前回、マザー討伐メンバーが対象との接敵を済ませた頃…
囮作戦を展開している四チーム。
彼らも与えられた武装を手にそれぞれが奮闘していた。
ルビコンにばら撒かれた厄介者達がどれほどの威力を持つのか?
封鎖機構いや、アルカナへ知らしめる戦いになるだろう。
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作戦開始時刻を過ぎ…
それぞれが囮作戦を展開し作戦を開始。
コーラル・ドローンによる疑似餌によって…
各地点の地中から姿を現すアイスワーム。
全てを破壊する為に、その狂気じみた削岩機を見せつけていた。
まず…
一つ目の作戦地点であるヨルゲン燃料基地の状況。
『キャプチャー記録で見た以上に…難敵だな。』
『第七隊長、如何なさいます?』
『予定通り、マザー討伐まで此方で相手をする。』
『了解しました。』
ヨルゲン燃料基地に近い平原でアイスワーム・Aと対峙するヴェスパーチーム。
順にスウィンバーン、ペイター、メーテルリンクである。
スウィンバーンのACガイダンスにバルテウス換装。
ペイターのACデュアルネイチャーとメーテルリンクのACインフェクションにはスタンニードルランチャー装備。
現状でオーバードレールキャノンを使用しない形での対アイスワーム装備である。
本来ならば、オーバードレールキャノンでセカンダリシールドを破壊する戦法が最もだったが…
マザーワームと言う異例の存在が出現した以上、其方に戦力を回さなくてはならない。
幸い、封鎖機構から強奪したバルテウスフレームやカタフラクトフレームもあり…
ACへの換装が出来る様に処置がなされた後だった事が幸いだった。
『作戦の邪魔はさせんぞ!貴様の様な蟲には私が指導してやる!!』
『ヴェスパー8、初手のランチャーは此方で!』
『了解、自分は援護に回ります。』
『各隊員は後方で支援に当たれ!!』
スウィンバーン、メーテルリンク、ペイターを筆頭に…
弾幕、火力支援を行うHCとLC型に搭乗したヴェスパー・MT部隊。
『『『了解!!!』』』
ヨルゲン燃料基地周辺はその地形上、所々にクレバスが存在する箇所が多い。
この為、空中での滑空時間が確保出来る機体が多いヴェスパー部隊が担当していた。
各方面に配置した為、前者に搭乗している者が少ないが対応出来る装備も施している。
指揮官が真面である以上はそう簡単にはやられない…いや、やらせないが正しいだろう。
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二つ目の作戦地点であるハーロフ通信基地の状況。
『こちらG2、ヨルゲン燃料基地の接敵を確認した。』
『G6、了解しました。ヴォルタ先輩!』
『応よ。こっちもデカブツとご対面した!』
『でかい…!』
『ネルソン!糞な阿保顔を晒している暇はねぇぞ!!』
『りょ、了解!』
同時刻、ハーロフ通信基地に近い平原に出現したアイスワーム・B。
カタフラクト装備で接敵したヴォルタのACキャノンヘッド。
スタンニードルランチャー装備のレッドのACハーミット、ネルソンのACデイノニクス。
『イグアスとラーク達も奴らの親玉をぶっ倒し中だ!俺らでこのデカブツを止めるぞ!!』
『了解!』
『はい!』
雪原を爆走するキャノンヘッド・カタフラクト。
その後を追従するハーミットとデイノニクス。
更に弾幕と火力支援に出ているLCとHC型に搭乗しているレッドガン・MT部隊。
此方も戦力分散する関係で乗り手が少ないが、ミシガン直伝の地獄の訓練に耐え抜いた兵達である。
MTであれど、その度量は凄まじい。
『くそっ、ネルソンに先越されっちまったが…』
『ケネベック、いいんじゃないかい?副長からの推薦だったし。』
『オールバニーこそ、何時もはイグアスの達の事を馬鹿にしていただろ?』
『ラークを見ているとそうでもない様に見えちまってね。』
『そうかよ。』
『番号を狙っているのは皆同じですね。』
『テメェにだけは言われくねぇよ、弄られメガネのオオサワ。』
『それは言えてる、近接評価がDだしね。』
