ぼくのかんがえたさいきょうのせーと   作:秋九

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22話 淵源

 

 特別試験7日目。午前8時。

 

「葛城に渡せと獅峯から申し出があった」

 

 Aクラス担任の真嶋から各クラスのリーダーを指名する用紙が葛城に手渡された。葛城はありがとうございますと礼を伝えペンを走らせる。

 

「獅峯くんは昨日リタイア。葛城くんは知っていたようですね」

 

 葛城の横に並んだ坂柳がそう言うが、穏やかな口調とは裏腹に少し不満を含んでいそうだ。

 

「獅峯から全て指示はもらっている。おまえは聞かされてなかったようだな」

「えぇ、その様です。きっと、私には説明が必要ないと能力を買っていただいけたのでしょう」

「あぁ、そうかもしれないな」

 

 葛城は決して坂柳を馬鹿にしたわけではない。本心からそう思ったのだ。葛城は坂柳の実力を認めている。

 

「彼がいないと、このクラスは華がないですね」

 

 残りの数時間を楽しむために、各々動き始めた生徒を見て坂柳はそう言った。

 口にする事なかったが、葛城もその言葉に心の中で共感した事だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無人島試験は終了し、試験結果の集計をするとの事で少しの自由時間ができた。

 Aクラスの生徒も各々自由に過ごし始める。

 

 少しすれば、拡張器から真嶋の声が聞こえてきた。

 

「ではこれより特別試験の順位を発表する」

 

 抑揚もなく、なんの感情もない真嶋の放送は、どの生徒に対しても平等だ。

 

「最下位は、Cクラスの0ポイント」

「————あ?0だと……?」

 

 事態を理解できない龍園が顔を顰める。

 その間も真嶋は淡々と発表を続けた。

 

「続いて3位はBクラスの90ポイント。2位はDクラスの175ポイント」

 

 残る1位は既に決まった。Aクラスの生徒は誰1人として喜ぶ様子もなく、慌てる様子もなく。

 ただ結果発表が終わるのを待っていた。まるで、()()()()()()1()()なのは当たり前かの様な粛然たる態度。

 

「そして1位は664ポイントでAクラスとなった。以上で結果発表を終わる」

 

 2位と圧倒的大差をつけてのAクラスの勝利。Aクラスの生徒もそのあまりにも大きいポイント差に驚きこそしていたが、やはり様子は先ほどまでと変わらない。

 

 こうしてクラスは、Aクラスの実力を、他クラスとの実力差を知らしめた。

 Aクラスという壁を、獅峯帝という壁の絶望を、確かに味わう結果になっただろう。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 興味深い話し声に釣られて訪れた船の反対、デッキの端には清隆とDクラスの担任茶柱佐枝がいた。人影もなく、密会には適した場所だろう。

 影に身を潜め、耳を澄ませてみれば会話は自ずと聞こえてる。

 

「あの男……いや、お前の父親はこう言っていた。清隆はいずれ、自ら退学する道を選ぶ、とな。太陽に翼を焼かれ大海に落ちて死んでいったイカロスのような結末を迎えるということだ」

 

 茶柱がそう言い終わったタイミングで、清隆はまるで見切りをつけたかのように、歩き出した。もう用はないとでもいうような雰囲気だ。ありがたいことに俺のいたところとは反対に歩き出してくれる。

 

「これからどうするつもりだ?」

「先生も知ってるでしょう。イカロスはダイダロスの忠告や助言を守らない」

 

 翼を焼かれながらも、イカロスは力の限り飛び続ける。自由を求めて、か。

 実に清隆らしい返答だ。

 

 茶柱佐枝と清隆の会話が完全に終了したのを確認し、俺は茶柱の側に近づいた。

 俺が訪れたことに驚くような素振りもなく、茶柱は横目で俺を見る。

 

「生徒と密会ですか。いい趣味とは言えないですね、茶柱先生」

「そちらこそ盗み聞きか。悪趣味だな。おすすめはしない」

 

