501のウィザード 番外編   作:青雷

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ご無沙汰しております、なんとか生きておりました。
こちらは「2」のラスト~ルミナス編の間の話となってます。

オペレーション・マルス完了
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ルミナス編


ロマーニャ最後の夜:Ⅰ

「──んっと、コレはこっちに仕舞っといた方がいいよね。それでコレはあまり使う機会無さそうだから……」

 

「芳佳ちゃーん。お茶淹れたから、ちょっと休憩しよ?」

 

「ありがとうリーネちゃん!」

 

 リーネが訪れた芳佳の部屋。中では、大小2つの鞄を前にした芳佳がうんうんと唸りながら私物を詰め込んでいる最中だった。

 "オペレーション・マルス"が成功し、ヴェネツィアがネウロイの魔の手から解放されてまだ1週間も経っていない頃。ロマーニャ防衛及びヴェネツィア奪還という任務を無事完遂した501部隊は、防衛任務を504部隊へと引き継ぎ、隊員達も各々の原隊へ復帰する準備を進めていた。

 

 501部隊として最後の仕事は大きく2つ。私物の整理と、基地の掃除である。これがまた開幕から大いに難航した。

 

 何せこの部隊には部屋にゴミ山を築き上げた魔王がいるのだ。まずは隊員総出で、その魔王の居城を解体することから始まった。怒号と悲鳴と溜息が飛び交いつつ、今にも崩壊しそうだった魔王城が跡形もなく姿を消したのは、作業を始めてから実に丸2日後。それからようやく、各員は自分の持ち場へと移っていった。

 

 隊員達が次々と荷物整理や自室の掃除に取り掛かる中、魔王城解体以降ずっと基地の掃除に精を出していた隊員が2名程。私物が極めて少ないユーリと芳佳だ。

 作業を終えた隊員達が基地の掃除へ合流し始め、入れ替わりで芳佳とユーリが手早く荷物整理を済ませてしまおう、という手筈だったのだが……

 

「荷造り、大変そうだね?」

 

ロマーニャ(こっち)に来た時は大したもの持ってきてなかったし、すぐ終わると思ってたんだけどなぁ……」

 

 いざ作業を始めてみれば、想像以上に膨れ上がっていた芳佳の私物──診療所の後継ぎでもある彼女は、後学の為にとロマーニャで手に入る医学書の類を集めており、主にそれらがカバンのスペースを圧迫してしまっているのだ。

 加えて今の芳佳は魔法力を失い、代々受け継いできた治癒魔法も使えなくなっている。一種の万能薬とも言える技を手放してしまった彼女にとって、こういった医療関連の知識を養う教材は一層重要と言える。ここに置いて行くという選択肢は初めから無かった。

 

 そんなこんなで、荷物と格闘すること数時間──断腸の思いで荷物(本以外)の取捨選択を済ませた芳佳は、残ったそれらをどのようにして2つのカバンに収めるかというフェイズに突入し、今に至る。因みにユーリは既に整理を終えて基地の掃除に戻っており、リーネによればその掃除すらもじき終わるとの事で、残るは芳佳のみとなっていた。

 

「見た感じ、入りきらないって訳じゃないよね?」

 

「うん。取り敢えず本は全部大きい方に入れちゃおうって思ったんだけど……それ以外がねぇ」

 

「他に何があるの?」

 

「えっと……大体が実家から送ってもらったやつだね。着替え以外にも色々送ってくれたんだけど……」

 

 ベッドの上に広げられた物を興味深そうに眺めるリーネは、ある物に目が止まる。

 

「ねぇ芳佳ちゃん。コレ、何?」

 

「ああ、それはね──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は移り、基地の広間。時刻は既に夜となっており、あれからたっぷり時間をかけた末、芳佳の荷造りも無事完了していた。

 夕食を済ませ、食後の紅茶を味わいながら過ごす最後の夜。繰り広げられる談笑の話題は──

 

「耳かき……?」

 

「はい。荷物をまとめてる時に、リーネちゃんが見つけたんです。耳かき棒」

 

「扶桑ではこれを使ってお耳を掃除するんだそうですよ」

 

「随分と細い棒ですわね……こんなので本当に耳がキレイになるのかしら」

 