『…うう、扱いが酷いです。』
レッドガン・MT部隊のケネベック、オールバニー、オオサワの三人。
彼らも弾幕、火力支援のメンバーに駆り出されていた。
アイスワームと言う化け物を前にしても怖気ないのは日々の訓練の成果だろう。
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三つ目の作戦地点であるオアス産業海港の状況。
『各機、配置に着いたな?』
『ハンドラー、指示を。』
『他地点のアイスワームの接敵を確認した。此方も遅れるな。』
『了解。』
コーラルドローンでアイスワームを地下都市跡地から誘き寄せ、接敵する。
アイスワーム・Cと接敵し囮をするのがハウンズの任務である。
『イーグル、カタフラクト装備の調子は?』
『問題ない。』
『スタンニードルランチャーは私とドゥスターが担当します。』
『俺は弾幕と火力支援に呈するぜ?』
『レイヴン達、大丈夫かな?』
『安心しろ、621とエアはやり遂げる…俺達は俺達の仕事をするだけだ。』
オウス産業海港に近い地下都市跡地へ移動を開始するハウンズ。
カタフラクト装備を施した617ことイーグルのAC。
スタンニードルランチャー装備の618ことクレインと620ことドゥスターのAC。
弾幕、火力支援に619ことシーガルのACの配備である。
更にマナから貸出された無人MT部隊の援護もあり、ある程度の障害は避けられるだろう。
問題はアイスワームから浸出しているコーラルに注意が必要な点である。
『イーグル、来ましたよ?』
『クレイン、一撃目は任せる。』
『シーガル、援護を。』
『外すなよ!』
一度は失った筈の命。
巡り巡ってウォルターの元へ帰って来た猟犬達。
彼らもまた、飼い主の依頼をこなすのであった。
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四つ目の作戦地点であるヒアルマー観測基地の状況。
此方の担当は解放戦線のMT部隊。
雇っている独立傭兵六文銭の援護で何とか戦力を維持している。
各地に点在する解放戦線の仲間達の援助を募ったが、多くはドルマヤン派が多く…
様子見の状態で手を貸して貰える状態ではなかった。
更に技研の遺産であるアイスワームの映像を見たと同時に怖気づいたが正解だろう。
『六文銭さん申し訳ない。援軍の手筈は…』
『あの様な化け物相手だ。致し方なかろう。』
『…アーシル。』
『ツィイー、本当なら君を前線に出す気はなかったよ。』
『いや、無理を言って悪かった。』
『…』
解放戦線の公示役を務めていたアーシル。
人手が足りないと言う事でMT部隊の一人として戦線に出ていた。
彼らのマスコットガール的存在であるリトル・ツィイー。
彼女はある出来事を起こしていた。
それは前々回のザイレム強襲事件まで遡る。
「ツィイー、何と言う事を…」
「だって!!あいつらは企業の!!」
「…話を聞いてなかったのか?」
ラークとフェアリーがオーネスト・ブルートゥに連れ去られた後の事。
ツィイーはブルートゥの事を知っており、知らぬ存ぜぬでラークとフェアリーの居る場所を教えていた。
結果、ブルートゥは強襲事件の最中に隙を見て二人を拉致したのである。
ツィイーにしてみれば、企業に所属する隊員に一泡吹かせたと思っただろう。
だが、これは解放戦線や民間人全員を巻き込む騒動に発展しつつあった。
ザイレムを管理するAIマナは解放戦線の代表を務めるフラットウェルを厳しく追及。
ツィイーがブルートゥを手引きした様な映像もあった為、スパイ容疑などで他からも圧力がかかった。
マナと協力関係にあるオーバーシアと独立傭兵ハウンズ。
彼らと独自の協定の結んでいるレッドガンとヴェスパー。
解放戦線はラスティの口利きもあって参入した形であるが…
戦力からすれば、解放戦線は六文銭以外はほぼ足手まといと言っていい。
地理を生かした戦法であれば、彼らが有利であるが…
コーラルがある限り、無尽蔵に動けるアルカナに対しては赤子に等しい。
更にザイレムに備蓄された物資によって救われた民間人も数多い。