 嫌味を言えば同じ分だけ茶柱から返ってきた。

 茶柱はポケットからおもむろにタバコを取り出し、火をつけ吸い始める。まるでストレスの限界がきた、なんていう様子だ。

 俺は茶柱を気にせず話を始める。

 

「綾小路でも俺に勝てなかった。でも綾小路が動かなければDクラスは見てられないほど悲惨なことになってましたよ」

 

 それこそ、最悪の結果に。必死に努力をしたのにDクラスが残したポイントはほとんど無し。リーダーとしての素質のある堀北は心が折れ。クラスが団結する事はもうニ度とないだろう。

 そんなあり得た未来を想像できていながらも、茶柱の表情は変わらない。

 

「おまえが()()()()を信じた私が馬鹿だったようだ」

「……俺が言った話は事実だったでしょう?」

 

 さて、俺と茶柱が何について話しているのか。それは夏休み前まで遡る。

 

 話は簡単。上のクラスに上がることの野心を隠している茶柱を、清隆の燃料として利用しただけ。

 相談があると無理やり時間を作り、綾小路清隆は俺に勝てる素質があると伝えた。

 話の流れの違和感なんて関係ない。希望の糸がどれだけ細かろうと、人はそれが見えたら掴みたくなるものだ。

 清隆の脅し道具として、彼は()()()()()()()()()と伝えれば準備は終わり。

 俺の予想通り、茶柱は『先生』を脅しの道具として清隆を無理やり表舞台へと引き摺り出した。そう、か細く頼りない希望の糸に縋り付いたのだ。

 

 茶柱がタバコを一度吸ってから煙を吐いた。

 

「そういえば綾小路は随分と酷い怪我を負っていたな。……おまえの仕業か」

「なんのことかさっぱりですね。その怪我については、本人が何か言い出した時に気にかけてあげてください。男は自らの醜態を隠し通したいものですよ」

 

 ニコリと笑って上手く誤魔化す。

 俺は茶柱の吸っていたタバコを横から摘んで奪って吸ってみた。目を見開いて驚いた様子の茶柱を横目にタバコを味わう。決して美味しいものではなくて、俺はすぐにそれを手のひらで潰した。

 

「なんにせよ、綾小路を脅すのはもうやめた方がいいですね。彼の闘志には既に火がついているはずです。あなたが何かをする必要もなく、彼は俺に勝とうと躍起になり始めますよ」

「……教師たちの間で噂になった。おまえが何者なのかという話題でな。勿論それは試験の圧倒的な結果から生まれた話題だった。しかし、私の中では違う意味の疑問だ」

 

 俺の手のひらから吸い殻を受け取って、それを携帯灰皿に捨てた茶柱が俺を睨む。教師とは思えない、ある意味では子どもらしい素直な表情だ。

 

「おまえと綾小路の関係はなんなんだ。おまえたちは何者なんだ。小学校の同級生と聞いたことがある。けれど調べてみればおまえたちの出身小学校は全く別の地域だった。何か触れてはいけない部分に触れた様な気がしたな」

「そうかもしれないですね」

 

 茶柱はなんとなく俺と清隆の歪な関係に気づき始めている。

 

「ともかく、先生はもう見守ることしかできないですよ。俺は綾小路との勝負に手を抜かないし、わざと負けたりもしない。彼に期待しててください」

「……それをおまえが言ってるからおかしいんだ獅峯」

 

 新しくタバコを取り出した茶柱を置いて俺は部屋に戻ることにする。

 

 今頃清隆は、今回の試験の結果について、堀北に根掘り葉掘り話を聞かれているのかもしれない。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

「熱は下がったのか?」

 

 少しの眠りから目覚めて身体を起こした俺に、同じ部屋の葛城がそう声をかけてきた。

 おでこには雑に貼られた冷えピタがある。

 

