カタカタヘルメット団を片付けて俺達は対策委員会の部室に戻って来ていた。
「さっきはお見苦しい所をお見せした」
俺は深々と土下座をした。幾ら戦った後だからとはいえ、女性に裸を見せ付けるなどヴァルキューレ警察学校に捕まっても文句は言えないだろう。セクハラダメ絶対。いやこの場合は公然わいせつ罪になるのか。
「あ、頭をあげてください!べ、別に故意だった訳じゃ無いでしょうし!」
「驚きましたけど、カタカタヘルメット団を撃退してくれましたし〜」
「そ、そうね。カタカタヘルメット団の事でチャラにしてあげる!」
「今度からは気を付けようね?」
「ん、私は気にしない」
みんなからの暖かい言葉に咽び泣く男!骸夜ヤマト!!
いや、ホント真面目にありがてぇ。
しかし、唯一としてホシノだけが何の反応も返さずに佇んでいる。怖いです。
「……ヤマト」
「はい……」
顔を上げたホシノの瞳はハイライトが消えていた。やっちまったなぁ!!
「ちょっと私についてこようか」
「はぃ……」
ホシノの言葉に逃げれない事を悟り大人しく着いていくことにした。
「せ、先輩!許してあげましょうよ!悪気があった訳じゃないんですし!」
あ、これ勘違いしてんなアヤネちゃん。
「今更ヤマトの裸見たぐらいで一々おじさんも騒がないよ。ヤマトと話があるのは別件」
「い、今更!?」
「とりあえずおじさんはヤマトと話があるから」
そう返して教室を出ていくホシノの後ろを着いていく。そのまま着いていくと対策委員会の教室から少し離れた一室に辿り着く。
「中に入って」
ホシノの言葉に従い中に入る。中は特に何かあるという訳でもなく物置として使われている感じだった。
そしてガチャリと部屋の鍵が閉まる音がした。
「へ?」
「これで逃げられないね……」
ホシノが鍵をかけたようだ。本格的に俺を逃がす気は無いようだ。
「……どうして。アビドスからいなくなったの……」
「それは、気まずかったんだ」
そう、ただそれだけ。
「俺の実力不足でユメさんはああなった……俺が弱かったから。なのにお前は俺を許した。だけど俺はあんな事になったのを俺自身が許せない。俺の気持ちの問題なんだ。俺はアビドスに居る資格なんて――」
そこまで言った時俺は床にホシノに押し倒された。
「ガハッ!?ホシノ!?何を――」
「黙って……黙れよ!!それ以上喋るな!!」
ホシノは倒れた俺の上に跨り胸元を掴む。
「弱かった?自分を許せない?アビドスに居る資格がなんだって?ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるなぁ!!」
怒気を含んだ言葉を吐き出すホシノは泣いていた。
「あの時!あの化け物にユメ先輩が殺され掛けた時!ユメ先輩が死ななかったのも私が無事でいられたのもヤマトのおかげでしょ!!
……さっきの裸になったのもまた死んだからでしょ……あの時みたいに腕が脚が頭が体が吹き飛んで死んで生き返って、死んで生き返って、死んで生き返って、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、何度も!!
弱い?そんなわけ無いでしょ!あんな、あんな事になってまだ立ち上がって立ち向かえるお前が、痛いはずなのに苦しいはずなのにいつもと変わらない顔でいるお前が弱いわけが無いでしょ!!
アビドスに居る資格なんてお前が決める事じゃない!!そんな事、私とユメ先輩は認めない!!例え!お前がここの生徒じゃ無くても、一緒にアビドスの為に戦った仲間じゃないか!」
そこまで言ったホシノは言葉をパタリと止め無言で俺の胸を弱々しい力で叩き始めた。
「ホシノ……」
バカみたいだな俺。勝手に色んな事を決め付けて逃げてただけだと気付かされた……いや、わかってたはずなのに目を背けて逃げてたただけなんだろうな。
「……もう、誰かが居なくなるのは嫌なんだ……だから、そんな事言わないでよ」
「ごめん」
俺はそう謝るしか無かった。
そこからはホシノの泣き声だけが部屋に響き続けた。俺そんなホシノを撫で続ける事しか出来なかった。こういう時に気の利いた言葉の1つもかけられないなんて情けないな。
それからしばらくして泣き疲れたのかホシノはそのまま寝てしまった。……どうすっかなぁ。