ちょこっとだけギャグ。
レイヴンらが無人洋上都市ザイレムへ偵察に向かった頃。
イグアスとラスティの二名はシンダー・カーラからの依頼でべリウス地方に移動していた。
理由はアルカナの殲滅活動や封鎖機構の実力行使で彼女達のビジネスに支障が出る様になった為だ。
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移動道中でカーラからの通信を受ける二人。
『久しぶりだね、ビジター達…早速で悪いんだけど仕事を頼みたい。』
例のコヨーテスの阿保共が封鎖機構を恐れて軍門に下りやがったのさ。
後ろ盾を得て調子付いたんだろうね。
RaDのシマにもちょっかいを出してくる始末だ。
『そんな訳で蝙蝠野郎がお星様になれる様に打ち上げ花火をプレゼントする事にした。』
『…その打ち上げ花火とは?』
『見てのお楽しみさ。』
『ぜってーヤベェもんだよな?』
『ある意味ではね?』
カーラの用意した打ち上げ花火が途轍もなくヤバいモノだと認識したラスティとイグアス。
『『…』』
これには二人の表情も固まるしかない。
『だが、連中もそこまで馬鹿じゃない。発射する時には当然妨害に来るだろう。』
『つまり、我々で打ち上げ花火とやらの発射までの護衛と…』
『向かってくる奴らを全員ぶっ倒せばいいって事か?』
『ご明察。』
アンタらの仕事は連中の迎撃と打ち上げ花火の防衛さ。
『蝙蝠野郎と封鎖機構…アルカナの連中にRaDの花火を見せつけてやろうじゃないか。』
そこでカーラからの通信が終了しブリーフィングが完了した。
暫くしてから作戦時間になりエアから準備が整ったと交信が入る。
『作戦の時間です。ラスティ、イグアス。』
輸送ヘリから各ACを作戦地点に降下する準備を進める中でエアがため息交じりで答える。
『ドーザー達がコーラル酔いで遅刻しなければいいのですが…』
『確かにそれは困るな。』
『コーラル決めすぎて酔い潰れた連中なんて放って置けよ、俺らで片付けちまえばいい。』
以前、グリッド086に襲撃を仕掛けたジャンカー・コヨーテスを退けた際。
RaDの一部ドーザー達がコーラル酔いで使い物にならなくなった事がある。
その時は迎撃するメンバーが事足りたから良かったが…
コーラル酔いで戦闘に参加出来なかった連中はカーラによって仕置きされていた。
そんな事を思い出したラスティとイグアスの二人。
作戦地点へ降下後、合流地点に移動すると…
『先に始めているよ、ビジター達。配置に着きな!』
既に防衛戦が始まっており、此方が出遅れた状態になっていた。
これにはエアも呆れ口調で話していた。
『時間通りに来た筈ですが、血の気の多い人達です…』
『連中の事だ、カーラの奴に尻でも蹴られたんだろうさ。』
『…それは間違いないだろう。』
カーラの鬼の形相を思い出した二人はそれらしい結末を想像した。
『聞こえているよ…ビジター達っ!!』
『…あちらの通信機の調子も悪くない様だな。』
『ミシガンの奴が二人居るみてぇだ。』
同じく余計な事を言った為に聞かれていた二人。
それなりの逆鱗が二人に落ちた。
『おい、ヴェスパー4…俺は右だ。』
『では、此方は左を任せて貰おう。』
『簡単にくたばるなよ?』
『そちらもだ。』
べリウス地方のウォッチポイント。
そこに設置された打ち上げ花火こと大型ミサイル。
三基全てを防衛しなければならない。
イグアスは右側、ラスティは左側、中央はRaDのMT部隊が担当する事となった。
防衛の関係上、コヨーテスの他に封鎖機構の強襲艦も攻めてくるだろう…
その為のアセンを二人のACは済ませていた。
つまり近接と遠距離対応型のアセンである。
主にタキガワやシュナイダーのレーザー系武装とファーロン・ダイナミクスのミサイル武装、メリニットのグレネードキャノンにバズーカ系統。
火力は勿論の事、上空の敵に対しても対応出来るアセンだった。
『あれは…盗まれたトイボックスだね。奴ら、ウチの可愛い子まで!』
『G5、中央の道にグリット086で遭遇したトイボックスだ!』
『あの硬てぇのか!』
輸送ヘリより降下するMT部隊を迎撃しつつミサイルの防衛を継続。
並大抵の物量では掌握しきれないと判断したのか防御力に秀でたトイボックスが導入された。
が、元々戦った事のある兵器に早々やられる二人ではない。
『ビジター達、ミサイルの発射準備まで…一分持たせてくれ。』