「無茶は利くんだけどね、身体はしんどいみたい。熱なんて初めてなったよ」

「身体を動かせてただけで、試験中はずっと体調が優れていなかったんだろう。おまえは無茶を無茶としない程の精神力があるだろうからな」

 

 俺としては本当にしんどくなかった。いや、流石に清隆とやり合った後は苦しかったけど、それ以外は本当に普通だった。

 けれど実は身体はいつも通りじゃなくて、だから2日目の朝に戸塚の振り下ろされた腕をもろに受けた。普段の俺ならノンレム睡眠中でもガードできるのに。

 

「一生分の熱を今味わってるんだよ」

「高熱でも平常を装える、いや、平常と変わらないおまえは本当に人間とは思えないな」

「はははっ、褒め言葉として受け取っとくよ」

 

 俺は身体を起こして冷えピタを剥がす。しっかり休んでもいいが、やる事は済ませておこう。

 届いていたうちの2件のメールに返信をし、俺は部屋を出る。葛城から小言をもらったがありがたくスルーさせてもらった。

 

 俺が最初に会うことを約束した人物は、既に約束のカフェにいた。隣に座って俺はサンドウィッチを頼む。

 

「男前が台無しだね綾小路」

「そのまま返したいセリフだな。頰は痛むか?」

 

 俺の頰には清隆から受けた一撃で赤く腫れた頰を冷やすために湿布が貼られている。

 それを指して言ったんだろうが、どうみても清隆の方が重症だ。その服の下にはおびただしい包帯が隠されているんだろう。顔も俺と同じで湿布のようなものと絆創膏も貼られている。

 

「それで用って何かな。勿論ただ雑談がしたいってだけでも大歓迎だけど、おまえはそういうキャラじゃないだろ」

「そうだと言ったらどうする?獅峯との仲を深めたくてな」

「……まじか」

「嘘だ」

 

 嘘かい。清隆のらしくない冗談に、一々(いちいち)心臓をバクバクさせながら要件を聞く。

 清隆は自分のそばに置いていた紙袋から服を取り出した。

 

「堀北が返してくれてな。あいつはオレのジャージだと思っていたからオレに返してくれたが、それでいいだろ?」

「もちろん、俺のものだと知ってもらう必要はないよ。丁寧に洗濯もしてくれたみたいでありがたい」

 

 清隆は俺のジャージを再び紙袋にしまって紙袋ごと手渡してくれた。

 俺はそれを受け取って足元に置く。清隆の要件はそれだけのようだったが俺は少しだけ雑談をすることにした。

 

「綾小路はこれからどうするんだ?このままじゃ俺に勝てないことは分かっただろ」

 

 俺の問いに少し考えているかのように間を空けて、その後まっすぐに俺の目を見て清隆は答える。

 

「ひとまず、獅峯の言ったブランクを無くせるよう努めるさ」

 

 今清隆が言った事が嘘か本当かはわからない。けれど悪い方に捉える必要はないだろう。俺はそっかと答えて席を立つ。

 

「怪我をさせたことについては悪いと思ってる。次はそれ以外で競えるといいね」

「あぁ、オレもそう思う」

 

 その言葉を最後に、俺はカフェを出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が次に会う約束をしてた人物は、俺が約束の場所に到着してから数分後に現れた。場所は茶柱と清隆が密会していたすぐ近く。

 

「や、サバイバルお疲れ様」

「よぉ、獅峯。試験の結果について説明でもしてくれんのか?」

 

 口調に怒りはこもっていない。けれど、彼は明らかに怒っていた。

 その怒りの対象が俺なのか、それとも別の何かなのかは、きっと今から分かるだろう。

 

「契約に則り、対価は支払わないよ」

 

 その瞬間、俺は龍園に胸ぐらを掴まれた。避けることも払うこともできたがあえて受けたのは、彼が暴力行為に至る可能性がないと判断したから。

 

