ヴィランの俺がヒーローになって何が悪い! 作:yes,ヴィラン
※タイトルを少し変更しました
「うぉぉ…、でっか」
目の前に建つ大きな建物、名を雄英。
様々なプロヒーロー育成所がある中で、関西にある士傑に並ぶ名門校である。
オールマイト、エンデヴァーをはじめとしたトップヒーローを数多く排出した実績とネームバリューであり、ヒーローを目指す日本全国の中学生にとってあこがれの的となっている。
そんな名門中の名門である雄英の門の前に、元ヴィジランテ、現新人ヒーローであるテールが立っていた、否……立ち尽くしていた。
「お、俺、こんな立派なところで頑張っていけるのか…?」
強気で陽気でおなじみのテールだが、さすがの彼女でも天下の雄英を目の前にしてしまえば子猫のように縮こまる――、
「――まぁ、なんとかなるか!」
――わけもなく、依然堂々とした態度で雄英の門をくぐる。
本来であれば、雄英から渡される認証カードのようなものを持っていなければ、雄英バリアーなるものが行く手を阻むのだが、テールはそんなヘマはすることなく雄英の敷地に入って――
ウィーンウィーン……ガシャン!!
……どうやらテールは自宅にカードを忘れてきてしまったようだ。
門の前で立ち尽くすテール。
そのあと、彼女は急いで雄英の教員たちに連絡をして、中に入れてもらえたのだった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ということで、今日からこの二人が僕たちと共に生徒たちを支えて、立派なヒーローにしていく仲間なのさ!それじゃ、八木くんから自己紹介を頼むよ」
現在、雄英高校の職員室。
今はそこで、新人教員である二人の自己紹介を行っていた。
「あ、はい。えーと、オールマイトこと、八木 俊典です。よろしくお願いします」
テールの隣にいるオールマイトは、緊張のためかガッチガチに固まっており、まるで時季外れに転校してきた引っ込み思案な子どものようになっていた。
現に自己紹介を終えた今も、辺りを見回しては下を見るを繰り返している。
「(……オールマイト、ここの卒業生じゃなかったっけ?そんな緊張することでもないだろうに。もしかして、ヒーローとしてはベテランでも、教師としては初心者のぺーぺーだから緊張してるとか……?)」
テールはオールマイトを脇目に見ながら分析していく。
と言っても、おそらくテール自身も緊張でどうにかなってしまいそうなのを懸命に抑え込んでいるため、現在のオールマイトとどっこいどっこいなのだが……。
「(それにしても、オールマイトのあの筋骨隆々な姿は一時的なものだったのか。道理で力の流れに違和感を感じるわけだ)」
と、身長はテールよりも高いものの、彼女に比べるとガリガリとも言えるほどにやせ細った体は、もはや見ているのが苦しくなるほどに痛々しい姿だ。
それを見ている数人の教師も、彼の姿に少し困惑している様子だ。
まぁこれに関しては、あとで校長辺りから説明がもらえるだろう。
「じゃあ次は俺の番だな」
テールは口を覆うようにつけたマスク型の変声器で声を出しながら、言葉を発する。
テールの姿を見て、これまた数人が、こちらは訝しげな表情を浮かべている。
「えー、ヒーロー名はテール。名前は絶斗 克美。元々ヴィジランテとして市民を守っていたが、ターボヒーローインゲニウムの説得でヒーローの道を歩むことになり、現在に至る。一応ヒーローとしての善し悪しは学んできたつもりだが、わからなくなった場合は結構遠慮なく頼る予定なので、そこんとこよろしくお願いします!」
機械音声を発しながら頭を下げるテール。
その姿に怪しんでいたヒーローの数人は、彼女を信じてみることにしたのか、
約一名を除いては……。
「(俺は反対なんだがな……)」
無精ひげを生やし、首に黄色いゴーグルを垂らした、やや猫背な姿勢で立っている気だるげそうな男――イレイザーヘッドこと、相澤 消太である。
彼は、オールマイトはともかく、テールのことに関してはあまり信用してはいなかった。
それはそうであろう。
テールはこの二年で一気にヒーローとしての実力、技術、覚悟を吸収することができた、言わば天才肌なのだ。
しかし、どれだけ才能があろうとも、彼女は元ヴィラン。
ヴィジランテとして活動をしていたとしても、もしかしたら裏で他のヴィランとつながっているかもしれない。
その可能性を考慮するならば、彼女を雄英に、しかも教師として入れるのは合理的ではないと考えているのだ。
だが、それを今言うのは遅いというのが事実。
ならば本当に自分たち教師が信用できるに値するか見極めるのも、雄英、ひいてはヒーローのためともいえる……、と相澤は考えていた。
「さて、二人の自己紹介も終わったことだし、次は二人の配属なんだけれど……、八木くんには管くんを、絶斗さんには香山さんをつけさせてもらうのさ。今はまだ仮免みたいなものだし、急に一人でやれと言われても困惑するだろうからね」
校長であるネズミだか犬だか熊なのか、よくわからない生物である根津は、菅 赤慈郎こと、ブラドキングと、香山 睡こと、ミッドナイトの二人に対して指示を出す。
「ほかの教師たちは10月にある特待生入試の試験に向けて、準備を進めててほしいのさ。それじゃ、朝礼はこれで終わりにさせてもらうのさ!」
その言葉を最後に根津は職員室から出ていく。
根津が出ていったと同時に、ミッドナイトはテールに近づいていく。
そして……、
「!?!?」
抱きしめたのだ。
急なことで脳が追い付かないテールは、思わずその場で固まってしまう。
そのほかのメンツも、まさかミッドナイトがそのような行動をするとは思ってなかったのか、少しの間固まってしまう。
「……っ、ちょ、ちょちょちょ!?離してくださいよ!」
抱きつかれた本人が他より一足先に脳を覚醒させ、すぐさまミッドナイトを突き放そうと押し出す。
が、思いのほかミッドナイトの力が強いのか、まったくと言っていいほど押し返すことができなかった。
最終的に分身したエクトプラズム、プレゼントマイク、13号によって引き離されることになったのだった。
その時ミッドナイトはこう語る。
――なんか禁断の恋をしている雰囲気と匂いがしたのよ!
と。
なぜ中途半端な時期にオールマイトとオリ主を教師にしたのか、それは新任教師のための研修をしてもらうためにおよそ9月あたりに入ってきてもらいました。
私は原作を見ていないので、原作と違った場合は、この作品のオリジナル設定ということでご容赦ください。