ティンカーベルの子   作:宵月颯

84 / 99
レイヴン達によるマザーワーム討伐戦。


氷蟲・5

前回、作戦の障害となる四基のアイスワームに対し囮作戦を展開している四チーム。

 

彼らの奮闘によってマザーワームを護衛する障害が減った。

 

作戦の大元であるマザーワームを討伐する為にレイヴン達は作戦を継続していた。 

 

 

******

 

 

吹雪とコーラルの粒子が交じり合う中央氷原。

 

アイスワームより巨大な自立型起動兵器…

 

マザーワームがその醜悪な体格を駆使しレイヴン達を追い詰めようとしていた。

 

 

『各機、相手の動きが想定以上に早い…密集しての行動は避けなさい。』

『それは同感だ。』

『こっちも巻き込まれるつもりはねぇ…!』

 

 

雪原に着地しマザーワームの誘導を開始する。

 

順にスネイルからの警告、チャティの了承、イグアスの悪態付いた了解の意。

 

上空ではレイヴン、ラーク、フェアリーがスタンニードルランチャーの発射準備を済ませていた。

 

 

『レイヴン、ラーク、フェアリー、地上の三機がマザーの誘導を行います。』

『こっち、やつの、そこ、ねらう。』

『オッケー、あの芋虫の顔面に叩き込めばいいんだよね?』

『スタンニードルランチャーは…発射までに少し隙あるから気を付けて。』

 

 

作戦前に行った会議通り…

 

マザーワームの頭部先端にスタンニードルランチャー二撃を撃ち込む。

 

フェアリーの言う通り、発射までに秒単位であるが僅かの誤差が存在した。

 

それなりの高火力を打ち出す武装である以上、安全を考慮した上で生じたデメリットである。

 

更にスネイルより同時着弾の場合、スタンニードルランチャー同士の誘爆によって…

 

プライマリシールドへのダメージが軽減されてしまう為、秒単位ずらし二発目を発射と言う指示が下された。

 

 

 

『ヴェスパー10、マザーのプライマリシールドへ二撃ですが…発射のタイミングを少しずらしてください。』

『了解。』

 

 

一撃目はフェアリー、二撃目はラーク、三撃目はレイヴンと言う順と配分されている。

 

理由は三人の中の射撃能力の優位順からレイヴン、フェアリー、ラーク。

 

逆にラークは近接と奇襲攻撃を得意としているのでフェアリーの後となった。

 

敵の怯んだ隙を狙う事に長けている彼女の洞察力を見込んでの配置でもあった。

 

 

 

『ビジター、奴が出て来るぞ。』

 

 

 

チャティがマザーの動きを調べ、絶好のタイミングで地上に出て来る瞬間を伝えた。

 

 

『今!』

 

 

フェアリーが発射準備を整えたスタンニードルランチャーの一撃目と二撃目を順に着弾させる。

 

 

『プライマリシールドの消失を確認!』

『ヴェスパー4!』

『…外しはしない!』

 

 

エアとスネイルからの声と同時に…

 

旧バートラム旧宇宙港にてオーバードレールキャノンのトリガーを引くラスティ。

 

遥か遠く、中央氷原へと向かう一筋の光。

 

それはマザーワームの胴体を貫いた。

 

 

『セカンダリシールドの消失を確認、レイヴン!』

 

 

戦友達が切り拓いた瞬間を逃す筈もなく、剥き出しとなったマザーへ攻撃を加えるレイヴン。

 

AHWより放たれる高火力兵装により、マザーに決定的なダメージを与える。

 

マザーもレイヴン達の反撃で障害対象と判断。

 

続けて子機を展開し妨害を開始した。

 

 

『敵のシールド回復を確認、ラーク落ち着いて狙ってください。』

『…判ってる!』

『ビジター、敵が子機を展開した。』

『其方は我々が担当しますので。』

『ラーク、こっちの事は気にすんな。』

 

 

マザーを護衛する子機に対処するスネイル達。

 

上空では二回目のプライマリシールドを破壊する為にラークがマザーの隙を狙う。

 

 

『お前の動きは読めた!!』

 

 

マザーにスタンニードルランチャーの二撃が放たれる。

 

 

『プライマリシールドの消失を確認!』

『戦友!此方も続くぞ!』

『わかった!』

 

 

二撃目のオーバードレールキャノンとレイヴンの三撃目によってマザーは動きを鈍らせるが…

 

