グリット012への強襲前。
ミシガンとスネイルの元に差出人不明のメッセージが届いていた。
その内容はグリット012にラークとフェアリーが居るだった。
流石の二人も罠と判断したが…メッセージに添付されたエンブレムで顔色を変えた。
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ザイレムの執務室。
先程のメッセージが映し出されたモニターを見ながら二人の会話が始まった。
「…どう思う?」
「罠と言うべきでしょうが、べリウス地方での一件もあります。」
「埋葬した奴が突然墓から蘇ったと?」
「前提として、彼が完全に機械化し何かしらの衝撃で再起動したと…考えるのなら在り得なくもないでしょう。」
第一世代型強化人間の多くは劣悪な施術によって人と認識する事も出来ない強化を受けた者も大勢いた。
なら、何かしらのバックアップを残していても不思議ではない。
ハンドラー・ウォルターが語った…
彼の性格を考えるといくつかの布石を残している。
「更にタロット8、オッツダルヴァの様にコーラルに意識を反映されている可能性も捨てきれません。」
「…」
死んだ筈の相手が生きており、尚且つメッセージを送付している。
誘っているのならその誘いに乗ってやるとミシガンは決めていた。
同時にスネイルも同じ考えに至っていた。
「止めても貴方は向かうのでしょう?」
「…お前はどうする?」
「二人は同盟部隊の一員、助け出す事は確定事項です。」
「なら、決まったな。」
差出人が誰であろうと一縷の望みがあるのならと二人は輸送ヘリの一つを確保しACを搬入。
同盟部隊が気づく前に出撃したのだった。
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一方その頃、グリット012の一角にて。
オーネスト・ブルートゥに協力していたアルカナのメンバーズが話し合っていた。
『あの者の協力で鍵の片割れは手に入った。』
『次はどうする?』
『奴らは取り戻しに来るだろう。』
『迎え撃つと?』
『その通りだ。』
順にタロット4とタロット7の会話。
タロット4は冷静であるが、言葉の雰囲気に野心的な心情が言葉に滲み出ている。
タロット7は隠しきれていない好戦的な意思が見えていた。
『タロット4、虫の準備は出来ている。』
『判った、此方の指示があるまで待機させて置け。』
『了解。』
タロット9も冷静な発言をしているが、何処か冷酷な雰囲気が出ていた。
『鍵が完全なモノと成るキッカケを我々が創る。』
タロット4の言葉で話し合いは締めくくられた。
同時に彼らの背後には無数の光る眼孔が蠢いていた。
AC同士からの会話に見えるが彼らに実体はない。
タロット8の話通り、人で無くなり亡霊と化した何処かの時代のAC乗り。
それは時代を超えて古き世代である事を示している。
ACが世に出てからどれだけの月日が流れただろう。
気の遠くなるような時間の中で数多くの戦乱が起こった事も…
彼らも戦いの波に呑まれた者達。
そしてコーラルの目覚めと共に呼び起された。
何故、今となって彼らはこの世に現れる事になったのだろうか?
それは誰にも判らない。
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グリット012の某所にて。
『布石は敷いた、後はお前達次第だ。』
輪廻に囚われた者。
そのパイロットは静かに呟いた。
己の運命を模したエンブレムを掲げた紅いAC。
『これで良かったのだろう?』
パイロットは古びたロケットペンダントを取り出す。
その中に封入された古びた写真を見ていた。
人であった頃の自分と妻になる筈だった女性が寄り添った写真。
色あせているが、妻の雰囲気がどことなくラークとフェアリーに似ていた。
『マナ、見守る事は出来たとしても亡霊は生きた子を抱けんよ。』
自身らの末路に対してスッラは皮肉な言葉を紡いだ。
=続=
次回、レイヴン達合流。
※タロット4
皇帝を意味するナンバーズの一人。
野心家であり、今はアルカナの命令に従っているが…
※タロット7
戦車を意味するナンバーズの一人。
好戦的な性格をしている。
※タロット9
隠者を意味するナンバーズの一人。
冷静であるが冷酷な一面を持つ。