ヘンテコモンスターになりたくない!   作:reira

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事件の後始末

 限界凸記モエロクロニクル。

 

 性的過ぎてCEROレーティングがDになったゲームで、自分は生前……いや、まだ死んでない。転生前と言おう。そこで、中古のゲームショップにて安売りで見かけたダンジョン探索RPGだった。

 しかし、結局クリアなどできないままハードのほうが乞われてしまったのだ。ソフトはまだ手元にあったと思う。

 

 神様よ、転生するならなぜクリア後のゲームではないのだ。原作知識と転生前知識で俺TUEEEEとかしないのか。え、飽きた? そんなー……

 

 ただ、多少はこの後の展開がわかる。イオやリリア、レーチェ、ラテ、それにオルトロス。彼女達はゲームのときより外見が幼い。故に、本格的な異変はまだだ。世界の大異変に備えて動こう。

 

 ここは……イオの修行に付き合うのがいいだろうか。たしか、彼は修行で煩悩の展開ができるようになったはずだ。そのため、煩悩をためて出すことで大幅な味方ドーピングを可能としていた。貯めれば貯めるほどその効果は大きい。そのドーピングを貯めるために各味方キャラに甘えるという行動があり、煩悩を効率良く貯めることができる。そして、煩悩を安易にためると暴発をしてしまい賢者タイムに入ってしまう。

 イオはメンバー内で唯一消費アイテムを使用可能なバトルメンバーなので、動けなくなると回復が追いつかなくなることも多い。安易な暴発は避けるべきだ。

 

 とりあえず方針は定まった。今日はイオ、リリアとともに林に向かう日だ。

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 その後、当番を済ませたイオ&リリアと学校で合流して、林へと向かう。今度は僕にも合わせてくれている。歩くの遅くてごめんね? 

 と、そんなことを思いながら歩いているとイオが話しかけてくる。女の子相手だと挙動不審になるけど、男相手には普通に話せるようだ。

 

「なぁ、どうしてカイトは林の中にいたんだ?」

「あぁ……あの日、リリアとイオが焦っているみたいだったからさ。心配になって様子を見に後をつけたんだ」

「あぁ、なるほど。なら、声かけてくれればよかったのに」

「だって早いんだもん。見失わないように追いかけるのがやっとだったよ」

 

 どうやら、あの場所にいたことそのものを疑問に思っていたようだ。僕の返答に納得したのか、今度から気をつけるよと言ってくれる。僕が追いつければよかったんだけどな……

 

 そうして林に到着。今回はイオとリリアの案内で林の中を歩く。普段から歩きなれているのか、迷う気配は一切ない。

 二人は仲良く話をしつつ、こちらを気にしてくれる。あまりに遅いものだから、おんぶしようかと言われたものの流石に遠慮した。

 そうこうしていると、草むらががさりと揺れる。

 何事かと草むらを警戒する僕たち。

 

「おにぃさん!」

 

 草むらから、ばっとオルトロスが飛び出してきた。慌てて受け止めようとするが、僕は受け止めきれず尻もちをついてしまった。子ども同士とはいえかなりの衝撃だったのか、おしりがヒリヒリといたい……

 

「また会いたかったオロ!」

「僕も会いたかったよ。迎えに来てくれてありがとう」

「オロ〜!!」

 

 そんなことはつゆ知らず、オルトロスは僕を抱きしめてほっぺを僕の胸板に擦り付けている。愛くるしい彼女の様子に、おしりの痛みも忘れて僕はオルトロスの頭を撫でた。すると、オルトロスは目を細めて気持ちよさそうにくつろぎ、尻尾をパタパタとさせた。可愛い。

 イオとリリアは、じゃれ合う僕らを微笑ましく見ている。熟年夫婦……? 

 

「オルトロスさ〜ん、待ってくださ……あ、皆さんここにいたんですね〜」

「レーチェ!」

 

 その後、遅れてレーチェがやってきた。なんでも、オルトロスと一緒に待っていたのだそうだ。なぜ一緒に来なかったのか聞いてみると……オルトロスが、「おにぃさんの臭いがするオロ!」と猛ダッシュで走っていったそうで。

 

「みんなで待ち合わせなんだから、レーチェも連れてこないとダメだよ?」

「うぅ……ごめんなさいオロ」

「まぁまぁ。気にしてませんからいいですよ〜」

 

 幼いから仕方ない。それでも、オルトロスのためにも叱っておかないといけないだろう。今後のオルトロスのためにも。

 そうしていると、イオがレーチェに疑問を感じたのか少し話していた。

 

「同じ獣耳があるけど、レーチェは臭いとかわかるのか?」

「人よりわかると思いますが……私はそこまで鼻が利くわけじゃないですね〜」

「レーチェは猫のモン娘で、オルトロスは犬のモン娘なのよ」

 

 ふむ、モン娘は元となる動物の特長が出るんだな。と、一人納得していたとき。奥から先日の蝶のような美しい羽を持つモン娘……ラテが飛びながらやってきた。

 

「おう、お主等か。今日はよくきおったな。どれ、立話しもなんじゃ。こんなところで話すより奥で話そうではないか?」

 