 

『待って!』

『ヤバッ!?』

『各機!マザーから離れて下さい!』

 

 

フェアリーとラーク、エアが異常なコーラル反応を感知。

 

急ぎ、離脱を促した。

 

 

『敵の出力が上がったようです。』

『…きけん。』

『ええ、プライマリシールドも先程の二撃だけでは破壊出来ない可能性があります。』

 

 

更に子機が展開され地上の三人も囮に呈する事が困難になって来た。

 

 

『戦友、ここで仕留めなければ全滅は確定する。』

『つぎが…』

『此方も後一発が限度だ。』

 

 

ラスティとレイヴンの会話を聞いていたラークとフェアリーは二人同時に頷いた。

 

 

『フェアリー。』

『うん、ラーク。』

 

 

二人と周囲はある提案を伝えた。

 

 

『レイヴン、僕らでランチャーを二撃同時にぶつけるよ!』

『倍ならシールドも破壊出来ると思う。』

『二人の言う通りです、発射のタイミングには十分に注意なさい。』

『周囲の雑魚は俺らが撃ち落とす…猟犬、キッチリ決めろよ。』

『ビジター、頼んだ。』

 

 

最後の止めを託されたレイヴン。

 

 

『G13!泣きを入れたら…』

『もういっぱつ!!』

『よし!デカい一撃を与えてやれ!!!』

 

 

ミシガンのエールと共に最終攻撃の準備に取り掛かった。

 

順にラークとフェアリーがプライマリシールドを破壊。

 

ラスティがオーバードレールキャノンのタービン出力限界の一撃を発射。

 

最後にレイヴンが決める。

 

 

『レイヴン、今です!!』

『これで!』

 

 

度重なる攻撃でボロボロとなったマザーワーム。

 

その巨体はレイヴンの一撃を喰らって氷原に倒れ伏した。

 

マザーワームより放出する紅いコーラルの粒子は沈静化し空へと昇って行った。

 

 

『…』

『マザーの沈黙を確認、我々の勝利です。』

 

 

エアの最終確認と同時に各所の通信から勝利の雄叫びが響いていた。

 

 

>>>>>>

 

 

後日。

 

マザーワーム討伐作戦は同盟部隊の勝利によって終息へと向かった。

 

アイビスの火以降、コーラル観測を続けていたオーバーシア。

 

ルビコンの閉鎖を解除する為に戦う解放戦線。

 

ベイラムとアーキバス…二大企業より離反したレッドガンとヴェスパー。 

 

この戦乱に肩入れを決めた独立傭兵達。

 

封鎖機構と手を結んでいたアルカナからの離反者。

 

より強大な障害に対して結束した同盟部隊となった一行。

 

彼らの奮闘により封鎖機構はルビコンへ在留させていた戦力を失い…

 

ルビコン星外へと撤退を余儀なくされた。

 

だが、廃棄された技研都市には封鎖機構と手を組んでいたアルカナの本拠地が隠されている。

 

一刻と迫っていた暴走コーラルによる崩壊を止める為のタイムリミット。

 

その猶予は余り残されていない。

 

ザイレムの管理AI・マナとルビコニアンのエアはルビコンに点在する解放戦線。

 

フラットウェル派に賛同していない派閥へ協力要請を送信。

 

ルビコンに平穏を取り戻す為に手を貸して欲しい…

 

だが、彼らは“静観”と言う形で答えを見送った。

 

更なる援軍を得られない以上は…

 

我々で事を成さなければならなかった。

 

 

~その夜~

 

 

マナは相手側からの返信をもう暫く待つ事を提案。

 

引き続き、ザイレムの管理へ戻った。

 

同時にエアはレイヴンにのみ…自身の想いを告げた。

 

 

『レイヴン、コーラルは私の同胞…その彼らがここまで。』

『…』

『集積コーラルでラークとフェアリーの対話次第では、私も…』

『例え…最悪の結果になっても、俺は君と一緒にいる。』

『ありがとう、レイヴン。』

 

 

彼女にとって気休めの言葉かもしれない。

 

ルビコン3崩壊のカウントダウン…

 

それは同盟部隊の勝利かアルカナの勝利によって示されるだろう。

 

 

 

=続=




チャプター4終了。

次回はコーラルの悪戯を予定。

アンケートは8/1まで。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。