ぼくのかんがえたさいきょうのせーと   作:秋九

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長かった無人島特別試験編も終了し、今回から干支特別試験編となります。

いやー、無人島試験はだいぶカットして(執筆するのが面倒だったとか言わない)あの話数。大変だったけど、楽しかった。

はい、今回も本文では試験のルール説明を省きますので、確認したい方はぜひ後書きをご確認ください。


24話 新たな特別試験

 

 プルルルルと俺のスマホが鳴る。

 一緒にご飯を食べていた葛城にジェスチャーで断りをいれてからスマホを見た。着信相手は南雲雅。この名前の時は大体いいことではないので、俺は少し身構えながら電話に出た。

 

「もしもし、先輩?」

「元気そうだな獅峯。今暇か?」

 

 陽気な声で南雲はそう言った。別に時間は取れるが、呼び出しかな。流石に船の上から学校までのワープ機能なんてものはない。俺たち一年生が2週間のバカンス中だということを南雲が把握してないわけはないし。

 つまり、ちょっと話し相手になれって事だろう。

 

「暇ですよ。流石に先輩ほど暇じゃあないですけどね」

「おいおい、俺は多忙な人間だぜ?まあそんなに時間は取らない。おまえからの感謝の言葉を聞いておこうと思ってな」

「感謝?」

 

 心当たりはない。そもそもこうやって南雲の声を聞いたのも久しぶりだ。

 

「どうやら今回の無人島でのバカンスでは、随分と乱暴だったらしいな」

 

 清隆の件か。船で殴った龍園の可能性も考えられたが、無人島ということは、結局龍園は学校に報告してない。プライドでもあるのだろう。

 清隆の件、予想していなかったわけじゃないが……、やっぱり腕時計の位置情報で怪しまれたかな。清隆の怪我に関しては教師陣も俺が疑わしいと睨んでいたということだ。

 

「なんのことかさっぱりですね」

「とぼけるなら好きにすればいい。けど、おまえのするべきことは俺に感謝をすることだろ?騒ぎ立てていた教師を黙らせたのは俺だぞ」

 

 俺の予想では、それは堀北学がしてくれると思った。無人島試験で俺がグレーラインの戦略をなんの心配もなく取れたのは、堀北学という保険に絶対的な信頼を置いていたから。

 まあもちろん、その保険の役割を堀北学がしようが南雲雅がしようが違いはない。

 ここは素直に感謝しておこう。

 

「ご迷惑おかけしたなら申し訳なかったです。感謝してます、ありがとうございました」

「お、ほんとに素直に感謝するんだな。俺が勝手にやったことだ、無理に礼を言わせたんなら悪かった」

「心からの言葉ですよ」

「けど、俺がしなくても堀北先輩がフォローしたんじゃないか?お前もそれを見越していたからこんな無茶ができたんだろうしな」

「確かにそれは否定しません」

 

 ははっと南雲は笑った。

 要件はこれだけか?だとしたらほんとの暇人だ。

 まあ、俺にとっては悪くない電話だったが。

 

「他に何か要件がなければ切りますけど」

「悪いな、本題はここからだ。忠告をさせてくれ」

「忠告ですか」

 

 またまた面倒そうなワードに俺の気分は下がるばかり。ひとまず内容を聞いておこう。

 

「もうすぐ学年の枠を超えた行事が始まる。特別試験と言ってもいい」

「まあ、そうでしょうね」

「戦略には気をつけておけよ。俺がお前に貸しを返してもらう時は、その時のどれかだ」

「なるほど。忠告、ありがとうございます。気をつけますよ」

 

 学年の枠を超えた行事か。この先も定期的に特別試験が行われるという証言だな。

 けど、そんなことは証言なんかなくとも想像はついていた。

 

「要件はそれだけだ。ありがとな」

「はい、じゃあ先輩も有意義な夏休みを過ごしてください」

 

 こうして南雲との通話を終える。

 俺は葛城とご飯を食べていた席に戻った。

 

「長かったな」

「南雲先輩からだったよ。内容はくだらない雑談さ」

「そうか、信頼されているんだろう」

 

 信頼とは正反対だ。警戒されているんだろう。南雲はあれでも自分の実力を理解している。

 俺の手綱を握るのに必死なように俺は感じた。だから丁寧に忠告まで加えて。

 まあ当分はリードに引かれているフリをしてやってもいいか。俺にデメリットはないからね。

 

