ティンカーベルの子   作:宵月颯

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タロット12戦・その2。


吊男・2

前々回と引き続き。

 

ウォッチポイント・アルファの地下大空洞の最深部にて。

 

アルカナ・ナンバーズの一人、タロット12と交戦を続けるレイヴン。

 

ウォッチポイントの奥底の空洞…

 

限られた閉鎖空間で行われる戦いは続いていた。

 

 

******

 

 

ギャリギャリと鉄同士が接触し合い火花が散る。

 

レイヴンのACフリューゲルとタロット12のACハングドマン。

 

二機のACによる近接武装のぶつかり合いが続いていた。

 

 

『やるねぇ~!』

『っ…!』 

 

 

余裕なのか、挑発めいた発言をするタロット12。

 

何度か交戦しているが、タチの悪さは相変わらずである。

 

そしてレイヴンにとって一番気に食わないのは…

 

 

『みみざわり…!』

『え~別に良くない?何?俺と似た様な奴と戦った事があるとかぁ?』

 

 

煽りに煽るタロット12の声。

 

レイヴンことC4-621は脳裏にこびり付いた違和感を思い出していた。

 

強化人間として何度も調整の受け続け…

 

最後はボロ雑巾の様に廃棄される寸前まで追い込まれた。

 

その前のゴミカスにも似た記憶の様なモノが…

 

 

 

“ゴミ屑が!”

 

 

“お前達は捨てる程、余っている!”

 

 

“今度、処分されるのは誰だろうな?”

 

 

“さっさと流れ弾の的になってこい!”

 

 

 

温かみのあるミシガンとは違う罵倒言語。

 

過去にレイヴンが配属していたと思われる企業の記憶。

 

旧世代強化人間への扱いが余りにも劣悪だった。

 

使い捨てと言えば、それまでの環境。

 

何人もの強化人間が導入され、消えて行った。

 

一体、何人の同胞を見送っただろうか?

 

 

『考え事って…随分と余裕ぶっこいてるじゃないの!?』

 

 

一瞬の隙。

 

 

『!?』

 

 

ACフリューゲルの左腕が弾き飛ばされた。

 

 

『レイヴン!?』

 

 

エアの叫びが交信を通して脳裏に響く。

 

 

『あっれ?前の方がマシだったけど…もしかして~図星突かれたぁ?』

 

 

ACハングドマンのタックルで体勢が崩れ、地面へ転倒するACフリューゲル。

 

 

そのコアブロックにはACハングドマンの近接武装が目と鼻の先に近づけられた。

 

 

『あれ?もうおしまい?』

 

 

ニヤリと笑みを浮かべた様な声が響く。

 

旧世代のネットスラングで言うと草生えて大草原でゲラゲラと大笑いする。

 

 

『あ…が…あ…!?』

 

 

自身の知らない記憶が脳裏を混在させ思考を奪う。

 

そして目処前に現れたのは…

 

 

“時は来た…レイヴン”

 

 

この時、レイヴンの意識は途絶えた。

 

 

『おい!猟犬どうした!?』

『戦友!』

 

 

何時もと様子が違うレイヴンへ通信を送るイグアスとラスティ。

 

レイヴンは無言のまま、変則的な息遣いが伝わってくる。

 

そして…応答はなく、無言の圧で返答されるだけだった。

 

 

『ラスティお兄ちゃん!レイヴンが!』

『イグ兄!早く止めないと!』

 

 

フェアリーとラークはコーラルを通してレイヴンに起こった変異を感じ取ったらしい。

 

 

 

『『レイヴンがレイヴンじゃなくなっちゃう!!』』

 

 

 

それはレイヴンの自我喪失を示していた。

 

 

=続=

 




グリット012の伏線回収。
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