 ペリーヌやユーリを始め、耳掃除の文化が根付いていない国出身の者からしてみればそう思うのも無理はない。同時に──

 

「えっとね、この先がちょっと曲がった方を耳に──」

 

「ちょっ、宮藤さん!?一体何をするつもりですの!」

 

「へ?だから、耳掃除を……」

 

「こんな細い棒を耳に突き刺すなんて危険です!鼓膜が破れたらどうするんですか!」

 

 ──同時に、耳かき棒を耳の中に差し入れるという行為に対して恐怖を覚えるのも無理はなかった。

 

「大丈夫だよ。そんなに深くまで入れないし、耳の壁の部分を優しくカリカリってして耳垢を取るだけだから」

 

「なるほど。このスプーン状になった先端で、耳の中の汚れを掻き出す、と……確かに、そういった細やかな作業を行うならこの細さも納得です。素材になってる竹も、強度としては申し分ありませんし」

 

「掃除が終わった後は勿論ですけど、掃除してる最中も気持ちいいんですよ~!こう、耳の中をくすぐられてる様な感じがして」

 

「そ、そう言われましても……扶桑人はこんな拷問のような行為をさも当たり前のように……?信じられませんわ」

 

 もしや、自分の憧れの人も…?そんな考えに至ったペリーヌの背後から、聴き馴染んだ声が。

 

「──ほう、耳かきか」

 

「あ、坂本さん」

 

「少佐ッ!?」

 

 声の主──美緒は、芳佳が手にしている耳かき棒を見て懐かしそうに笑みを零す。

 

「私も幼い頃、よく両親にやってもらったものだ。あらかた掃除が終わった後の梵天が中々癖になってな」

 

「あ、わかります!気持ちいいですよねぇ」

 

 扶桑ローカルな話題で笑い合う2人を見て、ペリーヌはちょっとだけ耳かきというものに興味が湧いたものの、やはり耳の中に異物を差し入れるという行為に対するハードルは高い。

 

「じ、自分で見えない場所を掃除するというだけでも恐ろしいのに、他人に任せるだなんて……」

 

「そう思うのも分からんでもない。事実、私も初めて耳かきをされた時は怖くて仕方無かった」

 

「改めて考えると、耳かきって単に耳を掃除するだけじゃなくて、お互いの信頼関係も重要なんですね」

 

「ああ。思いの外、深いものだな……ふむ、折角だ。これを機に耳かきを体験してみたらどうだ?」

 

「へっ!?」

 

「我々がこうして集まっていられるのも今日が最後だ。餞別と言ってはなんだが、経験してみるのも悪くないと思うぞ?」

 

「で、ですが……」

 

「やろうよペリーヌさん!()()()()()()耳かきしてもらうの、気持ちいいよ!」

 

「ひっ膝枕ッッッ!?」

 

「なんだ、苦手か?」

 

「い、いえそんな事は!えっと……で、でではその……少佐に、お願い、できれば──」

 

「すまないが、情けないことに魔眼が消えた状態の視界にまだ眼が慣れきってなくてな。こんな状態で耳かきをして、ペリーヌに万が一の事があってはまずい」

 

 芳佳同様、美緒もまた残っていた魔法力の残滓すら消えてなくなり、長年連れ添ってきた右眼の魔眼も姿を消していた。眼帯を着けていない美緒の顔を間近で見るのは、付き合いの長いペリーヌとしても新鮮に思える。だからこそ、そんな彼女に膝枕をしてもらえるという芳佳の言葉に反応を見せたわけなのだが、その期待は呆気なく砕け散ったのだった。

 

「や、やはりワタクシは遠慮させていただきます……」

 

「そうか……まぁ無理強いはするまい。さて、そうなると誰が──」

 

 

「──話は聞かせてもらったぜぇ?」

 

「面白そうな事やってんじゃ~ん?」

 

 

 という言葉と共に現れたのは、シャーリーとハルトマン。言わずと知れた501のトラブルメーカー2トップである。そんな2人の声を聞いて、広間に散っていた他の隊員達も何事かと集まってくる。

 

「──耳かきねぇ」

 

「風呂と同じ扶桑文化か。興味はあるが……」

 

「少なくともトゥルーデには難しそうだよねぇ。勢い余って耳の奥に……なんて」

 

