Welcome to JoyCity   作:ニコラウス

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2023/09/03:ジョーのセリフ回しを変更しました。
2025/01/28:文章の全体を修正しました。


トラブルシューターのジョー

転生者によって持ち込まれた科学技術やそれと魔法を組み合わせた魔導工学、そしてなにより転生特典によって急速に発展した街、ジョイシティ。

中央より層を重ねるように拡張されたこの街は治安維持部隊の努力も発展速度に追い付かず、外延部の治安はとても悪くなっていた。

 

 

 

「今回の仕事は簡単だ!

 あばら家に突っ込んで、鬼刻組でもないのに背中に下手な鬼の紋々入れたアホ3人をぶっ殺せばいい!

 こいつをこなせば鬼刻組からの覚えも上々ってこった!」

頭蓋骨のペイントがされたフルフェイスヘルメットの中で軽薄な女の声が響く中、男は『むらまさ』ひらがなでと刻み込まれた刀の調子を確認していた。

その刀はどうやら柄にガタが来ているのか、刃はグラグラと大きく揺れている。

 

「なぁロニ、もっと大きい仕事はないのか?

こんな仕事ばかりでは武器の整備代すら満足に稼げない。」

「はっ!始めたてのトラブルシューターが何言ってやがる!でかい仕事がしたかったらもっと信用と実績を積むことだな!ジョー!

 そんな無駄口叩いてないでさっさと行ってこい!」

「わかったよ。」

 

ジョーは厚手のボディスーツの上からジャケットを羽織り、二丁の拳銃をそれぞれ腰と胸のホルスターに入れ、刀を背負いアパートから出た。

フルフェイスヘルメットの画面にはジョイシティ第七層の地図と、現在地と目的地点を示す二つの光点が光る。

数分歩き、たどり着いたのは鬼刻組と書きたかったのだろう象形文字のようなもの三つが並ぶ看板のぶら下がったあばら家。

 

「見張りの一人も立ててないとは本当にアホだな…

 下層落ちしたやつらか外から来た奴らか…?

 いや、そんなことはどうでも良い。

 早いとこ奴らを片付けよう。

 【気配探知】」

 

ジョーがそう呟くとスキルが発動し、四人分の気配の位置が脳内へ送られる。

「ロニ、情報と違って四人いるようだが?」

「多分娼婦とかだろ?文句は敵が4人いた時にしてくれや!」

「…わかった。」

ジョーは少々ふてくされたように答えると、再び動き始めた。

 

そして、あばら屋の裏へ回ると刀を抜き、構える。

中にある気配は四つ。

ベッドらしき高さに寝転がっている二つの気配に、座っている気配と壁に寄りかかり立っている気配が一つ。

 

寝転がっている気配の内一つが娼婦の物であると当たりを付け、壁を軽くたたき薄さや硬さを確認すると、まずは刀で壁を抜き立っていた一人の頭へ刀を突きさし殺すと、その音に気が付いたのか、座っていた一人が動き出した。

ジョーは四角く壁が切り取られただけの窓から室内へ入り、扉を開け部屋に入ってこようとした男をすばやく切り捨てる。

 

残りの気配は二つ。

気配の主は一切こちらの部屋の出来事に気が付いていないのか寝返りを打っている。

廊下を渡り、そっと気配のある部屋の扉を開けると、明らかに全裸だとわかる程度にしか布団をかけていない男女がベッドで眠っている。

 

女の背中はまっさらで、男の体にはへなちょこな刺青があり、寝返りを打って見えた背中には事前に聞いていれば鬼だとわかる、程度の下手な刺青が入っていた。

ジョーは静かにベッドへ忍び寄ると、男へ刀を振り下ろそうとする。

 

その瞬間、柄から茎がすっぽ抜け、刀身があらぬ方向へ飛んでいき、大きな音を立て家具を切り裂き崩す。

そんな状況を予測していたわけではないが、ジョーは素早く拳銃を抜き、寝起きで混乱していたのだろう男の脳天をぶち抜く。

 

「き、きゃー!!!」

拳銃の音を目覚ましにされた上、生暖かい血を浴びた女が叫ぶ。

「お前に用はない、さっさと消えろ。」

ジョーが言いたいセリフランキング13位を言うと、女は近くにあった布で体を隠し、一目散に逃げて行った。

 

「ロニ、仕事は終わった。」

「ジョーボーイ、4人目の敵はいたか?」

「…お前の言う通り娼婦だったよ。」

「そんなとこだと思ったぜ!

 ほんじゃあ、死体の背中から紋々剥いでデッドハンドに持ってきてくれ!」

「わかった。」

 

ジョーは元家具の瓦礫に埋まった刀身の茎をつかむと、死体の背中から皮を剥ぎ取り、中身が見えるようビニール袋へしまうと、歩き始めた。

 

DEADHAND、クライアントのロニが経営している酒場だ。

スイングドアを押し開け入ると、ロニはすぐ気づいたのか飲み物を出しながら声をかけてきた。

「お疲れジョー!とりあえずこれでも飲め!」

出された飲み物を無視したたジョーは刺青の彫られた皮の入ったビニール袋をカウンターの上へ放り投げる。

 

「刀も壊れてしまったし今回の報酬では赤字だ。」

「おいおい!そもそも刀なんて高くて脆い武器使ってんのが悪いだろ!そもそも整備すら専門の店じゃねぇと難しいのによ!」

ロニのあまりの言い分にジョーは怯みかけるが、負けじと言い返す。

「そんなことはない!報酬が安すぎるだけだ!」

「だから刀の整備代は無駄使いだと―――」

 

だが現実は残酷なもので…ジョーは尚も報酬の増額を求めたがその日以降、飯は貧相になり、仕事では茎へゴムの滑り止めを巻き付きただけの刀を振るうことになったという…

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