ティンカーベルの子   作:宵月颯

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報告

 

俺が密航した日から一夜が明けた。

 

輸送コンテナを利用しグリット135へ落下。

 

その後、カタパルトデッキを利用し汚染市街へ移動。

 

ライセンスを獲得しあの大型武装ヘリと戦った。

 

俺のルビコン3での一日がこうして終わった。

 

回収ヘリで帰還。

 

拠点で待機していたウォルターと合流し救出したACのパイロット達と対峙する事となった。

 

但し、一人は負傷していたので治療を行ってからの指示が出ている。

 

 

******

 

 

ウォルターを通して救助されたACのパイロット達が顔合わせをした。

 

仕事柄、エンブレムマークと音声通信でのやり取りが暗黙の了承だ。

 

互いに素顔を見せるのはこれが初めてだろう。

 

 

「アーキバス社のヴェスパー部隊の新人パイロットにベイラム社のAC部隊レッドガンのナンバー持ちか…」

 

 

ウォルターを介しているもののライバル企業所属のAC乗り同士の対面だ。

 

何が起こっても不思議ではなかったが、レッドガンのナンバー持ちは救助して貰った恩もあるらしく…

 

礼儀を弁えて手出しはしてこなかった。

 

 

「救って貰った事は感謝するぜ。」

「…」

「ん、大丈夫でよかった。」

 

 

治療を終えたハークラー、被弾時にベイラム社の対Gスーツ越しに所々裂傷を受けている。

 

現在はスーツを取り外してウォルターから服を借りている状態だ。

 

無口なまま全身黒の対Gスーツに顔を隠すかのようなバイザーを付けた621ことレイヴン。

 

アーキバス社の対Gスーツを纏っていた幼さを残す少女フェアリー。

 

 

「ハークラーとフェアリーだったな、双方の企業には既に連絡をしてある。」

「げ、帰ったら隊長にどやされるな…ACをぶっ壊している上に動けねえし。」

「お電話しなかったから…みんな、心配している。」

 

 

ハークラー自身、命はあるもののの…この体たらくをレッドガン総長であるG1ミシガンが見たら拳骨の一発は覚悟しなければならない。

 

フェアリーも自機ACの通信機の不備で定期連絡が出来なかったものの、自分の責任と落ち込んでいた。

 

 

「だが、双方共に作戦中の為…迎えを寄越せないと話している。」

 

 

双方の所属企業に連絡を取ったウォルター。

 

アーキバス社もベイラム社もコーラル調査の勢力圏を広げる為に戦線を広げている。

 

その為、合流可能なポイントまで回収ヘリを送る事が出来ない。

 

また、惑星封鎖機構SGの監視も強まっている事もあり…回収は先送りとなった。

 

 

「ま、この様じゃな…暫く休暇としゃれこむか。」

 

 

言わずもがな、ハークラーは治療はしているものの傷が深いのでACに乗るのは暫く出来ないだろう。

 

 

「ウォルター、おかねひつよう?」

「急にどうした?」

 

 

フェアリーはウォルターに対して質問しその問いにウォルターは聞き返した。

 

 

「はたらかざるもの…くうべからず?って、スウィンバーンの、小父さんが、言ってた。」

「…」

「助けられたから、お礼とお手伝いする、大事だから。」

「ふむ、そうか…」

 

 

フェアリーの自機ACの損傷は少ないので燃料と武装の補給で動ける状態。

 

アーキバス社からも彼女を預かっている期間に掛かる費用を企業が負担すると契約している。

 

だが、彼女は自身の分は自分で稼ぐと言っているのだ。

 

 

「なら、レイヴンの手伝いをしてくれるか?」

「ん、分かった。」

 

 

今の所、入って来る依頼は企業を介した解放戦線との戦いが多い。

 

所属企業が出した公示ならば、特に問題はないだろう。

 

 

「レイヴンのお手伝い、する。」

「仕事が入ったら連絡する、それまで休んでなさい。」

「うん。」

 

 

ウォルターは思う。

 

フェアリーの自己観念が余りにも幼い事に…

 

戦う事は優秀だが、それ以外は幼い子と同じなのだろう。

 

ヴェスパー部隊の所属である以上は企業の生み出した強化兵士である事は間違いない。

 

子供らしい事を何も知らないのはあの子にとっても幸せではないだろう。

 

ここにいるのなら戦いは常に共にある。

 

望んでもいない慈悲は苦痛と思い、彼女の詮索をウォルターは止めた。

 

 

~数時間後~

 

 

ベイラム社と同盟企業である大豊核心工業集団からの依頼が来た。

 

ルビコン解放戦線が保有するBAWS社製の移動砲台の撃破と配置された汚染市街周辺を監視するMT部隊の破壊である。

 

ベイラム社からの依頼の為、フェアリーは出撃出来ずレイヴンが単独で任務に当たった。

 