「お前は私を何だと思ってるんだ!?──まぁ、細々とした作業があまり得意ではないのは認めるが」

 

 と、カールスラントの3人。

 

「耳かき……やったことないわ」

 

「ワタシも。あぁケド、ちっちゃい頃に近所の婆ちゃんがそれっぽい事やってるのは見たことあるかもダ」

 

 と、こちらはサーニャとエイラ。

 

「ねぇねぇシャーリー!やってやって!」

 

「落ち着けルッキーニ。私だってやったことないぞ?せめて誰かにお手本を見せてもらわないと……」

 

 そんなシャーリーの言葉を受け、美緒は少し考える。

 

「ふむ、手本か。順当に考えるなら宮藤だが……」

 

「あ、ごめんなさい。実は私、誰かにしてあげた事なくて……いつも1人でやってたから」

 

「そうか……先も言っていたように、耳かきというのは互いの信頼関係がないと安心できんからな。この場の全員から全面的に信頼を受けていて、且つ細やかな作業の出来る丁寧な者が望ましい、か」

 

「この中で1番丁寧そうな奴っていうと……」

 

 シャーリーの視線が一点に止まり、他の全員の視線もそこに集中する。皆の注目を一身に集めたのは──

 

 

「……えっ、僕、ですか?」

 

 

「だってほら、ユーリに任せればなんか大丈夫そうじゃないか?」

 

「理由が大雑把すぎませんか?」

 

「確かに、魔法力制御には繊細さが求められる。その点でユーリの右に出る者はいないか」

 

「それとこれとはまた勝手が違うのでは……!?」

 

「ユーリさんならきっと出来ますよ!」

 

「具体的な根拠のない謎の信頼……!」

 

 シャーリー、美緒、そして芳佳の意見を受け、完全にユーリが耳かきをする流れに持ち込まれてしまう。特に最後の芳佳──医療従事者の家系に生まれた者の意見が非常に強い効力を持っており、ユーリにこの空気を覆すことは出来なかった。

 

「はぁ……分かりました。やるだけやってみます──それで、僕はどなたの耳かきをすればいいんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──えっと、その。お、お願いします……!」

 

「はい。僕も初めての経験ですが、頑張ります──あの、宮藤さん。所々でアドバイス等頂けると、助かります」

 

 芳佳から軽い説明を受けたユーリは、相手であるリーネと2人並んでソファに腰を下ろす。

 

「では……その、どうぞ」

 

「は、はい……っ」

 

 リーネはソファに身体を寝かせ、おずおずと頭をユーリの膝に乗せた。

 

「あまり寝心地が良くなかったら、すみません……」

 

「いえ、そんなこと……」

 

「……それじゃあ、失礼しますね?」

 

 ユーリの指が、上向けられたリーネの耳に触れる。

 

「ひぅ…ッ!」

 

 ピクッ、と反射的に身体を震わせる。一瞬驚いた様子のユーリは、極めて優しい力加減でリーネの耳を軽く引っ張り、中を覗き込んだ。

 

(えっと。まず、入口の浅い所から……)

 

 小さく深呼吸をしたユーリは、そっと耳かきをリーネの耳に差し入れていく。そして耳の穴の淵の辺りに恐る恐る耳かきの先端を当てた。

 

「ん……っ」

 

 カリ…カリッ…

 むず痒い感覚と共に、小さな音がリーネの耳の中で響く。ユーリが浅い部分を重点的に掃除していることは感覚で分かっている為、少なくとも今の所は思っていた程怖くない。というのが正直な感想だ。

 

「……よし、後は──リーネさん、入口の辺りは綺麗になったので、これから奥まった所を掃除していきます。もし痛かったりしたら、すぐに仰ってください」

 

「は、はい……!」

 

 緊張の面持ちのリーネに再び耳かきが差し入れられ、徐々に下へ──先程よりも奥へと侵入してくる。

 

んん……

 

 耳の深い位置で、耳かき棒が耳を優しく引っ掻く。鼓膜に近づいた分、その音はよりダイレクトに、身体の内側をくすぐられているのだという実感をリーネに齎した。

 

んッ…はぁ……」

 

「大丈夫ですかリーネさん?痛かったり……?」

 

「は、はい。ユーリさんが優しくしてくれてるので、大丈夫です」

 

