外伝5 《たまには釣りでもいかが?》
砂漠。
延々と続く砂の海と、灼熱の太陽が牙を剥く狩り場。
地獄のような環境ではあるが、『狩り場』というだけあって、この灼熱地獄にも生命は存在している。
砂漠という過酷な環境に耐え、生き、進化し、特化した者たちだ。
生き物の持つ逞しさを思い知らされる話だが、彼らも生命体である限り必要不可欠な物がある。
────水だ。
日中の暑さや、夜間の寒さ。生物の少なさ故の飢え、雨の降らない環境故の渇き。
如何にそれらに対応したとしても限界はある。せいぜいが死までの『猶予期間』が長くなる程度であろう。それ故、彼らは水場に集まる。砂の海にあって水の湧きだすオアシスを目指すのだ。
ギルドの管理している『砂漠』という狩り場は、そういう『オアシスの周辺』という位置だった。
さて、オアシスというのはその名の通り砂漠にある水場のことだが、水が湧く。或いは水が溜まるということは、その地下に水が染み込む、または地下水が地上に吸い上げられる、ということだ。
つまりオアシスの地下にはそれなりの量の地下水がある、という訳で。
もし仮に、その地下に入り込むことが出来れば、砂漠にいるということを忘れられるくらいの水に対面出来るかも知れない。
ま、こんな誰得な説明は早々に切り上げさせてもらって。何が言いたいかって言うと、今現在アタシ達はその地下にいて、大量の水を目の当たりにしてますよ、ってこと。
「だぁぁぁぁぁ!! 寒い! 毎度毎度どうなってんのよ、この寒さは!?」
砂漠の中にある洞穴。そこを進んだ先にあるのは、俗にいう『地底湖』ってやつで。逆説的な話をすると、地底湖を目指すなら、絶対洞穴に入らなきゃならない訳。
別に暗いのも狭いのも嫌いって訳じゃない(好きでもないけど)けど、この寒さは別。真っ昼間の砂漠で、『ホットドリンク』が必要な寒さってどういうことよ? 外との寒暖の差で、下手すれば死ねるわよ。
そんな風にぶちぶち文句を垂れ流す私とは対照的に、黒髪の少年は水を得た魚のように元気を取り戻していたり。
「アンタ、さっきまで死にかけてなかった?」
「そりゃ暑かったからな。けど、ここは涼しいから」
「涼しい? 寒いの間違いでしょうが」
「そうか?」
こいつ、さっきまでの暑さで、体温の調節機能狂ってるんじゃないの? こちとらホットドリンク飲んでやっとマトモに活動出来る程度だってのに、何この元気さ。
「アル」
と、ここで今しがたホットドリンクを飲み干した師匠が、元気な少年────アルに声をかけた。
地下とはいえ結構広いなー、なんて呑気に周りの観察をしてたアルは、師匠の呼びかけに「何?」と一言。
「ホットドリンクは飲んでおけ。寒さに耐性があると言っても、長時間耐えられるものでもないだろう」
「ん。いや、こんくらいなら」
「寒さは体感よりも体力を奪う。いざというとき動けないのでは、こちらが困る。何よりここからは
「……ごめん、わかった」
そう言ってアルはホットドリンクの瓶に口をつけ……、って、はあぁぁぁぁぁぁ!?
「アンタ、本気で飲んでなかった訳!?」
「え、うん。別に寒いと思わなかったし」
「……怒りを通り越して呆れるわ、このバカは」
「んだと!?」
突っ掛かってくるけど、アタシの感想って正しいわよね?