『チャティ、ウチのMT部隊は!?』
『ボス、ラミー達が奮闘しているが相手の位置が悪い。』
カーラをサポートする自立型ボディを持つAIのチャティ・スティック。
彼からの経過報告で次の狙いを告げられた。
持ちこたえていたRaDのMT部隊とラミーのAC。
組まれたアセンの関係もあり、上空から現れた封鎖機構の強襲艦まで狙う事は出来ない。
『成程、強襲艦か…』
『おい、ヴェスパー4。』
『G5、君も考えている事は同じと見たが?』
『ああ、どっちが先に落とせるかを…な!』
ここからは強襲艦を狙って攻撃を仕掛ける二機のAC。
一分と言う短くも長い時間は直ぐに終わる。
二人の狂暴なAC乗りが強襲艦を撃ち落とす様はRaDのMT乗りやラミーに恐怖を植え付けていた。
『こぇえ…』
『レッドガンとヴェスパーのナンバー持ちってどんだけだよ。』
『よくもあのデカブツに向かっていけるぜ。』
『俺らよく生き延びられたよな…?』
『俺はチェンソー奪われたままだけどな?』
RaDのMT乗り達の愚痴と共に二代目のチェンソーで参戦したラミー。
グリット086でイグアスと対峙しものの見事に敗北。
ボコボコにされた上に自前のチェンソーを奪われた事でハッキリと敗北した記憶が残っていたらしい。
『おい、足跡野郎!』
『ひゃい!?』
『テメェのチェンソー貸せ。』
『またっすか!?』
『強襲艦をぶった切るのに丁度いいだろう?』
『そんなぁ…』
『グダグダ言ってねぇでさっさと貸せよ!!!』
と、強襲艦に突撃する前のイグアスによって再びチェンソーを奪われたラミー。
あの恐怖はある意味でトラウマであり拭えない悪夢になっている様だった。
イグアスのACにチェンソーを奪われた上に自身のACへ足蹴にされる様は余りにも悲惨である。
『ご苦労だったよ、ビジター達。』
『時間か?』
『特大の花火を打ち上げようか?』
イグアスとラスティが封鎖機構の強襲艦を撃沈後…
時間になり、三基のミサイルはグリットへ向けて発射。
着弾と同時に発生した強烈な閃光と爆音。
『おや、ちょいと狙いがズレたかね?』
『…見事な打ち上げ花火だ。』
『…そうだな。』
コヨーテスが網を張っていたグリットに着弾するミサイル。
それはある意味で見事な花火を披露していた。
カーラのしてやったりの笑い声に対して…
ラスティとイグアスは恐怖していた。
『『…(怖。』』
二人は沈黙した戦場で爆発四散するグリット跡地を傍観する事となった。
『ラスティ、イグアス、交信が出来ず済みません。』
戦闘終了後にエアからの交信が入った。
戦闘中にザイレムに向かったレイヴンらに異変が起こった事を察知し交信を中断していた。
『いや、ザイレムで騒動があったのだろう?』
『何が起こったんだ?』
『予測通り、封鎖機構とアルカナの襲撃を受けました。』
『…戦友達は無事なのか!?』
『はい、戦闘後はザイレムのメインタワーを捜索していたのですが…』
『おい、さっさと言え!』
イグアスから怒声が入るが、エアもこの事に口ごもった。
『そこでラークとフェアリーの両親が判明しました。』
『どうなった?』
『御両親は既に亡くなっており…父親は貴方達がべリウス地方のウォッチポイントで遭遇したと言うスッラだったのです。』
『まさか!?』
『クソが!』
『詳しい話はザイレムで合流後に…同盟部隊からも合流の指示が来ています。』
エアとの交信中にそれぞれのACに通信が入った。
『G5、例の打ち上げ花火は上げ終わったようだな?』
『ああ、そっちは?』
『…厄介な事が起こった。』
エアから事前に詳細を聞いていたが、イグアスに通信を送って来たミシガンも何時もの調子で話す事を控えていた。
『ヴェスパー4、任務ご苦労様です。』
『スネイル隊長。』
『戦闘後ですが、このまま迎えの強襲艦と合流しザイレムに向かってください。』
『それは…ミシガン総長の話していた厄介事と関係が?』
『ええ、特にフェアリーとラークのメンタルに異常が出る程です。』
『…っ!』
『今は他のナンバーズが対応していますが、一番信頼している貴方達の方が良いでしょう。』
『了解、急ぎ合流する。』
コーラル混じりの夜空に明るい打ち上げ花火は打ち上げられた。
だが、絶望もまた同様に落とされたのだった。
=続=
次回、ザイレム集合編。
ちなみにこの話のハウンズは全員野郎でいいですかね?