続いての依頼はアーキバス社と同盟企業シュナイダー社からの依頼。

 

大豊核心工業集団がテスターACを導入した、これを輸送の瞬間を狙い…

 

輸送ヘリごと破壊するのが仕事である。

 

単機による早期殲滅の為、レイヴンだけで依頼を受ける形を取ろうとしたが…

 

 

「私、てつだう。」

「…判った、出撃の準備に入ってくれ。」

 

 

フェアリーが協力を申し出たのだ。

 

正直な話、今回はライバル企業同士の潰し合いの依頼だ。

 

療養しているハークラーも良い顔はしないだろう。

 

だが、何かあって手伝いを申し出たフェアリーの意思を尊重した。

 

 

~目的地・移動後~

 

 

輸送ヘリから離脱し目的のエリアへ移動するレイヴンとフェアリー。

 

高台から輸送ヘリへのテスターACの搬入作業中であるのが目視出来た。

 

 

『レイヴン、目的のACはその先だ…離陸する前に仕留めるぞ。』

「…」

「レイヴン…何か嫌な感じする。」

 

 

同時にフェアリーが理解不能な事を話した。

 

 

『それは一体?』

「ん、ここに向かってる。」

「…」

 

 

ウォルターがフェアリーに理由を聞く前に状況は一変。

 

目的のヘリとテスターACに攻撃を仕掛けた存在が現れたのだ。

 

 

『輸送ヘリが!?』

『何とか機体だけでも…!』

 

 

輸送ヘリがやられた事で離脱の手段を失ったテスターACのパイロット。

 

突然の襲撃によって施設の人員も全滅し残されたのは彼だけである。

 

 

『くそっ!』

 

 

テスターACの武装で応戦するものの既存の武器が貫通しなかったのだ。

 

まるで何かに遮られているかのように…

 

 

『俺も…コールサイン。』

 

 

テスターACは四肢を撃ち抜かれ、残ったのはコアブロックのみ。

 

待つのは死だけであった。

 

 

「だめ…!」

 

 

ウォルターの忠告を遮り、謎のACの前に飛び出たフェアリー。

 

本来であれば自殺行為だ。

 

だが、彼女は何かを感じ取り交戦する意思を見せたのだ。

 

 

「逃げて!」

 

 

フェアリーは謎のACと交戦し、通信でテスターACのパイロットに逃げろと告げる。

 

流石に戦う術を失ったテスターACのパイロットは脱出用のレバーを引いて脱出した。

 

 

「あれは、怖い、皆を痛い痛いする。」

「…」

『レイヴン、形は変わったがフェアリーと共闘し例のACを叩け。』

 

 

ウォルターの指示でフェアリーと共闘し謎のACとの戦闘を開始。

 

だが、戦うに連れてある事が判明する。

 

 

『こちらの攻撃が通じない、だと?』

「…」

「ん、私のは効いてる?」

『…レイヴン、奴の相手はフェアリーに任せて援護に回れ。』

 

 

それはフェアリーのACが持つ兵装のみ奴に対抗出来た事。

 

謎のACへの相手はフェアリーをメインとしレイヴンが援護に回る形を取った。

 

ウォルターの情報把握や熟練者らしい対応で無事に謎のACを破壊した。

 

 

『レイヴン、ご苦労。』

「…」

「ウォルター、勝手なことして、ごめんなさい。」

『いや、何かあってからでは遅い…時には早い判断も必要だろう。』

 

 

回収ヘリを寄越す間、二人はウォルターの指示で謎のACの残骸を回収。

 

合流後に拠点へと帰還した。

 

 

=続=





※ハークラー

レッドガン部隊のAC乗りでコールサインはG7。
本編では大型武装ヘリの襲撃でACごと破壊され既に死亡。
ルビコン3に密航したレイヴンがIDを強奪する際に確認している。
本人の性格と年齢は不明、名前から男性と思われる。

この話ではフェアリーの介入があった為にACの損傷と軽度の負傷で済んだ。
独立傭兵レイヴンとフェアリーによって救助され、その後はレッドガン部隊に引き取られた。
この事からヴェスパー部隊の新型ACのパイロットがフェアリーである事が認識される。

後にレイヴン経由でフェアリーに詫びの品(リボン付きロリータ服)を送っている。


※テスターACのパイロット

公式ではレイヴンとの交戦で死亡。
この話では所属不明ACの襲撃を受けて機体は破壊されたものの…
レイヴンとフェアリーの介入で命だけは助かった。


※所属不明AC

フェアリーが感じ取った謎の気配を纏わせたAC。
無差別攻撃を繰り返し、レイヴン達とテスターACを襲撃した。
独自のバリア機能の搭載しており、攻撃が貫通しない。
フェアリーのACが所持する特殊兵装のみ対応する事が可能。
破壊後はウォルターの指示で残骸ごと回収された。


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