「だー、うるせえぞ。寒いんだから騒ぐな」
そうやってアタシの背後から声をかけてきたのはジェイだ。洞穴の岩壁にもたれるようにしてダレてる男は、寒いのか若干震えている。
「いや、寒いなら騒いだ方が暖かくね?」
「ていうか、アンタ暑さにも寒さにも文句言ってんじゃないわよ」
気持ちはわかるけど、こっちのモチベーションまで下がるからやめてほしい。っていうか、ジェイには全体的にやる気が足りないのよ、うん。
その点、暑さ寒さに一言も文句言わない師匠はやっぱり凄いわ。今だって、黙々と次の準備を────、
「って、そうよ。アタシらここに遊びに来たんじゃないんだからね!」
「急になんだよ?」
「いいから準備する! ここ寒いし、さっさと終わらせたいのよ」
師匠一人に準備させる訳にもいかないし、と内心で付け足して、アタシも準備を始める。
アルもそれに倣ったのか、自分の荷物から目的の物を取り出すと、アタシの前で軽く振ってみせた。
そうして何やら満足そうに微笑んで、アルはそれの先端を地底湖に向かって投擲する。
「じゃ、釣りはじめっか」
※※※
釣り。
文字通り魚釣りのことです。
ヤオザミを数十匹狩って、草食竜の卵を運んで、ダイミョウザザミを捕まえて。その過酷な狩りの終演がこの『魚釣り』な訳で。
いや、ぶっちゃけ魚釣りはしなくてもいいんだけど、ジェイがほざいた『沢山の報酬』ってのにかかって、資金稼ぎに魚釣り。
『資金稼ぎ』って言える程、転売してお金になる魚っていうと、言わずと知れたあの魚しかいないわよね? 幸い、砂漠にもその魚はしっかり生息してるから、今回の流れになったって訳。
「しかし、時間内に釣れるかねぇ……?」
「四人がかりだし、大丈夫じゃね?」
等と、だらりと会話しながら釣糸を垂らすのはアルとジェイ。立ってるのもダルいのか、地べたに腰を下ろしてのんびり構えている。
っていうか、二人して同じ場所で釣糸垂らしても意味なくない?
で、二人から少し離れた場所に師匠。アタシはその対角線上に位置どって釣る。今回の為に『黄金ダンゴ』を作ってきたし、まあそれなりには釣れると思う。
と、ここで「お、きたきたきたきたー!」というジェイの声。
開始数分で当たりを引いたのか? と、振り返ると丁度竿を思い切り引き揚げる所だった。
「どっせい!」なんて掛け声の下、振り上げられた竿と連動して釣糸が大きく揺れる。その先端、地下にあって尚輝く水面から現れた影は少し小ぶりの『銀色』。
「だぁぁぁぁ、サシミウオかぁ」
ま、『金色』じゃなかった段階で目当てとは違うってわかってたけどね。
「丁度、腹減ってたしまぁいいか」
「今食う気かよ……?」
呆れたようなに言うアルに、今度ばかりはアタシも同意する。……って、あのアホ本気で食事の準備しはじめたんですけど!?
肉焼きセットでいけるよな? なんて確認を取りながら、ジェイは魚を焼き始める。焼き魚特有の生臭さが混ざった煙が、地底湖に充満しだして……、ゴホッ、ゴホッ!?