「良かったです。では、このまま続けますね──」

 

 ゾリゾリ…カリッ…ゴソゴソ…

 耳の中で音が奏でられる度、リーネの身体が小さく震える。先程言ったように、痛みを感じているわけではない。寧ろその逆だ。

 

(なんだか、段々気持ちよくなってきた、かも……)

 

 最初こそ万が一の可能性を危惧して緊張していたリーネだが、ユーリの丁寧な耳かきの甲斐あってその緊張は解れていた。

 ……否、厳密には少しだけ違う。ユーリの丁寧な施術はもちろんだが、それだけが理由ではない。リーネが耳かきの心地よさを堪能できる様になった真の理由、それは──

 

(膝枕してもらうのなんて、すごい久し振りだけど……こんなに安心できるものだったっけ……)

 

 リーネが膝枕をしてもらったのは、自分が501に入るずっと前──姉にしてもらったのが最後だったような気がする。それ以降は、下の妹弟達や芳佳にしてあげる側でいることがほとんどだった。久方ぶりに感じる誰かの膝の上で横になる安心感。それはリーネを緊張から解き放つのに十分過ぎる効力を発揮していた。

 

 一方、細心の注意を払いながら耳かきに集中するユーリは……

 

(ん、これは……少し強めに行かなきゃ取れそうにないな)

 

「──すみませんリーネさん、奥の方に硬めの汚れがあるみたいで、少し強めにゴリっと行きます。痛かったらすぐに教えてください」

 

「はい。私のことは気にしないで大丈夫ですよ」

 

 すっかり安心しきった様子のリーネには、もう恐怖も緊張も見られない。安らかな表情でユーリに身を委ねている。耳かきの力が強まった時は流石に一瞬だけ顔を顰めていたが、それもすぐに慣れたようだった。

 

(もう、少し……っ──取れた!)

 

 引き剥がした耳垢を落してしまわないよう、慎重に、ゆっくり耳かき棒を引き上げていく。無事に耳垢を取り除いたユーリは、小さく息をついた。

 

(ふぅ……あと残ってるのは……っと)

 

 耳の中を覗き込むが、照明で出来た陰が暗がりになってよく見えない。反射的に顔を近づけてよく確認した、その瞬間──

 

「ひゃっ!?」

 

 突然、リーネがビクンと大きく身体を震わせた。

 

「リ、リーネさん……!?」

 

「あ、ご、ごめんなさい!何でもないです大丈夫です!」

 

 慌てた様子のリーネは縮こまり、再びユーリに身体を預ける。

 

(今、ユーリさんの息が……やだ、私ったら変な声出して……)

 

 リーネが羞恥に顔を赤らめる一方で、ユーリは改めて耳の中を確認する。どうやら先程のが最後だったらしく、リーネの右耳はすっかり綺麗になっていた。

 

「……もう、汚れはなさそうですね──宮藤さん、こんな感じでいいんでしょうか?」

 

「それじゃあ、仕上げの梵天ですね!耳かきの反対側に付いてる白いフワフワで、細かい汚れを取ってあげてください。これは深い所まで入れなくて大丈夫です」

 

「分かりました」

 

 耳かきをくるりと反転させ、綿毛のような梵天で耳掃除の仕上げに取り掛かる。

 

「あ……これ、すごく気持ちいい……ちょっと擽ったいですけど」

 

 箒のように掃いてみたり、耳の浅い所でクルクルと耳かきを捻ってみたり。力加減を気にしなくていい分、ユーリとしても気が楽だった。

 

「ユーリさん。最後に───ってしてあげてください。それで耳掃除はおしまいです」

 

「そ、そんなことを?分かりました……」

 

(芳佳ちゃん……?なんだろ……)

 

 梵天の余韻に浸っていたリーネは、芳佳が何を言ったのかよく聞き取れなかった──心の準備が出来なかった。

 

 

「ふ──っ…」

 

「ふわぁぁッ!!?!?」

 

 

 突然耳に感じた柔らかく、ほんのり温かい感触。それがユーリの吐息だということを理解するのに、数秒の時間を要した。

 

「……あの、宮藤さん。本当にこれで良かったんですか?リーネさん、すごく驚かれているようなんですが……」

 

