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