「この船の上で落ち着いてご飯を食べられるのは最後になりそうな予感がするよ」

 

 クルクルとパスタを丸めて一口食べた。うんまい。これを食べてポイントを消費しないのが理解できないな。

 もうすでに食事も終盤に差し掛かっていた葛城は、パスタを頬張った俺にを見てつぶやく。

 

「次の試験が来るなら、このくらいのタイミングだろうな」

 

 みんなの緊張が(ほぐ)れきった頃。豪華客船を満喫しているこのタイミング。

 

「俺もそう思うよ」

 

 またクルクルと、一口食べた。丁度そのタイミングで。

 

 俺と葛城に、同時に学校からメールが届いた。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 無人島での特別試験が終了して船上に戻ってすぐ。オレたちDクラスの結果について堀北が根掘り葉掘りオレに聞いてきたその後のこと。

 

「このジャージ、あなたのよね?一応お礼は言っておくわ」

「あぁ、そういえば」

 

 最下位を回避したトリックの説明に一通り満足した様子の堀北が、オレに紙袋を手渡した。それは丁寧に畳まれ入れられた、帝のジャージだった。

 オレと帝のやり合いが始まる前に、堀北へと言って帝が眠っていた堀北に貸したもの。

 オレはそのジャージが帝なものだと訂正はせず、紙袋を受け取った。

 

 まだ聞きたいことは終わらないのか、堀北はオレを問い詰める。

 

「ところで、あの時の記憶が曖昧だから確かではないけれど。……あなた獅峯くんに勝つ、みたいなこと言ってなかったかしら」

「……どうだったかな」

 

 素直に答えはせず曖昧に流せば、堀北は大きくため息をついた。本人も記憶に自信が持てないから、オレから確かにそう言ったと認めてほしいんだろう。

 

「あなたがこの特別試験に挑んだ理由はなに?私たちのクラスは最下位ではなかった。Aクラスに続く2位だった。確かにAクラスとの差は大きかったけれど、2位なことには違いないわ。その結果になったのはあなたが暗躍したからでしょう」

 

 それから堀北は一呼吸おいて続きを語る。

 

「あなたが獅峯くんに勝つと言った話は、夢ではなかったと思ってるわ。そうだとすれば、あなたの行動に納得できるし、何よりあなた達の関係はただの同級生では納得できないもの」

 

 ただの同級生という点に、いつ疑問を持たれたのかは分からないが、いいところを突かれる。

 オレは返事をしないで、ポケットに手を入れた。楽な姿勢をとる。

 

「あなたと獅峯くんの関係はなに?あなたはどうして実力を隠しているの?」

 

 オレと帝の関係について、堀北に話す気にはなれない。

 けれど、クラスを自由に動かせる帝に勝つには同じだけの駒がオレには必要だ。

 今の堀北がその役にふさわしいのかは分からないが、オレの知る中で適任なのは間違いない。オレが駒として動かせればそれでいい。

 

「利害の一致だ、堀北。オレは獅峯に勝つために。堀北はAクラスに上がるために。オレは全力で手を貸す。その代わり堀北はDクラスのリーダーになるんだ。獅峯に並ぶ、リーダーに」

「あなた達の関係については教えてくれないのかしら」

「オレに関することは一切詮索はするな。利害の一致、それだけで十分だろ」

 

 手を差し伸べれば堀北は迷わずその手を取った。強く握りしめられたその手には、Aクラスに必ず上がるという強い意志を感じる。

 

「興味はあるけれど、あなたが話したくないのなら仕方がない。あなたが獅峯くんに勝てる実力者なのかは疑問だけれど、あなたの実力についても十分過ぎるほどわかった。よろしく頼むわ、綾小路くん」

 

 オレはオレのために。堀北は堀北のために。

 

 絶望的な相手へ立ち向かう戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 学校から届いたメールを開いてすぐ、船内にアナウンスが流れる。

 

『生徒の皆さんにご連絡いたします。先ほど全ての生徒宛に学校から連絡事項を記載したメールを送信いたしました。各自携帯を確認し、その指示に従ってください。また、メールが届いていない場合には、お手数ですがお近くの教員まで申し出てください。非常に重要な内容となっておりますので、確認漏れのないようにお願いいたします。繰り返します————』

 

 それは間違いなく、今届いたメールのことを指していて、俺も葛城も何を言うこともなくお互い内容を確認する。

 メールにはこうあった。

 