「あはは……まぁ、びっくりする時もありますよ。でも、耳にふ~ってするのは耳かきの醍醐味です!私もお母さんによくやってもらったんですよ」

 

「そうですか──あの、リーネさん。大丈夫ですか?」

 

「ううぅ……っ」

 

 たまらず身体を起こして耳を押さえるリーネは、顔を真っ赤にしている。突然の事だったとはいえ、ユーリの息に対して自分でも驚く程敏感に──しかも2度も反応してしまった事、それに伴い先程以上に変な声を出してしまった事。その他様々な理由が重なり、リーネの脳内はオーバーヒート寸前。文字通り声も出ない状態だった。

 

 しかし、何はともあれこれで耳かきは終了したのだと自らを落ち着ける。

 

 

「それじゃあリーネちゃん。()()()()()()()()!」

 

 

 そんな彼女に向かって無情にも投げつけられた反対側の3文字。リーネは血の気が引くと同時に全身が羞恥で熱くなるのを感じた。

 

「よ、芳佳ちゃん……でもほら。ユーリさんもずっと膝枕してたらきっと重いだろうし……ね?」

 

「僕の事は気にしなくても大丈夫ですよ。正座で鍛えられてますから」

 

 そうじゃない、そうじゃないんだと心の中で訴えるリーネだが、流石に「これ以上皆の前で恥ずかしい姿を見せたくない」とはっきり言える程の気力は残っておらず……

 

「その……優しく、お願いします……」

 

 これ以上の羞恥を味わいたくない。同時に耳かきの気持ちよさをもう一度味わいたい──二重の意味で自らに敗北したリーネは、大人しく反対側の耳をユーリに向けて再び横になるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──と、まぁ。これが扶桑の耳かきだ」

 

 芳佳監修の下、ユーリによる耳かきデモンストレーションが終わると、皆口々に感想を口にする。

 

「なんか……すごかったな」

 

「リーネさん、顔真っ赤……」

 

「スゲー恥ずかしい声出てたナ」

 

「でも気持ち良さそーだったね」

 

「一応確認ですけれど……耳掃除、なんですわよね?いかがわしい行為ではなく……?」

 

「ユーリ……もしかして結構なテクニシャンだったり?」

 

「何を言っとるんだ貴様は……ただの耳掃除だろう」

 

「そんじゃ次はトゥルーデやってもらえば?」

 

「い、いや……私はいい。カールスラント軍人たるもの、自らの衛生管理に部下の手を煩わせるわけにはいかん!」

 

「そうねぇ──だったら、次はユーリさんが耳かきをしてもらえばいいんじゃないかしら?」

 

「えっ?」

 

「おお、いいじゃんか!」

 

 ミーナの提案に、シャーリーを始め隊員達が次々と同意していく。

 

「そんで、誰がやる?」

 

「せっかくだし、ユーリが選んだらいいんじゃない?──ね、ユーリは誰に膝枕して欲しい?このセクシーギャルのおねーさんかなぁ~?」

 

「趣旨が変わってるじゃないですか……お任せしますよ」

 

「お、耳かきされる事には乗り気だな?」

 

「まぁ、別に拒否するような事でも……というか、どうせ僕が耳かきされる側なのは確定なんでしょう?」

 

 ユーリも501とは付き合いがそこそこ長い。無駄な抵抗をすべきでないという程度の事は学習済みだった。

 

「ほんじゃ、どうやって決める?」

 

「そうだなー、まぁ普通にジャンケンでいいんじゃないか?勝った奴がやろうぜ」

 

 ハルトマンとシャーリーの主導で、501の隊員達は円を組む──

 

 

 

「「「じゃーんけーん──!」」」

 

 

 

 




本作のリーネちゃん、お耳敏感説。

果たして音の出ない小説で耳かきの様子を描くのに需要はあるのか…まぁ無くはないのかもしれませんが。
少し前にルミナスの公式ASMRが発売されたのを見て書いてみた次第です。
「いや、だったらそこはルミナス(特にエリー)との耳かきじゃないのかい!」と言われたらまぁそうなんですけれども。本編の時間及び関係値的にどうにもねじ込めませんでした…

(因みに今回ユーリ君が耳かきをしたリーネちゃんは扶桑組とペリーヌを除いた501全員からルーレットで選出しました)
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