TSジト目銀髪ロリ「断固として防がねばなるまい」 作:パワー!
朝焼けの光が差し込む部屋で、私は優雅に紅茶を飲んでいた。
ここ暫くは敵軍の猛攻が続き、このような癒しの時間がなかったため、飲み慣れたはずの紅茶が普段の数倍おいしく感じられる。
敵軍ときたら、戦いの技能はないというのに数だけは膨大であるため、相手するのに苦労するのだ。
元来、敵国と私の国は住み分けをしていたはずだ。
それなのにここ最近、奴らは私たちの国に土足で侵入してくる。
許されない話だ。
やつらは知能が足りないくせに威勢だけは素晴らしい。
なぜだかは知らないが、敵国は、栄誉ある私たちの国のことを同族と勘違いしている。
ひょっとすると奴らは類人猿から人類への進化に失敗したのかもしれない。
土地柄も違えば、文化も違うのははっきりわかるだろうに。
ただ同じ大陸にあるというだけで、肩を組もうとしてくるのはやめてもらいたいものだ。
本当に奴らの思考は理解に苦しむものばかりで困る。
頼むから自分の国の中でおとなしくしていてほしい。
おとなしくできないとしても、他国に侵略するのはやめてくれ。
私の仕事が増えるのだ。
とはいえ、今日はやっと休暇を得ることができた。
僥倖だ。
やはり昨日見つけ出した敵国からのスパイを始末できたのがよかったのだろう。
一見すると私たちの国の民であるようだが、話してみて確信した。
こいつは違う、と。
知能がないなりに努力をしたようだが、私たちの国を舐めないで欲しいものだ。
あの程度の擬態で国民を名乗るんじゃない。
不愉快すぎてつい死体蹴りをするところだった。
まぁ、それもこれも過ぎた話だ。
今は手に入れた休暇を存分に堪能することにしよう。
まずはこの紅茶を心ゆくまで味わいつくそうじゃないか。
香りを嗅ぎ、ひと口含む。
舌の上で転がし、風味を楽しむ。
最高だ。
生きていてよかった。
さて、もうひと口頂こうか。
カップを持ち上げ、口元に持っていく。
と、そこで私は外が騒がしいことに気がついた。
なんだ? こんな朝早くに。せっかくのティータイムが台無しじゃないか。
思わず眉を顰めてしまう。
耳を澄ませてみると、ドタドタと慌ただしい音が私の部屋に近づいてきているのがわかった。
嫌な予感しかしない。
おぉ、神よ。私を見捨てないでおくれ。
私は神に向かってお祈りをしてみる。
次第に喧騒が近づいて、遂に私の部屋までたどり着いた。
勢いよくドアがノックされる。
「隊長! お休みになられているところ申し訳ないですが、緊急事態です!」
部下の慌てたような声だ。
どうやら嫌な予感は当たったらしい。
やはり無神論者なのに神頼みなどするものではないな。
私はカップを机に置き、一応襟元を正してから部下に命令する。
「入れ」
「失礼します!」
部下の顔を見て、およそ何が起こったのかを悟る。
やれやれ、どうやら休暇は終わりのようだ。
あまりにも短かった。悲しい。
私は内心を隠し、凛とした表情を保つ。
「何があった」
「俺TUEEハーレム何かやっちゃいました異世界チートな◯う軍が、我がTS勘違い系曇らせわからせハーメルン軍に侵攻してきました!!」
「またか……」
「はい、またです!」
思わずため息が出る。
「奴らは、『ハーメルンもな◯うの一部なんだし仲良くできるはずだ!』などと未知の言語で主張を展開しています!」
「こちらの言語で捉えると論理が破綻しているし、やはり未知だ。言っていることが全然わからないな」
「それで隊長! どう対処しましょうか!」
部下の目が敵軍への怒りで燃えている。
無論、私もそうだ。
しかしそれ以上に呆れの感情が大きい。
なんなのだ、奴らは。まだナメクジの方が頭がいいだろうに。
「…………私が出る」
「はっ! 了解しました!」
「そうだ塩を持って行こう。もしかするとナメクジ以下の奴らは塩で死ぬかもしれない」
「隊長、恐れながら言わせていただきます!」
「なんだ」
「それはあまりにもナメクジに失礼かと」
「はっはっはっ! そうだな、違いない。では隊の皆に準備するように伝えろ。出陣する、と」
「了解しました!」
部下が一礼し、部屋を出ていく。
さて、私も準備をしよう。
壁にかけてある大鎌を握りしめる。
ふと、横目に鏡に映る私が見えた。
長い銀髪。幼い見た目。
この容姿も随分慣れたなと感慨深い気持ちになる。
しかし今は時間がない。
感傷に浸るのは後にして行動しよう。
待っていろ、侵略者共。
アンチ・ヘイトつけたので許してくださいなんでもしますから。