『間も無く特別試験を開始いたします。各自指定された部屋に、指定された時間に集合して下さい。10分以上の遅刻をした者にはペナルティを科す場合があります。本日20時40分までに2階206号室に集合して下さい。所要時間は20分ほどですので、お手洗いなど済ませた上に、携帯をマナーモードか電源をオフにしてお越しください』

 

 やっぱり、特別試験か。気になる点は多いが、ひとまず葛城と届いたメールの内容が同じかを確認することにする。

 

「同じかな」

 

 スマホの画面を向ければ、画面を数秒見た葛城が頷く。

 

「一言一句違わない。全く同じ文だ」

「俺と葛城くんだけじゃ、流石に情報が足りないね。橋本くんや戸塚くんあたりにも確認してみようか」

 

 そう言えば、葛城は深く頷いてくれたので素早くチャットを送信する。メールが一斉送信された関係だろうか、2人とも既読がつくのが早かった。

 文が全く同じだった俺と葛城とは違い、橋本も戸塚も指定された時間、部屋が少し違っていた。

 葛城にそれを伝える。

 

「2人とは時間と部屋が違ったよ。それ以外の文は一緒みたい。クラスメイト全員に確認しとこうか」

 

 仮にも今から始まるのは特別試験。今わかるだけの情報はできる限り集めておくべきだ。作戦を立てる上でも役に立つ。

 葛城もクラスメイトに確認することに異論はないようで、一度頷いたあと黙ってスマホを眺めていた。

 

 俺はAクラスのグループチャットで発信する。

 学校から届いたメールで自分が集合を指定された時間と部屋番号を俺の個人チャットに送信すること。また、提供可能であれば偶然でも知り得た他クラスの生徒が指定された部屋と時間も伝えてほしい、と。念の為、周囲の状況には気をつけるようにとも通達した。

 

 クラスメイトからの連絡は早かった。すぐに集まった情報を元に俺がグループを分ける。Aクラスが分けられたグループは12個。果たして、意図的に組まれたグループか、無作為に組まれたグループか。

 俺の考えではその半々。明らかに意図的に組まれたグループも存在する。そのグループとは俺の指定された部屋と時間の20時40分組。うちのクラスからは俺と坂柳と葛城が。他クラスからはわかる限りで、Bクラス一之瀬、神崎、Cクラス龍園、Dクラス櫛田、平田。意図的じゃないわけないだろう。

 

「得られた情報はあまりないな。やはり内容がわからなければ対策の立てようもないだろう。妙な集め方をしているのも気になる。公平性、合理性に欠ける、この学校らしからぬやり方に感じたが、やはり理由があるのだろうな」

「推測はいくらでもできるけどね。でも、葛城くんの言う通り情報が足りない」

 

 12という数字は幅広く利用されている。年月や時間は言わずもがな。星座に干支に新約聖書に書かれたイエスの弟子の十二使徒。ギリシア神話ではオリンポス山の山頂に住んでいるという神も十二柱。中国の皇帝の礼服に用いられる模様も十二章だったな。

 まあつまり、どういう意図を持って分けたかを推測しても、キリがないという事だ。

 

「一番早く説明を受けるのは17時半組だね。それまでこれ以上できることはなさそうだ」

 

 俺はもう一度グループチャットに発信する。

 説明を受けた者のうち一名が、簡易的で構わないので内容がわかるように俺にチャットを送ること。と。

 

 さて、どんな特別試験が始まるのか。間違いないのは身体能力を競う特別試験ではないこと。

 間も無く始まる特別試験に胸を躍らせながら俺は食後の運動をすることに決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 新たに始まった特別試験『夏季グループ別特別試験』は社会人に求められる3つの基礎力のうちのシンキング、考え抜く力が求められる試験らしい。

 

 集合を指定された部屋へ向かう道中、葛城と会話をしながら考察を進めていく。

 

「戦略は定まったのか?」

「そうだね、実を言うとまだ決めあぐねてるさ」

 

 2階へ移動するためエレベータに乗ろうとした時、後ろから馴染みのある足音が聞こえてきたので、俺たちは立ち止まった。

 

「珍しいですね、獅峯くんが迷っているなんて。私であればどんな戦略を取るのか、よければお聞きしますか?参考になればいいのですけど」

「はははっ、遠慮しとくよ。心遣いどうも、坂柳さん」

 