「なんのことだ?俺の提供したリーダーが間違っていたという証拠はない」

「証拠の提示でもすればいいか?納得してもらえればいいんだけど」

 

 龍園の拘束から解放されたので俺はポケットから一つのカードを取り出した。

 それは試験で使用できるキーカード。名前はMORISITAAI。

 

「Aクラスのリーダーは俺だった。それに君も気づいていた筈だ。椎名さんをAクラスのスパイとして送り込もうとしたのは君だろ。いい人選だね」

 

 龍園は黙って聞いていたので俺は続きを話す。

 

「本来ならスパイとしてリーダーを探る予定だった。しかし、椎名さんはすぐに仕事を終わらせた。俺と合流して、俺がリーダーだと確信を得たからだ」

 

 俺は椎名と会ったとき、すぐに送り込まれたスパイだと判断した。そして、俺がリーダーだと()()()確信付かせた。

 

「椎名さんから聞いたんじゃないかな。獅峯くんのポケットにカードらしきものが入ってるのが確認できました、ってね。加えて俺たちのクラスはリーダーの候補を三分の一にまで絞らせられるよう行動していた。そのとき単独で行動していた俺のポケットにカードが入っていればそれはもう確かな証拠になる」

 

 ポケットに入っていたカードに触れさせるため、俺はあの時わざと体勢を崩したふりをしたのだ。

 それに、もしかしたら椎名は俺がスポットの占有をするところを見ていたのかもしれない。俺はリーダーが自分だとバラすように行動していた部分がある。勿論明らかすぎないように、適度に、だけど。

 

「でも俺は最終的なリーダーじゃなかった。リーダーは正当な理由なく変更できない。しかし俺のリタイアは正当な理由に該当する」

 

 森下藍を次のリーダーに選んだ理由はなんとなくだ。

 けれど、彼女は変なところがあるが、頭は非常によく回る。何かアクシデントがあっても、持ち前の頭の回転と変人具合で疑われないだろう。

 

「さてここで問題です。最終日近くにリタイアした生徒は俺の他に誰でしょう」

 

 龍園がそれに気づいていない筈はない。

 

「……鈴音はいなかったな」

「そう、俺と同じことを堀北さんもしたんだよ。じゃなければDクラスに175ポイントも残っているはずがないだろ」

「納得できねえな。鈴音にそんな戦略思いつくわけがねえ」

 

 おそらくその通り。清隆が堀北をリタイアさせ、リーダーを変更した。清隆のクラスでの立場を考えればおそらく最終的なリーダーは清隆だ。流石にリスクが大きかったので指名はしなかったけど。

 

「堀北さんが自分で思いついたのか、誰かの入れ知恵なのかは分からないよ」

「もうその件はいい。それよりも、……おまえたちAクラスはリーダーの指名の時に鈴音の名前は書いてないな?もし外していたら、多少なり打撃を受けている筈だ。何故だ」

 

 俺たちAクラスの最終的なポイントがここまで大きいのは、スポットの占有によって得たボーナスポイントの存在のおかげだ。しかし、ボーナスポイントを失うことになる条件はリーダーを的中させられた時。

 Aクラスのリーダーが当てられることはなかった。

 

 けれど龍園の疑問は、外したことによるマイナス50を受けていないだろう、ということ。

 しかし、Aクラスが堀北の名前を書いていたとしても、Bクラスのリーダー的中でプラマイ0。加えてCクラスのリーダーは的中している。つまりプラス50。彼の疑問は的外れだ。

 指名したリーダーを外していても受けるマイナスが50だけなのは、要素として大きかった。

 

 この試験で一番してはいけないミスは、自らのクラスのリーダーが他クラスに知られること。

 その点で言えば、龍園翔は非常に優秀だ。最終的には置いといて、3クラスのリーダーを確かに的中させている。

 

 ともかく、彼の的外れな疑問に、けれども的を得ていたその疑問に答えてあげよう。

 