 ラテの年長者オーラに、オルトロスもぴしっと姿勢を正し奥へと進む。そこは、開けた広場のようになっていた。座りやすい切り株が並んでいる。僕とオルトロス、イオとリリアとレーチェ。と、少々別れるように切り株に腰掛ける僕たち。ラテは蝶の羽でもって空を飛び、切り株たちの前にある大きな木……その枝に腰掛ける

 

「お主ら、先日の襲撃者の件はよくやってくれた。ただ、いかんせんワシがわからぬことが多い。詳しく話してくれ」

 

 んー、僕も事情がよくわからないほうなので困る。すると、レーチェやオルトロスが立ち上がる。

 

「最近、この林の地面に罠が仕掛けられまして〜。林の動物達や私のようなモン娘達が罠にかかって大変なのですよ〜」

「ご飯探して歩いてたら突然足がガチンって……怖かったオロ!」

「ほう……そうか。空を飛ぶワシはそれに気付けなかったんじゃな」

 

 レーチェやオルトロスの必死の訴えに、自分で気付けなかったことを自責ととらえ悲観している。

 続けてリリアとイオが立ち上がる。

 

「僕たちは、たまたま遊びに来た林で罠にかかったレーチェを見つけたんです」

「それで、レーチェを助けてから、この林の事情をレーチェから聞いて……罠にかかったモン娘や動物達を助けなきゃ! って思ったの!」

「ここしばらくは、罠を踏まないようにしながら罠にかかったモン娘や動物を助けて回ってました」

 

 だから、あの日リリアさんは焦っていたのか。やることがあるから。と僕は一人、納得した。

 

「そうかそうか。我がエリアのために努力をしてくれて感謝する。ところで、お主はどうしてここへ?」

 

 イオ達に感謝を述べた後、僕の方に向き直る。

 

「僕はイオやリリアのクラスメイトです。ただ、二人の様子がおかしくて。すこし心配になって様子を見に来たんです」

 

 僕が先程イオと話していたことを述べるが、ラテは首を傾げている。腑に落ちないことがあったのか。

 

「くらすめいと、とはなんじゃ?」

 

 あぁ、人間の街に疎いのか。ええと……どう説明すべきか。僕は頭を悩ませつつこたえる。

 

「えっと。セクレンドという街で、人間やモン娘が物事を学ぶ場所、学校というんですけど。そういった場所があって。イオとリリアと一緒に色々なことを学ばさせてもらってます。一緒に学んでる人のことをクラスメイトと呼んでいるのです」

「ほうほう、つまり仲間か! であれば、様子を見に行くのも当然じゃな!」

 

 わかってもらえたみたいだ。ホッとしたものの、まだラテは自分に質問があるみたいだ。こちらを見透かすような、キッと鋭い目で僕をみる。

 

「で、お主はなぜそのモン娘とともにいたのじゃ?」

「林の中で、迷子になってしまいました。そのとき、罠にかかったこのモン娘を見つけました。それで、罠を解除したんです」

 

 その返答に、なぜかラテは目を丸くして呆けている。

 

「その、じゃな。つまり、そのモン娘とは昨日が、初対面、と……? なんじゃ……えらく懐くのがはやいのじゃな……」

「おにぃさんはとっても優しいオロ! それに、あたたかくて一緒にいると楽しいオロ!」

 

 ……? 一体何を疑われたのだろう。首を傾げていたが、ラテが慌てて話を切り替えた。

 

「そうか。そうか。それで、襲撃者に襲われたところだったのじゃな」

「間に合ってなによりです〜」

 

 のほほんと、なんでもないようなことをいうレーチェさん。そうだ、と僕は立ち上がってレーチェさんと面と向かって頭を下げる。

 

「改めて、ありがとうございます。レーチェさんがいなかったら僕たちは襲撃者を逃がしてしまっていたでしょう」

「そうですね~、無事捕まえられてよかったです〜」

 

 そんな僕の様子をラテは笑ってみている。この場で立ち上がるのは失礼だったな、と気づいて自分が元々座っていた切り株に戻る。じっとこちらを見ているオルトロスにも頭を下げる。

 

「オルトロスも、ありがとう。僕を助けてくれて」

「オロ〜、おにぃさんこそ罠にかかったボクを助けてくれてありがとうオロ!」

 

 オルトロスはほほえみながら、僕にも頭を下げてくれる。そうだ。彼女を助けたからこそ助かったのだろう。

 ラテの方を見ると、うつむいて震えている。何か怒らせてしまったのか、とおもったが杞憂だった。

 

「くっ……かかかっ! なんじゃ、モン娘に頭を下げて回る人間とは。お主、名をなんという!」

「僕はカイトです」

「カイト、とな。くくくっ。その名、覚えておこう。カイトよ、ワシはお主が気に入ったわ」

 

 ご機嫌な様子のラテ。どうやら気に入られたようだ。そして、ラテからイオ、リリア、そして僕も自由にこの林に入る許可まで頂いた。

 もしかしたら、この事件は原作で語られなかっただけで。イオとリリアがレーチェと知り合って仲良しとなるきっかけだったのかもしれない。




ちなみにラテは、事件後すぐにモンスター側には話を聞いました。オルトロスのなつき具合が凄まじかったため、ずっと前からこっそり林に侵入していたのではないか。とカイトのことを疑っていました。
カイト視点なのでその辺りが分かりづらいですね……
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