 後ろから近づいてきていたのは坂柳と付き添いの神室だった。神室はいつも通りツンとした表情で俺をみているが、対して坂柳は優しい笑み。

 なんだか久しぶりあった気がするが、無人島試験のせいか、おかげか、顔を合わせていない期間がほぼなかったからだろう。

 目的地が同じなので並んで向かうことになった。神室は、私はもういらないでしょと一言残してUターンして行ったが、そんなに俺のことが嫌いなのだろうか。だいぶ悲しい。

 

 が、神室が共に向かうことを拒否した理由はすぐに察することができた。

 

 目的地である2階206号室のある廊下やその付近には、さまざまなクラスの生徒たちがそれなりの数集まっていた。そこにAクラスのトップ3。つまり、この学年のトップ3とも言える俺たちと共に歩けば目立つことは間違いない。

 俺が嫌いで拒否したわけじゃないと分かり一安心だ。

 

 歩みを進めていけば自然と道が開く。いや、俺ら道の端を歩けない人だと思われてる?避けますよ、全然。ただ今回に関しては周りが俺たちを避けるのが早すぎる。

 

「あら、嫌われ者ですか。悲しんでもいいですよ獅峯くん」

「案外坂柳さんが怖がられてるんだろう?いや、間違えた。俺の横には大柄のイカしたスキンヘッドがいた」

「確かに俺は他人を威圧しやすい容姿だろう。だがこういう場合は大体真ん中の人物が畏怖されてるものだぞ。つまりおまえだ獅峯」

「やめてよ、気づいてはいけない何かじゃんそれ」

 

 3人で罪の押し付け合いのようなことをしていると、俺たち3人の目は同じ人物に留まった。端に避けていく人が多い中、周囲を気にせず真っ直ぐ歩く黒髪ロングの美少女。いつの日か、俺の好みの女の子の話をした時のことを思い出した。それで言うなら彼女はニアピンだな。何が足りないとは言わないでおこう。

 俺は片手をあげてその美少女に声をかける。

 

「や、堀北さん。元気そうだね」

「久しぶりね、獅峯くん」

 

 俺の目の前で止まった彼女は俺の挨拶に簡易的に返事をして、そのまま横を素通りしようとした。俺は通せんぼするように、堀北に合わせて横にずれる。俺を見上げてた堀北に睨まれた。

 

「どいてくれるかしら?」

「まあまあ、ちょっと喋ろうよ。君も20時40分組だろ?時間もあるしさ」

 

 俺が堀北を引き留めると、葛城が問いかけた。

 

「彼女は?」

 

 堀北が各クラスの中心人物を集めたこのグループであると言う部分に興味を持ったのだろう。

 俺は堀北をなんと説明しようか少し考えた。

 

「Dクラスの堀北鈴音さんだよ。俺の友達」

「勝手に友達にしないでもらえるかしら」

「どうして?俺の感覚では、俺たちはもう友達なんだけど」

「個人の感覚を押し付けないで」

「えぇー?なら俺の感覚を否定もしないでよ。俺は友達だと思ってる。つまりお友達になれるように申請中、みたいな?」

「なら申請が通ることはないわね。だって私はあなたを警戒してるもの」

「はははっ、それはある意味光栄だなあ。同時に寂しくもあるけどね」

 

 俺たちの会話を聞きながら葛城は腕を組んで堀北を見ていた。

 

「俺は葛城康平。君が堀北か、先の試験での活躍は聞いている。まさか君たちDクラスが俺たちに並んで2位になるとは考えてもいなかった」

「あ、Dクラスを舐めたような発言だよ?はい、懲役1年」

「平気よ。Aクラスにそう思ってもらえて嬉しいわ。これからAクラスの地位が少しでも揺らいでくれればいいのだけど」

「ふっ、残念ながら俺はうちのリーダーが負けるところは想像つかない」

「か、葛城くんッ……!」

 

 俺が葛城の発言に感動していたその時、俺は背後から攻撃をされる気配を感じて、振るわれた拳を瞬時に掴む。ドンッ、なんていう拳と(てのひら)じゃ似合わない衝突音と共に現れたのは龍園だった。

 

「やっほー、龍園くん。坂柳さんを狙わなかっただけ褒めてやるよ」

「ちっ、テメェは目ん玉が後ろにも付いてんのかよ」

「龍園、暴力行為には厳しいペナルティが課せられるぞ」

「それはテメェのリーダーに言うんだな」

「はははっ、違いない。けど訴えなかったのは君だろ」

 

