TSジト目銀髪ロリ「断固として防がねばなるまい」   作:パワー!

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10話

 軍本部のでっかい建物に来た。

 私が住んでいる建物より何倍も大きい。

 正門の両脇には、私の身長を超えるほど大きな剣のオブジェが建っていた。

 

 いつ来ても圧倒される。

 この荘厳な建物は、見るだけで我が国が誇る軍の強大さを実感させられる。

 剣のオブジェは敵軍という悪を断ち切る正義の刃の象徴だ。いっつそーくーる。

 

 まぁ軍にはこの私が所属しているので、本部はこれくらいの規模でなければ困る。

 いつも私が居る建物は軍の支部であるため、いささか見劣りしてしまわなくもないが、以前言ったように私はあの古き良き感じも好きなのだ。

 

 だが、本部の建物を前にすると少し揺らいでしまう。

 この建物から醸し出される、これぞ軍! という雰囲気……魅力的だ。

 

 ……決めた。剣のオブジェだけ真似て作ってみよう。

 幸い、私の軍にはこれを作るだけの技術がある。

 敵軍を滅ぼすために、毎日勤勉に道を突き進んだ甲斐があった。

 さっそく帰ったら部下に頼もうと決意して、私は正門をくぐり抜けようと足を踏み出す。

 

「すみません。ここは軍の本部です。許可がない方は入れられません」

 

 しかし、門番の男に止められてしまった。

 

「許可はいらない」

「いえ、いります」

「私は隊長だ」

「『大鎌の半天使』殿ですよね。存じております」

 

 存じているのに、門番は私を本部に入れようとしない。

 少ししゃがんで私に目線を合わせ、微笑みながらも拒絶する。

 なぜだ。

 

「以前あなたが本部を訪れた際に勝手にその鎌を持って行ったので、隊長でもあなただけは立ち入りに許可が必要なんですよ。何をしでかすかわからないから。あのあと壊れた廊下とか修理するの大変だったんですよ」

「でも今日は表彰されに来た」

「事前に今日来るとお知らせしてくれないと困ります」

「今日来た」

「ちょっと遅いです」

「む」

 

 この門番に何を言っても無駄らしい。

 私は無言で横を通り過ぎようとすると、門番は私の頭に手をおいて、ぽんぽんと二回叩いた。

 暴力だ! 

 

 鍛え抜かれた私には痛み一つ感じなかったが、隊長の私が子供扱いされるはずがないので、これは紛れもない暴力だ。

 

 門番が優しい顔で笑っている。

 嘲笑までされてしまった。

 私は本部の偉い人に怒りが湧いた。

 そっちから呼び出しておいて、この仕打ちとはどういうことだ。

 私が寛大な大人じゃなかったら、門番は今頃私にこちょこちょされているところだ。

 想像するだけで恐ろしいだろう。

 

「どうだ参ったか」

「……? たぶん参りました」

 

 参った門番を見て、私は改めて己の強さに自信を持つ。

 

 しかし、私はすぐに反省した。

 力とは弱いものを虐めるためのものではない。

 力とは己のかっこよさを示すためのものだ。

 これでは門番が可哀想ではないか。

 

「ごめん」

「わかってくれたならいいんですよ。今度はちゃんと事前に連絡くだ……」

 

 誠心誠意謝ると、門番は許してくれたらしい。

 流石にこちょこちょはやりすぎだった。

 それでも許してくれる門番の器の広さは、私に匹敵するかもしれない。

 私は門番に敬意を持ち、門をくぐる。

 

「って全然わかってねぇじゃねぇか!」

「え」

「おっと、失礼しました。つい言葉が悪くなってしまいました」

「怖い……」

 

 許してくれたと思って進んだら、急に大声を出された。

 私はびっくりして少し涙目になってしまった。怖い。

 何が怖いかというと、その切り替えの速さが怖い。

 私はガタガタ震えた。

 

「あぁ! すみません怖がらせてしまって! 今のはその、えっと、とにかく違うんです! ごめんなさい! あぁ、どうしよう。おろおろ」

 

 門番が焦った様子でおろおろ言っている。

 

「私隊長なのに……名誉が待ってるのに……」

「すみませんすみません! でも、許可がないと入れてあげられないんです」

 

 そう言って門番はまた私の頭に手を置いた。

 まただ。門番はまたしても私に暴力を振るった。

 しかも申し訳なさそうに。意味がわからない。

 私は恐ろしくなって、大鎌を握り締め、きた道を走って引き返した。

 

 ズササササッ! 

 

「行っちゃった……はぁ、支部の人も大変なんだな……」

 

 門番が吐いたため息は私の耳に届かなかった。

 

 

 

 

 

 

「……ということがあった」

 

 慌ただしい様子で支部にたどり着いた私は、驚いた様子の部下に『反天使さんどうしたの!』と心配された。

『はんぺんちゃんどうしたの!』と聞こえた気もするが気のせいだろう。

 部下は普段私のことを隊長としか呼ばないのでなんだか新鮮だった。

 

 それで経緯を説明すると、部下たちはジト目で私のことを見た。

 私への尊敬の念が深まって、急に私の真似を始めたようだ。

 

「つまり本部は私を表彰するフリをして私を笑っていた」

 

 遺憾の意を表明するも、部下はジト目を続けた。

 

「あーなるほど。だからさっきあいつが怒ってたのか」

「本部に行く日を伝えようとしたら、街を破壊しながら本部に突撃するんだもんな。怒っていいわ」

「隊長、謝っといた方がいいですよ」

 

「え」

 

 思ってた反応と違う。

 しかし、部下たちがそうだそうだと口々に言う。

 どうやら、珍しく私は何か間違ったらしい。

 反省だ。

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