TSジト目銀髪ロリ「断固として防がねばなるまい」 作:パワー!
大鎌片手に私が部屋から出たところで、先ほどのとは違う別の部下に声をかけられた。
な◯う軍殲滅の使命感に燃え、意気揚々と走り出そうとしたのに出鼻を挫かれた気分だ。
「隊長、砦に向かうのであればそれは私が運びます!」
部下が私の持つ大鎌に視線を向ける。
なるほど、そういうことか。
「いやいい。私の得物ぐらい私が運ぶ」
「そうではなく、後片付けが面倒なのは嫌だということです!」
大鎌は私の背丈ほどの大きさがある。
私の代名詞といってもいい、頼もしい相棒だ。
ただ、幼く身体の小さい私には少々大きいため、私が持ち運ぶと必然的に引き摺る形になってしまう。
結果、私が通った道は鎌でえぐれた跡が残る。
そうなると、後で通った道を修理しないといけなくなるのだ。
今まで何度も道の修理を手伝ってくれたこの部下は、その事態を回避しようとしているわけだ。
流石は私の部下。
先見の明がある。優秀だ。
「たしかに後片付けは面倒だ。だが、これは私が運ぶ」
しかし、私にも譲れない一線がある。
この大鎌だけは私がずっと手に持っていたい。
別に誰かの形見とかそういうわけではない。
かっこいいからだ。
かっこいいから、誰にも渡したくない。
本来、鎌という武器は非常に取り回しにくく、弱い。
それでも私が大鎌を使うのは、ひとえにその外見にある。
曲線美といえばいいのだろうか、そこには表現し難い魅力がある。
だから私は鎌を持つ。
最近『大鎌の半天使』なんて呼ばれ始めたのが、どれほど私にとって嬉しかったことか。
初めてその名を聞いた時は、ウキウキで鎌を抱いて寝たほどだ。朝起きたら血まみれだった。
ようやく大鎌使いとして認知され始めたのだ。
もっとアピールしたい。だから部下よ、これは私が運ぶ。いいな。
「いや普通に私が運びます! 土の道ならともかく、ここから敵が攻めてきている砦までは、しっかり固められた道ですよ! あそこを直すのがどれだけ大変か忘れたわけじゃないでしょう!」
「…………いや私が運ぶ」
「駄目です!」
「…………」
ズサササッ!
「あっ! 隊長! こら待て止まれ!」
な◯う軍め、誇り高き我が国の秩序を乱す外敵め!
すぐに私が滅ぼしてくれよう!
ズササササッ!
私は大鎌を引き摺りながら、憎き敵への怒りを募らせ、早々に打ち滅ぼさんと砦に向かって走り出した。
砦に着くと、そこではすでに激戦が起こっていた。
相変わらず敵軍は無駄に数が多い。
いくら我が軍が精鋭揃いとはいえ、流石に苦戦しているようだ。
しかし押されてはいない。拮抗している。
朝からこれだけの数が攻めてくるとは、敵軍は団結力だけは無駄に高いらしい。
その力を知能に回してほしかった。
そうすればこの無駄な侵略は行われていまい。
さて、害虫はさっさと駆除するにかぎる。
私も行動するとしよう。
まずは声を張り上げて、部下たちに一斉に指示を送る。
「遅れてすまない! 皆ご苦労! そのまま殲滅を続行しろ!」
「おぉ! 隊長が来たぞ!」
「隊長! 確か今日は休暇日じゃなかったんですか!」
「あ! また鎌引き摺ってきてる! それやめてくださいって前言いましたよね!」
「隊長! いつも思ってますが、指示が指示じゃありません! もっと具体的にお願いします!」
これでよし、と。
あとは私も直々に戦闘に参加して殲滅にとりかかろう。