残機無限のブルーアーカイブ   作:エドアルド

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エガタ学園という場所《下》

 

「そんじゃあ行きますよ」

「よろしくね」

 

 そう言ってエガタ学園に来た先生を案内していく。エガタ学園の中はかなり広く作られており案内は軽く中を見せて後は生徒会室に呼ぶ手筈だ。

 校舎の中は基本的に他の学園と変わらず学校としての機能しか無いが幾つか違う場所がある。

 

「あれ?ヤマト、あそこは?」

「ん?ああ、あそこは依頼掲示板だな」

「依頼掲示板?」

 

 1階のちょっとした広場のような場所には幾つもの掲示板が立てられておりそこには紙が貼ってある。

 

「エガタ学園に来る生徒の大半は不良生徒だったりする訳だが何も自分から好きでそうなったわけじゃない。とりわけ金銭的な理由の子達はな。各学園にも奨学金制度はあるみたいだが定員もあるし条件も厳しい」

「うん、確かにそうだね……」

「だがエガタ学園ももちろんお金がかかる。完全な慈善事業という訳でもないしな。そこで学園から依頼を出すんだ。まあ、足りない分は働いて稼いでくれってわけだな」

 

 エガタ学園に寄せられる依頼は様々、街の清掃や民家の草むしりなんて小さなものから護衛や襲撃任務何かもある。もちろん全部クリーンな仕事だ。知らず知らずのうちに悪事に加担していたなんてさせたくないしな。

 

「例えばあの赤い紙を見てくれ」

「あれ?ゲヘナのマーク」

 

 先生に見せた赤い紙はゲヘナのマークがデカデカとつけられていた。

 

「そう、あれはゲヘナ学園の給食部からの依頼だな。ゲヘナの生徒は数千人を超える超マンモス校それに対して給食部はたったの二人。その二人だけだと限界がある。いや、破綻してない時点で凄いんだけど。まあ、そんなわけで人手不足な給食部に人が欲しいという事で依頼を万魔殿経由で来たな。他にも風紀委員の臨時委員とかの募集なんかもあるな」

「学校と言うよりは会社っぽいね」

「まあ、確かにな。でも社会勉強にもなるし学生としての勉強も出来る。中々いい環境だと自負してるよ。他にもミレニアムでのテスターとか山海経の自治区の店のバイトとか、キヴォトス全土から依頼が来てる」

 

 働かざる者食うべからずを体現している学園だな。

 

「授業もどちらかと言うと社会に出て生きて行く術を教えるものが大半だ」

 

 より実益があるものを選択して教えている。ここに流れ着いた生徒に必要なのは生きる術なんだ。このキヴォトスの地の底であるこの学園はこれ以上生徒を下に行かせないための砦だ。

 

「ヤマトは凄いね」

「もっと褒めてくれても良いんだぜ。ま、そんな事よりも次行こう」

 

 その場を先生を連れて後にして生徒会室に向かう。

 

「ここがエガタ学園の学園運営委員会、まあ、生徒会だな。その部屋だ」

「お邪魔しま〜す」

 

 そう言って先生が生徒会室に入っていく。今は特に仕事も無いので部屋には誰もいない。

 

「ここでは主にこの学園の運営に関する事を話し合ったり運営する上で発生する経費だったりの諸々を処理する場所だ。生徒会長は俺で他に幹部ってのがいるんだけどそいつらは全員他学園の奴らだな」

「え?」

 

 まあ、そんな反応になるよな。

 

「元々この学園は俺の発案でできたものだけど流石に俺一人では学園作りは出来ない。そこでエガタ学園の理念である【全ての生徒が当たり前に生きてける】を元に様々な学園に声をかけたんだ。まあ、すげぇ大変だったけど。幹部は主だったところで言うとゲヘナ学園生徒会長の羽沼マコト、トリニティ総合学園ティーパーティーのホストの1人百合園セイア、ミレニアムサイエンススクールセミナーの会長調月リオ、なんかだな。各学園の生徒を分け隔てなく受け入れ様々な依頼を受ける事を交換条件にエガタ学園に出資してくれてる」

 

 いやぁ、最初は大変だったな。何度土下座した事か、しかも生徒会長とか毎年変わるしその度に契約の更新あるし、結構ギリギリで生きてるんだよなエガタ学園って。生徒に優しい代わりの苦労と考えればまだマシだけど。

 

 その後も先生とお茶を飲みながら学園についてのあれやこれやを話し合ったりしてその日は時間を使った。

 

 そして夕方先生を送る為に学園の車庫に向かう通路で5人の生徒が立ちはだかった。

 

「おっと、待ちな……かわい子ちゃん」

「……え?」

「出たなコイツら……ハァ」

 

 現れた生徒はエガタ学園でも危険人物に指定されている百合同好会の面々である。同性のである女性に愛欲ではなく()()を向けるアブナイ集団である。無論双方同意の上でするなら何も言わないが違法行為スレスレを行くもんだから手を焼いている。

 今回は先生に目を付けたのだろう。普段はシャーレビルのセキュリティや他生徒に守られているから手を出せないが今はそうじゃない。そして先生の隣にいるのは俺だけ。

 

「さあ、私たちと共に楽園(エデン)へ」

「ヘヘッ……ジュル、おっと、ヨダレが」

 

 不気味や笑いと共にこちらにジリジリとにじりよってくる百合同好会の面々。しかし、この程度の事予想済みよ、伊達にエガタ学園で生徒会長やってないんだよ!

 二回拍手すればあら不思議、天井に床、窓から突如として幾人かの生徒たちが現れて瞬く間に百合同好会の面々を拘束した。

 百合同好会を拘束したのは隠密機動部の部員たちだ。エガタ学園において諜報活動を主にする部活である。情報収集能力はマコトに仕込まれてるから優秀な子達だ。もちろん今みたいに不意打ちでの敵の捕縛なども出来る。念の為今日一日付けておいて正解だったな。

 

「よし、あとよろしく」

「「「「「了解!!」」」」」

「あ、待って!!」

「束縛プレイは大変嬉しいけど今じゃない!!」

「ああ、極上の料理が!」

 

 動きを封じられながらも先生に執着をみせる百合同好会を放置してさっさと車庫に先生を誘導する。後ろで響くスタンガンの音の後ズルズルと何かが引きづられる音が耳に届いた。

 

「……一体何が?」

「知らなくて大丈夫ですよ」

 

 先生は状況を飲み込めてないようだけど飲み込めなくて良いんだ。関わるべきものとそうでないものがこの世にはあるんだ。




次はMIKE猫さんとのコラボ回の投稿になると思います!
その後パヴァーヌ編ですかね。

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