「ちょっ!? 煙い煙い!」
「密室でないにしたって、場所考えなさいよ!!」
「ゲフンゲフン。いやぁ、失敗だったじぇー」
アル、アタシ、ジェイの順番での発言。まったく反省の色が見えないジェイは、後でシメるべきよね? うん、決定。
あわや燻製。というかそれでなくとも息苦しい中、ジェイは火を消して(魚はしっかり焼きあがった)再び竿を握った。
「……アル」
「あー、目と喉が痛い。どした、レオルド?」
「引いている」
「……は? って、うお!?」
アタシ同様ジェイの挙動を見ていたアルは、師匠の言葉に自分の手元を見た。
うん、確かに引いてる。
不意を突かれた形になったアルはそりゃあもう焦──らず、あくまでゆっくり落ち着いて糸を引きはじめた。なんていうか魚釣りのプロみたいな、滑らかな動きだ。魚釣りのプロとか見たことないけど。
「意外ね……」
もっと慌てるかと思ったのに。思わず呟いた言葉は、バシャバシャと揺れる水面の音で霧散した。
そして────、
「フィィィィィィィィィッシュ!!」
気合い一閃。
大きく振り上げた腕に従って、竿、釣糸、獲物の順で跳ね上がる。釣糸の先についていたのは、黄金の……、
「お、おおおお!!」
「きたー、『黄金魚』キタコレ!!」
「え、もう当たった訳!?」
見間違いじゃないかと目を凝らしてみても、釣り上げられてビチンビチン跳ね回る魚の色は金色に違いない。もっと言えば、アタシが記憶している形とも一致してるし……、これは間違いないわよね。
「開始10分! 幸先いいな!!」
「よすぎて怖いわ」
「うん、同感」
ともあれ、普通中々かからない獲物をこんなに早く釣り上げたことには違いないし。幸先は確かにいい。
願わくば、こっから先もこの調子で釣り上げてくれると、報酬がガッポガッポなんだけどね。ま、それは浅はかな考えか。
…………なんて、そう思っていた時期が私にもありました。
※※※
「フィィィィィィィィィッシュ!!」
もはや何度目になるかわかんない奇声をあげて、アルが釣糸を引き揚げる。その先にくっ付いて水面から飛び出すのは、
現在は最初の当たりからそれなりに時間が経って、各々それなりの釣果が出始めた所。
アタシが一匹。
師匠が二匹。
ジェイが0。
これは目当ての黄金魚を釣った数だから、それ以外の雑魚も含めればもっと多い。
っていうか、雑魚入れちゃうと、ジェイがぶっちぎりなのよ。どういう訳か、アイツの竿には『サシミウオ』やら『ハリマグロ』やら『ハレツアロワナ』ばっかり。餌はちゃんと黄金ダンゴにしてるわよね?
そんでもって、アルの釣果はジェイとは真逆で。つまり目当ての魚しか釣れてないってこと。それも、あり得ない勢いで当たってるから質が悪い。
だから、
「別にこの地底湖の黄金魚、すべて釣り上げてしまっても構わんのだろう?」
なんて、バカなことを言い出す始末。
それに対してジェイが「やれるもんならやってみろ、そうしたらお前を二度とハンターとは呼ばねえ」って、お約束で返したのは置いておく。
さて、そんなアルの釣り上げた黄金魚は……、多分十匹以上。
途中で、呆れるやら信じられないやらでバカバカしくなって数えるの止めたの。
釣ってる位置の問題かな? って、思って途中で代わって貰ったけど、結果は変わらず。ホントどうなってんの?
「ね、アル」
「んー?」
「アンタの使ってる餌、分けてくれない?」
立ち位置じゃないなら餌の問題かな? と思ったからこその提案。
でもアタシの台詞に、アルよりも先に反応したのは何でかジェイだった。
「お前、黄金ダンゴ使ってたんじゃねえの?」
「そうだけど、調合比とかあるでしょ? アルのとアタシのじゃその辺違うでしょ」
アタシはその辺勘だし。
ジェイだって多分黄金ダンゴ使ってるのに、全く当たってないし。
その説明を受けて、アルは妙な顔をする。
まさか分けれないって? ドケチ。
「いや、違ぇよ。ただ、俺が使ってるのは黄金ダンゴじゃないんだ。……つか、それどうやって調合すんの?」
「は? じゃあ何で釣ってんのよ?」
「は? じゃあ何で釣ってんだよ?」
あ、被った。何か嫌だわこれ。
そんなアタシを尻目に、アルは小さな袋────多分、餌入れだ────に手を突っ込んで、中身を取り出した。
「これ。オーソドックスなのが一番かと思って」
そう言って差し出したアルの手のひらには何かこう、うねうねブヨブヨした長細くて茶色い紐のような生き物が、びっしりと、所狭しと、這いずりながら、のたうちながら、暴れるように、もがくように、ひしめき、ひしめき、ひしめき、ひしめき、蠢いて─────、
「ギャァァァァァァァァァッ!?」
「うぇぇ!?」
アタシとジェイの悲鳴が重なる。
アルはキョトンとしながらも、何か大変『アレ』なことになってる手のひらをずずいと近付けて……、って、やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
「ば、バカ! ち、近付けないでよ、そんなもん!!」
「いや、だって餌分けろって……?」
「キャアアアアアアアッ!?」
神速での連続バックステップを決めて、一気にアルと距離をとる。
アルとジェイはこちらを見て不思議顔。
いやいやいやいやいや! 無理でしょ、無理無理!! なんでよりによって餌がアレなのよ!? だ、大体、がっつり大量に握るものじゃないでしょうがよぉぉぉぉぉぉ!?
