アルドノア・パニック!?   作:灰音穂乃香

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FAZE10 『潜入』

2016年3月31日18時40分  地球軍パルナストス基地

 

「『攻撃目標は敵月面基地。

アセイラム姫がいる敵の本丸だ。

そして、近接する宙域にある揚陸城は月面基地が攻撃を受けた際、アセイラム姫の避難先として使われる可能性があるため、この二つの拠点に同時に攻撃をかける必要がある。

よって、本作戦には戦力を二つに分ける。

デューカリオン並びにトゥアハー・デ・ダナンは地球標準時二二:○○を期し、揚陸城へ攻撃を開始。

月面基地の敵戦力が揚陸城の防衛に裂かれた事を確認された後、トラキュラー中隊は周囲に点在する大型岩石を利用。

その背後に隠れつつ、敵基地へ接近、強襲をかける。

以後、作戦名をオペレーションルナゲートと誇称する』

以上が作戦の概要となる」

 

サテライトベルトに作られたパルナストス基地。

 

第三ドッグに停泊するトゥアハー・デ・ダナンのブリーフィングルームでマデューカスが先ほど、司令部から出た作戦内容を読み上げる。

本来ならば作戦書の受け取りはテスタロッサが行くべきなのだが、彼女が行くとその年齢の若さから甘く見られるためマデューカスが代行たのである。

 

「二正面作戦ね…」

 

「体の良い囮と言うわけだな…俺たちは」

マデューカスの読み上げる作戦内容に和哉と宗介が顔をしかめる。

「ラムダ・ドライバの起動実験の最中、私達はこの世界へと飛ばされてしまいましたー。

そして地球とヴァースの戦争に身を投じてきたのです。

 

その戦争もあと数回の出撃で終わることと思います。

 

誰一人欠けることなく、元の世界へと戻りましょう」

 

そんな和哉と宗介を激励するかのようにテスタロッサはそう言った。

 

 

2016年3月31日 22時30分 月面基地

 

「つき合わせてしまいすいません」

 

「別に、構わないさ」

 

隣を走る伊奈帆の言葉に和哉は肩をすくめる。

現在、二人はアセイラム救出の為に月面基地へと進入していた。

テスタロッサや和哉、伊奈帆も二正面作戦は囮であり、特殊部隊によるアセイラム暗殺の可能性を睨んでいたのだ。

そして、その予測は的中。

和哉達は基地へと降下していく人影を見つけたのだ。

 

「基地内の監視映像を取り込んでマップの生成…つっ!」

 

「余り、無茶をするな」

 

左目を押さえて壁に手をつく伊奈帆。

 

アナリティカル・エンジンは脳や視神経に接続されているため、使用方法を誤ると激しい痛みに襲われると聞く。

 

『軍曹、基地内の監視システムの掌握を完了しました』

 

そこに和哉が耳につけているインカムに揚陸城の外でECSを展開し、待機させていたクレイモアのAI・フレイアから通信が入る。

 

「こちらも相棒が監視システムを掌握し終えたところだ。

データリンクを頼む」

 

「ありがとうございます」

 

伊奈帆のアナリティカルエンジンへフレイアに掌握した監視システムのデータを送るように指示すると二人は再び走り出した。

 

 

2016年3月31日22時50分 トゥアハー・デ・ダナン 発令所。

 

『つっ!』

 

火星の量産型カカタクラフトの砲撃によって艦が激しく揺れる。

テスタロッサは衝撃に顔を歪めながら攻撃の指示を出す。

現在、トゥアハー・デ・ダナンはECSを展開しながらデューカリオンと共に戦闘を行っていた。

 

デューカリオンに比べるとトゥアハー・デ・ダナンの装甲は薄いため直撃弾を浮けば即、航行不能となる。

それ、故に指示を出すテスタロッサには大きなプレッシャーとなる。

 

『…大丈夫』

 

だが、これまで何度も激戦をくぐり抜けてきたからかどこかにそんな予感があった。

 

そんなことを考えているとタートルから送られてくる映像に火星カタクラフトに切り裂かれるアレイオンが映っていた。

 

2016年4月1日5時50分  地球軍パルナストス基地

 

基地内を進む、和哉と伊奈帆は通路の曲がり角で立ち往生していた。

 

その原因となっているのが通路の先に立つ全高二メートルの人型である。

 

広い肩幅と厚い胸板、頭部は兜を思わせる見た目をしており人間の目にあたる部位には赤い光を称えるパイザーが装着されている。

Plan1211アラストル。

 

アムルガムが開発した対人用の超小型ASである。

 

「神崎さん…あれは…」

 

「ああ、俺たちの世界の兵器だ…」

 

伊奈帆の言葉に和哉は頷く。

 

『エネルギーは恐らく、アルドノアから得ているんだろうが…さて…』

 

和哉一人でならばとりあえずはなんとかなりそうではある。

但し、敵が一体だけの場合に限られる。

だが、いつまでこのようなところで足踏みをしている余裕が無いのも事実だ。

 

「こいつに通常兵器は通用しない…。

 

貝塚はアセイラム姫の救出に向かってくれ」

拳銃を構えようとする伊奈帆を手で制すると和哉は通路へと飛び出す。

 

同時にアラストルが和哉に視線を向ける。

それを確認すると共に和哉はアラストルに背を向けて走り出した―。

 

『さて…うまく誘い出すことは出来た…あとは…』

 

通路を走りながら、和哉は後ろを振り返るとアラストルが追ってきている事を確認、方向転換すると同時にナイフを構える。

ASの単分子カッターを小型化したもので、言わずもがなであるが千紗の作だ。

グリップに付いたトリガーを引くと刀身についた鋸状の刃が回転する。

 

そこへアラストルが拳を振るおうとするが、通路が狭いせいもあり上手く立ち回る事ができずにいる。

 

フレイアに狭い通路に誘導させたのである。

 

そのおかげか今のところ地球軍の兵にもヴァースの兵にも遭遇せずに済んだのだ。

 

「…速攻で片づけさせて貰うぜ」

 

呟くと同時に単分子カッターを振るう。

 

和哉に一撃を与えんと身体を捻り腕を伸ばすアストラル。

だが、それよりも和哉がアストラルの首筋の動力系のコードを切り裂く方が早い。

 

膝をつき沈黙するアストラル―。

 

伊奈帆からアセイラムを保護したと連絡が入ったのはそれから直ぐの事だったー。

 




灰音穂乃香です。 アルドノア・パニック、第11話を投稿させて頂きました。 次回の最終話になりますが気楽にお待ちいただければと思います。
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