ティンカーベルの子   作:宵月颯

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ブリーフィングと水中戦の栄えある生贄達。


猛威・3

管理AIマナによって敵の侵攻が判明。

 

洋上都市を中心に広範囲に向けて監視網を引いていたのが功を相した。

 

現在、解放戦線の避難船を数隻破壊したとされる大型の機体反応がザイレムへ接近。

 

問題はその大型機が水中から侵攻している点である。

 

ザイレム中心部にあるメインタワーに集まった一行。

 

工廠エリアへの移動は専用の高速リニアがある為、急遽そちらへ集合となった。

 

 

******

 

 

メインタワーの司令室にて。

 

各部隊の司令塔を含めてナンバーズが集合していた。

 

 

「全員集まったようだな?」

「これよりブリーフィングを始めます。」

「これはザイレム防衛の為の協働戦だ、諍いは余所に置いて貰う。」

「我々、解放戦線も今回より防衛戦に参加する。」

 

 

順にミシガン、スネイル、ウォルター、フラットウェルからの指示。

 

 

「マナ、全員に状況を説明してくれ。」

『ウォルター、分かりました。』

 

 

マナは状況説明を開始した。

 

 

『現在、アルカナと封鎖機構の執行部隊がザイレムに向けて侵攻しています。』

 

 

執行部隊は強襲艦を率いて侵攻。

 

更に海中から避難船を襲撃したと思われる大型起動兵器が同ルートより移動しています。

 

監視ドローンからのキャプチャーによると皆さんが戦闘を行ったバルテウス型やカタフラクト型と同種の水中戦闘対応機動兵器と判明しました。

 

 

『此方がその映像です。』

 

 

破壊される前に監視ドローンがキャプチャーした映像に映されたのは巨大な蟹と思わせる機動兵器だった。

 

形から胴体がカブトガニ、両腕部にハサミ型の破砕武装を持っている事が目視出来る。

 

水中を移動する際の姿なので他にもギミックがあるとマナは予測していた。

 

 

「やはり、避難船を襲ったのはこの機体で間違いないでしょう。」

「あんな馬鹿デケェ鋏を持ってるしな?」

「問題は…奴とどうやって戦うだろ?」

 

 

実際に損傷を受けた避難船を見ている五花海達の発言。

 

 

『その事に関して私から案件があります。』

 

 

 

続いてマナは別の起動兵器の画像を映し出した。

 

構造はバルテウスやカタフラクトに酷似したパーツ。

 

巨大化させた銛に水中魚雷やパージ可能な捕縛用のアンカーが装備されていた。

 

 

『此方はMT並びにAC用の対水中専用強化外装です。』

 

 

マナの説明によると…

 

以前各部隊によって鹵獲されたバルテウスやカタフラクトを元に製造した強化外装。

 

洋上都市ザイレム防衛の際に水中からの侵攻に備えて製造していたらしい。

 

元々水中戦用のMTや水中戦対応のACパーツも製造し保管していたが、先のバルテウスやカタフラクト級が出現した際に対応出来る戦力が不十分と判断。

 

その事からカーラと共に急遽製造を行っていたと話した。

 

 

『ですが、強化外装は現時点で四機分しかありません。』

 

 

その為、大型起動兵器との戦いは強化外装を取り付けた四機が対応する形となる。

 

残りは上空と都市から敵強襲艦部隊からの防衛戦。

 

用意された水中戦用のMTと水中戦用パーツ装備ACは大型機とは異なる別動隊に対する水中からの侵攻を防衛する形である。

 

四拠点の防衛に割り振られていた他のナンバーズも搭乗ACのメンテナンスを含めて集合していたので戦力としては十分だった。

 

 

『誠に申し訳ないのですが…』

 

 

マナは更に後出しで答えた。

 

以前、各部隊のナンバーズが行っていたシミュレーションデータを元に強化外装の適性者を勝手に選出。

 

既に都市内の工廠エリアにて強化外装の取り付けを完了したと答えた。

 

 

『各部隊より一名ずつ選出した状態となっています。』

 

 

強化外装の栄えある犠牲者。

 

レッドガンよりG4ヴォルタ。

 

ヴェスパーよりヴェスパー7スウィンバーン。

 

ハウンズよりレイヴン。

 

解放戦線より独立傭兵の六文銭。

 

以上の四名が選出された。

 

そんな彼らの心情は言葉となって叫ばれた。

 

 

「マジか!?」

「ヴォルタ先輩、健闘を祈ります!」

「安心して下さい、本日の貴方には水難の相は出てませんので。」

「おい、縁起でもねえ事言うな!?」

 

 

レッドからのエールと五花海の風水の結果を伝えられたヴォルタの叫び。

 

 

「…何でこんな事に。」

「第七隊長殿、栄えある水中戦の出撃おめでとうございます。海の藻屑にならない様にお祈りして置きます。」

「貴様、私に対して海の藻屑だと!?」

「ペイター君、それは逆効果なエールだよ。」

「ホーキンス……彼にはみっちり指導しておけ。」

 

 

絶望感満載のスウィンバーンに対してエグイエールを送るペイター。

 

それを嗜めるホーキンスに対して抑え込んだ怒り混じりでスウィンバーンは伝えた。

 

 

「レイヴン、水中戦は他の戦闘時と異なる…注意して行け。」

「よおかい。」

「俺達は都市部の防衛に当たる。」

「今回の援護は出来ませんが気を付けてください。」

「後輩分がやられるのは嫌だからな。」

「そうだね。」

 

 

ウォルターを含めた他のハウンズより優しいエールを送られるレイヴン。

 

 

「六文銭、申し訳ないが…」

「此処にはツィイーや子供達がいる、護衛は任せて貰おう。」

 

 

解放戦線に対して契約続行の意思を見せる六文銭。

 

 

「残りはマナの話通り、都市部の防衛だ!」

「各自、出撃準備に移って下さい。」

 

 

迫り来る脅威にそれぞれが出撃準備に取り掛かった。

 

 

=続=




次回、水中戦。
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