ティンカーベルの子   作:宵月颯

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出撃と作戦領域道中の会話。


猛威・4

ブリーフィングの後。

 

各自、メインタワーに隣接するターミナルより高速リニアを利用し工廠エリアへと向かう。

 

機体のメンテナンスが終了し出撃可能な状態になっていた。

 

これもマナと各部隊の技術者達の協力によるものだ。

 

裏手側である彼らの協力が無ければ、戦闘続行は不可能である事を忘れてはならない。

 

 

******

 

 

一方で強化外装を取り付けられたレイヴン達のACは別の場所からの出撃準備に入っている。

 

洋上都市の下層、主に入水している船体を修復する為に増設された搬入路。

 

此処に強化外装用として海中へ射出が可能なカタパルトシステムも導入されていた。

 

ドッキングした機体は専用リフトで運ばれると所定の場所で隔壁を閉鎖される。

 

マナのアナウンスによって出撃の様子が説明された。

 

 

『各機、カタパルトデッキへの搬入を確認…注水後、順次射出を開始します。』

 

 

隔壁閉鎖後、密閉された空間に海水が注水。

 

海水で満たされた後、前方の隔壁が開閉し射出用のライトが点火する。

 

 

『ACフリューゲル、ACシノビを射出。』

 

 

二か所の設置された水中カタパルトより先に出撃するレイヴンと六文銭。

 

 

『続けてACキャノンヘッド、ACガイダンスを射出。』

 

 

後追いでヴォルタとスウィンバーンのACも射出された。

 

射出後は強化外装の水中ブースターを点火させて移動を開始。

 

例の大型機動兵器との接敵距離はまだ先である。

 

 

『621、今回は各部隊のナンバーズとの協働だ。』

『…』

『アルカナと思われる大型機動兵器との接敵には距離がある…やり方はお前に任せるぞ。』

『わがった。』

 

 

レイヴンとウォルターの会話が終わった後、レイヴンは他のナンバーズとの通信を繋げた。

 

 

『独立傭兵レイヴン、拙者は独立傭兵の六文銭…互いに契約者は違えど防衛に協力する所存。』

『たうかる。』

『…声に不備があると伺っていたが、致し方あるまい。』

 

 

レイヴンの発声に対して文句はないと六文銭は伝えた。

 

 

『よぉ、レイヴン…協働はガリア多重ダム以来か?』

『ヴぉうあ。』

『あいッ変わらずだな、ま…互いにデカブツ叩き潰して生きて戻ろうや。』

 

 

レイヴンの声の出し方に対して揶揄う素振りを見せるが愛嬌で片付けるヴォルタ。

 

この時、レイヴンはイグアスに頼まれた事を思い出して伝えた。

 

 

『おの…いうあうに、あのまれた。』

『イグアスに?』

『う、うぉれはいねぁが…ヴぉうあをよおしくてぇ。』

『全く、心配性なんだよ…アイツは。』

 

 

ヴォルタとの通信。

 

イグアスに彼の事を任されたレイヴンはその事を伝えた。

 

当人は余計なお世話で通していたが、悪友の言葉を素直に受けて置いた。

 

 

『独立傭兵レイヴン、ヴェスパー7のスウィンバーンだ。』

『すいうぅばうん。』

『声帯移植をしたとは言え、誤差があるのだろう……まだ慣れないようだな?』

『うう。』

『以前、君に指導した発声練習で大分落ち着いてきている…日々練習を重ねるといい。』

『わぁあった。』

 

 

ザイレムにて声帯移植をして声を取り戻したレイヴン。

 

移植した声帯部品の影響か、上手く話せなかった。

 

この事から発声練習をしていたものの先の状況が続いていた。

 

そこで助け舟を出したのがスウィンバーンであった。

 

理由はある出来事に関係している。

 

 

『何時かのエンゲブレト坑道での礼…まだ伝えてなかったな。』

『…』

『調査任務とはいえ、あの時は助かった…感謝する。』

『へぇき。』

 

 

洋上都市ザイレムでアルカナと封鎖機構の侵攻が無かった一週間。

 

この頃、廃棄されたエンゲブレト坑道にアイビスの火以前のデータが残っている可能性が出てきた。

 

その回収にスウィンバーンが任命されレイヴンが僚機として同行。

 

只のデータ回収任務で終わる筈だったが、封鎖機構のHC部隊もデータ回収に訪れていた。

 

データ回収を行う為にも回収部隊の殲滅に助力した形である。

 

 

『レイヴン、そろそろ作戦エリアへ入ります。』

『わぁった。』

 

 

エアの言葉と同時に答えるレイヴンだったが…

 

 

『各機、此方へ接近する機影…例の大型機動兵器です!』

『っ!』

 

 

エアが例の機動兵器の接近を感知した。

 

レイヴンが使用していた電子端末から各機へ通信を行い注意を促した。

 

 

『おいでなすったか!』

『相手の出方が分からない以上、油断は禁物だぞ。』

『承知!』

 

 

それぞれの強化外装の火器管制をオンに切り替える。

 

 

『きやがったか!マシな雑兵野郎共っ!!』

 

 

目視出来る位置に現れた大型機動兵器。

 

そのパイロットは通信でレイヴンらに伝えた。

 

 

『俺はアルカナのスター6、此奴の名はカルキノス……派手に暴れようや!?』

 

 

スター6と名乗ったアルカナの資格。

 

大型機動兵器カルキノスの潜水モードを戦闘モードへと切り替えた。

 

避難船を襲撃した際と同じく…

 

両腕部に供えられたハサミ型の破砕兵装を起動させた。

 

 

『カルキノス、来ます!』

『!』

 

 

レイヴンも強化外装の火器管制をオンに切り替えて攻撃を開始した。

 

 

『他のスターの連中がどうだったが知らねえが、俺は強い奴と戦いてぇのさ!?』

 

 

戦闘狂にも似たスター6の言動。

 

彼の性格もまたアルカナの掲げる『永遠の闘争』に由来するモノだろう。

 

 

『おぁえはかうなへしてあうっ!』

『まともに喋べれねぇのか?こいつは!?』

 

 

ちなみにレイヴンはスター6に対して『お前は蟹鍋にしてやる!』と話していた。

 

 

=続=

 




次回、蟹の末路。



※レイヴンのAC名
ドイツ語で翼を意味するフリューゲル。
本来はローダー4であるが、自由への翼と言う意味合いで変更。

※カルキノス
ギリシャ神話に出て来る化けガニの名称。
アルカナが開発した水中特化型の大型機動兵器。
カブトガニを思わせるフォルムは水中での航行を可能。
両腕部にハサミ型の大型破砕兵器を装備しMTやACなら難なく切断可能。
他にも水中魚雷や設置式の機雷を搭載している。
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