残機無限のブルーアーカイブ   作:エドアルド

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ゲヘナ風紀委員長

 

 アビドス自治区の倒壊した柴関ラーメン付近ではゲヘナ風紀委員会の委員達が転がっていた。

 

「戦闘終了」

「みんな、お疲れ様」

 

 俺の報告と先生の労いの言葉で便利屋68とアビドスの面々は構えていた武器を下ろして戦闘態勢を解いた。

 

「ううっ、負けた」

「悔しいのはわかりますが動かないでください」

 

 今は、風紀委員の医療班が忙しなく動いて倒れている他の風紀委員達を治療していた。

 

『そ、そんな……』

 

 アコは通信機の向こう側で唖然としているようだ。まあ、普通ならこの人数差では基本的に勝てないが、先生の指揮もあったし、自分で言うのもあれだが俺はキヴォトスでも上位に入る実力者だからな。

 

「で?いつまで見てるつもりだヒナ?」

『えっ……』

 

 俺がそう言えばヒナがどこからともなく現れた。

 

『ヒナ委員長!?』

「……どういう状況かはもう把握してる。アコの独断については学園に帰ってから決めるわ。それまで謹慎していて」

『……はい』

 

 ヒナはアコにそう告げるとこちらに向き直った。その事に便利屋68とアビドスに緊張が走る。

 

「おう、久しぶりだなヒナ」

「ええ、久しぶりヤマト」

「いつも大変だな、あの横乳の暴走。まあ、ゲヘナらしいと言えばらしいんだが」

「風紀委員会としてはよろしくないんだけどね。まったくアコには困ったものね」

 

 便利屋68とアビドス達は俺がヒナと話始めたからか毒気を抜かれたように緊張を解いた。

 

「連絡ありがとう。おかげで状況はちゃんと把握したわ。後でアコにはしっかりと反省してもらう」

「そうしてくれ。今度ゲヘナに行った時には個人的にあの横乳に訓練付けてやるわ」

「ええ、ぜひ。アコも普段書類仕事ばかりで鈍っているでしょうから」

 

 よし、これで問題無くあの横乳の事しばけるな。

 

「とりあえず万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)には俺から報告しておく。風紀委員会には特に罰は無いように言っておくが横乳には風紀委員会とは別に万魔殿から沙汰が下る可能性は高いからそこだけは了承してくれ」

「わかっているわ。今回のアコの行動は色々と不味かったもの」

「俺も飯食ってたら砲弾食らってせっかく食ったラーメンが胃の中から無くなっちまったよ」

「……ごめんなさい。とりあえずここのお店にはゲヘナからお金を出すように万魔殿には要請しておく」

「そうしてくれ」

 

 あー、一回死んだ事を匂わせる発言はしなきゃ良かったな。ヒナが暗い顔しちまった。悪いのはあの横乳なんだが。

 

「ま、とりあえず俺との話し合いはここまでにしてアビドスの連中と話しつけてくれ。今回の一番の被害者はアビドスだからな」

「ええ、もちろんよ」

 

 ヒナは俺からアビドス達に体の向きを変える。

 

「事前通達無しでの無断兵力運用、そして他校の自治区で騒ぎを起こしたこと。このことについては私、空崎ヒナより、ゲヘナ風紀委員会の委員長として、アビドス対策委員会に対して公式に謝罪する」

 

 そう言ってヒナは深々と頭を下げた

 

『えっ!?』

「!!」

「!?」

 

 その事にその場にいたアビドスの面々は驚く。

 それもそのはず廃校寸前のアビドスへキヴォトス三大学園の一つゲヘナ学園、それも風紀委員長からの正式な謝罪なのだ。アビドスとゲヘナではその力関係からして天と地、月とスッポンの差がある。

 その謝罪には大きな意味がある。

 

「今後、ゲヘナの風紀委員会がここに無断で侵入することは無いと約束する。どうか許してほしい」

 

 それとは別にあの粗暴で有名なゲヘナからしっかりと謝罪されている事にも驚いているのだろう。

 ヒナはゲヘナにいるとは思えない常識人だからな。

 

「チナツ、イオリ撤収するわよ」

「えっ!?委員長、便利屋68はどうするの!?」

「もう居ないわ」

「え……ホントだ」

 

 ヒナの言った通り既に便利屋68達はその場からいなくなっており。これで完全にゲヘナ風紀委員会がここに居る理由も無くなった訳だ。

 

「貴方がシャーレの先生?」

「うん、そうだよ」

「先程の戦術指揮は見事だった。それと迷惑を掛けたわ」

「生徒達の相手をするのも先生の役目だから」

「……そう。それじゃあさよなら。また、会えるのを楽しみにしておくわ」

 

 そう言うとヒナは風紀委員会の人達を連れて去っていった。その去り際は流石ゲヘナで風紀委員長をやっていると思える統率の取れた撤退だった。

 ゲヘナでやっていける力とカリスマをこの短い時間で感じ取ることができた。

 

「……さて、一度アビドスに戻るか」

「そうだね。おじさん疲れちゃった」

 

 俺とホシノの言葉にみんなが頷きアビドスに向けて戻って行った。

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