「いや、お前ビビり過ぎじゃね?」
「うっさいうっさい! ジェイだって引いてたでしょうが!?」
「いや、俺は量によ。いくらなんでもそこまで大量なの見せられたらなぁ……」
「んー、そんなもんか? モンスターのフンの採取に比べりゃ、このくらい大したこと……」
「あるわよ、バカァ! ばかぁ……」
「え、エイナ?」
どんどん後退して、ついに背中が壁に触れる。もう、逃げ場が……な、ない。ただ、なんだか滲んだ視界にいるアルは、幸いにもそれ以上近付いてくることはなかった。
「あー……、その、悪りぃ。まさか泣くほどダメだとは……」
なんだかバツが悪そうに言うアルに、アタシは首を傾げた。
……泣くほど? 誰が? アタシが!?
「って、な、泣いてなんてないわよ! こ、このくらい平気なんだから!!」
「……じゃあ、ん」
「ひぁ!? ご、ごめ……、無理無理無理無理だからぁ……! はやくあっちやって! はやくはやく!!」
「……なんか意外だ。ミミズ駄目だとは」
そう言ってアルは再び距離を離して餌────『釣りミミズ』をしまった。
あ、安心したら腰抜けた……。……もう、嫌だわ。
「んー、そだ」
「何してんのお前?」
「見りゃわかんだろー?」
と、アルはおもむろにアタシの釣竿を掴むと、釣り針の先をいじり始めた。数秒後、作業を終えたアルがアタシの竿を軽く振って釣り針を地底湖に投擲する。
「ほれ、これなら大丈夫だろ」
アルから手渡される竿を握る。目で「何これ?」とうったえると「先っぽに釣りミミズ」と笑われた。確かに形が見えなきゃ大丈夫だけどさ……。むー、なんだかなぁ。
「取り合えず、さ」
「あ?」
「ありがと」
「……別にいいって」
アタシがお礼を言うと、何故だかアルはそっぽを向いて自分のポジションまで戻っていった。……釣れた後で、もう一度餌付け直して欲しかったんだけど。
「ま、いいわ。そんじゃ改めて釣りましょうか!」
※※※
薄暗い地底湖の畔に腰を下ろして、ジェイと二人で釣竿を傾ける。
どっかに光源でもあるのか、地下なのに松明がいらないのはありがたかった。釣りだけに集中出来るし。
「なーアル」
「んー?」
気のないジェイの呼び掛けに、俺も気のない返事を返す。
最初の頃の勢いはどこへやら。ここ数十分、あたりはさっぱり来なかった。エイナには『それが普通よ』って言われたけど、こんだけ待ちの一手が続くと飽きる。俺もエイナ達に付いてけば良かったかなぁ……。
そのエイナはレオルドと一緒に『黄金魚』を納品しに行った。
いつまでも手元に置いとく訳にもいかねえし、何より、俺が(ここ重要)大量に釣ったせいでそもそも置き場がない。これ以上釣り上げても収納スペースが確保出来ねえから、って理由で今ある分を納品してこようって話になった訳だ。
拠点に置いてある納品箱は大量に物が入る、衝撃に強い、生ものの鮮度を保つ、と高スペックだからな。
で、全員で行ってもしゃーねえから釣り場に残ったんだけど……。失敗だったな、暇だ。
「お前さー」
と、ここでのんびりジェイが口を開く。
こいつもさっぱり当たりがこないから暇そうだな。
「俺の二つ名の話、聞いたか?」
「っ!?」
世間話をするかのような気軽さで紡がれた言葉に、緩みきっていた思考回路は一気に引き締まった。
────裏切り
エイナから聞いたその名前と由来。