 龍園と俺の発言から、また龍園の頰に貼られた湿布から、俺が龍園に暴力を振るったことを察した葛城と堀北が、正気かと言った目で俺を見る。

 

「勢ぞろいだな」

 

 そう言って新たに参戦してきたのはBクラスの神崎。やっほー、と神崎の横には一之瀬もいた。さらにその後ろにはDクラスの平田や清隆もいたが、清隆は様子を見にってところだろう。

 中々豪勢なメンバーが揃ってきた。

 

「久しぶり、神崎くん。一之瀬さんに平田くんに綾小路も」

「やはりこの集まりの中心にいたのは獅峯か。今回は同じ組に分けられたようだし、手を取り合いたいと思う」

「中々癖のある試験内容だからこそっ、手を取り合おうね」

「神崎くんや一之瀬さんににそう言ってもらえるなんて嬉しいな。俺も同じ気持ちだよ、よろしく」

 

 俺が一之瀬と神崎と挨拶がてら握手をしていたのを見て、茶々を入れてきたのはやはり龍園。

 

「おいおい、手を取り合うって?試験の内容を理解できてねえのかよ」

「龍園くんうるさいよ。仲間外れにされたからって拗ねないで」

「好きに言ってろよ獅峯。俺はおまえに言われたことを忘れてねえからな」

 

 そういえば100万ポイントを貸していたな。次の試験でそれをすぐ返せるような状況を作ってやると。まあ別に問題はない。むしろ試験内容からすれば都合が良すぎる。

 

「それに関しては忘れてないから安心してよ」

 

 俺がそう言えば、ならいいと言って龍園は俺たちに背を向けて歩き出した。用は済んだらしい。

 

「なら俺たちもそろそろ指定された部屋に向かおうか」

 

 俺の言葉に反対の声は出なかった。こうして俺たちはそれぞれ指定された部屋へ向かう。

 

 楽しそうな試験になりそうだな。

 そう感じたのはきっと、俺と俺の隣を歩いていた天才性悪女くらいだろう。おっと、間違えた。天才美少女に訂正だ。

 

 

 




『補足説明』
今回、一之瀬は竜グループです。原作では綾小路を探るために卯グループでしたが、無人島試験での綾小路の活躍は獅峯に埋もれてしまったうえ、もっといえば星之宮先生の目的は獅峯の存在によって達成されているといえますし、綾小路はノーマークですね。
星之宮の目的はネタバレになるかもしれないので伏せときます。

『夏季グループ別特別試験』
【基本ルール】
・日程は3日間。1日に2度、所定の時間と部屋に集まり1時間の話し合いを行う。
・干支なぞられた12のグループに分けられ、グループには厳正なる調整により優待者が1人選ばれる。
・話し合いの内容はグループの自主性に全てを委ねる。
・優待者を当てる解答権は1人1回で、優待者本人には解答権がない。
・解答方法は自分の携帯電話から所定のアドレスに送信する。
・自身が配属された干支グループ以外への解答は全て無効とする。
・試験終了は午後9時まで。結果の詳細は最終日の午後11時に全生徒にメールにて伝える。

【結果パターンの概要】
・結果1と2は試験終了日の午後9時30分〜午後10時の間に解答をする必要があるが、結果3と4はこれに限らない。

【結果1】
グループ内で優待者と優待者が所属するクラスメイトを除く全員の解答が正解していた場合、グループ全員にプライベートポイントを支給する。
・メンバー(+50万pr)
・優待者(+100万pr)

【結果2】
優待者と優待者が所属するクラスメイトを除く全員の答えで、1人でも未解答や不正解があった場合、優待者のみにプライベートポイントを支給する。
・優待者(+50万pr)

【結果3】
優待者を当てると、答えた生徒とその所属クラスにポイントが入り、優待者が所属するクラスはペナルティを受ける。
・解答者(+50万pr)
・解答者の所属クラス(+50cl)
・優待者の所属クラス(−50cl)

【結果4】
解答が不正解だった場合、解答を間違えた生徒の所属クラスはペナルティを受ける。優待者とその所属クラスにはポイントが入る。
・解答者の所属クラス(−50cl)
・優待者(+50万pr)
・優待者の所属クラス(+50cl)
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