TSジト目銀髪ロリ「断固として防がねばなるまい」   作:パワー!

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13話

「住み分けって言葉あるじゃん。あれってそんなに難しいことなのかな」

 

 今日も今日とて、私の最強技で敵軍を一網打尽にしたあと、ぞろぞろと撤退する敵たちを見て、部下の1人がそんなことを口に出した。

 

「いやそれな。なんで現状に満足せずに、無駄な向上心で他国の文化を脅かすんだろうな」

「こっちから向こうに攻め入ることなんてほとんどないのに、なんであんなに我が国に入ってきたがるんだ」

「奴らに考えがあるとは思えないけど」

 

 日に日に増えていく敵軍に部下たちは辟易しているようだ。

 無理もない。

 ここ最近の勢いはこれまでの比ではない。

 

「はん……隊長、今日も手を煩わせてしまってすみません」

「俺たちだけだと、もう手に負えなくなりつつあります」

 

 部下たちが口々に言う。

 たしかに彼らにはそろそろ荷が重いのかもしれない。

 今や戦場では私が9割以上を倒してしまっている。

 でも、大丈夫だ。

 

「問題ない」

 

 彼らはちゃんと役に立っている。

 私が倒しやすいように、敵を一箇所にまとめたり、私が戦場に着くまでの時間稼ぎをしてくれている。

 そして何より──

 

「いつも道の修理、ありがとう」

 

 そう私は感謝を伝える。

 大丈夫、私はちゃんと彼らの良さを知っている。

 彼らがいないと、私はあれを一人で修理しないといけないのだ。

 

 だから部下たち、そんなに悲観することはない。

 私のようにちゃんと部下を見てやれる人間が彼らの上にいてよかった。

 

 部下たちは、私の言葉を受けて感動に打ち震えるだろう。

 

「はんぺんちゃん、そういうことじゃないです」

「俺たちは戦闘でも役に立ちたいんですよ!」

「ていうか今のめちゃくちゃ嫌味に聞こえましたよ」

「反抗期……!!」

 

「……?」

 

 部下たちの反応が思ったものと違った。おかしい。私は感謝を伝えたはずなのに。

 

「俺たちも強くなりたいんです」

「そうそう」

 

 なるほど、部下たちはどうやら強くなりたいらしい。

 それならば話は簡単だ。

 

「鍛錬すればいい」

 

 強くなるためには結局それしかないのだ。

 

「そりゃ俺たちだって毎日やってますよ。曇らせにおいて、死ネタはありかなしか話し合ったり。晴らしまで書くべきか否か話し合ったり」

「この前はみんなで意味深ムーブの研究もしました。それでもまだ隊長の領域には届かないんです」

 

 ふむ。聞く限り、部下たちは素晴らしい鍛錬を積んでいるようだ。

 たしかに全て強くなるために重要なことなのは間違いない。

 それなのに存在する私と部下たちの差。その理由は一つだ。

 

「ランキング」

「え?」

「ランキングに載れば強くなる」

 

 ハーメルンの軍には毎日更新されるランキングがある。

 それに一度でも載れば爆発的な力を得られるのだ。

 

「うーんそれは全くその通りなんですけど……」

「正直ランキングのために鍛錬するのは違うというか……」

「それを目的にするの、なんか嫌です」

「俺たちは好きなようにやって強くなりたいので……」

 

 部下たちは微妙な反応だ。

 私も気持ちはわかる。

 気をてらって、ランキングに載って強くなっても、だからなんだという話だ。

 私も好きなように生きていたら、たまたまランキングの下の方に引っかかっただけにすぎない。

 

「正直ランキングに載って強くなっても、すぐに軍を辞める人ばっかりじゃないですか」

「どうせいなくなるなら載っても意味ないのに、それに拘る人多いですもんね」

「はんぺんちゃんは残ってて偉いです!」

「そう私は偉い」

 

 へへへ。褒められた。嬉しい。

 私は上機嫌になった。

 

「今度みんなで鍛錬しよう」

「えっ」

 

 上機嫌な私は、部下たちにそう提案する。

 部下たちの顔が引き攣った顔がしたが、おそらく気のせいだろう。

 

「ちなみにその鍛錬っていうのは……?」

「みんなでかっこいいポーズを探す」

 

 毎日私がやっている鍛錬の一つだ。

 

「なんか絶妙に違う気がするのは気のせい?」

「いやたぶんあってる」

「なんだろう、隊長がやるとただただ可愛いんだけど、俺たちがやると絵面が怖いことになるよな」

「いや、私がやったら可愛いのでは?」

「お前がやったら余計に怖いだろ。いつも無表情だし」

「えー、ショック」

 

 部下たちがなにやらひそひそと話し合っている。

 みんなやりたくてうずうずしているようだ。

 

 部下の一人である女兵士が前に出てくる。

 

「隊長」

「なに」

「この前その鍛錬で鏡わりましたよね」

 

 ……? それとこれと今どう関係があるんだ? 

 ただ一つわかるのは、部下たちとの鍛錬がなしにされそうな流れになっていることだ。

 

「……わってない」

「わりましたよね」

「……ううん」

「わりましたよね? 」

「…………」

「ね?」

「…………うん」

 

 女兵士の目が怖い。

 私は恐れ慄いた。瞳に涙が溜まっていく。

 みんなで鍛錬やりたかったのにな。

 

「なのでその鍛錬は……ってはんぺんちゃん?」

「あー! こいつはんぺんちゃん泣かせた!」

「許せない!」

「はんぺんちゃんごめんなさい泣かないで! ママが悪かった!」

「その母性の出し方かなりきついかも」

 

 うえーん。

 

「冗談ですよはんぺんちゃん。ほれよしよし、泣かない泣かない。みんなで鍛錬しましょうね!」

「……ほんと?」

「ほんとほんと!」

 

 やったー。




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