「確かにAクラスは堀北さんの名前を書かなかった。理由は、そうだね。一種の信頼だよ—————幼馴染に対してのね」

「理由になってねぇな」

 

 清隆の思考は俺に似ている。育った環境がそうさせたのかもしれないし、俺を見て育った清隆が俺に似たのかもしれない。

 

 けれどそんな事はもうどうでもいいだろう。結果が全てで、龍園が共有したリーダーの情報を間違えていたのは事実なのだから。

 

「俺はお前に踊らされてたってわけか」

「違うよ。君が勝手に舞台を用意して自分で踊り出したんだ。俺がしたのはせいぜい照明くらいさ」

「ハッ。ほんとにクソムカつく野郎だぜ」

 

 どれだけでも罵倒してもらって結構だ。

 龍園は、理解できない試験の結果に対しての多少ではあるものの説明を受けて整理ができたのか、最初に会った時よりはいい顔色だ。

 ま、顔色の悪さは純粋に疲労からきているのかもしれないけど。

 

 けれど彼の1週間の努力が全て水の泡となるのは可哀想ではある。

 俺と清隆のリベンジマッチがなければ、彼もここまで悲惨なことになってないだろうし。

 俺はそうだなと呟いて、彼に労いのモノを送ってやることにする。

 彼のスマホが不意に鳴った。

 

「……あ?100万?どういうつもりだ獅峯」

「これは融資だよ。利息はなくていい。それをすぐに返してもらえるくらいの状況を、次の試験で作ってやるよ。今回の試験のお礼はそれでいいかな」

「クックックッ。とことん理解できねぇな、おまえの思考回路は。まだ次が何かさっぱり分からねぇのによくも渡せる」

「感謝の気持ちさ。貸しであること忘れないでよ」

 

 俺の言葉に返事はなかった。そのまま龍園はここを立ち去ろうとする。

 あ、忘れてた。

 俺は龍園に一瞬で近づいて、肩を叩く。振り向いた龍園にそのまま拳を振るった。龍園が吹き飛ぶ。

 

「よし!椎名さんの分だよ!好きに訴えればいいさ、ペナルティくらい受け入れよう」

 

 今度は俺が歩みを進めた。うん、満足だ。

 

 

 




『森下藍』
2年生編9.5巻初登場。人のことをフルネームで呼ぶ変わり者。綾小路曰く、高円寺系統。今回最終的なリーダーを森下にした理由はマジで特にない。一年生編では活躍どころか登場すらしてないから出しとこ、くらいの気持ち。きっと3年生編ではメインキャラ。


『余談①』(Bクラス編)

 担任の星之宮からリーダーの指名をする用紙を受け取った一之瀬。一之瀬の側には神崎もいた。

「獅峯帝がリーダーだと疑う声は多い。スポットの占有を目撃したクラスメイトもいる。獅峯の名前を記入するのは割と安牌な選択だとは思うが……」
「……んー、やめとこうかな。なんか、嫌な予感がするんだよね。獅峯くんがこんな間抜けなわけがないっていうか……」
「そうか、それが一之瀬の選択なら文句はない。それに、獅峯という男は規格外だ。俺もその選択をしただろう」

 ギリセーフ。


『余談②』(Dクラス編)

「Aクラスのリーダーを獅峯くんだと指名しなかった理由って聞いてもいいのかな」

 平田が綾小路にそう問いかけた。
 大半の生徒の中では、獅峯帝がリーダーであるということは間違いのない情報だと信じられていた。それに密かにストップをかけたのは綾小路だ。

「獅峯はそんな単純な男じゃない。自分と同じ手を使ってくると、堀北がな」
「なるほどね。獅峯くんはリタイアを前提に動いていたから、自分がリーダーだと慎重に行動していなかったんだ。騙されるクラスがあれば万々歳だもんね」
「同じ視点でものが見れていたからこそ、堀北は気づけたのかもな」
「流石だな、堀北さんは」

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