けど、俺はジェイの前でそんな話はしてなかったハズだ。エイナだってジェイの前じゃあ話しちゃいない。
「なんとなくな。俺がエイナと旦那の話してんだから、逆もそうだろ、ってな」
何の事はない、というジェイの声色。俺には心を読む力なんてねえから、コイツが本心じゃどう思ってるかなんてわかんねえ。
────けど、
「ん、エイナから聞いた。裏切りってんだろ?」
俺が言うと、ジェイは薄く笑った。いつも通りの、ジェイの笑い方。
────けど、
「ならちゃんと気ぃつけろよ。でないと後ろから、ズドン! だぜ?」
指鉄砲を俺の背中に押し付けて言う。
軽薄な態度も、明るい声色も、ほんとにいつもと変わりがない。コイツにとっては、そんなことは些細なことだと言うように。まるでそんなことは気にしちゃいないと言うように。
────けど、だけどさ……、
「大丈夫だよ」
「あん?」
────お前だって、その二つ名を気にしてるからわざわざ確認したんじゃねえのか……!?
だから言う。コイツが『どっちの意味で』二つ名を気にしてるのかは知らないけど、俺がコイツに言えることは一つしかないから。
「俺はお前、信じてるからな」
「……過信ってんだ、そういうの」
「根拠、あるぜ? だってお前、あんなにめんどくさがりなのにレオルドのリハビリ付き合ってたじゃんか。レオルドは死なせねえ、とも。そんな奴が、今更俺たち裏切らねえって」
そう言って、目一杯笑ってやった。
「そりゃ、昔はそうだったのかも知れないしさ、お前のことなんか何にも知らないから簡単に言えねえけど。
今のお前は信頼できる。多分さ、エイナもレオルドもそうだと思うぜ?」
ジェイはやや視線を逸らして「どーだかね」と、何かを諦めたように呟く。
俺はこっちに近付いてくる足音を聞きながら、意識してもう一度笑った。
「じゃなきゃ、そんな二つ名持ってる奴と二人きりにならないし、させねえだろ? なんのかんの言って、お前はみんなから信用されてんだよ」
「俺は────」
「たっだいまー!」
ジェイが何かを反論しようとした瞬間、地底湖に反響した声は、足音の主。
「おう、お帰り。怪我ねえか?」
「……ああ」
「当たり前でしょ」
俺の質問に応じたエイナとレオルドには、確かに傷一つなくて、取り合えず俺は安心した。
チラッとジェイの方を見ると、やっぱりアイツはいつもの顔のまま。今ここで俺と話していたことなんて、欠片も見せない。
そのことが、何でかちょっと寂しくて、ムカついた。
「旦那ぁ、行ってもらっといて悪りぃんだけど、もう釣れそうもねーから帰ろうぜぇ? 洞窟、寒くて暗いし」
「……そうか」
「アンタねぇ……。まあいいけど」
いつもなら小言を飛ばしそうなエイナも、やっぱ洞窟の暗さと寒さに参ってたのかもな。ジェイの言葉をあっさり承諾して、踵を返した。
それに続くようにレオルドがUターンして、釣具を片付けた俺とジェイが続く。
いつもよりちょっと早足なジェイは、いつものペースで歩いてた俺をあっさり抜きさって────、
「俺は絶対死ねねえんだ。生きる為なら、お前の信頼も撃ち抜く」
────抜き去り際に、低い声でそう言った。
俺にだけ聞こえる声に、しばらく立ち尽くして……。
「そんなこと言うお前だから、信じられるんだよ」
出した答えは、結局変わらないもの。
この答えが正しいかなんてわかんないけど、俺はきっと後悔はしない。
「だって仲間だしな」
一言、そう呟いて、俺は