ティンカーベルの子   作:宵月颯

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ザイレム集合編。


語手・1

前回、ミサイル防衛を成功させたラスティとイグアス。

 

ザイレムで発生したトラブルの関係でべリウス地方から急行する事となった。

 

洋上都市ザイレムには既に同盟部隊によって都市部の整備が開始されており、都市としての機能を取り戻しつつあった。

 

指定されたメインタワーへ移動し同盟部隊と合流した二人だったが…

 

重苦しい空気が漂っていた。

 

 

******

 

 

メインタワーの居住区エリアで同盟部隊と合流。

 

そこで事情説明を受けた二人もその表情を曇らせた。

 

 

「私達の不在中にそんな事が…」

「…胸糞悪ぃ。」

 

 

受けた説明は以下のとおりである。

 

ラークとフェアリーの両親がルビコン技研の実験体として利用された事。

 

母親はサンプル確保の為に望まぬ妊娠と出産。

 

父親は第一世代強化人間の検体扱い…さらにその人物がスッラだった事。

 

そのスッラは知らなかったとは言え、ウォッチポイントでレイヴンが撃墜してしまった事。

 

二人が母親の遺伝でルビコニアンでありコーラルコネクターと呼ばれるコーラルの意思と同調出来る存在である事。

 

コーラルは只のエネルギー物質ではなく、微弱ながらも独自の意思を持つエネルギー生命体である可能性。

 

最後に中央氷原の地下に広大な地下施設が存在しルビコン技研の本拠地と集積コーラルがそこに在る事が発覚した。

 

 

「スネイル隊長、二人は?」

「今しがた治まった所でメーテルリンクに頼んで安静にさせています。」

 

 

実の両親の末路と出会っていた父親の最後を知った二人の情緒は不安定に陥った。

 

何も知らず、何も出来なかった事への自責の念で泣き叫ぶ始末。

 

泣き疲れた二人はメインタワーの居住区エリアの一室で眠っている。

 

レイヴンに至っては知らなかったとは言え、彼女達の父親に手をかけてしまった事に失った感情が目覚めて暴走。

 

現在は鎮痛剤を投与し別室でウォルターの調整を受けていた。

 

 

 

「所でよ、ヴォルタとレッドにハークラー…お前ら何でボコボコに?」

「ミシガンの奴がさっきのアーカイブ映像を見て、コンソールとモニターを破壊する所だったんだ。」

「まだ調査中だったので自分達が止めに入って…」

「この有様。」

「…お、おう。」

 

 

これにはイグアスも同情せざるを得ない。

 

心の中でミシガンの暴走した鉄拳を喰らった被害者三人に合掌しておいた。

 

 

「レッドガンの総長が激怒するのも無理はないですよ。私としても虫唾が走りましたので。」

 

 

スネイルも顔に青筋を立てて静かに発言した。

 

アーキバス社でも再教育センターと呼ばれる曰く付きの場所を運営している。

 

だが、人道的措置として年端のいかない子供を入れる事はない。

 

あくまで企業に逆らった大人…特にライバル企業を始めとしたテロリストや独立傭兵がメインだ。

 

継続はしているもののスネイルによって再教育センターの在り方が緩和したのもあり、かつての名残はあまり残っていない。

 

 

「私達にもそのアーカイブ映像を見せて貰っても?」

「…止めはしませんが、絶対に覚悟して見る様にしてください。」

 

 

ラスティとイグアスも件の映像を見る事にしたが、スネイルから念押しで注意を受けていた。

 

相応の覚悟を持って閲覧する。

 

それがアーカイブ映像の閲覧条件だった。

 

 

~件のアーカイブ映像を視聴後~

 

 

「…っ!」

「何だよ…ありゃ!?アレが人間のする事かよっ!!」

 

 

二人も映像記録を見た事で顔色を変えた。

 

余りも凄惨な光景とラークとフェアリーの両親の末路。

 

アイビスの火以前のルビコン技研で行われた非人道的研究の記録。

 

人を人とも思わない連中のやり口に怒りを覚えた。

 

現場に居た同僚の胸倉をつかんで怒りの声を上げるイグアス。

 

 

「おい!五花海…何で止めなかった!?」

「これは不可抗力です。私もあの様な記録が残されているとは思わなかったので…」

「…」

「記録を再生したのは俺だ。恨み言を言う相手は此方の方だぞ。」

「オキーフさん、貴方のせいでは。」

 

 

現場に居た五花海とオキーフも表情を曇らせていた。

 

年端もいかない少女達に実の両親の末路を見させてしまったのだから…

 

 

「それにフェアリー君もラーク君も気持ちの整理を付けるには時間が掛かるだろう。」

「…ホーキンスさん。」

「彼女達は私達の様に時間をかけて学ぶ事を一度に学んでしまった…誰かを失う悲しみと実の両親の末路を自分自身で決着を着ける為にもそっとして置いてあげてください。」

 

 

ラスティとイグアスもラークとフェアリーの居る部屋を訪ねそうになったが…

 

今はそっとして置くべきとホーキンスから指摘されていた。

 

 

「もう一つ話して置く事があります。」

「スネイル隊長?」

「我々はこのメインタワーにあるザイレムを管理する独立型AIと接触しました…もっと詳しい経緯を聞けるでしょう。」

「…」

 

 

詳しい事情を知る存在がメインタワーを根城に座している。

 

不鮮明な情報を解読し真実を明らかにする為にも…

 

その場に居た一同はメインタワーの上層にある管理区画へと移動していった。

 

 

=続=




次回、続けてザイレム集合編
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