今の状況でべリウス地方へ戻る者達はいない。
ほぼ安全とも言える場所に避難出来たものが、今更命を狙われる可能性の高い場所へ戻る訳がない。
ツィイーの独断は解放戦線と民間人達が築きあげた、彼らへの信頼を消してしまう状況だった。
「ツィイー、君が嫌った彼女達もルビコニアンだ。」
「えっ?」
「彼女達はアルカナによって両親を奪われ、企業の部隊に救助された。」
「…」
かつてルビコン入りし赤子のツィイーを守って死亡した両親。
後に解放戦線の仲間達によって育てられた。
ラークとフェアリーはルビコンで産まれ、その能力故にマナの手引きで宇宙へ脱出。
彷徨っている所をレッドガンとヴェスパーに拾われ育った。
形は違えど、三人の関係はどことなく似ていた。
「彼女達にとってレッドガンとヴェスパーは家族だ。君はその家族を奪ったと言う事だ。」
レッドガンとヴェスパーは企業の命令に従い、ルビコンに進駐しコーラル争奪戦を行った。
彼らも人であり、生活の為にコーラルを必要とするのは変わらない。
奪い奪われる関係。
そんな関係を終わりにする為の同盟であったが…
ツィイーは深い意味を組み取れず、驕った蛮勇で壊そうとしていた。
「ツィイー、君は暫く謹慎だ。ユエユーは此方で預かる。」
「ま、待って!?」
フラットウェルは同盟部隊となった建前と義理からツィイーを謹慎。
彼女のACユエユーに凍結処分を下した。
乗れない様にスクラップにされないだけ、マシだと言わんばかりの扱い。
ツィイーは二人が救出された後もやらかした事で謝りそびれていた。
…時は戻り、ヒアルマー観測基地。
「だから、アタシはこれで償いをするよ。」
「判った、俺達も全力でサポートする。」
「拙者は雷撃砲を担当させて貰おう。」
「…スタンニードルランチャーだよ。」
一連の出来事でツィイーの暴走もあるが、不憫に思ったアーシル。
出撃のドサクサで彼女を解放し一緒に同行させたのである。
ツィイーは現在、バルテウス装備のMTに搭乗。
本来の機体ではないが、彼女を守る為には最善の処置かもしれない。
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最後にバートラム旧宇宙港では新たな来訪者によって苦戦を強いられていた。
『オッツダルヴァ…アレは一体!』
『まさか…連中め。アンサラーまで復活させていたのか!?』
『…相当厄介な相手って事でいいのかしら?』
『その通りだ。』
オーバードレールキャノンを死守しながらアルカナの手先であるミグラントACを排除していたローズネイルとオッツダルヴァ。
補給も無しに敵ACの残骸の山を築き上げている二人の有能さは計り知れない。
だが、それも弾切れが起こるまでの事である。
頃合いと見て、相手側は厄介な起動兵器をバートラム旧宇宙港へ差し向けていた。
オッツダルヴァの時代で猛威を振るった空中要塞型AFの一つ…アンサラーである。
本来は彼の時代に利用されていた粒子技術によって運用されていたが…
コーラルを利用した機関に置き変えているらしく、コーラル汚染宜しくで地上へばら撒いていた。
このまま拡散が続けば、中央氷原一帯での行動に制限が出てしまうばかりか…
ウォッチポイント・アルファへの調査を遅延させる行為であった。
『私も出るべきだが…』
ラスティも射手でなければ援護に出ていただろうが、そうはいかない。
マザーワームは健在しレイヴン達が中央氷原で対応している。
オーバードレールキャノンから離れる事は出来ないのだ。
『ビジター、アタシがアイツらの援護に入る…言って置くけど此奴の耐久は。』
『…判っている、善処はさせて貰う。』
バートラム旧宇宙港内の電力施設の制御室よりコンソールを弄っていたカーラ。
敵の増援に対してカーラも戦場に出ると告げた。
オーバードレールキャノンの発射可能回数が残り少ない事も注意しその場を後にする。
『後、二発…耐えてくれよ。』
中央氷原で戦う戦友に残りの二撃を渡す為に。
ラスティはトリガーを握った。
=続=
続きは処理落ちとフリーズ中。