私があいつと、ヤマトと出会ったのはまだ一年生の頃だった。最初は噂の便利屋とやらとパイプを作って将来、万魔殿の委員長になった時の手駒の一つにでもしてやろうと考えていた。
そうして依頼の一つとしてそれらしい理由をつけて指名手配犯の捕縛を頼み実力を測る事にした。事前に指名手配犯の潜伏場所は把握し遠くから戦闘を観察し実力を測った。そこ結果は良い意味で予想外だった。
ただの一発も弾丸をその身に受けずに一方的に制圧した時は驚いた。確実にキヴォトスでも上位に入る実力者である事は間違いない。
それからはヤマトとのパイプを太くする為にたまに依頼を出したりプライベートで友人のように接した。しかし、いつしか私はヤマトに好意を抱いていた。
特に特別な何かがあった訳ではない。ただ、ヤマトといるのが楽しくて嬉しくて胸が高鳴っていた。いつの間にかヤマトと会うためだけにヤマトの所に行くようになっていった。
ヤマトの事が愛おしくてたまらない、ヤマトといると何もかもが楽しい、ヤマトの声が仕草の一つ一つが私を魅了する。
薔薇色の人生とでも言うのかとにかく毎日が色鮮やかで楽しかった。あの時までは……。
その日は何気ない一日だった。いつものようにヤマトに会いに行ってたわいもない話をして幸せにひたる。そう言う日だった。
ゲヘナというかキヴォトスではよくある銃撃戦が起き、運悪くヤマトと共にその銃撃戦に巻き込まれた。そこそこ規模の大きい銃撃戦で戦車やロケットランチャーなんかも飛び交っていた。私たちは近くの建物の影に隠れて終わるまで待つ事にした。だがそこにピンの外れた手榴弾が転がりこんできた。
驚きはしたが手榴弾程度なら問題無い。しかし、手榴弾が転がり込んで来た時にヤマトが私を庇うように覆いかぶさった。驚きはしたが身を呈して守ってくれる事にはすごく嬉しく思った。私の事を大切な存在として認識していると思えたからな。
だが次の瞬間私の頭は状況を飲み込むのを拒んだ。私の顔そして手にべっとりとついた赤い液体。全身から私についたものと同じ液体……血を流していた。その姿は酷いものだった。手榴弾の破片で全身はズタズタになって右足は吹き飛んでいた。
その姿はありえないはずのものだ。ヤマトにも私と同じヘイローがある。幾らヘイローの防御に個人差があるといえども手榴弾程度でこうなる筈はない。現にヤマトの頭上にはヘイローがしっかりと輝いている。
なのにヤマトの体は重症、いや、致命傷と言っていい程のキズだ。
ありえない……ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない、ありえてはいけない。
だが私の手には暖かく鉄くさい血が心臓の鼓動に合わせるようにドクドクと流れている。
「あ、え……なん……」
口からは掠れたような情けない声しか出て来なかった。頭が理解するのを拒んでいた。
「……良かっ、た」
そんの状況で彼の口から出たのは私を心配する声。嬉しく思える言葉のはずなのにどうしようもなく全身から血の気が引いた。
そして私が惚けている間についにこときれるようにヤマトから全身の力が抜けて私の膝の上にその身を投げ出した。
信じたくなかった信じられなかった。ただただ目の前の現実に脳が理解するのを拒んだ。しかし、次の瞬間には状況が変わった。
私についていたヤマトの血がヤマトに戻っていくズタボロだった体が逆再生するかのように治っていく。そしてヤマトは目を覚ました。
目を覚ましヤマトは私の心配をして来た。だけど私にはそれに答えずにヤマトにすがりついた。
全くもってわからないわからないわからない。だけどヤマトが生きているという事実だけは確かにそこに存在していた。
そのあと何故生きているのか何故あんなダメージを受けたのかを聞けばヤマトはこう答えた。「俺のヘイローは防御力が無い代わりに死んでも生き返る」と。
なんだそれは、あまりにも惨い。私たちのような普通のヘイローの持ち主は銃弾が少し痛いだけですむ。だけどヘイローによる防御が無いヤマトは銃弾に撃ち抜かれる苦しみを肉を抉られる痛みを血を流す痛みをそして死んでいく感覚を知っている。なんておぞましいのだろうか、なんて酷いのだろうか。
もしヤマトをこんなふうにした神とやらがいるのならば撃ち殺してやりたいぐらいだ。
それにもう1つ重要な事に気が付いたヤマトのヘイローが壊れるのは何時だ?私たちは攻撃を貰い過ぎればヘイローが砕けて死ぬ。だが死んでも生き返るヤマトのヘイローの限界は何処だ?
そこからの私の行動は早かった。ヤマトをスタンガンで気絶させてゲヘナにある不良生徒を入れておく檻の中でも特別製のものの中にヤマトを入れた。
もう二度と死ぬ事のないように、もう二度と苦しまないように。これが私のエゴでヤマトはきっと望んでいないのだろう。だがそれでもヤマトのあんな姿は私の中で命尽き果てようとしていた時の姿をもう見たくないもう感じたくない、本当の意味で死んでしまうヤマトを見たくない。
あとは、ヤマトの初めても奪った。ヤマトの生きている証が欲しくて、ヤマトの愛が欲しくて、ヤマトを幸せにしたくて、ヤマトの全てを手に入れたくて。
その後もヤマトをこの檻の中でずっとずっと大切にしていこうと思ったが、ヤマトはそれを良しとせず逃げた。
しかも監視カメラには腕を切り落とし、舌を噛み切って自決した映像まであった。その時は死ぬ程私の愛が嫌なのかと目の前が真っ暗になっだが逃げ出したヤマトが真っ先に来たのは私の前だった。
そこからは言い争った。とにかく口汚く情けなく、内容は私の名誉の為に黙秘しよう。
そしてそれからは私は正気に戻ったというか妥協点を作ったと言うか……まあ、とにかくヤマトとの関係は悪くなる事はなかったな。
……今思い返すと中々に私やばい女だな。まあ、ヤマトが受け入れた以上改めるつもりは無いがな。キキッ。
次はもう1人ぐらい過去編かエガタ学園について書くかの二択やな